◎【77点】バイス【映画感想:自らを器と規定したバイスプレジデントの果て…】◎

製作

2018年アメリカ映画

監督

アダム・マッケイ
アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!
マネー・ショート 華麗なる大逆転
・俺たちニュースキャスター
俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-

出演

クリスチャン・ベール
ダークナイト
ダークナイト ライジング
アメリカン・ハッスル
マネー・ショート 華麗なる大逆転
エイミー・アダムス
・メッセージ
・魔法にかけられて
・ダウト〜あるカトリック学校で〜
アメリカン・ハッスル
スティーヴ・カレル
40歳の童貞男
フォックスキャッチャー
・リトル・ミス・サンシャイン
・ザ・オフィス
・バトル・オブ・ザ・セクシーズ
サム・ロックウェル
・月に囚われた男
・スリー・ビルボード
セブン・サイコパス
・コンフェッション
ジェシー・プレモンス
・ゲーム・ナイト
バトルシップ
・ブラックスキャンダル
ザ・マスター
アリソン・ピル
・スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
・俺たち喧嘩スケーター
・ミルク
・40オトコの恋愛事情

あらすじ

2011年9月11日のアメリカの東海岸のワシントンD.C.にあるホワイトハウスで激震が走る。
ニューヨークにあるワールドトレードセンターが飛行機ハイジャックが起き、飛行機がそこに体当たりしたのだ。
大統領は専用旅客機エアフォースワンで空を移動中。
この緊急事態でアメリカの政府関係者は地下シェルターへ避難。
対応を大統領に求めた際だった。
副大統領のディック・チェイニー(クリスチャン・べール)は、自己判断により戦闘態勢に移行させる。
それは大統領の権限と同等だ。困惑するスタッフを尻目にチェイニーが取った行動は。。。

物語は1963年のアメリカの北中部のワイオミング州へと舞台を移す。
アメリカの名門大学であるイェール大学を怠惰で中退したディック・チェイニーはど田舎のワイオミング州に戻り電線配線技師の仕事についていたが、
酒場で飲みすぎて喧嘩を起こしたことがバレてクビになってしまう。
恋人のリン(エイミー・アダムス)の協力によりイェール大学まで進学することができたチェイニーだったが、結果退学。
まともに働くこともできないリンは、かつて父親の浮気のせいで家庭が崩壊し、男に強いコンプレックスを持っており、
怒りは頂点まで達し、このままだと別れるということを告げる。
追い込まれたチェイニーはリンの愛情を勝ち取るために、仕事を邁進する。

1969年努力の結果チェイニーはワイオミング州出身の政治家となりニクソン政権の中でホワイトハウス入り。
ニクソンの経済顧問であるラムズフェルド(スティーヴ・カレル)の剛腕ぶりに惹かれたチェイニーは彼の下につき、
メキメキと政治家としてのスキルを上げていく。

2000年代直前。
いろんなことがあったが、途中で知り合ったブッシュのダメ息子のジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)が、
父にいい顔するために、大統領選へ出馬の意向で副大統領になってもらうことをチェイニーに相談。
最高のハッピーエンドで政界を引退しようとしていたチェイニーに取っては人生のが変わってしまう一大事件だ。
無能なブッシュの下につくには旨味がなさすぎる。
しかし彼の考えたことはあまりにも前例のない全てを変える事態へとつながる。
今までの経験を全て考慮した結果、チェイニーは愛するリンに一大決心したことを告げるのだった。

2019年4月7日劇場鑑賞 2019年34本目



アメリカの政治に疎くて難しかったぁ

アメリカのゴールデンタイムのコメディ番組『サタデーナイトライブ』出身で
『俺たちニュースキャスター』などのウィル・フェレルとのスーパーお馬鹿映画で一世を風靡していたが、
2010年代後半からは、アメリカ社会の破綻を風刺した『マネー・ショート』でインテリジェンスコメディにシフトした
アダム・マッケイ監督の2018年の映画『バイス』を鑑賞しました。

アメリカ同時多発テロやイラク戦争、サブプライムローンでの世界同時不況と過去最低の大統領と呼ばれてしまった
ジョージ・W・ブッシュ政権での暗躍者とも言える副大統領であるディック・チェイニーを描いたブラックユーモアたっぷりなインテリジェンスコメディ。

ディック・チェイニーを体重や髪型、体型を自在に操る変態技巧派俳優のクリスチャン・べール。

via GIPHY

そしてそのブレインとも言える妻をエイミー・アダムス。
更にはチェイニーの旧知の友であり師匠であるラムズ・フェルドをスティーブ・カレル。
問題児として描かれるジョージ・ブッシュを眉毛がクリソツ過ぎたサム・ロックウェル。

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彼らが盛大に特殊メイクを施し、クリソツな姿で登場する一風変わった社会派伝記映画だ。

本作の特殊メイクは高く評価され、アカデミー賞を受賞した。

さてさて過去作の『俺たち』シリーズがすっごく好きで、フラットパックコメディ映画や
その後のジャド・アパトー製作のバディコメディ映画の時代の根幹を作ったとも言えるアダム・マッケイ監督。
前作の『マネー・ショート』がコメディ俳優はほぼ無しで、カレルも生真面目な一介の仕事人間からアメリカ社会の抱える闇にたどり着く、
渋い立場を好演、チャンベールも義眼の天才アナリストを好演しながらも、
小難しいアメリカのサブプライムローン問題をいろいろな手法で解説し、映画を見ている人に難解であることでも楽しく理解できるように
面白おかしく工夫していて、すごく見やすいけど重い内容ですごい面白かったわけで、
アダム・マッケイすごーいって思った矢先の本作『バイス』です。

