舞台芸術に変革の兆しが映画化
★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
2021年アメリカ映画
現代ニューヨークのヒスパニック居住区を舞台に
ヒスパニック系だけでミュージカル映画
製作
リン・マニュエル=ミランダ
・ハミルトン
監督
ジョン・M・チュウ
・G.I.ジョー バック2リベンジ
・ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー
・ステップ・アップ2:ザ・ストリート
・グランド・イリュージョン 見破られたトリック
キャスト
ネタバレ あらすじ
2021年7月31日劇場鑑賞
2021年45本目
リン・マニュエル=ミランダの映画が字幕付きで見れる!!
リン・マニュエル=ミランダ
普段聞かない名前だが、
ミュージカルに詳しい人ならご存知だろう。
そして高評価映画に長けてればご存知だろう。
そのミュージカルを映像に収めた映画
『ハミルトン』が
2020年にDisney+で配信開始されたが、
まさかの日本語字幕なし。
※『ハミルトン』とは?
内容はアメリカ合衆国建国の父の1人である
アレクサンダー・ハミルトンを描いた
作品なのだが。
白人であるハミルトンを肌こそ白いが
プエルトリコ系のリン・マニュエル=ミランダ
が描き、またその他登場人物も白人ではなく
有色人種で固められ、
さらにはミュージカルのため、
歌うのだがそれがヒップホップの
フリースタイル調であるという
革新的過ぎる作品。
作詞作曲主演をミランダが行った本作。
トニー賞を受賞。
そんな彼が『ハミルトン』よりも前に
製作し作詞作曲主演を行いトニー賞を受賞し
大学生時代に生み出した
ミュージカル作品が『イン・ザ・ハイツ』だ。
そして本作はその映画化作品なのだ。
今作の功績を含めて2015年には
マッカーサー・フェロー基金という
人並み外れた独創性、創造性探究への献身、
顕著な自己実現能力を持つ人に与えられる
天才賞みたいなものを贈られ、
その基金を用い『ハミルトン』を製作。
ミランダはアメリカに認められた天才なのだ
そして本作でもコメディ担当として
ピラグアという彼のルーツのプエルトリコの
かき氷の販売員として登場。
本来は自分が主役のミュージカルだったのに
『ハミルトン』で共演した若手俳優に
譲っている。
ラテン音楽とラップミュージックとミュージカル
すでにミュージカルとしてトニー賞も
受賞しているわけで、
やはり特筆すべきは、
ラップミュージカルというところ。
唐突に歌い出すのがミュージカル
唐突に殴り合いが始まるのがアクション映画
もはや映画の醍醐味とも言えるが、
そこへの自然なアプローチの手法として
ラップというのはとても適していたと
実感した。
元々のラップというか
ラッパーが韻を踏みながら
ダジャレを混ぜて相手を罵る
サイファーというやつ。
そこには自分の感情や
目に見える全てを巻き込み
相手との意思疎通
及び自分との意思疎通を行う
テクニックとして
歌に心情を乗せて歌うことが
とてもマッチしていることに感動。
そしてなんでもアリとも言える
ボサノヴァなんだかサルサなんだか
全くもってわからないけども
ダイナミックなダンスとの調和も
凄まじくオープニングが終わった時
うっかり拍手しそうで困った。
好き勝手に自分の言いたいことを言うという
中南米の人種の特徴なのかなぁ?
と思いながらもちょっとバカっぽいけど
活気があって混沌として
それが家族なんだなぁとしみじみと
思いながらも
その声というか歌が合わさって
コーラスのようになってくのも
面白かったし。
それぞれの音域やテーマが決まっている様で
キャラクターの個性も反映されながら、
彼ら全員が歌うと聞き応えたっぷりで
アンサンブルの完結にいちいち震える。
それだけじゃなく
ラップパートでは韻も踏んでいたり、
ラップミュージックにつきものの
ブレイクダンスもとても激しく踊りきり
ながらも往年の物量で攻めた
ミュージカルダンスも掛け合わされて、
現代の価値観にアップデートされたミュージカル映画を体感して興奮
白い映画
こんなことあったんだぁ程度でしかないが、
全米公開時にあった論争。
本作は移民への人種差別を取り上げた作品だが
映画自体には肌の色が黒い中南米系の
アメリカ人が主要キャストにいない。
その指摘を受けてミランダは、
謝罪を表明。
アジア系のみのキャストで映画を作り
好評を得たチョウ監督はこのことに
ついては何も語れなかった模様。
日本人の自分としては
ワシントンハイツにもニューヨークにも
行ったことがないので、
全くもって実感がわかないが、
本作がワシントンハイツという場所を
舞台にし主役にした映画として、
そこのこの問題を指摘されてしまうと
致命的なのかなぁと。
個人的想像だと
ミランダが育った80年代は
ギャングやクラックが旺盛だった時代で
肌が黒い人はとりわけ
危険だったのではないか?
