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△戦火の馬 2012年度9本目△

「後年のスピルバーグはこういう映画を作っています。」

$『A Little his REDEMPTION.』映画オタクの映画批評~season Ⅶ~-戦火の馬
アメリカ2011年アメリカ制作アメリカ

監督
スティーヴン・スピルバーグ
(タンタンの冒険、プライベート・ライアン、インディ・ジョーンズ/最後の聖戦)
予告編

馬真面目なあらすじ馬
1912年イギリス、イングランド南西部のデヴォンから物語は始まる。
青年のアルバート・ナラコットは、ある時、馬が生まれるのを目撃する。 
その馬は成長し、やがて競りにだされるのだった。
競りにきていたアルバートの父のテッドは、その馬に一目惚れし欲しがっていた地主に一泡吹かせるべく、予算を超えたその若馬を競り落とす。
しかし本来農作ようの馬を買う予定だったにも関わらず、全く使い物にならない美しい馬を購入してしまったテッドに妻のローズは怒り狂う。だが息子のアルバートはその運命の再会に大いに喜ぶ。
しかし自体は小説のように上手くは進まなかった。
農家のナラコット家は、地主への小作料がこのままでは払えない。払えなければ強制退去だ。
馬での一件で地主の機嫌も損なっていたテッドは、精神的に追い詰められ、酒に溺れる。
しかし息子のアルバートは、諦めずに農作業向けの馬の成せる業を買ってきた馬に仕込み、見事に畑を増やすことに成功し、小作料を払いのける事に成功するのだが、デヴォンは戦火の嵐に襲われるのだった。
テッドは、馬を献上することになり、アルバートは馬にスカーフを巻くのだった。それはテッドが戦場で生き残った時に身につけていたものだった。
見事な馬とアルバートの悲しみに感動したジェームズ・ニコルズ大尉は、この馬を大事にすると誓う。
しかし戦争は甘い物ではなかった…。
2012年4月9日鑑賞
馬感想馬
って原作児童小説かよ!!
オレの中のイントロダクション
映画監督として誰でも知っている監督と言えば、スピルバーグ。
そんなスピルバーグの映画なら一本ぐらいみんな知ってんじゃねぇのか?
それぐらい、映画監督=スピルバーグとでも言えるぐらいの映画の代名詞のような監督の最新作。
『戦火の馬』を見たわけです。
正直スルー候補だったけどさ、ローリング・ストーン誌の2011年の映画ランキングの1位『ドライヴ』を見て、感性が近いのではないかと?と思い、唯一見ていない本作も劇場でやっているので見てやったというわけです。
事前に「すげぇー微妙そう」とオレは考えていたし、全米で微妙に転けていたし、評価も微妙だったし、予告編も微妙な感じだったし。
まず「馬が主役の映画?『ベイブ』とは別物だろ?」「最近のスピルバーグの製作総指揮ってなんか微妙だったし『タンタンの冒険』も技術の冒険が目について、中身はからからだったわけだし」
そういうわけで、鑑賞したわけです。結構気合い入ってたと思う。
あれ?これこういう映画なの?
いや始まって戸惑ったのは、久しぶり。
まず舞台がイングランドだったこと。
いや多分タイトルロゴ直後とかに、イングランドって出たと思ったけど、おれは見逃していたらしく、妙にアイルランド訛りな英語や、アメリカにしては緑の生い茂り方がパワフルだし、空の広がり方もアイルランドっぽいなぁーと感じていた。
「スピルバーグってイギリス人じゃないよね。」
というか、スピルバーグの映画でアメリカがスタートじゃないのは彼の監督歴を考えてもかなり少ない。
しかもその中でも『シンドラーのリスト』などは、スピルバーグ自身がユダヤ人であるという背景があり、そこからの熱意があったとも考えられる。
そしてスピルバーグと言えば、生粋の映画オタクであり、学生時代から8mmカメラを担ぎ映画を作っていた男というのが筆者のイメージで、そこから初監督作品『激突!』を生み出したり、その後の映画というエンターテイメントを突き詰めた映画を生み出してきた印象が強い。
まさにエポック・メイキングだ。
その先入観から、彼の映画の舞台がアメリカではないのには、驚いた。