2001年とか自分は11歳とかで、2008年まではまさにティーン。
映画ばっか見ていた自分は、アメリカのハリウッド映画全てに興奮していた時代で、
こんなすごい映画を作るアメリカはまじですげぇぜ!USAUSAUSA!!って感じで、
アメリカ本国の中枢で行われていた数々のやばいことは、全然知らなかったし、今でも理解が及んでいない。

アメリカは00年代に崩壊し、そして10年代で徐々に回復したこと思ったら、またトランプ大統領の登場で、
国内の分断という悲劇が起きている。

自身の国を見直す必要があると、警報を出す映画は近年増加傾向にある。
00年代はそれを見ずに夢ばかり追いかけた結果なのか?
10年代はダークな映画が増え、そして10年代末期の現在では、そこを教訓として新しい一歩を踏み出すために、
何ができるか?と考える映画が増えている。

本作で描かれることは正直よくわからない。
監督の過去作のようなわからない言葉を面白おかしく紹介するテクはなくなり、
ユーモアは映画の構成を面白かしくすることに使われている。
そういった意味では技巧派であることは変わらず、
そして社会への風刺性も非常に高く、
誰もが目をつぶってきたこと、もしくは気がつかなかっことを滑稽に描く。
それを選んだのもまたアメリカ国民であり、一人一人が彼を選んでしまったことに変わりはなく、
この映画のもたらすものは、ただただ恐怖だった。

今の私は自らを器と規定している

『ガンダムUC』でシャア・アズナブルのクローンであるフル・フロンタルはこういっていた。
本作のチェイニーもまた器だった。
それは妻に愛されるために、邁進する1人の純粋な男であり、
女として生まれたことで政治家になれず、大統領になれなかったリンの器だった。

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そんな空っぽな人間が持ち前の人間性を発揮し、仕事のできる人間の下で立ち回り、
そして政府のトップにつく。
なんと怖いことなんだろうか。
まるで政治をゲームのようにこなす彼を一流の政治家として勘違いしてしまったのが、
ドラ息子を濃縮してしまったような親の七光りとして描かれるジョージ・W・ブッシュなのだから達が悪い。

その演出がむちゃくちゃ大胆で馬鹿らしくて笑えた。

そこからはリンの器を超越した彼のゲームの始まり。
恐ろしすぎるチェイニーのゲームは、大義もアメリカの発展もない、
1つの数字遊びのような陣取りゲームのような、
人命もクソもない。

アメリカの闇を延々と描いていく。

大義のない器は危険だ。

via GIPHY

映画としてはチェイニーの裏道工作の数々が法の抜け道やらなんやらを使いまくって、
理解が追いつかない。

わかったのは、ティーンだった俺、20代前半の俺が憧れていたアメリカは全くもっておかしな国だったってこと。
高校の時の変な話し方をしているビートルズ大好きな英語の先生は授業の合間に急に
「911を起こしたのはアメリカなんです。その証拠が山ほどあるんです。」
とブツブツ言いながら、我に戻って授業を再開したあの人の言っていたこと。
当時は頭のやばい陰謀論者だなぁとか思っていたが、
今だとその可能性も本当にあるんだなぁと思った。
それぐらいチェイニーという人物はやばく描かれている。
しかしそれを操る魔女というか女神というかのエイミー・アダムスの怖い女っぷり、
さすが『ダウト』でものまねおばさんたるメリル・ストリープと共演し、その後もボナペティしていただけある。
しかしエイミー・アダムスといえば全くおっぱいを出さない俳優さんで、
07年の『サンシャイン・クリーニング』でコンマ5秒の2コマぐらいだけ乳首が見えるというなんじゃそりゃ俳優。
アン・ハサウェイを見習ってほしい。

まぁーエイミー・アダムスは手コキマスターなので、スーパーマンも手コキで支配しているんだろうなぁと思う。
そんな彼女だから『ノクターナル・アニマルズ』のラストがぴったり過ぎるわけです。
『メッセージ』のオチも洗練された感がやばいですわ。

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凝った映画で嫌いじゃないがついていけなかった。

凝りに凝った映画で、物語構成も見事。
何者かわからないアメリカ人のナレーションによってチェイニーの物語が紡がれる謎の構成は、
あっと驚く展開で集結。
チェイニー演じるクリスチャン・ベールの演技力と特殊メイクはすごく、
物真似フレディがいなければ確実のアカデミー賞受賞だったと思う。

チェイニーがブッシュの依頼を検討し、妻に相談するシーンは、
シェイクスピアを話題に出しマクベスで再現。

最後のエンドバックでは、チェイニーが釣った獲物としてホワイトハウスなどのルアーを用いたりと、
ユーモアがピカイチ。

また後半にかけての、チェイニーの悪巧みとも言える国民の意見を歪めて自己の利益の為に、
政治するとこの怖さとそのテンポの良さは見事。
更にはエンドロール中のシーンで、おめぇがトランプ支持したんだろ。
うるせぇぞリベラル!!などなどのディスカッションなどインテリジェンスなユーモアはノンストップでつづく。
しかしアメリカ国民ではない自分としては、全然理解が追いつかず、終始本作を難しく感じてしまった。
映画としての構図的面白さよりも創作力やセンスのようなものが前に出すぎてしまって、
ついていけなかったとおもう。

あと心臓のシーンは見ていて気持ち悪くなった。
そのバランスの悪さはどうにかならなかったのかなと思う。
いやあれもハートのない男チェイニーっていう暗喩的なブラックジョークなんだろうなとも思うが。

そしてアメリカ国民の命を奪って生きていくチェイニーってことでもあるんだろうな。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.6/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7.6/10

77点

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