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◎【80点】WAVES/ウェイブス【解説 考察 :感想が自分語りポエムになるタイプの映画】◎

WAVES/ウェイブス

製作

2019年アメリカ映画

青春崩壊
そして…

キャスト

ルーカス・ヘッジズ
・マンチェスター・バイ・ザ・シー
・レディ・バード
・スリー・ビルボード
・ある少年の告白

スターリング・K・ブラウン
ブラックパンサー
ザ・プレデター
・THIS IS US

クリフトン・コリンズ・Jr
スター・トレック
・カポーティ
・トラフィック
・ラスト・キャッスル

あらすじ

現代のアメリカ。
南東部のフロリダ州。
名門レスリング部のある高校で、レスリング部に
所属するアフリカ系アメリカ人のタイラーは、
美人な恋人のアレクシスと友人たちと青春を謳歌
する日々を送っていた。

タイラーは幼い頃に実の母親を亡くし、
父の再婚相手の母キャサリンと
実の妹エミリー、
そして支配的な父親
ロナルド(スターリング・K・ブラウン)と
暮らしている。
父のは元レスリング選手だが膝を痛めて引退。
タイラーもレスリングを志したこと、
そして自身が幼かった頃の辛い境遇をタイラーに
味わわせないように、父は彼に強く当たる。

しかしタイラーは家族に内緒にしていることが
あった。
それは以前怪我で痛めた肩は完治しては
いなかったのだ。
また父の膝の強力な痛め止めを陰で
使用していた。

そして医者からはこれ以上レスリングを
続ければ肩が治らなくなり後遺症が残ること
を宣告される。
せめてこのシーズンだけを行いたいと思った
彼だったが、医者はもう限界であることを指摘、
タイラーはこのことを家族に内緒にし、
レスリングを続ける。

だが悪夢は現実になった。
試合の途中でタイラーは相手から肩を執拗に
攻撃されたことで、肩を痛めてしまい、
選手生命が絶たれてしまった。

ストレスが限界まで達した彼のもとに
アレクシスから連絡がくる。
彼女は以前から妊娠したかもしれないと
タイラーに相談していた。
タイラーは将来のためにアレクシスに中絶を支持。
2人は産婦人科に向い。
全てを終えたと思ったタイラーだが、
アレクシスは中絶を断念したのだった。
彼女の態度に我慢ができなくなったタイラーは、
激怒し2人は喧嘩をしてしまうのだった。

タイラーは、痛み止めを乱用し、
友人たちからドラッグをもらい使用、
大量に酒を飲み、
精神的にも限界を迎えていた。

アレクシスと仲直りをしようとした
タイラーだったが、アレクシスが子供を産み、
両親と育てるという
テキストメールで逆上、彼女は怒らないと約束
したタイラーに裏切られ憤り、彼をブロックする。
怒り狂ったタイラーは家で大暴れ、
事情を知らない家族はタイラーを出禁にする。
その夜タイラーは高校のダンスパーティーに
アレクシスと行く予定だった。
そのパーティにはタイラーの妹のエミリーも
参加していた。
家でアレクシスのインスタグラムを見守る
タイラーはアレクシスが他の男と一緒に
いることにさらに怒り狂い、
鎮痛剤とお酒で理性がぶっ飛んだ彼は、
義理の母キャサリンの静止を遮り、
アレクシスに会いに行く。

そして悲劇は加速した。。。。

エミリーは高校で孤立していた。
兄のタイラーの一件により、
彼女はSNSなどで一方的な恨みを抱かれている
ように思え、
彼女自身もまた強い責任を感じていた。
だがそんな彼女に1人の同級生が声をかける。
タイラーと同じレスリング部だったルーク
(ルーカス・ヘッジ)は、
エミリーに近づき、2人は恋に落ちた。

2020年7月24日劇場鑑賞 2020年37本目




音楽が救いの上質鬱映画

2010年代にテレンス・マリック大先生の下で
映画を学んだ
トレイ・エドワード・シュルツ監督の映画。

今作が長編作品3作目。
いずれも気鋭の低予算映画の配給会社A24が
配給を行っているA24お気に入りの映画監督。

前2作は見てないが、
いずれも人間の内面の変化をホラー的に描く
ことが好きなサイコロジカルホラー監督。

今作は青春時代を謳歌していた青年の
大きな悲劇と家族の再生の物語という

半自伝的上質鬱映画

しかしただ鬱を駆け抜けるわけでもなく、
監督が映画制作において、
音楽試聴を心がける、なんとも今時な方で、
オールディーズもありながらも
2010年代を代表するアーティストの楽曲も
多数採用し、
剰え楽曲の歌詞まで引用するほどの音楽愛を
披露し、映画の彩を豊かに高揚感を
見る側に与えてくれる。

