◎【78点】パーム・スプリングス【解説考察:タイムループから還る勇気】◎

★この記事をまとめるとこんな感じ★

1 製作
2 ネタバレあらすじ
3 リゾート地でタイムループ
4 アンディ・サムバーグがまたもハマり役
5 タイムループしているのが1人だけだと思ったか？
6 何気ない日常の喜びの再発見=コロナ禍
7 多元宇宙論なのか？
8 演じるのも大変そうなタイムループ
9 hisSCORE

製作

2020年アメリカ映画

君が僕を完璧にする

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キャスト

アンディ・サムバーグ
・俺たちポップスター
・ホット・ロッド/めざせ!不死身のスタントマン

J・K・シモンズ
・セッション
・JUNO/ジュノ
・スパイダーマン
・ラ・ラ・ランド

ネタバレあらすじ

現代のアメリカ、カリフォルニア州。
リゾート地のパーム・スプリングス。
11月9日。
この日はタラとエイブの結婚式。
タラのブライズメイドのミスティの彼氏、
ナイルズ(アンディ・サムバーグ)は、
前日入りし、朝目覚める。

気だるそうにアロハシャツと短パンで過ごし、
リゾートでの休日を満喫する。

結婚式へも
ビール片手にアロハシャツで参列した彼、
夜のミスティのスピーチに乱入し、
タラの姉のサラに対し、
意味深なスピーチを告げる。

サラは家族の問題児で、
居心地が悪かった。
パーティ中酒に溺れるが、
そこにナイルズが現れる。

あり得ない動きで
参列者のダンスを切り抜ける彼は、
サラを口説き落とし、
パーティーを抜け出て
野外でイチャイチャしだすのだが、
突如武装した男ロイ(J・K・シモンズ)が
現れ、ナイルズを矢で追い詰める。
負傷した彼は、這って移動を始める。
動揺したサラは彼を心配するが、
ナイルズは気にしないで欲しいと言い、
近くの洞窟へと向かう。
洞窟の奥から光が放たれ、
そこに向かっていくナイルズ。
サラには付いてきてはいけないことを告げ、
奥に進んでいく。
心配したサラは彼についていってしまう。

翌朝、ナイルズは同じ日を繰り返した。
ミスティーに起こされ、
昨日同様にアロハシャツを纏い
プールにてリゾートを楽しむ。
しかしそこに鬼の形相のサラが現れた。

サラはどうなっているのかを
ナイルズに問い詰めるため迫る。

サラはあの洞窟の光に
入ってしまったことで
11月9日をループしてしまうのだった。

状況が理解できないサラは、
このループから抜け出そうとするのだが
できない。

ナイルズもまた過去に同様の思考に陥ったが
できずに諦め、
何万回も同じ日を繰り返しているのだ。
死んでもまた11月9日の朝に戻り、
眠ってもまた11月9日の朝に戻るのだ。

サラも同様に諦め、
ナイルズと一緒にこのループを
楽しみ始めるのだが。

2021年4月11日劇場鑑賞
2021年22本目

リゾート地でタイムループ

『サタデー・ナイト・ライブ』出身の
アンディ・サムバーグが主演と製作を
務める作品。

若手映画作家からの依頼を受けた
アンディ・サムバーグが興味を持ち
元々はシンプルな40代の男が旅を通して
自分を再発見する低予算コメディだったが
アンディ・サムバーグのコネクションを
生かして、タイムループロマンティック
コメディへと昇華した作品。

この手の作品としては
『恋はデジャ・ブ』が今では有名になったが
繰り返される日々に対して、
最良の行動を行い、生まれ変わった主人公は、
タイムループから脱することができるという
展開に対して、
今作では、それでもタイムループから抜ける
ことのできなかった男と
同じくタイムループにハマってしまった
男が大好きな女ことサラとの
ロマンティクコメディになっている。

最高のタイムループ

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舞台をリゾート地にしていることで
むしろ毎日リゾートの日々を繰り返せる
という最高のタイムループなの
かもしれない中での
何万回と同じ日々を繰り返す男。
最早還ることを諦め
考えるとしんどいから
毎日酒に溺れている。
二日酔いもないのだから羨ましい。

アンディ・サムバーグがまたもハマり役

映画の真新しい点は、
『明日への地図を探して』と一緒だが
主人公が既にループに
陥っているところから物語が始まる。

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むしろ何万回とやり直しているというのも
なんだか新鮮で、
もはや脱出することも諦めている
怠惰な極みなのも新しいが、
この日常をいい意味で受け止めている
ところも面白い。

そしてその役を
アンディ・サムバーグが演じるのも
とってもはまっている。
やり過ぎない気だるさ、
喪失感と幸福。

絶妙な薄幸感が加齢と態度から
滲み出しながらも
そんな人生を愛しているという
彼のキャラクターが良い。

アンディ・サムバーグ?

