技術的に凄過ぎて最早不気味
はじめに
製作
2021年アメリカ映画
スピルバーグはやっぱ凄
監督
スティーヴン・スピルバーグ
・E.T.
・シンドラーのリスト
・プライベート・ライアン
・レイダース/失われたアーク《聖櫃》
キャスト
ネタバレ あらすじ
2022年2月28日鑑賞
2022年8本目
スピルバーグが1957年のミュージカルを再映画化
アカデミー賞も受賞し
娯楽映画も大得意で社会性も
高い映画もコンスタントに監督する
スピルバーグ監督。
今回は1957年に初演され
1961年に映画化され
アカデミー賞を受賞した
『ウエスト・サイド物語』を再映画化。
権利自体は2014年から手に入れ
映画は2019年末頃には完成していたが
製作会社の20世紀FOXがディズニーに買収
コロナウイルス感染拡大の影響で
劇場公開が2021年末まで先送りされ
めでたく日本でも公開された。
結果的には2022年の
ゴールデングローブ賞の
ミュージカル部門作品賞受賞
主演女優と助演女優賞を受賞。
アカデミー賞にも多数ノミネートされ
月日が経っても色褪せない
凄まじい作品となった。
洗練され不気味なまでに完璧な映像が終始
話は古臭く退屈だが映像がやばい
CGがすごいとかじゃなくて俳優たちのダンスが凄い
あくまでもスピルバーグの映像なのがまたやばい
と簡潔に書くとまさにそれ
最早不気味だった。
話はオリジナル版と一緒らしい。
オリジナル版はワンシーンごとしか
見たことないし見ようと思わない。
現代ミュージカル作品や
ディズニー作品を見たら
その進化形を見ているわけだから
時代遅れと感じると思うから。
話も何故1950年代の移民問題を
描かれてもちょっと。
と思ったが結局現代もその問題構造は
変わっていないのだから恐ろしい。
とりわけ凄いのが
最近の青っぽいフィルム映像の
照明が轟々としている
スピルバーグの映像だった。
そしてミュージカルが前面に
出てもおらず
スピルバーグの映画の中に
ミュージカルが存在しているという
異色さがあった。
さらに凄いのが
そのダンスなのだ。
現代的な筋肉を使った
アクロバットで楽しそうな
ダンスはそこにはなく。
洗練されすぎた美しく整った
モダンバレーのような
所作一つ一つに魅了される
圧倒的な技量のダンスを目撃した。
そして恐ろしく映画として
カット割が存在し
このダンスを何度も何度も撮影したと
思うとゾッとするし
スピルバーグはこんなにも
難しいことをさらっと追求していたのかと
ゾッとした。
製作費無限大かよ
とさらに驚いたのが
映画の世界が1950年代だった。
いやもう造られていた。
あの変なマンションのセットが
確かにあったと思う。
トゥナイトを歌うシーンのあれ
絶対セットでしょ
そこを目まぐるしくカメラと
人が動く。
びっくりした。
そして何気ない道路の質感もCGとは
思えない。
まるで50年代にタイムスリップして
高性能なカメラで撮影したような
見ていて錯乱する。
また無駄にボロボロな廃墟もあったり。
衣装もひとつひとつが個性的。
ワンカットワンカットが
めちゃくちゃ金と技術がかかっていて
スピルバーグの情熱を随所に感じる。
俳優にインパクトはないけども助演女優賞は獲得するのでは？
元々ある楽曲を歌っているので
賞レース的には弱さがあるが
個人的には既にゴールデングローブ賞を
受賞しているが
アリアナ・デボーズが
獲得するんじゃないかな？
役柄的にもエモい部分もあるし
終盤の彼女の行動がきっかけで
エンディングが決まるし
そこに至るまでにも
ひどいことされるし。
何より
楽曲アメリカ時の
キレのあり過ぎるダンスや
衣装の使い方など
シナリオ的優位性及び
彼女のダンス力など
全てにおいて高レベルだったと
感じました。
愛は人間を狂わす
物語としてはそこのあたりに終着。
ここは変わってない模様。
でも前作を見てないから初体験。
大体悲劇だったとも知ってるし
『ロミオとジュリエット』の
アメリカ版ってのも知ってる。
人を愛したことで
決闘は避けられず
そして人を愛したらこそ
嘘が生まれ
そしてその深い愛情を
見届けたことで
抗争の無意味さを
ようやく末端の雑魚が理解し
虚無だけを感じさせる。
後味の悪さが異常
またなかなかのトニーの
ポンコツっぷりが秀逸。
トニーがリフをを押し返したことで
ベルナルドの持ってたナイフが
心臓に直撃し死亡。
その後トニーが悲しみと
怒りに狂いベルナルドを殺害。
トニーがいなければ
どちらかが死なずに済んだし
無駄にチノに殺されることもなく
チノが警察に捕まって
獄中生活を送ることもなかった。
全部捨ててマリアと逃げるが
正解なのしんどいよな。
仕方がないけどキャラクターの背景は描かれない
シナリオとして物足りないのが
キャラクターの背景があまり描かれない。
リフは父親が死んでいることは
描かれるが
トニーは不明。
マリアとベルナルドも不明。
2人が移民してきたことも
鮮明には描かれていない。
雇用問題で出稼ぎに来たのか？
それとも紛争があったのか？
正直よくわからん。
ジェッツの人々は
中盤でのミュージカルシーンで
（これも凄いかった）
彼らの家庭問題に触れたかのように
することで補完されているが
ホワイトトラッシュとして
教育も受けられない若者として
生きているのだと思うが全て憶測。
またマリアとトニーの
一目惚れも極端で理解に苦しむ。
ただそのシーンの
動と静の演出がマジで凄いので
その技術力に一気にどうでも良くなる。
米国版だとスペイン語字幕なし
日本版だと字幕表示あるが
劇中でのスペイン語の会話に
字幕がないというこだわりっぷり。
いかに言語での壁があったか
分かり合えないかが如実に
描かれているということか。
こっちは普通に読んじゃってる。
現代にアップデートされた差別要素？
おまけ的な考察だが
今作では男でも女性でもない
ノンジェンダーのキャラクターが
美味しい活躍をする。
賞レースも目論んだ
スピルバーグの意向なのか？
うまいこと盛り込まれているが
正直中盤で獄中行きだったのでは？
と思ってしまうが流石だなと。
またジェッツとシャークスの対立が
肌の色ではないと言っていたが
映画の終盤では
雑魚の白人が憎しみを込めて
差別及びレイプという展開を描き
集団浅慮の恐ろしさを描いている。
こういう露骨な要素って
多分60年代では映画から排斥されて
たのかなぁって思う。
そういう人種差別要素とか
女性軽視とかジェンダーとか
うまいこと盛り込んでて
アップデートできてるなぁと思った。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8.5/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10
81点
楽曲は往年の良さがあるが
真新しさはないなぁと。
シナリオ的にも後半ちょっと
飽きたなぁと思ってしまった。
しかし映像とかの作りが異常。
てかスピバ初ミュージカル映画かよ。
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