2013年129本目11月7日劇場鑑賞
「本当は人類みんなサイコパス」
あらすじはこちらから
2008年の作品のアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされたのに、劇場公開されずにビデオスルーになってしまった映画『ヒットマンズ・レクイエム』
『ヒットマンズ・レクイエム』って知っている?
アカデミー賞の脚本賞とゴールデン・グローブ賞のコメディ部門作品賞、そして主演男優賞にノミネートし、同作品に出演していたコリン・ファレルにコメディ部門で主演男優賞をもたらした映画なのだ。
つまり同格の映画と言えば『ボラット』でサシャバロン・コーエンが、『スウィーニー・トッド』っではジョニー・デップが『シャーロック・ホームズ』ではロバート・ダウニーJr.が、『ファミリー・ツリー』では、ジョージ・クルーニーが。
それらとく比べることによって、この『ヒットマンズ・レクイエム』という映画は、とても貴重な映画であり、コリン・ファレルを復活させたと言っても良い知る人ぞ知る映画なのだ。しかし劇場公開はされず、ビデオスルーになってしまった。今じゃ入手不可っぽいのでレンタルか、TSUTAYAの復刻シリーズに期待しよう。
その監督の数年ぶりの最新作がこの『セブン・サイコパス』。
映画内で『セブン・サイコパス』という映画の脚本を書く主人公の周りにサイコパスがいっぱいいたというブラック・コメディだ。
サイコパスって説明するととても難しいから『羊たちの沈黙』のレクター博士、『サイコ』の犯人、『ウォール街』のゴードン・ゲッコーもぎりぎりそれで、日本映画で言うと『冷たい熱帯魚』のでんでん、『悪の教典』の伊藤英明などがまさにそうだ。
一応映画の設定上、コメディのスタンスで描かれているので、同じくらい頭おかしい奴らだらけだが、かなりコミカルなキャラクターになっている。
むしろコミカルさが無かったら、それはそれでかなり恐ろしいB級ホラー映画になるだろうな…。
挙げ句に映画は、『セブン・サイコパス』という映画の中で『セブン・サイコパス』を作るという作品なので、メタ構造化しており、結果的にどこまでが映画で、どこまでが現実かと問われると答えは無い。
多分。全部実話ということで「映画内の映画」という形にはなっていないと思う。
それでもトム・ウェイツ演じたキャラの話が恐ろしくグロいので、耐性がないときついかもしれない。
生きた人間を直接のこぎりで首を切る描写がノンストップだったり、ゾディアックをそのまま焼いたりかない過激なのだ。
あとこの映画、宣伝ではなんだかいっぱいサイコパスがいそうだが、実際は違う。
むしろ彼らって本当にサイコパスなの?っていう感じに近いし、登場人物は4名ほど。
レクター博士とかと違って、人間ドラマの果てのサイコ?に陥ったキャラクター達の珍道中。
ブラックユーモアたっぷりでとても練りに練った作品で、むしろこんな映画作った奴が一番サイコパスだぜまったく。
ラストよくわかんなかった。
ただラストのベトナム戦争の反戦運動の件の文脈をオレが読み取ることができず、きっと暴力の意味とかそういうカタルシスを描きたかったと思うんだが、なんだか盛り上がりに欠けるコメディから一気に変なオチついた感じになってしまっていたと思う。
むしろそれこそが映画内の映画にラストおちていたのかもしれない。
とても難しい映画だ。
また演技面では、サム・ロックウェルが強烈なサイコパスを好演。
ウディ・ハレルソンやクリストファー・ウォーケンを軽く食べちゃうあまりにも愛しく悲しい狂った怪物。
「おれの最後はおれが決める」と最高に行けてる帽子をかぶりながらキャンプの火にあたりながら語る栄光のラストはこの映画を愛しく思ってしまうこと間違いなし。
みんな映画のラストは銃撃戦が良いよね!!「男たちの挽歌」万歳!!
出オチのオルガ・キュリレンコとか色々あるけども。
やっぱ主人公の生みの痛みがやばかったな。
まさか全部失うとは…そりゃあ彼もサイコパスになりますわな…。
おっとー。ネタバレなので白地にしておきました。パソコンの方頑張ってドラッグとかして青く囲んでください。
また映像が時折凝っているとこがあり、奥行きのパーツの配置をうまくしたギミックのあるショットなどもあって、面白いです。
もっと奥行きのある映像の映画に挑戦してほしいな。
でもやっぱり舞台出身の映画監督の作品なので、ブラックユーモア重視の映画になっちゃうんだろうな。
またアイルランド映画『ザ・ガード』も監督が制作しており、ブラックユーモアがあって面白い田舎警察映画なので要チェックです。
得点
物語 7/10
キャラクターの魅力 9/10
監督の映像や俳優への演出やビジョン 8/10
音楽 7/10
俺の趣味 8/10
77点
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