フロリダという色鮮やかな景色、
南部の暖かい太陽光の眩しさ、
そしてカラフルな青春時代を
サイケデリックロックが無限の可能性を
私たちに見せ。

ラップソングの怒れるライムが、
暴走する青春の狂気をより研ぎ澄ます。

そして終盤には…。

そんな稀代の名曲たちを巧みに
用いることで日本の本作の宣伝では
プレイリスト映画と称して、
音楽好きを取り込もうと必死。

この香ばしい感じが、
ロッキンオンのCUTを彷彿させる。
CUT昔は読んでたし、
CUT寄りの感想の書き方だと思うし、
ロッキンオンにも憧れて、
今でも洋楽好きだし。
一概に表現の仕方は嫌いじゃないが、

プレイリスト映画というのが、映画の本質的な部分をぶっ壊した表現な気がして、
なんかむかむかする。今だったら『あの頃のペニーレインと』もプレイリスト映画だろうな。
てかキャメロン・クロウの映画は全部プレイリスト映画だ!!

しかしこの監督の武器は、
音楽のチョイスだけではない。
テレンス・マリックの下で盗んだ
突き放した美麗映像描写もあるのだ!
そのせいか本作は批評家評価はすこぶる高く、
metascoreは80点!!
今後もインディーズ映画界を
牽引するであろう逸材。

しかし本当に鬱だった。

青春の悲劇、愛による再生

監督の青年時代と出演俳優の青春時代を
参考にしたという本作。

毒親によって育てられて、
プレッシャーMAXながらも女神な恋人、

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友人たち、そして文武両道さらには、
家の手伝いで経済の勉強もしている、
超リア充のスポーツマンの主人公ですが、
一つだけ隠していることがあった。

それは過去に痛めた肩が悪化していること。

完璧な彼にも悩みがあるのだが、
それを共有できる人は誰もいない。

「バランスを大切にしろ」と毒親に
毒づかれる主人公のバランスは、
少しずつ崩れていた。
その痛みに対して、
非常に強い痛み止めを使っていた。
この痛止めはオピオイドと思われる。
ヘロインと同じ効能がある
依存性の高い薬物だったのだ。
その描写こそはないが、
そこから依存症に近い、
正しい判断の欠如、

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ここまでバランスを保っていた彼は、
どんどんどん底に落ちていってしまう。

そして彼は最悪の行動を起こしてしまう。

俳優さんの演技も良いが、
映像の描写もいい。
ちょっと攻めた編集もいいが、
セリフ量の少なさなど、
テレンス・マリックの下で学んだという
言葉に納得させられてしまう。

どこか自分の人生の共通点を探してしまう。

薬の依存症という恐ろしさ。
自分も過去に交通事故にあったせいか、
それとも酷い姿勢が原因か、
肩と首の凝りを患っている。
毎週整体に通っているし、
姿勢を良くしようとも努力している。
それでも辛い時は、頭痛薬を使っている。
いっときは楽だが、使った後に一気に眠くなる
こともあるし、カフェインに敏感になったりする。
挙句に使っても痛みが消えないこともある。
薬物を手軽に使えることの怖さと
今作の悲劇に触れることで、
ますます怖くなる。

10代の選択と後悔

そして10代の頃の自分の選択の数々を
思い返すと、
彼のように怒りをコントロールできない
瞬間は今でもあるだろうし、
10代のときはもっとこうだった。
孤独な時期には心情を歌うような歌に
気持ちを寄せて、夜中に1人涙を浮かべることも
あったし、世界で自分が一番醜くて不幸
なんじゃないか?そう思う瞬間は山ほどあったし、
学校に行きたくなくて、
不登校だった時期もあった。

あるときふと母親を殺してしまう夢を見て、
すごく悲しい気持ちになってから、
母親に優しくなれた。
何もわからないまま成長性ホルモンに
振り回されたのか?
この映画の主な原因は毒親だったが。
自分の家は実はとても貧乏だったのに
気づいたのが就職して社会に出てからだった。
なぜ自分はこんなに金銭面で不公平なのか?
そしてどうしてこんなにお金に縁がないのか?
何もわからないまま、
親はそばにはいてくれず、ただ笑いながら
お金がないことを告げてくる。