ということでミランダは後に大学へ進学する
エリートだったこともあって、
まさに彼らの実態を理解できておらず
もしくは恐怖の対象でしかなくて
描くと言うことができなかったのかな?
と思った。
個人的には楽しめたし気にならなかった
謎の改変
見ていて全く気づかなくて
パンフレットを読んで知ったのが、
美容室のダニエラ。
3人の女性が主でいるが、
自分は彼らを家族と思っていた。
母と姉妹。
しかし実際は、
オーナーのダニエラと
『ブルックリン・ナイン-ナイン』にも
出演しているステファニーは、
結婚していて夫婦だった。
じゃああのエロいダンスしていた
キョカとは何ものだったのか?
それについては何もわからん。
ただ上記の内容を
舞台と変更して採用したことで
昨今のLGBT要素も盛り込んだと言うわけ、
と言われても全く気づかなくて
ポリコレ要素にちょっとげんなり。
結局人種差別問題に引っかかってしまったし。
しんどみが薄い
主人公のウスナビ。
名前のセンスが抜群ですが、
彼も含め親友のベニー。
さらにはヒロインのヴァネッサも
高卒で就職という。
思えばしんどみが深い話。
それでもそれを根底では気にしていると思うが
今自分の矢印をしっかり見定め行動し、
悔やむ時間がなくてすごい。
しかし劇中でベニーは職も失うわけで、
しかもダウンタウンの地価のさらなる
爆上がりとかで金持っている人は、
どんどんワシントンハイツにもきている様で、
彼らの居場所はどんどんなくなって行く。
そのあたりのしんどみは
初期スペックだから描かないという
わけだったので、
見落としてしまう要素なのかなぁと。
思うのでした。
映画は最後8年ぐらいの歳月が
経つわけですが、
それでも逞しくワシントンハイツを
故郷として生きる彼ら。
移民同士の団結で街を維持。
軋轢もあるのか?
それとも新たな人々と共存なのか?
そもそもニューヨークという場所の
貧富の差の激しさよ。
アメリカンドリームが宝くじ一択。
ネタバレ:結局自分探しの物語だった?
温情深くノリの良い登場人物たちが
すぐにミュージカルで踊り出すのは、
全くもって違和感がなく、
見ていて安心できたし、
クソ貧乏だけどもたくましく
生きているというのが、
なんともパワフルだったなぁと思い。
映画の主題はこのワシントンハイツ
という地域を主人公にしたと
思っていたわけですが、
その優しくて温情はあるが
優柔不断で引っ込み思案な
ウスナビという男が、
なぜそうまで引っ込み思案なのか
というのは
彼自身がアイデンティティが
見つからなかったというのが
最後に発覚するのが、
なんとも痛烈だったなぁと思った。
そんな彼が自分の本当の思いや
自分を確立することを再発見することが
本作の物語としての
大筋であったことが明かされて
大団円を迎えて完結するのが
なんともよかった。
90年代なハッピーエンド
映画の物語として
上記が描かれるのだが、
なんとも古臭いなぁと思うのでした。
宝くじが当たってましたぁ。
ソニーを救えますぅ。
みんな幸せになりましたぁという
そもそもの宝くじというのが
あり得ないなぁと思う。
ヴァネッサの成功も
いまいち説得力薄くて
夢物語だなぁと。
描いたという意味では良いのかなぁと思うが。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8.5/10
・音楽 10/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
81点
『レント』とか見たことないけど、
あれよりはマイルドで、
それでいて背景が色々ある映画で
パンフレット読み終わって、
もう一度鑑賞したいと思う。
お気に入り映画です。
キスシーンが2回ぐらいしかなくて驚いた
エミネムって天才だったなぁと
見終わって思ったのが
自分『8mile』でどっぷりエミネムに
ハマった世代なのですが、
HIPHOPのアルバムって結構
ミュージカル調なの多いし、
名盤の『リアル・スリム・シェイディ』とか
エミネムの別人格のスリム・シェイディと
エミネムの物語として
もはやミュージカルなんじゃないかと。
序盤は毎回物語が描かれていて、
エミネム自身の人生の切り売り状態だった
わけで、それが原因でメンタル崩壊
してたんだよなぁ。
また映画としても
『8mile』のラップバトルを勝利して
現実に帰って行くラストからの
『ルーズ・ユア・セルフ』の
物語の総まとめ的な楽曲の
異常なまでのカタルシスは、
ミュージカル映画の大団円以上の興奮が
あったなぁと改めて思うのでした。
マニュエルさんの作風にも影響が
あったのかなぁ?と思うのでした。
リン=マニュエル・ミランダって自分の中ではエミネムに似てるなぁと思う。
中盤ぐらいまでエミネムは別人格を用いたラップというアルバムの中で別キャラクターの物語を描くことに魅了された。
リン=マニュエル・ミランダもミュージカルだけどラップで
人生を語るということが似てると思いました。— his@ロボアニ映画PS5トロ集めブロガ (@his0809rx78) July 31, 2021