社会経験詰むと苦しくなりますね
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2014年アメリカ映画
映画を劇場を観客を支配するJ・K・シモンズそしてそれを覆す……
監督
デイミアン・チャゼル
・ラ・ラ・ランド
・ファースト・マン
・バビロン
キャスト
ネタバレ あらすじ
2025年4月5日4Kリマスター・ドルビーアトモス版劇場鑑賞
2025年20本目
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概要:すべてを支配するフレッチャー
2015年のアカデミー賞の助演男優賞を受賞した作品。(裏方の技術部門では録音と編集も受賞)
『スパイダーマン』で有名な新聞社の編集長役で有名なJ・K・シモンズが初のアカデミー賞受賞というか当時の映画賞を総なめした。彼の評価についてはむしろ遅すぎたとも思える。そんなJ・K・シモンズが演じた役は、アメリカで一番の音楽学校の鬼教師フレッチャー。完璧主義で、自身の理想の音を奏でないやつは言葉の暴力で、ぼこぼこしにし、できるまで深夜までだろうと朝までだろうと練習を強要する、超スパルタ教師。
その鬼教師により支配されるのは生徒だけじゃない、むしろ映画全体、いや劇場の空気を更には、見ている観客の呼吸さえも支配する。
劇場での音立てさえもできないように思えた。
それに対抗するのは、主人公、19歳の大学1年生。演じるはマイルズ・テイラー。2015年では無名な俳優だが、『ダイバー・ジェント』では主人公をいじめるけども後々ぼこされるマルフォイな役回りでした。すごいなと思ったのが、マイルズ・テイラーがドラムを叩いてるということ。そのように見えるだけならまだしも、ドラムを叩いてるように見えた。本当に演奏しているように見える。むしろ映画のために、ここまで仕上げたのか?すごいな。そんなマイルズが演じるアンドリューは、親戚の中でもパッとしない。ドラムが昔から好きで、ついに名門大学まで来てそれ以外は何もない。憧れのドラマーを見習い、いかにドラムを早く叩けるかを終始追求する。その先に何かがあると信じて。
そしてJ・K・シモンズ演じるフレッチャーと出会い、彼に見出されたマイルズ・テイラーことアンドリューは、フレッチャーに従うことで、偉大なドラマーになり、出世ができると信じ、彼の鬼というか暴力と暴言の荒らしに耐えるのだが、その結果、アンドリューの人格も徐々におかしくなってしまい、最終的に最悪の事態に陥る。ストーリーは監督の学生時代の実体験を基にしているらしい。プロになるということで立ちはだかるもの。自己の経験では、鬼指導員により挫折の結果になってしまったのだが、この映画では、その向こう側に二人は行くことになる。
それが安直であろうとなかろうと、音楽の楽しさや、現実の辛さを超えた映画だけで味わえるカタルシスになる。日本の音楽批評家や音楽マニアたちには、暴言ばかりで音楽の深みがない。ファッキンテンポの聞き分けができない、そもそもアンドリューがドラムを早く叩くだけで、なんか違う。みたいなこと言われてますけども、映画的な視点で言えば、ラストの9分間の、長回しと錯覚するほどの長尺のドラムソロは圧巻で、これまで映画を支配してたフレッチャーが、覆されて、しかも楽しみだすとこが半端ない、映画的にはすごい。音に対しても静寂というか緊張感の中に響く音楽すべてが素晴らしく、水面に落ちるひとしずくの水のように、響く、心に響く、わかりやすく響く。またそれが劇場で味わえることがいい。多くの人間とフレッチャーに支配される。
ここがすごい:支配と反乱の末の境地
そしてラスト9分に酔いしれる。それが味わえるので、この映画は音楽とかそういうグルーブとかとはちょっと離れた、映画的カタルシスが存在する。音楽の枠組みで考えず、映画という別枠で堪能すれば、最高の味わいがある。確かに物語としては、そこまで面白くもないし、ちゃっちい。ウィップラッシュって原題なのに、重要な曲はキャラバンだし、フレッチャーのラストの復讐はやり過ぎ。でもこの映画が与えてくれた感動は凄まじかった。それだけは確かなことです。
2025年再鑑賞:やはりすごい映画