自分の位置などわからなかった。
あのときは地獄だったのか?
自分は中学校が一番楽しかった。
あのときは無敵な気がした。
20世紀少年のようにハイだ。
でも今ではもしかしたら、
あのときの自分の振る舞いで、
多くの人が傷ついていたのかもしれない。

青春は間違えて、時折崩壊する。
この映画はそんな人生の波を公平に描いている。
映画の描写があまりにも酷く鬱過ぎることもあるが、
ふと自分の直情的な10代を思い返せば、
同じくらいひどい瞬間があったように思える。
音楽に関しても実はリアルな演出なのかもしれないな。
監督はまだ10代から出てこれないのかもしれない。

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愛による再生という後編

映画は2部構成だった。
悲劇により崩壊してしまった家庭。

原因はどう考えても毒親

しかし自分もああなる可能性あるよな。
懺悔など無意味なのだ。

そして後半の主人公は、
青春謳歌マンの影で、
存在感が薄かった妹エミリー。
美人で気立てがよく、
影で兄を思っていたが、
鬱映画なのでなかなか扱いがひどい。

兄の事件により
学校内で孤立してしまった彼女に
謎のボンクラレスリング部のルーカス・ヘッジが
アプローチして、再生の物語が幕開け。

なかなか不自然極まりない展開だが、
今作は主張のためにご都合主義的な側面が
多数ある。

前半に兄に腰抜け呼ばわりされるルーカスくん。
鬱展開の連続だったので、
後半で妹に復讐をするというクソ鬱展開か?
と思いきや童貞ボンクラ野郎という天然。

しかし強豪レスリング部にいながらボッチ設定の白人ルーカスが、
痛めつけてきた先輩の妹に手を出すとか、全然現実味ないだろ。
てか普通に考えてボッチキャラじゃないだろ?

兄のことは全部知ってるよ発言などもあり、
かなり裏の顔あるかと思いきや
天使だったルーカス。
しかし彼にも悩みがあった。
幼少時に別居したクソアル中父が死にそうという
情報を得たのだった。
もう実の父に会えないかもしれない。

それに対して精神的に回復した妹エミリーは、
彼に父との再会を進め、
2人は絆再生の旅に旅立つ。

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そしてエミリーは
ルーカスと父の再会と別れを垣間見ることで、
自身の中の崩壊した家族関係に対しての
再生の願いを告げる。

このシーンでの
トム・ヨークの
『トゥルー・ラブ・ウエイト』が破壊力抜群。
号泣必死です。

人生についてのポエムを吟じたくなる映画

人生は浮き沈みであるという本作。
今の自分が浮いているのか沈んでいるのか?
それは10年経ったりしないとわからない。
今はもしかしたら浮いている気がするが、
沈んでいる途中なのかもしれない。
悪いことはつづくし、
いいことは少しずつ満潮のように迫ってくる。
人生はクソで途中で何度もやめたくなるが、
振り返れば手に入れた大切なものは
少なからずあって、それを守れるのが
自分しかいないってこともある。
それを守れない悲劇もいつかきっとあって、
それでもまた坂道を転がる石のように、
明日を止まらずに迎えることを31年生きて、
それだけは知っている。

後半の画角

今作は変な映画で見づらい。
むしろ鼻につきさえする。
だってテレンス・マリックの下で学んだの
だから。
後半のエミリーパートは、
テレビサイズの画角に近くなる。
途中で違和感に気づいて
もやもやしたが、
つまり心情描写というやつだ。
ルーカスとの出会いや日々により
徐々に画角は広くなり、
もとのサイズになり色鮮やかな
映像がまた広がる。

そういう技法、嫌いじゃないが、
『マミー』を思い出しちゃって、
ちょっとダサいなって思ったり。

ずっとR&Bやサイケだったのにここぞというとこでトム・ヨーク使うのずるい

予告編ではフランク・オーシャンという
しっとりしたラッパーの楽曲使って、
劇中でも結構ラップ系の音楽が多用
されていた印象。
まぁサイケデリックも多かったですが、
そういう意味では結構黒人家庭の話だし、
ブラックミュージックをフォローしていて、
2010年代後半のカルチャーチックで素敵って
思ったのに、映画の終盤の一番の盛り上がりは、
レディオヘッドでした。
トム・ヨークですよ。
しかも歌詞付き。