また時代設定も、これも先入観だが、1910年代で、戦争もヒトラーなどが関係ない、第一次世界大戦が扱われている作品なのだ。
正直予備知識がここまで無しに見た映画も久しぶりだ。
その兵器技術の発展が乏しい時代だからこそ、馬が活躍するというわけだ。
見ていて「馬なんか徴収しても戦力になるのか?」と考えてしまったが、設定や舞台が今までのスピルバーグとしてはかなり異色な意欲作品というわけだ。
そして舞台は、イギリスとフランスを行くことになり、とことん異質なわけだ。
物語に関しても、これも知らなかったことだが、児童向け小説の映画化というわけで、決して深刻だったり、想像も付かないような物語ではなく、冒頭の馬が生まれるシーンや、その馬で奇跡的に畑を耕したり、馬が戦争に行ったりと、決して面白い内容でもなく、少し幼稚とも感じられたりするわけで。
また馬を所持する人々が次々と変わったりする話なので、馬に関わると不幸になる一種のメロドラマ的なもので、非常に微妙だった。
そういうわけで、ヨーロッパの古い戦争が舞台の大河ドラマで色々な人が馬に関わって不幸になっていくという、まじ鬼畜ムービーだったわけで、かなり意外な内容だった。
しかし本作をスピルバーグが撮ったことはかなり野心的であったとも感じられる。
そもそも俳優陣に全くと言って良い程、アメリカのハリウッド俳優がおらず、結構マイナーだし、主要はイングランドの俳優だ。そのスター性を欠如させ、あくまで馬を主役として据えたスピルバーグの野心は並々ならぬもので、馬が良いんだよね。
その馬の凄さが際立ったのは、やはり終盤の馬が戦場が駆け抜けるシーン。
あれはまさにフィクションとも呼べる程の芸術的なシーンでもある。
そして馬のジョーイとアルバートの再会の絵作りも完璧である。
そのシーンを見るだけでも2時間以上メロドラマなどに耐えた甲斐があったと筆者は感じられた。
完璧な音楽と映像と照明。さすがはスピルバーグ。
そう唸れる程に秀逸だった。
しかし他にも気になる点は数多い。
実写主義だったスピルバーグだったが、夕陽のシーンが異質でちょっとCGぽかった。
これは、どうなんだろうか?
また主役は馬であるのだが、一部のシーンでは、「これ馬なのかな?ロボットなのかな?」と考えてしまって、映画どころではなくなったりしていた。
英語のwikiに書いてある通り30程のシーンは馬はロボットだったらしい。
特に馬が生まれるシーンや死ぬシーンなどは、ロボットだろうなぁーと感じられた。
そうそう、馬のロボットって凄いんですよ。
あとは、一部のキャラクター、特にあの少女が死んだのは結構投げやりに感じた。
戦争シーンは、やはり古い時代になるので、派手さが薄く物足りなかった。
『プライベート・ライアン』を見ちゃうとね。
まぁーそれでも序盤の騎兵隊突撃は良かったよ。
あと軍隊の装備とかの異質さが楽しかった。
以上のことを踏まえてもスピルバーグの意欲作だったのではないか?と筆者『戦火の馬』に対して評価したいと思う。
結果的には実験性が高くなってしまい、いまいちな映画になってしまったような?
俳優陣の無名さや異質な舞台設定や時代設定が、確かに真新しいが、そこまで普遍的な面白さが貫かれてもいなかったし、前作の『タンタンの冒険』でハイテクノロジーで楽しんだ次に、こういう新たなチャレンジをするというのは、映画を撮る事にアイデアが乏しくなった?もしくは飽きた?
または、映画監督として晩年なので、キャリアの種類を増やしてみたのでは?と勝手に憶測をしてみたくなってしまう。
また近年は製作総指揮で名前を見かけることが多いのだが、正直その名前だけ提供する姿勢も映画監督としてのキャリアが末期なのか?正直言えば、全ての製作総指揮をスピルバーグで見たいのが本音なのだが。
イーストウッドのようにいつまでも前線で普遍的エポック・メイキングなスピルバーグ映画に次回は期待したい。
メモ得点メモ
6
映像は良いが、その映像がシーンにイマイチ生きてこない。
終盤はかなりケミストリーが最高潮に達していたけどね。
異質さが自分には印象的だった一作。

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