井上先生アニメ映画製作者に転身
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2022年日本映画
前置きなしで紡ぎ直される
スラムダンク
ネタバレ あらすじ
2023年1月8日劇場鑑賞
2023年1本目
2024年6月10日自宅Netflix鑑賞
2024年29本目
26年の月日を超えて『SLAM DUNK』復活
1990年〜1996年に少年ジャンプにて
連載されていた漫画
『SLAM DUNK』の
最終戦の山王戦がまさかの
アニメ映画化。
原作者が現在の連載そっちのけで
監督・脚本を務めるという
異例の『ワンピース』状態。
しかも当時のTVアニメは
ほぼ連載と同時期に終了し
原作全てを映像化せずに
インターハイ前に完結。
劇場版もオリジナル作品として
複数制作されたが
山王戦は初の映画化。
そして26年という
むしろ『SLAM DUNK』未体験の人が
社会人になってるぐらいの
月日を経ての映画化。
コンテンツとしては
2000年代ぐらいまでは
毎年の夏休みぐらいに
再放送されていたので
2020年に20代〜30代ぐらいまでは
鑑賞体験があるのではないか?
またコミック時代も
舞台が高校生で部活ものである為
高校時代に回し読みされていたりする
のではないかと思うが
流石にアニメの再鑑賞は話数的に
しんどいと思われる。
しかし脈々とさりげなく
タネは巻かれた中の
原作者による26年ぶりの映画化
そして未アニメ化という山王戦。
往年のファンはぶち上がり
齧っていた人ならば
2010年代後半のジャンプアニメ作品の
質のぶち上がりを垣間見ていれば
鑑賞欲がわかずにはいられないと
思われる。
結果的に興行として大成功を収め
評判も声優キャストを直前まで
総替えだということを明かさなかった
こと以外は悪いこともなく
作品の評判も大変良かった。
原作を世代として3回ぐらい読んだ
自分もアニメはそんなに
見てなかったし劇場版も
全然楽しめなかった達だが
この好評を聞いたので
鑑賞することにしました。
原作者の理想の形
監督と脚本という
作品の方向性を決める立場に
ついた原作者の井上さん。
とりあえずアニメスタッフは
大変だったんじゃないかな?
と思うのでした。
監督の意向が強く
もはや20年前のアニメは
パラレルという立ち位置に
したいというように
声優を総入れ替えし
雰囲気を完全に除去。
どうしても週1で原作同時連載と
なるとオリジナル要素もあったり
ギャグ要素も強くなったりと
冗長になってしまう部分があるし
それを原作者も良しと思えなく
なったのではないか?
と勘繰ってしまう。
また原作作品は
当時不良文化が攻勢だった印象。
不良の桜木が恋をしたことが
きっかけでバスケ部に入部するという
ラブコメ不良漫画から
だんだんとスポーツ漫画へとし
シフトし終盤ではバスケ路線が
濃厚になっていった。
連載終了後原作者に残ったもの
そして26年の月日が流れ
紡ぐべき物語は何か?
『バガボンド』『リアル』と
いずれも『SLAM DUNK』同様に
未完とも言えるこれらの物語を
経て再び『SLAM DUNK』にて
紡ぐ物語は
あまりにも
湿っぽくそれでいてしんどかった。
原作を読んだのはもう20年以上前だし
今更読み返す余裕もないし
とりあえず主役が
バスケ初心者の最高の運動神経を持つ
不良青年が恋に落ちてスポーツに
目覚める話だったと思う。
だが今作ではそのチームメイトで
主人公同様にマネージャーと
バスケを愛する小柄な少年に変更。
原作ではそんなに人物背景は
描かれていなかったが
借金苦に陥ってもおかしくないしんどい成長秘話が描かれる
しんどい邦画が始まったわけでした。
井上先生の美麗な絵が動き出す魔法
と話的な部分は
リョータの家庭環境のしんどさ。
母親との確執。
小柄な選手としてのしんどさ。
合間の主人公補正で最強な桜木の
ムードメイクの素晴らしさと
絶妙なバランス感覚が見事。
しかしそんなことよりも
映画のオープニングからの
導入が最高で
手書き風の映像が動き始め
色が付き
説明なしで山王戦が幕開け。
BGMには90年代に大成功をしたが
解散してしまった
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
のフロントマンが新たに組んだ
The Birthdayの楽曲が流れ
当時の世代は青春の残響が鳴る??
音が消えれば
聞こえるのは会場の音。
バッシュが床を擦れる音。
ドリブルの音。
ゴールネットの揺れる音。
インターハイという
青春の最高潮の音が劇場を支配する。
緊張感と高揚感が凄まじい。
そして再び蘇る
湘北高校の精鋭達の姿に興奮する。
CGで人間の動きを取り入れたのか?