おいおいって感じ。

そこUKロックバンドの名曲かよ!
という肩透かし。

2001年の
I Might Be Wrong: Live Recordings
に収録され、レーベルが勝手に出した
ベスト盤にも収録されている名曲だが、
2016年のA Moon Shaped Poolにて
正式に収録された傑作楽曲。
しかし本作の終盤とめちゃめちゃ
リンクしてたが。
ここぞという時に
フランク・オーシャンじゃなくて、
トム・ヨークってお前!!
20代にロッキンオン読み過ぎて拗らせた
おっさんかよ!
期待の裏切り方が凄まじいし、
パーソナルな映画作り過ぎだろ!
と凄まじくツッコミを入れたくなった。
だったらずっとレディオヘッドでも
よかったんだぞ。

からのエンディングの
アラバマ・シェイクスの
『サウンド・オブ・カラー』に震えるが、
この選曲のドヤ顔感。
いや映画の再生と開放と再スタートという
展開が
歌詞がメタファーと化していて
とてもとても良かったのだけど、
いやいやここでこの曲を選択すると
ここまでのフランク・オーシャンやら
サイケデリックな感じはどこへやら?
おれロック偏差値も高いんだぜ感。

あざと過ぎるだろ

しかしサウンド・オブ・カラーが
名曲すぎて打ちひしがれた。

見終わってから白人監督の映画だと気づく

黒人家庭で音楽もフランク・オーシャン
ということで『ムーンライト』のような
気鋭の黒人監督の映画なのかな?
って思ったけどめちゃめちゃ白人監督で
びっくりした。
黒人の方の感想とかやっぱり違うのかな?

個人的には毒親の過去も3部としてみたかった。

via GIPHY

ここまで兄と妹という
光が闇に落ちて闇から脱出する物語を
描いたのなら、
その闇に引きずりこんでしまった
父の壮絶な人生についての物語も
見たかったなぁと思った。
一代で建設業を興して、
あんなに立派な家に住んでて、
そして妻を1人亡くし、
はたまた幼少時の挫折の連続など、

どうしたらこんな毒親が生まれてしまったのか?
そのホラー物語も見たいなと思った。
きっと悲しい鬱物語なんだろうな。
また違った世代の音楽とかあって面白そう。

英語わからないと洋画と洋楽の本質わからない問題

いつかは立ちはだかると思った問題。
結局のところネイティブでない自分、
というか高校英語が最後の自分、
海外留学もない自分、
英語字幕だったらギリギリ映画の中身わかる
程度の自分。

本質的に洋画、そして洋楽を理解できてない現実

育ちの悪さ、
勉学への濃密な出会いという縁のなさ、
お金のなさ。
TOEICなんて点数取れませんし、
勉強する時間なんて作れないです。
それなのに洋画をいっぱい見て、
こうやってだらだら感想書いてて、
恥ずかしいなぁと思うことも結構ある。
わかった気になってるけど、
本当はわかりきってないのか?
いや映画は構図と感情とメタファーなんだよ。
という映画という独特の語りと
カタルシスにおいて言語は、
部分でしかないのかもしれない。

それでもですよ。

こうやって楽曲の歌詞をいっぱい字幕
つけられるとね。洋楽は歌詞含めて堪能すべき、
曲の良さで味わうなんて本質的な部分を理解できてないね。

とマウントされている気がするんですよ。
そして

映画音楽にて歌詞があるものは選曲の意味があって、
あのシーンでのあの楽曲の歌詞とのリンクで、
このシーンは強い意味が描かれるとか言われちゃうと
もうお手上げなんですよ!
ラップとか聞いても意味ほとんどわかんねぇけど、
かっこいいと思えればいいじゃないですか!
レディオヘッドはトム・ヨークの
悲しそうな声が染みると思えればいいじゃないですか?
音楽は心に染みる瞬間を感じれればいいじゃないですか???
EDM最高!ギターの旋律最高

このブログ歴だけクソ長くて、
大したPVもない映画ブロガーの
底辺YouTuberばりの
酷さを自分の文章から見出した
切なさ。
フランク・オーシャンでも聞くか。
歌詞わかんないけども。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.8/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 8.5/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 9/10
・上映時間と個人的趣味 7.6/10

80点

トム・ヨークは軟体動物

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