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◎【Netflix映画:88点】マリッジ・ストーリー【解説 考察 :離婚調停で破綻してく人間性】◎

マリッジ・ストーリー

製作

2019年アメリカ映画

そこに愛はあったのか?
泥沼の離婚裁判。

監督・脚本・製作

ノア・バームバック
・イカとクジラ
・ベン・スティラー 人生は最悪だ!
・フランシス・ハ
・マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)

キャスト

スカーレット・ヨハンソン
her/世界でひとつの彼女
・アンダー・ザ・スキン 種の捕食
アベンジャーズ
・ロスト・イン・トランスレーション

アダム・ドライバー
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
・パターソン
・スター・ウォーズ/最後のジェダイ
ブラック・クランズマン

ローラ・ダーン
・ジュラシック・パーク
・わたしに会うまでの1600キロ
・ブルーベルベット
・ビッグ・リトル・ライズ

レイ・リオッタ
グッドフェローズ
・NARC ナーク
・リボルバー
・団塊ボーイズ

アラン・アルダ
・M*A*S*H
・ウディ・アレンの重罪と軽罪
・ハート・オブ・ウーマン
・四季

あらすじ

現代のアメリカのニューヨーク。
演劇監督で成功したチャーリー・バーバー(アダム・ドライバー)は、妻で女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と一緒に劇団を始め、ニューヨークでの公演を行う。
しかし2人の心はすれ違い離婚することにした。
2人は円満な協議離婚を行い慰謝料などもなく終わるはずだった。

ニコールは劇団の退団を決め、故郷であるアメリカの西部のカリフォルニア州のウェスト・ハリウッドに引っ越す。
そこでSF海外ドラマのパイロット版を撮影中にエージェントに弁護士を紹介される。
興味を持ったニコールは弁護士のノラ(ローラ・ダーン)に会うが、ノラにこれまでのチャーリーへの不満を話すと、
ノラはそれを理解し、チャーリーに慰謝料を請求するための裁判を行うことを提案。
ニコールの人格を無下にし、なにより浮気をしたチャーリーに怒ったニコールとノラ。
そして何も知らずに舞台での成功で賞まで受賞したチャーリーだったのだが、
ニコールにより訴えられてしまった。
息子のヘンリーは妻により懐柔されロサンゼルスでの日々を満足。

いつの間にか凄腕弁護士のノラによって追い詰められていることを知ったチャーリー。
てっきり協議離婚で円満だと思った彼は、しだいに追い詰められていく。
ヘンリーはニューヨークに帰ってこないし、ロサンゼルスで弁護士を立てて、ロサンゼルスで協議しなければならない。
仕事はニューヨーク。
板挟みに苦しむチャーリーは、子供と過ごす時間でも弁護士探しに奔走するが、ノラの作戦により有能な弁護士はほぼ雇うことができない始末。
ニコールの母親に紹介してもらった弁護士も勝てないことが前提であることをチャーリーに諭すことになり、
チャーリーはますます苛立ち。
またニコールは、ロサンゼルスに帰郷し、本来の自分らしさを取り戻しはじめた。
だが、ニコールはチャーリーがちょっとしたことで困ると手を貸す、そんなニコールにチャーリーの気まずさはより高まっていき。
円満離婚だった2人の生活は裁判に多額のお金を落とし憎み合い、泥沼化していくのだった!!

2019年12月30日自宅Netflix鑑賞 2019年107本目



誰もが経験する離婚という結婚の物語

via GIPHY

現代において特にアメリカだったら誰もが経験するのではないかと思う離婚の物語。
円満離婚ならいいが、
そこそこのセレブならうっかり最高の弁護士に出会ってしまったら、
それは骨肉の争いにも似た地獄の離婚裁判物語が待っている。

今回の可哀想なお二人はこちら、
若手舞台作家で監督も手がけるチャーリーと
彼より年上で元若手コメディ俳優で現在はチャーリーと共同で舞台で名を馳せたニコール。

ちょっとしたすれ違いというか傲慢なチャーリーの浮気がバレて、
離婚することになったわけですが、
そこからが大変。

via GIPHY

ニコールの故郷のロサンゼルスで、うっかり最高の弁護士に出会ったニコールが、
予期もしてなかった旦那への復讐にも似た離婚裁判騒動へと発展。

不意打ちで仕事というか夢に向かって邁進し過ぎたチャーリーは、
地雷地帯へと変貌していた嫁の実家で、
地獄の協議へと巻き込まれて、
そんなになかったお金をはたいて、
息子の親権やら養育費やらはたまた慰謝料やらを奪われないために、
ロサンゼルスに移住までも検討。
挙句に息子は妻とロサンゼルスに懐柔されて、
全く勝ち目がないなかでも傲慢さは捨てずにひたすら地獄の協議に臨むという、
見ていて悲しくなるお話。