パンフも売り切れで買えなかったので
制作秘話は不明だし
守銭奴の東映と集英社のことだから
上手いこと有料コンテンツとして
小出しにして最大の利益を上げるのだろう。
情報そのものにプレミアムな商材にし
情報の隔絶が起きることは致し方ない。
全く想像できないが
井上先生の絵がめちゃめちゃ
上質に動いてバスケをしている。
最高過ぎることは間違いない。
絶妙なカラーリングもされていて
どこかフルカラーページを読んでいる
ような面白さがあるのも捨て難い。
しかしそもそも山王戦が苦手だった勢
と原作は結構好きだったが
山王戦が苦手だったのを見ていて
思い出すのであった。
作風のギャグ要素よりも
バスケ要素が強くなっていくし
わずかな時間で大どんでん返しが
起きまくりすぎてる点も
苦手だった。
一回逆境を残り超えたら
更なる逆境が起きて
飽きてくるし
ちょっと小難しかった。
それぐらい王者を倒すのは難しいし
ジャイアントキリングは早々
起きてはいけないというのは
わかるのだが。。。
むしろ原作者も燃え尽きたようで
書きたいこと全部詰め込み
まくった印象もある。
桜木の負傷も
本当に必要だったのか?
作品を終わらせる口実だったのか?
桜木の無意識のスポーツマンとして
勝利への欲望というものを
描くことを強引に盛り込んだような。
またわざと桜木を脇役とすることで
流川と桜木の存在感が薄くなっていた為
続編があれば2人にそして
花子さんに焦点が合うのだろうか?
まずはリョータという人間の
悲しきバックボーンと
そして未来が現代に必要だったのか?
正直全然わからない。
エピローグ
原作では流川が全日本に選抜される
という展開になったのは覚えているし
桜木にもその可能性があるという
爽やかな展開で終わったが
今作では山王の最高のプレイヤー
沢北が海外留学。
1年後なのか?それとも数年後なのか?
そこにまさかのリョータも現れて
試合開始で完結。
これが大学生なのか??
そして片親だったリョータは
どうやっていったのか?
むしろスポーツ奨学金とかの啓蒙のために
そのドラマ面しっかりやって欲しかったし
スラムダンク奨学金の紹介とかやって欲しかった
リアル路線のしんどいドラマで
物語を紡ぎ直すのであれば
ただ彼らは海外に道が
開けたとかで終わらせて
欲しくなかった。
リアルスポーツ漫画の
金字塔たる使命を
もっとなして欲しかった
ところはあるんだよなぁ。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 9.6/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7.7/10
・音楽 9/10
・上映時間と個人的趣味 8.6/10
85点
見直すと
安西先生って酷いやつだなとか
三井寿が許されるのが全く理解できない。
まぁそれもエポックメイキングという
立ち位置が許しを得ているのでは
ないかと思う。
後続に他紙でバスケ漫画が複数出るが
本作以上の話題は成し得なかったと思うし
ジャンプでもリアル路線では
超えられない壁ができて
ギャグに近い超人的な必殺技要素が
含まれて逆に傑作になった
『テニスの王子様』や『アイシールド21』
『黒子のバスケ』などが生まれたり。
デフォルメが強いがスポ根漫画として
『ハイキュー!!』が生まれたりと。
正統派部活漫画の元祖として
風格すごかったわ。
2024年6月再鑑賞:部活が人生を導く
遂に『THE FIRST SLAM DUNK』が
VOD配信にて定額見放題。
Netflixがまず先行というやつ。
早速AppleTV4Kを起動し
スピーカー接続で鑑賞しましたが
平日の夜なのに一気に鑑賞。
2歳の子供も食いいいるように見たりと
これまでのアニメーションとは
一線を画く演出が凄まじく
何度でも見惚れてしまう。
個人的には宮城の過去の重さが
やはり辛すぎると思うが
一緒に見ていた妻が
バスケットが部活が人生を変える
少年漫画にあるべき
主題により重きを置いているのだなぁと
その重すぎる物語にも
深みがあるんだなぁと思いました。
確かに桜木の物語だと
彼が変人すぎるので
その主題は薄れてしまうので
焦点を宮城に合わせることで
10代におけるスポーツに打ち込むことによる
人生の岐路としての描きとしては完璧
なんだなぁと思いました。
映画館で見た時よりも楽しめたな
話知ってると演出に着目できて
感動が違うね。
4000円台になったらUHDを購入しようと思う。
その子供と親、両方の世代の集客を狙ったか?