4Kデジタルリマスター版が劇場上映されることになり、10年間再鑑賞してなかったし、わざわざドルビーアトモスで上映するというので劇場に足を運んで楽しみました。
本作は北米の映画データベースサイトのインターネット・ムービー・データベースことIMDbにて最高平均評価が抜粋されているTOP250にて39位という超高評価映画。再鑑賞してもやはりJ・K・シモンズの演技力も凄まじいがマイルズ・テラーの血だらけで荒削りな演技も見応えある。最後の地獄のようなセッション含めてすごい映画だった。マイルズ・テラーも賞レースの候補にいてもおかしくないと思えた。映画の色合いについても統一され独特な雰囲気をおさめているのは変わらず。デイミアン・チャゼルの初長編監督作品とは思えないこだわりと無駄を省いたコンパクトな映画となっていてすごい。過去に見た通りジャズドラマーにしては偏った技量を主人公が磨く点など変な問題点はあるが映画のカタルシスはずば抜けておりIMDbTOP250に納得な鑑賞後に味わえる。
ここがエグい:社会人になって10年ぐらいすると見るの辛い
初めて見た時は恥ずかしながらフリーターだったのでフレッチャーやばいなぁって思いながら見てましたが、実際社会人になって10年くらいすると普通にパワハラやモラハラなど普通に遭遇する。それが最初はハラスメントだって気が付かなかったけども気づいてからは眠れないぐらい辛いもの。それが何か知ってから今作を見たらフレッチャーの威圧的な態度や無言で暴力を振るう姿など心臓がめちゃめちゃバクバクした。あの嫌な感じをなんでお金を払って味わっているんだろう自分はと。ハラスメントとはなんなのか?指導との境界は?とか今作ではしっかりそれを非難して、うつ病と自殺にも結びつくという言及がしっかりあるんだよね。


2Kの4K問題
今回は2K作品の4K化のデジタルリマスター版を劇場鑑賞しました。これって実はなかなかリマスターの恩恵がないというのが直近の個人的な議題の一つ。直近でデビッド・フィンチャーのヒット作『セブン』がUHDで4K化されたわけですがほぼ同時に『ソーシャル・ネットワーク』と『パニック・ルーム』の4KUHDも発売されたのです。『セブン』に関しては90年代の作品ということでフィルム撮影された映像をフィルムに焼いて、そこのソースから取り込んで、CGを用いて更に画面修正して
高解像度化に大成功している
ようです。
自分も購入はしているのですがまだ鑑賞していなくて次の機会には鑑賞したいと考えています。それに対して『パニック・ルーム』は撮影はフィルム使ってるけど映像フォーマットが2Kデジタルしかなくて4K化に際してアプコンでBlu-rayと大差ないとか『ソーシャル・ネットワーク』に関してはデジタル撮影ということでほぼほぼBlu-rayと画質も変わらないとか旧作UHDのリマスター系は物足りなくなってしまっているようです。同様に14年の映画である『セッション』も結局アプコンかなぁという印象で映像的な違いや綺麗さなどの驚きは特に感じることもなく
近年の映画と所感特に感じない真新しさのない映像
であったことは否めない。それに対して音楽だったが、直前に違うステレオで見てれば違いがわかるが、音の厚みなどの違いも劇場レベルでは理解できず。音は全体的に良かったと確かに思うが、10年ぶりの鑑賞のため、忘れてしまっている。おそらく自宅などのスピーカーでBlu-rayと聴き比べれば理解できるんだろうなぁと思う。今後も4K化については00年代以降の映画に関しては期待はしてはいけないというのは心とに留めるべきである。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.4/10
・映像のアプローチ 8.6/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 9/10
・音楽 9.5/10
・上映時間と個人的趣味 9/10
87点
相変わらずセッションって邦題が安直すぎて台無し。宣伝文句つければ『セッション』も納得だが、単体だと酷い。ウィップラッシュっでよかったやん。
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