★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
2018年アメリカ映画
監督
ピーター・ファレリー
・ジム・キャリーはMr.ダマー
・メリーに首ったけ
出演
ヴィゴ・モーテンセン
・はじまりへの旅
・ザ・ロード
・イースタン・プロミス
・ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
マハーシャラ・アリ
・ムーンライト
・プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
・ベンジャミン・バトン 数奇な人生
あらすじ
1960年代アメリカのニューヨーク。
イタリア系アメリカ人のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)はコパカバーナという著名ナイトクラブの用心棒。
しかし彼の勤めるナイトクラブが改装のため、
トニーはその間の生活費を稼ぐために職探しを行う。
そしてトニーのもとに黒人のピアニストのドン(マハーシャラ・アリ)のツアー運転手の仕事が舞い込んでくる。
約2ヶ月間の長期間拘束される仕事であり、
さらにツアーに赴く場所が、アメリカ中西部から南部で、特に南部に関しては黒人の奴隷制度の名残が強く残る地域だ。
最初は拒むトニーだったが、ドンからのレコード会社からの強い意向もあり、
クリスマスまでにトニーを家族のもと返すことが条件でトニーはドンの運転手を引き受ける。
そしてトニーは出発の日にレコード会社の関係者から、
黒人の旅行者が安全に南部の旅をできるように泊まる場所などが網羅されたガイドブック「グリーンブック」を渡される。
そしてツアーに出発したトニーとドン。
ドンと共演するアーティストは別の車で出発。
道中、ドンとトニーはお互いの育ちの違いによる考え方の違いで早速喧嘩。
しかしドンの天才的なピアノの演奏や洗練された振る舞いの数々を見るうちに
もともと黒人を見下していたトニーの価値観に変化が訪れる。
またトニーに対して粗野な態度を何度も注意するドンもまたトニーの価値観に触れて、
価値観に変化が訪れるのだった。
そして南部のツアーに入ると、ドンは度々危機に直面するのだった。
2019年3月2日劇場鑑賞 2019年21本目
2019年アカデミー賞受賞作品
2019年のアメリカの象徴とも言えるアカデミー賞。
今年は黒人と白人のロードムービー『グリーンブック』が受賞。
2019年アカデミー賞作品賞を考える
2019年アメリカの社会背景として、「分断」というのがキーワードだったのかな?と思う。
貧富の分断、白人と黒人の人種間の分断、ヘテロとゲイの分断、メキシコとアメリカの分断。
その中で特にお互いの歩み寄り、認め合い、成長し、豊かさを得るという、
アメリカのこれからの理想を描いた本作『グリーンブック』の受賞は、
まさにアメリカの願いというものを今年は感じた。
しかし今年のアカデミー賞は、
そもそも本命がいなかったかもしれない。
本命候補としては、
技術力の塊のような映画『ROMA/ローマ』
しかしそもそもメキシコを舞台にした外国語映画。
根本的に技術に全振りした結果、脚本がわかりづらい印象だったし、
多くの人が楽しめるタイプの映画ではなかったと思う。
さらにダークフォースとも思える
『ブラック・パンサー』は
映画のステータスを娯楽に振りすぎており、
堅苦しい映画人には選ばれない可能性がある。
しかしここでの貧富の差の描きはアメリカにとどまらず、
全世界でいま直面している危機な気もするが、
その側面以上にエンタメ部分が強いのもあり、作品賞としては不釣り合いだった気がする。
『ボヘミアンラプソディー』や『アリースター誕生』はある部分においてずば抜けている部分はあるが、
それが観客全ての人生に置き換えて豊かになるものや社会性な課題をあぶり出せているわけではなかったと思う。
『女王陛下のお気に入り』は完成度は高いが、ベクトルが違うし、
『バイス』もそっち系ではないし。
『ブラック・クランズマン』は全く想像つかない。
その中でまぁ『ROMA/ローマ』との一騎打ちとも言えたが、
監督賞と撮影賞という技術力は『ROMA/ローマ』に、
そして脚本賞と作品賞は『グリーンブック』にと二分されたような感じ。
まぁアメリカの映画賞だからアメリカを舞台にした心温まる映画が受賞して良かったと思う。
実在した俳優のロードムービーをその息子が描く
感想を書く上で調べてたら知りました。
まさか脚本家がトニーの実際の息子だったとわ。
しかもトニー、この後にナイトクラブでソフィア・コッポラと出会い
