★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
1954年日本映画
監督
黒澤明
・乱
・隠し砦の三悪人
・影武者
出演
志村喬
・生きる
・野良犬
・羅生門
三船敏郎
・用心棒
・蜘蛛の巣城
・天国と地獄
あらすじ
1580年代ぐらいの戦国時代末期の日本の山に囲まれる田舎の村。
ここは毎年、主君を持たなず山で物や女を略奪して暮らす野武士に作物や米を奪われ続け、嫁まで奪われた人もいる。
偵察に来た野武士の話を聞いた村人は、対策の為に、お金は無いが米ならあるということで、
腹を空かせた浪人を飯を食わせるという条件で雇うことにする。
村人たちは武士たちに全く相手にされないが、ある時腕の立つ初老の浪人の勘兵衛を雇うことに成功し、
その人柄に惚れた武士たちが集まってくるのだった。
結果的に7人の侍を雇うことができた村。
勘兵衛を中心に村を砦化し、村人たちにも兵士としての鍛錬をつませる一行。
そして野武士たちが現れる!!
村人と7人の侍VS野武士40人の名誉無き合戦が始まる!
2018年6月19日劇場鑑賞60本目
感想
10年以上前に1度自宅でDVD鑑賞したことあるのだが、
全然面白くなくて、特に後半の合戦シーンが全然ハマらなかった。
月日が経ち再鑑賞したいなぁとBlu-rayを探していたが、なかなかの高額商品だったので、今一歩踏み出せず。
午前10時の映画祭で、劇場で4K上映しているということで、この度再鑑賞することができた。
しかも完売していた。
人気凄い。
黒澤明の監督作品の代表作で、海外サイトIMdbでは日本映画の中では最高の評価を得ている。
日本が誇る映画だということは映画が好きな人はだいたい知っていると思う。
作品はインターミッションのある大長編で3時間27分という『ロード・オブ・ザ・リング』級の大長編。
前編と後編に内容がしっかり分かれている点も特徴的で、
前編では村の農民たちが武士を連れてくる為に、町に出て、勘兵衛を中心とした個性的な武士達とのやり取りがメインの
一風変わったドラマ映画。
後編では村に連れてこられた侍たちが村を要塞化し、野武士たちに備え村民を兵士へと教育する日常と
局地的な戦術での野武士の撃退と集団戦法での戦いなどが繰り広げられる戦争映画の2部構成だ。
映画を変えた黒澤監督の代表作
3時間という長尺も『ロード・オブ・リング』シリーズのエクステンデッド・エディションを楽しんで見るようになったからか、気にならないで鑑賞できた。
思えば黒澤明監督の映画は、多くの海外映画に影響を与えていて、『スター・ウォーズ』は勿論、本作は『荒野の7人』や7人の戦士を選抜して、大多数戦うというプロットの根元が『七人の侍』なのだと思うと、
本作と黒澤明という存在は映画を変えたエポックメイキングだということを感実感する。
チャンバラアクション映画ではない
侍と聞くとどこかチャンバラ、所謂刀を使った殺陣を想像してしまう。
カンフー映画の醍醐味が今まで見たことのない肉弾戦や拳法の型や技の冴えなどにワクワクする。
同様に西部劇もギリギリの命のやり取りに興奮するし、それが見たくて見ているところもある。
しかし本作では、そういった侍アクションは無いに等しい。
前編はとんちの聞いたやり取り、
後編での戦いはむしろ集団での戦いがメインで、真剣を扱ったやりとりは、前編で僅かにあるだけだったりする。
本当は戦争映画である
この映画は、一見すると時代劇を思えるが、違う。
後編での村を要塞化することや、村民たちに武器を持たせ、兵士と化す。
その後の戦い方も殺陣などない。
むしろこれは戦争映画だ。
銃の存在しない世界での戦争。
竹やりで集団で個を囲って刺し殺す。
夜襲での攻防や、待ち伏せでの攻防。
どこにもかっこよさは存在せず、ただリアルに人を殺す為に備える。
そういう生々しさは、戦争の生々しさがあるように思える。
戦争から帰ってきた人だから撮れるというか、そういうトラウマがここに昇華されているよに思えた。
何人か人が死んでいるのではないか?
そう思える程、終盤の野武士との戦いは、人が有象無象と化し、なし崩し的に人が死んでいく。
その生々しさは、スタントとは思えない部分もある。
本当に人が怪我しているのでは?リハなんかなかったのでは?と思うぐらい生々しいキャラの動き。舞台装置も凄いし、凄い映画過ぎる。
脚本には難あり?
もともと複数の時代劇映画、武士と農民の階級格差の話や、人を救う話など、
複数の企画や脚本を足して一本の映画にした作品というわけで、脚本はかなりどっ散らかっている。
話自体も右往左往しているような気がするし、成り行きな展開を感じさせることもある。
ただ日本人の元来の考え方や人柄。寡黙で横柄に構え、大きな責任をとる。忖度と言うのか?ある種の恐怖や威厳で人を従え、戦うためには知識や武力以上に精神を意識する。そういう日本人的な閉鎖的な思考もしっかり描かれてるのがすごい。
黒澤明が三船好き過ぎ
特に前半の三船敏郎に関しては、明確な脚本がなかったように思える。
野生的で、発狂しまくる。
そんな三船に加担しまくる黒澤明。
後半では彼の秘められた設定が露呈してきて、いい味を出してくれるが、それでも三船敏郎に加担して、めっちゃ活躍するようになったり、かっこいい展開や白くて素晴らしい尻を写したりしている。
そういうバランスの悪さが、監督の三船愛が作品のノイズになりつつある。
4Kでの劇場鑑賞は、全く違った体験をくれる?
初めてDVDで見たときは、後編が特になんかよくわからないまま終わった記憶がある。
特に音が聞き取れなかった印象。
むしろ今回の劇場鑑賞+高解像度化で、音も鮮明になり、
全く違う体験と、迫力のある後編の戦いの数々を堪能できてとても感激した。
近年の日本映画では味わうことができなパワー。
イケメンがいなくて味のある俳優、ブサメン多めで、とことんやってくれる。
みれてよかったと思う。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
75点
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