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△シュガーマン 奇跡に愛された男 2013年35本目「奇跡を演出されたドキュメンタリー」△60点

「才能のあった男は、才能を認められた。」

$『A Little his REDEMPTION.』自称映画オタクの映画感想部~season 7~-シュガーマン 奇跡に愛された男
イギリス2012年イギリス、スウェーデン映画スウェーデン

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感想
2013年に行われたアカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門で受賞した本作を鑑賞した。
まず、私は、どちらかと言えばドキュメンタリー映画は、普通の人より多く見ていると思う。
その理由は、東京に住んでおり、TOKYOMXTVが視聴可能で、更には映画評論家の町山さんが司会していた番組、『未公開映画を見るテレビ』を視聴していたからだ。その番組内では、日本未公開のドキュメンタリー映画を放映しており、現在でも再放送が行われている。
その番組の中で、特に感動したのは『ザッカリーに捧ぐ』だ。
これとあと名前忘れたけども女性コメディアンの話しなどは大好きだ。
そんな上質なドキュメンタリー映画を見てきた私の視点から見ると、この『シュガーマン 奇跡に愛された男』はそんなに面白くなかった。
アカデミー賞を受賞したから面白いという概念は難しい。
確かに本作は普通に面白かったと思う。
後半のライブシーンでは、才能のある人間が才能を認められてあるべき場所にいる姿には感動したし、隣の座席の人は涙を流していた。
何十年越しの初ライブがあのような形というのはやはり奇跡というより他ならない。
それでも視野を変えず、自身のライフスタイルを変えない、ロドリゲスという男は、人間的に非常に魅力的であった。
しかし本作はドキュメンタリー映画として、その事象を描いたこと意外は、特に優れているように思えなかった。
更に悪く言えば、本作はあまりにも作り物になり過ぎていると思う。ドキュメンタリーというにしても露骨な脚本があったと思う。
カメラ片手に事実を追いかけた結果、思いも寄らない結果が生まれたというよりは、最初からコンセプトを明確にし、それ相応の脚本を用意し、インタビューに答える人々は、ある一定の範囲内の発言をただ淡々と答えるに過ぎない。(モータウンの元社長へのインタビューは最高に迫力があってよかった。)
本作は98年に起きた奇跡までの道程を2012年にロドリゲスのボブ・ディランと同じ暗い優れた歌唱力と才能のある男の音楽を流し乍らまとめた程度の作品だ。勿論それを美化し、英雄視している。そこに我々観客に余地などはなかったと思う。
また予算もそこそこある為か、映像も色々と導入されている。
むしろこの手の映画はもっと低予算でも良いと思う。
もっと脚本があるかないか、つぎはぎの先に見えてくる何かでも良いと思うし、面白いと思う。
ただアメリカの音楽シーンでは相手にされなかった男の歌が、アフリカでは革命の申し子としてチェ・ゲバラのように扱われ、インスピレーションを与え、大スターまでのし上がっていたということを教えてくれる映画でしかない。
ロドリゲスに感情移入はいまいちできないが、彼の笑顔を収めたライブ映像はその当時のものなので演出は混ざっていない点は嬉しいことだ。
本作はあまりにも尖っている部分をヤスリで削り過ぎていると私は思う。
何故アカデミー賞が取れたか?
それは思うに他のドキュメンタリー映画より予算があったからではないか?と私は思う。
アカデミー賞にノミネートするには、それなりにお金がかかることは有名で、ニューヨークの映画館での何週間の上映が条件ということもあり、制作側の予算次第というのもある。
鋭い視点でのディレクションをしたとしてもお金が無ければ、劇場公開はできないということだ。
その点でこの映画は有利だった。更に、アメリカの見逃した星が南アフリカでは英雄になっていた。そのいかにもアメリカの好きそうな、アメリカのミスを証明されたことがやはりアカデミー賞会員たちは喜んだのだと私は思う。あいつらはそういう性格なのだ。自らのミスをただされるのは大好きだ。
映画も映画で、アメリカのセンスの無さを批判しているような内容だが、実際そこに言及は踏み込まず、ロドリゲスって何?で映画は進んで行く。そのパンチの無さが結構物足りなかった。
得点
60
ドキュメンタリー映画としては『プロジェクト・ニム』や地味にダメなやつを必死に追いかけた『アンヴィル』とかの方が普通に面白かった。
てか『アンヴィル』才能もないのに頑張っているとこがやばいよな。失礼なこと言ったけども、おれもおなじですが。
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