映画『ゴッドファーザー』にノンクレジットで出演。
それを機に少しずつ映画に出演するようになり、
ニューヨーク出身の映画監督の作品にコネか何かなのか度々出演。
その影響か息子も『ゴッドファーザー』にノンクレジットで出演。
俳優や監督、プロデューサー、脚本家として映画業界に携わる。
映画製作者としては評判は低かったが、
今回の『グリーンブック』での脚本賞と作品賞の受賞により
映画業界において一目置く存在になった。
本作は、父親であるトニーとその友人の実際のピアニストのツアーを
脚色した作品。
仕方ないことだが、ドンの家族からは本作の内容は事実とは違うと非難されている。
そういうところから、トニーとその息子の人間性みたいなのが垣間見られて、
人によっては、本作はアカデミー賞にふさわしくない、ステレオタイプの美談すぎると言われているのは、
なんだかよくわかる。
面白かったけど、特別に面白くはなかったことにびっくり。
やはりアカデミー賞作品賞ということで、かなり期待してしまった。
そういう色眼鏡で見ると、
普通に面白い映画だったことにちょっと期待しすぎたなと思う。
根本的にこういう軽薄な会話が続いたり、
登場人物が友情を育みながら、色んなことを体験していく、
ゆるいコメディ映画のようなのは大好きなので、
普通に楽しめた。
でもすっごく普通。
ファレリー監督のコメディの持ち味があったわけでもなく、
どちらかと言えば、映画のポスターそのまま、
白人と黒人という違う人種の2人が、旅を通して仲良くなるという、
古典的過ぎる人間ドラマを一貫している。
特別リアルだったわけでもなく、
ピアニストが出てくる映画だけあって、音楽は豊か。
また黒人側のドンが、
黒人というステレオタイプとは違う、
学のある洗練された人物。
しかしそれ故に、まわりの同じ人種と分かり合えず、
孤独を抱えていることが映画が進むことに描かれ、
また粗野なトニーもステレオタイプなイタリア系ではあるものの、
よくできた人間すぎるぐらいに、ドンの抱える孤独を受け止め。
お互いの歩み寄りを見ていてほっこりさせてくれる。
美談すぎる
まぁ根本的にハードなタイプの映画ではないことは、
ポスターの緩さを見ればわかるが、
あまりにも美談かなと。
あるあるぶっ込みまくった挙句、
テンポよく仲良くなるわけ。
後半になると差別の強い地域で、
あるびっくり展開がある。
ゆるくて見やすい美談という、
どっかで味わったことあるなぁと思ったら、
これ『最強の2人』に似てね?
な気が今更する。
あっちは「その音楽で盛り上がるやつ実際はいねぇだろ」
とドン引きしたから好きじゃないですがね。
ただね。この美談すぎるのを息子が書いているわけでしょ。
もうね。なんかそれ言われちゃうと、
妙にこの映画が黒く見えるんだよな。
ファレリーの手腕が車内でのやり取りで発揮された?
コメディ映画としての手腕は、
車での何気ないやり取りで本領発揮していた。
ラブコメ要素をトニーの嫁への手紙の部分でうまく盛り込み、
軽快さを高めている。
映画的な技術力こそ見えてこなかったが、
奇天烈ラブコメ映画の監督としては、
高い手腕が発揮されたと思った。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7.5/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
70点
んんんんん?
点数化してみたら微妙。
いや面白かったし、好きなタイプの映画なんだけどもぉ。
こうやって感想を忘備録としてまとめていくと、
全然特筆して書くことないなぁと。
いやなんでこれ脚本賞なの?
昨年の『ゲット・アウト』に比べたらまったくもってびっくりするような怒涛の展開もないし。
強いていうなら『ROMA/ローマ』の方が見応えある脚本だったなぁと思うが。。。
しかしそもそも今年のアカデミー賞が不作だったというのは、
根本的にあるなと今更ながら実感してしまう。
今後公開予定の脚色賞を受賞した『ブラック・クランズマン』がどれぐらいの映画なのかとても楽しみだな。
GIFを見直してみて。。
ブログを華やかにするために、最後にgifを漁るんですが、
ふとマハーシャラ・アリ演じるドンの表情や姿勢一つ一つが特徴的で笑えてくる。
トニーのずんぐりなペラペラな感じが勿体無く感じるが、
この映画根本的にマハーシャラ・アリの映画だったのかもと思う。
顔芸のパワーはキャプテンマーベルことブリー・ラーソンに及ぶぞ!!
やはりアカデミー賞助演男優賞は伊達じゃない!!
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