アンディ・サムバーグと言えば、
直近だと『俺たちポップスター』か？
元々はロンリーアイランドという
ユーチューバートリオとして
2001年から活動開始したが、
2005年からアメリカの
モンスター級笑いテレビ番組の
『サタデー・ナイト・ライブ』に
トリオで出演し、アンディは
2018年まで出演し続け、
コメディアンとしての確固たる立ち位置を
手に入れた。

また2013年からは
自身が製作総指揮を務める
ニューヨークを舞台にした刑事コメディ
『ブルックリン・ナイン-ナイン』に出演し
2021年でもシーズンは続いており、
現在進行形の売れっ子コメディアンだ。

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逆に映画業界については、
もともと映画系の学校出身だったが、
コメディ映画の出演数もそこまで多くない。
同じユダヤ系のスーパーコメディアンの
アダム・サンドラーとの共演作がアニメ含め
多数あるが、個人作ではそこまでヒットに
繋がっていない。

そして今作も全米では
Hulu独占配信作品でありコロナ禍での
公開となり興行成績とは無関係だが、
サンダンス映画祭にて上映されたりと
高い評価を得たようだ。

個人的にはコメディ映画にて
多数のカメオ出演にて見かけていたが、
2017年の『セレステ∞ジェシー』を見て
存在を認識し、
やはり『俺たちポップスター』と
『ブルックリン・ナイン・ナイン』にて
フォロワーになった。

今作でも
これまでの経験が活かされた
素晴らしい存在感、
いや最早俺様映画になっていた！

タイムループしているのが1人だけだと思ったか？

タイムループしている人って
だいたい主人公ぐらいだったが、
今作では最低3人がタイムループに陥っている
・ナイルズ
・ロイ
・サラ NEW

それぞれのエピソードが描かれ、
それもまた笑えるエピソードで面白いが、
さらにナイルズとロイの対立という
恐ろしいエピソードが炸裂し笑いを誘う。

そのあたりも斬新で面白いが、
そこに新キャラとしてサラが仲間入り。

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元々ナイルズのお気に入りだったサラが、
NPCから重要なヒロインへと変化し、
ナイルズの日常がいっぺん。

ナイルズがこれまで着目してこなかった
サラのストレスが遂に発覚した時、
3人の関係に変化が訪れる。

何気ない日常の喜びの再発見=コロナ禍

これはロイのエピソードで描かれるが、
今まで気にも留めなかった日常の風景の
素晴らしさが今作でも言及される。

いつか失ってしまう。
もう見ることのできない風景や日常に
あったささやかな幸せの瞬間。

コロナ禍で生き方に制限が生まれ
てしまった人々、
そしてコロナ禍だからこそ
巡り会えた幸福な瞬間、
何気なく過ぎていた日々に潜んでいた
小さな幸せの数々を知る。
ある種の禅の極みのような言及が、
本作にも存在。

そこに潜む喜びを
私たちにも気付かさせ、
見終わった時、日常に潜む幸せを
見つけることができるかもしれない。

多元宇宙論なのか？

今作は結局のところ量子力学を用いた
円環からの脱出手法を発見し、
一か八かの方法で脱出をし、
11月10日を手に入れるわけですが、
エピローグでは
一緒に脱出しなかったロイが、
ネイルズに会いにいくわけですが、
そこにいるネイルズはNPCに戻って
しまっているのでした。
結婚式に普通に出席している
タラのブライズメイドの彼氏。

その後彼が悲しい日常を
過ごすことは明白ですが、
そうなってくると
エピローグのネイルズとロイは
別次元にいるということになるのか？

もしネイルズがロイに会いに行くと
そのロイはネイルズによって
タイムループをすることになり
そこから脱出したロイなのか？
それともロイはいないのか？

なかなか気になります。

リック・アンド・モーティを思い出して

リック・アンド・モーティの
シーズン4のあるエピソードで、
モーティがスイッチを押すと
ある時点に戻ることができるという
ループ的なエピソードがあったのですが、
その裏側ではリックの嫌がらせ映像かも
しれませんが、
そのスイッチを押すたびにモーティは
死んでしまい
別次元に今の意識を飛ばして
やり直しているように思っているという
オチがあったのです。