極限化の中で破綻してく人間性、
最初に思っていた愛や情が地獄の日々によりすり減らされていき、
自分の中の悪意を煮詰めたような人格が見え隠れしてしまう
恐ろしさを見事に描いているが、
でもこれって『クレイマー、クレイマー』っていう映画で、
すでにアカデミー賞やらゴールデングローブ賞を受賞している内容ではないかと思うと、
賞レースではかなり不利。

セレブがお世話になったノラという弁護士

アカデミー賞の助演女優賞を本作のノラで受賞したローラ・ダーン。
そういう人物なんじゃねぇかっていう立ち振舞いや、
こなれ過ぎて最強すぎて、行動や表情一つ一つが全て裁判のためなのではないか?
と思うぐらいの拝金主義的な仕事人間の彼女がめちゃめちゃ怖かった。
衣装ひとつひとつがマジで怖くて、
もはや人間ではなかったのではないか??

そして噂によればこういう弁護士にはハリウッドにはうじゃうじゃおるようで、
ブラッド・ピットはボコボコにされ、スカーレット・ヨハンソンは救われて、、
などなど今後もハリウッドスターたちの離婚劇には彼女のようなやばい弁護士がいるのではないかと思うと怖くてしょうがない。

スカーレット・ヨハンソンも主演女優賞獲っても良かったような気も

極限の人間ドラマとして、
出てくる俳優陣の演技はとても素晴らしかった映画。
スカーレット・ヨハンソンは序盤で葛藤を内包し、ノラと出会い、
自身の隠された怒りを吐露していく表情はとても素晴らしい演技だった。
その後のハロウィンでのボウイとしての立ち振舞いや、
終盤でのチャーリーとの対面での本音以上の感情に任せた言動のやりとりの凄かった。
『ジョジョ・ラビット』の助演含めても今作評価されてもよかったなぁと。

また同様にアダム・ドライバーもディズニー『スター・ウォーズ』での悪役としての活躍やここからの多くの癖のあるキャラクターの創出、
そして本作の離婚に翻弄され、そして終始やらかし続ける痛い男として、
また上記同様にニコールとの本心以上に怒りと心労で暴走させる心情吐露のシーンなど見事。
今年はホアキン・フェニックスに負けてしまったが、絶対5年以内にはアカデミー賞を受賞すると思う。
初めてカイロ・レンを見た時は気持いなと思ったけど味あるなぁって思ったけど、どんどん好きになっていっていまでは超応援している。

愛は確かにそこにあった

via GIPHY

アメリカの文化とも形容される離婚劇の泥沼っぷりに終始男として胃が痛かった。
冒頭の手紙を読めば何か変わったのかもしれないし、
そして円満、もしくは愛が呼び起こされるのかもしれないと映画に対してなぜか希望を夢見てしまうが、
結局のところ2人はアメリカの文化としての離婚を越えて、
本来の依存のない独立した他者としてもう一度お互いの存在を確かめる人間としてのコミュニティを再度成立させるわけで、
それでも2人には確かに愛があったという地獄の描写劇の果てに訪れる確かな恋愛映画としての矜恃が確かに待っていた。
どうしてこんなところにたどり着いてしまったのだろうかというチャーリーの心情はいつまでも理解はできなかったが、
それこそが離婚を一度体験したノア・バームバックの心情なのかもしれない。

憎む相手に施される辛さ

劇中で自分の中でずっとあった不協和音がチャーリーにふとした瞬間優しくするニコール。
離婚協議で地獄な目にあってるチャーリーのちょっとした困りごとに手を施すニコール。
髪が伸びてる時にカットしてくるニコール。
嫌味のなさが怖すぎるが、
これがアメリカという国における人間関係というものなのか、
基本的にぼっち社会人の自分には現代の若者の恋人未満友達以上の概念が崩れ去ってるあたりとかも
よくわからないし、
取り敢えずあの施ししんどすぎだろと思わずにはいられなかった。
ノア・バームバックもそうだったのかな?

実体験映画化し過ぎ

作品の評価が批評家評価を表すメタスコアは93点。
平均評価も2020年2月11日時点では8.0点とIMDb TOP映画250以内に入っているぐらい評価が高く、
自分も自宅鑑賞部門では年間ベスト級の面白さを感じた。

本作は、アカデミー賞に多数ノミネートしたが、
受賞はローラ・ダーンのみ。
やはり類似作品の『クレイマー、クレイマー』があるからもあるが、
ノア・バームバックのこれまでの作品で評価が高かった映画って、
自分の人生の一部に着想を得ている『イカとクジラ』と一緒やん。
ノア・バームバックは2013年に女優のジェニファー・ジェイソン・リーと離婚しているし、
その時のことがきっかけなんじゃないかと、
ネタがあるのかないのか?よくわからん映画監督。。
そういう意味であまり賞レースは勝てなかったのかな?

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 9.5/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 10/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 9/10

88点

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