製作
2018年インド映画
あらすじ
2001年インドの最南東。首都から1番離れたタミル・ナードゥ州の田舎町。
ここで暮らす溶接工房を営むラクシュミカントはガヤトリを娶った。
インドは女性の好意の関係ないお見合い結婚が主流であり、ガヤトリは知らない土地でラクシュミの妻になることに元気をなくしていたが、
ガヤトリは妻を喜ばせるために、持ち前の工作能力を活かして、妻との生活を豊かにしようと努めていた。
ある日、妻が生理の為に使う汚い布をひっそりと干していたり、生理の時期になると部屋から少し離れたところで過ごすことにラクシュミは、
疑問を抱いていた。
薬局では生理用ナプキンが売っており、これを使えば不衛生な布を使う必要はない。
薬局に行くが、その生理用ナプキンは高価だった。買ってガヤトリに渡すが、女性の生理はインド社会においてはタブーであり、
そのことを男性が気にかけることがガヤトリにはストレスであり、また高価なナプキンを使うことを身内に知られることを恐れ、ラクシュミからナプキンを受け取らなかった。
困ったラクシュミは返品もできずにポケットに忍ばせていた。
そんなある日、自身の工房で部下が怪我をしてしまう。
咄嗟の止血道具にナプキンを使い、後々医者から、ナプキンを使った止血の判断の正しさや、生理に使う布が不衛生であることを諭される。
ラクシュミはガヤトリがいつか子宮の病気になってしまうのではないかと不安に思い、買えないのなら自分で作ろうと、ナプキンを分解して、
自己流で試作する。
タブーに踏み込むラクシュミにガヤトリはとてもストレスを感じた。
しかしラクシュミの押しに負け、試作品を使用するが、それは失敗作だった。
改良をしたいラクシュミだが、ガヤトリにはやめてくれと言われる。
どうしても改良したいラクシュミは、妹の友達や付近の女子大生などにお願いするが、断られたり、近隣から怪しい目で見られるようになる。
困り果てたラクシュミは自分自身で使用することを考える。
しかしそれが最悪の事態に発展し、街全体から変態野郎のレッテルを貼られ、妻のガヤトリは彼女の実家に連れ戻されてしまうのだった。
それでもラクシュミは諦めず、1人生理用ナプキンを生み出すために街から出て、生理用ナプキンの原材料が羽ではなく、セルロースだと言うことを知り、その分野の大学教授のもとへ向かい、家事手伝いとして働きながら、技術を学ぼうとするが、大学教授は全く相手にしてくれなかった。
しかし大学教授の息子の協力によりインターネットでセルロースの試供品をゲットする。
またアメリカでの生理用ナプキンの生産工程を見たラクシュミは、オリジナルで製作することを考え、
借金をしお手製で生理用ナプキンを作る機械を製作する。
試作品ができたラクシュミだが、やはり使ってもらえる人がいない。
途方にくれた彼の元に、運良く音楽家であり大学生であるパリーの従者と出会う。
ちょうど彼女は生理用ナプキンを切らしてしまっており、夜でしかも田舎なので販売している場所がなく、困っていた。
察知したラクシュミは所持していたナプキンを渡す。
そして翌朝、パリーのもとを訪ねるラクシュミ。
ラクシュミはパリーに使い心地について訪ねる。パリーは使用したナプキンがまさか手製であることも検討しておらず、販売品だと思っていた。
そして数日後、パリーはラクシュミに連絡をし、インドの首都デリーで行われる発明のコンペを案内する。
自作の生理用ナプキンライン製造機をコンペに出展したラクシュミは大統領賞を受賞する。
工場周辺の住民にも称えられるラクシュミだったが、それが生理用ナプキンの製造機であることを知った住民はラクシュミを忌み嫌ってしまうのだった。
そんな彼の元にパリーがまた現れ。。。
2019年1月1日劇場鑑賞 2019年1本目
海外のIMDbや日本のフィルマークスで高評価の映画
2019年の新年1発目、1月1日の元旦、映画の日ということで、前売り買わなかった、当初見る予定のなかった本作『パッドマン』を低価格で鑑賞してきました。
監督、出演ともに知らない。助演の奥さんの人はNetflixに配信中のインドの犯罪ドラマに出演している人ですね。
個人的には男なので、この生理用ナプキンをインドで大量生産した男というあらすじだけで、身構えてしまうのですが、
海外でも日本でも映画データベースサイトで高い評価を得ているので、この度映画の日で低価格で鑑賞してきました。
難癖つけづらい映画
感想としては、面白かったです。
でも男性目線として、女性の生物としての大変さという側面をひしひし感じる。
特に遠く離れたインドでは、女性の社会的地位が低いことが顕著というか、
劇中内では、そういった国際社会の物差しでみると、女性の社会進出がうまく行ってない国としての、悲しさが映画全体を覆っている。
お見合い結婚によって人間としての楽しみを失い、妻になってしまう女性の慣習。
生理用ナプキンが高価すぎて、買えず、整理中は別室に行く必要があったり、専用の布を人に見られないように干したりと、
見ていて心底辛くなる。
それを解決しようと取り組むラクシュミの姿に、自分自身のタブーだからあまり触れるべきではないのでは?と思ってしまったのだった。
劇中内でも同様に気が狂った扱いされるラクシュミ。確かにやり過ぎ感はある。
でも街の人の対応も田舎っぽい村社会の生きづらさというか、愛の為に活動するラクシュミが終始不憫で見ていて辛い。
また全く知らなかったが、前半後半で映画に幕間がある作品。日本公開では立て続けに上映していたが、後半では都市部に行って、
本格的に生理用ナプキンを開発する。
そこで村の女性とは対照的な利発なパリーと出会い、進歩的な文明人の女性としての姿が描かれ、うまく対比されている。
挙句にその2人の女性に挟まれ絶妙な人間関係をつくるラクシュミが面白かったな。
もう本当に目も向けられないような失敗の数々が序盤にあって、本当に辛いが、それを悪く言うのもなんだかタブーのような。
映画というかラクシュミは本当に偉大な男で、
田舎の発展途上地域で女性の健康に尽力し、また劇中内では社会進出まで促してしまうので、インドの文明そのものを発展させたとも言える。
クレバーだし表情も豊かで面白い。
まぁ劇中のラクシュミと実際の人物が似てなくて、現実はもっとやばかったのでは?と思ったり、眉唾なのでは?と思ったり、
気になることはあるが、非常に興味深い映画だった。
映像もインドの広さを生かした広角の撮影が多くて素敵。
音楽の歌に関しては、冒頭と中盤であったが、タブーを皮肉った歌だったので、そこまでのれず。
インド映画だけどアメリカ描写あり
これ結構変わってるなって思った。終盤世界的にもラクシュミの活動が認められて、アメリカで演説をするというシークエンスがある。
そこで、アメリカを空撮するわけだけど、なんだか独特で、アメリカ人の使い回しにも近い空撮とは違う、独特な切り口の映像がいい。
『レオン』の時もそうだけど、国の違いによって見えるものって違うんだなと。
日本も外国人が映像とるとすっごく魅力的に感じるときあるし。
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hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 7.5/10
・映画の美術面 7.5/10
・キャラクターの魅力 7.5/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7.5/10
76点
2018年のインド映画が2018年中に日本で公開するのすごいと思った。
配給がソニーだから、内容的に十分ヒットが見込めると思ったんだろうな。すごい。
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