製作
1988年イタリア映画
え?この映画2種類あって内容違うんかい?!
監督
ジュゼッペ・トルナトーレ
・鑑定士と顔のない依頼人
・海の上のピアニスト
・題名のない子守唄
キャスト
マルコ・レオナルディ
・レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード
・マラドーナ
・赤い薔薇ソースの伝説
ジャック・ペラン
・Z
・コーラス
ネタバレ あらすじ
1988年イタリアのローマにて
著名な映画監督のサルヴァトーレはある晩、
アルフレッドという人物の訃報をもらう。
サルヴァトーレはベッドの中で、
故郷にてアルフレッドと共に
過ごした日々を思い出す。
第二次世界大戦直後、
8歳のサルヴァトーレは
教会にて働いていたが、
その最中映画の検閲作業に立ち会う。
映画に興味を持った彼は、
映画映写師のアルフレッドに懐き、
彼の仕事を手伝うようになる。
2021年4月6日自宅Netflix鑑賞
2021年21本目
国際版と完全版がこんなに違うとは
いつものIMDbTOP250にて10年以上見てない
作品を見直していたわけだが、
2021年4月23日現在でも50位という
超好評の本作。
ソフト販売については廃盤品になってしまい
UHD化もされていないので、
今回はNetflixにて鑑賞をすることにした。
と何も考えずに見ていたが、前回見た時にあったはずのシーンがない気がする
見たのは10年以上も前のことだし、
他の映画とごっちゃごちゃに
なっているんだろそう思っていたが、
結構下品なシーンが多かったはず。
そして映画が終わったが、

そんなわけでこの違和感を調べたが、
この映画
・オリジナル(イタリア公開版)
・国際版(日本流通版)
・完全版
3種類存在していた。

そして恐ろしいことに
それぞれ長さが違うのはまだしも
追加シーンにより作品の要素が
追加されているのではなく、
作品そのものも作風が変わっている。
映画のラストも変わっているに等しい。

『ロード・オブ・ザ・リング』等の完全版とは全く違うのよね
それでもまぁ本作の評価される要素というのは
味わえると思うわけで。
ノスタルジーの小旅行
1945年頃のシチリア島の
娯楽の少ない小さな街を舞台に
映画館に押しかける人と
映写技師のお手伝いをする少年の
ウハウハな日々が描かれる本作。
閉鎖的な田舎
唯一の娯楽が映画
観光地と思える程の小さな広場
という限定的な状況で描かれる
少年の日常物語。
勿論
毎日色々な映画が流される。
アメリカ映画も勿論流され、
多くの名作が一部だけ流れる。
しかし当時はキリスト教下の
厳しい検閲がなされ、
キスシーンや女性の裸体などはNG。
全てカットされているというわけ、
映画に一喜一憂する
エモさが誇張される田舎のイタリア人という
要素により
映画本来のファンタジックな感動、
日常を吹き飛ばす魅力がより誇張され
最大のノスタルジーを実感し
まるで旅行にて旅館から
水平線に沈む夕日をみているような
あの感情が呼び起こされる


感化されて映画監督になろうと
東京に来るやつ挫折して
田舎でフリーターになってしまえ。
違和感のある伏線、回収は完全版で
劇中の主人公たるサルヴトーレは、
著名な映画監督ながら
恋人を取っ替え引っ替えしている。
それは過去の初恋に失敗し傷心したからと
思えるわけですが、
そこの描写についてのフラグを少しずつ
立てているにもかかわらず、
国際版ではノスタルジー部分が強調され、
映画技師が残した検閲フィルムの連続映像にて
「アルフレッドありがとう」で終了。
しかし完全版だと
青春ドラマ=恋愛
という側面が追加されており、
エロに執着する若きサルヴァトーレなどが
垣間見られたり、
映画の終盤では、
別れも言わず去ってしまった
身分違いの恋人の真実や
再びの情熱の炎の着火など
だるい展開が目白押しし、
サルヴァトーレの恋に対して
一つの決着が描かれた上で、
この街の思い出の総まとめとして
アルフレッドのフィルムを見て、
人生のトラウマ全てを乗り越える
人間ドラマとして終わるわけ。
その伏線が丸投げなのが
国際版の悪いところで、
映画のバランスを欠いている印象。
国際版しか知らなければいいのだが、
全く所感の違う完全版があるので、
本作の評価はし辛い。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 6/10
・音楽 10/10
・上映時間と個人的趣味 6/10
71点
音楽がめちゃめちゃ最高なわけで、
10代に見ると
夢いっぱいの未来に心躍らせたわけで
30代の今見ると
存在しないノスタルジーと虚無な現実と
この映画の描かれた夢物語に
ただただ嫉妬する。
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