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◎【83点】サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-【解説 考察:失った音、気づいたこと】◎

製作

2019年アメリカ映画

見たことない静かな痛み

キャスト

リズ・アーメッド
ナイトクローラー
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

オリヴィア・クック
・ぼくとアールと彼女のさよなら
・レディ・プレイヤー1
・サラブレッド

マチュー・アマルリック
グランド・ブダペスト・ホテル
・007 慰めの報酬
潜水服は蝶の夢を見る
・ミュンヘン

ネタバレ あらすじ

ドラマーのルーベン(リズ・アーメット)は、
恋人でボーカルのルー(オリヴィア・クック)と
ハードコア寄りのパンクデュオを組んでいる。

二人はキャンピングカーで暮らし、
ツアを回っていた。

ある日のライブのこと
準備中に耳が聞こえづらくなったルーベンは、
なんとかライブをやり切るのだが、
翌日には音がほぼ聞こえなくなってしまった。
薬局に駆け込み病院を紹介してもらった
ルーベンは、そこで自分の聴力がほぼなく、
そしてもっと悪化することを告げられる。
大きな音から距離を置くことを
告げられるのだが、
ライブを行ってしまうが、
途中でルーベンは断念し、
ルーに打ち明けるのだった。

ルーベンはこのままツアー保証のために、
ライブ活動を続けようとするが、
ルーにより止められ、
かつてルーベンが薬物依存だった際に
助けてもらった人物により
聴覚障害のケア施設を運営する
ジョーを紹介してもらい、
二人は会いに行く。

ジョーに会ったルーベンだったが、
ルーベンはインプラント手術で
聴覚を手に入れようと目論む。
ジョーはかつてアルコール依存であり、
聴覚を失ったことではなく
依存症であったことが原因で、
家族を失った。
彼はルーベンにもその姿を
垣間見たのであった。
ルーの勧めでここにしばらく
留まることになったルーベンは、
聴覚障害の人々と一緒に過ごすことになる。

2021年3月21日自宅amazon prime video鑑賞
2021年17本目



もしも耳が聞こえなくなったら

アカデミー賞作品賞にもノミネートされた
ドラマーが聴力を失う物語。
ブルー・バレンタインの監督が原案。
色々裏話があるようだが、
詳細はいまいち正しいことを
理解してないので割愛。
とりあえず製作期間が長くかかり、
ここに辿り着くまで
かなりの期間を要した作品。

音楽関係者にとって
切っても切れないのが難聴なんだと思う。
特にロックバンドなどには爆音での
演奏など聴覚に負担をかけるだろうし。

今作はドラマーの主人公の悲劇から始まるが、
高い目的意識を持って常に前に進もうとする
ルーベンのキャラクターのおかげか、
その不幸が、妙にカラッとしていた。

死にたくなるほど辛いことなのに、
一つの希望のために邁進し、
新たな出会いも利用し、
強い彼から通して見る
聴覚障害の人々の生活や、
学びなど

非常に逞しい映画だ

無に戻ることの勇気

しかし今作の主人公ルーベンにおいては、
難聴よりも重い課題があることを
映画は浮かび上がらせる。

もがき苦しみ人生を
生き抜こうとする彼には、
もちろんそれ以上の弱さがある。
劇中では設定のみの描きだが、
ルーベンは以前薬物依存症だった。
しかし現在の恋人のルーに
出会ったことで4年間薬物を断ち切った。

二人はデュオとして
楽しい日々を送ってきた。

しかし聴力を失ったルーベンは、
ルーとの日々を取り戻そうとして、
自分自身と向き合うことを
せずに行動を止めない。

ルーベンは今でも何かに依存をすることで
自分を保っていた。
本当の自分の感情や欲望というものに
向き合うことができていなかったのだ。

his
自分で言っててしっくりこない。何かに依存したり人生に何かを詰め込んで過ごしていくことも悪くないだろう。。。

しかしルーベンから離れたルーは、
拒絶していた父を受け入れ、
父とともに違う人生を歩み始めていた。
それはルーベンとの出会いによる変化で、
ルーベンがいなければ彼女も死んでいた。
そしてルーベンはもう一度ルートの日々を
取り戻そうと思っていたが、
新しいルーにとって、
それはストレスであることを理解し、
ルーベンは彼女のもとをさる。

無常の中にルーベンは真の安らぎを見つける

愛していた人も
愛していた音も
依存していたものを全て失ったルーベンは、
目に見えるもの
日常に潜む美しさを再発見することができた。

ルーベンは全てを失ったが、
彼は今以上に幸せになる可能性を手に入れた。

his
『ソウルフル・ワールド』と一緒じゃねぇか

失った日常の中に潜む幸福、そしてコロナ禍だから見つかるもの

『ソウルフル・ワールド』でも思ったが、
コロナ禍で壊れてしまった経済社会
そして人との交流。

しかし逆にお金や仕事は
なくなってしまったが、
それだからこそ気づける
家族の愛らしさや、
何気ない日常に潜む
美しい瞬間。
美術館にいって感じた感動。

その喜びが日常にもあるとしれた時、
この日常にも生きる意味や
前に進む力になれる。

今の時代に求められる映画かもしれない

メタルの音、聞いたことのない音

今作が非常にすごいなぁと思うのが、
やはりルーベンの視点で描かれる作品として
・彼の聞く音
・なくなってしまった聴覚の音
・そしてインプラントを埋めて、
 脳に直接感じる音を再現している。

そのノイズ混じりの途切れ途切れの
こもった音。

本当にそういう音かはわからないが、
不快な音がしっかり聞こえてくる。
彼のキャラはハードコア系のパンク
であって、メタル音楽をやっていない。
彼が聞く鉄のザラザラした質感の
ようなヒリヒリする音が、
今までの映画では味わったことない
痛みを感じることができた。

凄かった

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 9/10
・映像のアプローチ 7.6/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 10/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10

83点

音楽要素については、
キャラクター背景程度か?
また聴覚障害の団体の
後援者などの要素がちょっと
気になった。

レンタル

his0809
3日に1回更新を予定してます。また来てください!

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