黒沢映画ぐらいしか
まともに日本映画見たことない人の映画ガイドです。
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
1962年日本映画
キャスト
あらすじ
2019年10月1日自宅Blu-ray鑑賞2019年79本目
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IMDbTOP250に急遽追加された邦画
ライフワークとなっている
ブログ作成と映画鑑賞。
とりあえずブログ内に高評価映画を
再鑑賞して記事を増やして
個人のデータベースとしての
価値を高めたいなぁと思い、
IMDbTOP250の映画を購入やらして
再鑑賞しているわけです。
今回は邦画の『切腹』を鑑賞。
全く知らなかった映画ですが、
(特に邦画は自分疎いです。)
1963年のカンヌ国際映画祭で
審査員特別賞を受賞した作品
海外の評価も高く
見られる機会が多かったのか
鑑賞者数が一定以上に達した
高評価映画として急遽IMDbTOP250に浮上。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や
『ターミネータ2』
『アベンジャーズ エンドゲーム』
よりも高評価の作品として
非常に高い評価の映画。
監督は小林正樹。
出演は黒澤映画などで
世界的にも有名な仲代達矢。
相手役に三國蓮太郎。
丹波哲郎や岩下志麻もおり
日本映画界屈指の味わい深い
俳優が揃い踏みの映画。
また2011年には『一命』として
三池崇史により同原作小説を
再映画化している。
鑑賞者数はまだ少ないが
そちらも比較的高評価。
『羅生門』のような人間風刺の効いた時代劇
『羅生門』の真実は藪の中な人それぞれの
話によって真実は五里霧中。
人間とはとても恐ろしく
醜いものであるという
逸話を描いた作風にちょっと
近かった印象。
作品としては時代劇だが、
基本的には会話劇。
とても簡潔にあらすじを紹介すると
切腹詐欺に困った権力者が
切腹詐欺に来たと思われる若者を
いたぶりはめて殺すが、
その若者は超貧乏で
嫁も息子も重病で
病院も連れてけないという超どん底。
元々はぼんぼんだったけども
徳川家により上司がリストラされ
無職になったわけ。
武士としてのプライド含め
奇跡にかけた若者はあっさり罠にはまり、
挙句にもっていた模造刀で
無茶な自害を強いられるという
可哀想すぎる始末。
最後に妻や育ての親のおっさんに
会いたかったがそれも敵わず。。。
そんなこんなを察した
育ての親のおっさんが
今度は切腹をするために権力者を訪れて
その権力者が若者の話をしたからさぁ大変。
育ての親のおっさんも
その若者の苦労の日々を語り
あげくに権力者たちの剣豪たちを
陰で成敗していたんだから
もっとたちが悪い。
結局大暴れした育ての親こと
仲代達矢なわけです。
そんなわけで7割は会話劇なのだが
徐々に見えてくる真実の数々と
前提にある武士の
プライドというキーワード。
温情よりも武士としての死に様や
生きづらさをフューチャーした
シナリオが独特で奥深い。
武士として生きることの悲しさと人間の人を落としいれる悪意を描いていて、
見応えたっぷり。
それが江戸時代の空気感とも
相待って面白い。
密室劇ながら映像も面白い
映像も武家屋敷を舞台に
1対1の対面構造と武家屋敷の
和室での構図も見事だが
武家屋敷の庭での切腹の構造も面白く
和室の無骨な木の柱の数々や
屏風の美しさも感じられ、
密室劇として西洋のファンタジーとは違う
和の紙と木や畳で彩られた舞台装置が見事。
人の配置の物量作戦として
美術としての舞台装置化の感じもよくて、
面白かった。
殺陣もあり
時代劇小説のような淡々とした
会話劇が中心ながら
終盤では津雲の復讐劇として
回想シーンでの殺陣や
最終盤での津雲の大暴れなどもあり
一見すると地味な作品かと思いきや終盤には時代劇娯楽作品としてのカタルシスもちゃんと描いている。
最終的には全てもみ消すという
権力者の陰も含めて
現代の日本社会に通じるところが
ちゃんとあるのも面白い。
独特なセリフ回しは賛否両論かもしれない
正直、何を言っているのかよくわからない。
江戸時代の喋りというものが
本当にこうだったのかは
その時代を生きていないからわからないが
やたらと難しい言葉を使って喋る喋る。
自分は日本語字幕を
表示させながら鑑賞しました。
漢字だと意味がわかるんですが、聞いてるだけだと全くわからんセリフ回しが非常に多い。
さらに全体的にキャラクターたちが
無表情で間の抜けた感じがある
独特な映画でその部分も含めて
見応えを自分は感じたが、かなり独特。
津雲に関しては、裏のある人物として
終盤まですっとぼけた感じでいて
最終盤になって彼の目論見に
皆が気がついてきて
徐々に修羅感がでてくる。
それに対しての三国蓮太郎の阿保にも
近い素っ頓狂からの終盤にかけての
動揺っぷりなどなど。
演技も佳境にかけて、盛り上がっていくのも面白く、映画というよりは舞台だったのかもしれないと今更ながらに思った。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.3/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8.4/10
・キャラクターの魅力 7.7/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
81点
従来の勧善懲悪のチャンバラ映画ではなく、仲代と三国と丁々発止の言葉による戦いは面白い。BGMは古典楽器の琵琶の音が流れて雰囲気がいい。主家が江戸幕府の陰謀から改易に成り、衣食に困窮する浪人の悲哀が描かれている。一方譜代大名の井伊家は、食い詰め浪人がゆすり集りに来る者を断じて許さない。その為に武威を示す必要から「武士の面目」にこだわっているが、現実には武士の面目は表を飾るためにすぎないと言う仲代の言葉が裏打ちされて、三国は激怒し、壮絶な戦いになる。TVでみる水戸黄門などの定番時代劇にはない、重厚な仕上がりになっている。