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◯【67点】ザ・ライダー【解説 考察:邪道だ。ドキュメンタリー映画との境界を曖昧にしている】○

製作

2017年アメリカ映画

劇映画がこのスタイルになると
映画作りが変わってしまうと思うのだが?

監督

クロエ・ジャオ
ノマドランド
・エターナルズ

ネタバレ あらすじ

現代のアメリカ中西部サウスダコタ州。
インディアン居住地のど田舎。
ここに住むブレイディは父と自閉症の妹と
トレーラーハウスに住む貧乏一家だ。

ブレイディはロデオライダー兼馬の調教師
だったのだが、ロデオ中に振り落とされて
脳に傷を負ってしまい、手に力を入れると
指が固まってしまう後遺症を患ってしまい、
馬に乗ることが関わる仕事はできないと
思われる。

飲んだくれの父や妹を養うために
まとも教育を受けていない彼は、
スーパーで働くが地元で将来有望な
ロデオライダーの彼は、
また馬に乗らないのか?
と話題になっている。

そんな彼には自分と同じ落馬の後遺症で
障害者になってしまった友人のレーンがいる。
彼もまた有望なロデオライダーになれると
思われたが、重い障害を持ち
介護がなければ生きていけないように
なってしまった。

それでも新しい人生を考えられない彼は、
愛する馬に乗ることを焦がれるが、
生活のために家の馬は売られ、
そして生活の糧の為、
暴れ馬を調教することにするのだが。。

2021年4月3日自宅Netflix鑑賞
2021年20本目



クロエ・ジャオ監督の出世作

2021年の『ノマドランド』は
2021年4月6日の時点では
アカデミー賞作品賞、監督賞候補。
ゴールデングローブ賞では2つの部門を
受賞している作品だ。

彼女がここまで成し遂げた背景を知りたくて
定額配信が終了になる間際に鑑賞した。

ドキュメンタリー映画と劇映画の境界を曖昧にする

『ノマドランド』の原型の型が
垣間見られる本作。
俳優は起用せずに、
その原案とも言える
人々をそのまま起用した作品。

主人公は実際に怪我を負ったロデオライダー。
父も自閉症の妹もそのまま役名は違えど登場。
障害を持ったレーンもまたかつての
YouTube映像を見る限り実際に
怪我をしたことが垣間見られる。

過去の出来事をもとに
クロエ・ジャオが脚本に落としこんだと
考えられるが、

凄まじく低予算な映画だ

俳優を起用していないのだが、
その分費用は浮くだろうし、
演技指導こそしてはいるだろうが、
実在する人をそのまま落とし込んでいる
のだから現実味はすごい。
格安で映画作りができるし、
舞台のど田舎な風景を撮るだけで、
素晴らしいアメリカの原風景が
写し出されるのだから素晴らしい。

his
こういった映画がなかったのは、アメリカ生まれの映画制作者として避けたかったという王道的気持ちがあったのではないか?
異国から来た監督だからアメリカの異質な部分をうまく映し出せたのか?

そのアメリカの持つ伝統の異常性という
部分では『スリービルボード』に近い部分が
あると考えられる。

そしてこういった映画が少なかったのは、
アメリカの不都合な部分が描かれる以上に、
ドキュメンタリー映画と
劇映画の境を制作者たちが意識していた
のではないかと思う。

邪道過ぎてクロエ・ジャオの映画楽しめない

ドキュメンタリー映画の持つ
語り口と劇映画の持つエンタメ的思考は、
どちらも重点的に置く視点が違う。
ドキュメンタリーは
新たな価値観を彷彿させる
知識的面白さと厳しさや悲しさ
などの驚き、
劇映画でも実在の出来事を
もちろん映画化するが、
それを膨らませて
感動的に描こうと試みたり、
俳優の演技力で物語の
厚みを増したり、
演出された奇跡があるが、

今作の邪道だと感じたところでは、
その境を曖昧にしている点だ。
俳優はロデオ経験者で、
縄裁きも馬の扱いも逸品だ。
自閉症の妹も演技なのか、
それとも彼女の思いなのか
曖昧だ。

彼女の言ったことを編集で
うまく繋いでいるのかもしれない。

さらには、途中で無作為に語れること。
インサートのような端役の人。
棒読みとは思えないエキストラの演技、
もしかしたらドキュメンタリーとして
製作をしていたら、
劇映画になってしまったのか?

自分の苦手なドキュメンタリー映画は、
実際の映像を使わずに
作った映像を持ち入りすぎることだ。
それだったプレゼンテーションに思える。

逆に本作は、
プレゼンテーションに思える。
アメリカの田舎で
夢を失って行き場のなくなった
閉鎖的な地域で生きる青年の葛藤を
如実に描いているものの
その手法については、
むしろアメリカで映画を志す人々の
夢を奪うような禁じ手のように思えた。

ドキュメンタリー映画とは何か?
低予算の劇映画とは何か?
脚本とは何か?

拭い去れない絶望感の痛みを抱えて生きる
『ノマドランド』と共通するテーマ

本作がよくできていることは確かなのだが、
『ノマドランド』で感じた違和感は、
今作で明白になった。
『ノマドランド』は本作の
オルタナバージョンだが、
れっきとした俳優がキャラクターを
作っている点が全く違う。
あのリアルな人々の間で
俳優というフランシス・マクドーナンドが
いるという点で、
あれは紛れもなく映画なんだと思う。

じゃあ本作は?というと
グレー過ぎるなぁと思う。

やはりクロエ・ジャオの本領は
MCUの『エターナル』で堪能する。

映像がバストショットより上が多い

本作の違和感は人の姿をあまり引きで撮らない。
とってもすっごく短い。
シーンのマスターショットがない。
なんとも邪道な映画作りをしている。
というかこれが今後の
スタンダードになるのか?
マスターショットなんてなくなるのか?
マスターショットがないというのは、
シナリオがないのか?
箱書きだけが存在するのか?
これが許されるのはすごいと思う。

そして上半身以上しかないのは、
まさしく演技ができないからなのではないか?
現実の動きを見れば
冷めてしまう。
その部分をうまく
クロエ・ジャオは排除している。
なんともスマートな人なんだと思うが、
今後の映画が変わってしまうのではないか?
あまり売れてほしくないと思うのであった。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 5.5/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7.5/10
・上映時間と個人的趣味 7/10

67点

個人的には大分減点しているが、
邪道をアリと考えるなら。
脚本も8点だし、
映像も9点だと思うし、
キャラクターも9点だと思う。

自分が愛してきた映画が
否定されてる気持ちになった。

ドキュメンタリー映画が気の毒。
実際のYouTube流すとか
ドキュメンタリーでは?
これがありなら
俳優から仕事が奪われ、
脚本家からも仕事が奪われ、
賞に志す人が
クロエ・ジャオのフォロワーに
なってしまった時、
それを評価する人々も
辛い気持ちになるだろうな。

でも彼女が見たビジョンは
間違いなく素晴らしいものだったと思う。
でもクロエ・ジャオは
娯楽映画とか好きなのか?
めちゃめちゃ『エターナル』が気になる。

ちなみにやたら病院に行ってたが
ホワイトトラッシュなのに
こんなにやばい病気して
医療費払えるのか?

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