「アート巡りをして来た男の行く末とは?」
2010年イギリスアメリカ共同制作
監督
バンク・シー
予告編
あらすじ
1999年、アメリカ 西海外のロサンゼルスに一人のフランス人の移民者のティエリがいた。
彼は、ロサンゼルスで古着屋を運営していた、勿論その服は値段を偽り販売をして利益を多く得ていた。
だが彼には一つ、ユニークな特徴があったのだ。
それは、いつなんどきでもビデオカメラを撮影することだった。
そうやって彼は生活をしていたのだった。
そんなある時、ティエリは故郷フランスへ里帰りをした。親戚ととりとめの無い会話をする中、ティエリの従兄弟が、ストリートアートというよくわからないゲリラ活動をしていることを知ったティエリは興味が湧いたので、同行することにした。
ストリートアートの持つ興奮に魅せられたティエリはアメリカに帰っても、ストリートアーティストたちを追いかける様になり、ティエリは多くのアーティスト達と交流を持つようになった。
彼は多くのアーティストの活躍をビデオに収め、それを映画化するつもりでもあった。
そんな中、ティエリはある有名なストリートアーティストの側に行きたかった。
それは「バンクシー」だった。
だがバンクシーのことを皆は良く知らなかったのだが…。
2011年8月15日鑑賞
感想
正直言えば、バンクシーのことは知らないし、ストリート・アートなんて、全く知らなかったわけです。
それでもなんか、とても面白い映画があるって言う話じゃないか。
面白いなら見てやろう!!
そう思って鑑賞したら、本当に面白いというか、奥深い映画だった。
確かに映画が始まった時は、この映画がバンクシーの映画だと思っていたけど、それは間違いで、バンクシーに関わったある天然で図太い男の物語だった。
その男を追う、ドキュメンタリー映画なのだ。
一応、偽札などが出たりはするが、デマの噂も流れたが全て実話のようだ。
とりあえず、中盤までは少し冗長ではあるが、ストリートアートとは何か?やどのような人間が活躍しているのか?などの犯罪行為なので、光のあたる事のない活動に光を当てており、多くの有名アーティスト達が映画の登場人物として出演している。
これだけでもこの映画価値はある。
ちなみ、それこそがティエリという男の撮っていただろう映画だったわけなのだが…。
それからは中盤以降のお話になるのだが、これが凄い。
映画的にも凄い大胆な構成でもあると思う。
言うべきか?言わざるべきか迷うことだが、この事態こそバンクシーの責任でもあるため、彼はアートに対しての何らかの責任を負うべきだと思うので、結果的にこの映画を生み出したのだと筆者は思う。
また映画自体もさりげなく、バンクシーの作風のように、皮肉の聞いたブラックなものになっているのが凄い所だ。
もっと言えば、結果的にティエリ自体が彼の作品とも言える。
それでも本作の宣伝文句とタイトルが表しているように、「美術館のお土産売り場から出てきた、アホな男」が生み出したものは、全く持って無価値でセンスのないものでしかないのに、それをメディアはティエリの違う才能により一日でダイヤモンド並の価値に変貌させているわけだ。
その錬金術的力こそ、メデイアの正体であり、また自分を特別と思っている人間は、その錬金術に惑わされているだけで、そこに何千万という金を投棄するのだから、怖い。
ただティエリは正直言えば、すげぇーやつだった自分は思いたい。
この錬金術的成功のこともそうだが、それ以前に彼は、古着屋で詐欺まがいの仕事をしてそれなりに金を持っていたし、またバンクシーを含む多くのアーティストに同行し、食らいついてきたのだ。
その根性と商業的才能は、並みのものでは無く、それがある意味、間違った方向に左右され、巨万の富へと変わるのだから。彼は違う意味では完全に天才だが、エンディングであった通り、自分の魂、スタイルを大事にする人だったら二度と関わりたくないだろう。
そもそもティエリかなり金持ちだったよな。(笑)アメリカンドリームのその後的なね。
さてこの映画が公開してから問われるとしたら、やはりメディアの危険性や、盲目さだと思うのですが、まさかのシンガーのマドンナが自分のベスト盤のアートワークを依頼してしまったという最高なオチまでついているのです。(笑)
一番のバカはマドンナというのが本作の一番のポイントです。
またこの映画が公開されたとしても彼のNYでの活動は大盛況。
いや、でも本当に疑いたくなるよ、ウォーホルのパクリがほとんどで、後は映画のポスターいじっただけなのに。てか現代人がそういった知識無さ過ぎというかね。
そうそうバイト場でさぁースター・ウォーズ見た事ない18歳がいて、全く見る気しないとか言って、物事の基盤…etc
EVA見てるとか言ってガンダムは絶対見ないとか言って、EVAはガンダムを参考に…etc
もう怖い怖い。
というわけで、思った以上に面白かった本作。
でもよく本人もこの映画の制作受けたなぁーとも思うし、本人見たら怒るだろう普通とか思うんだけどね、現場のスタッフは本気でこのこと認めていたし、しかもティエリ自体もレッドカーペット歩いたとか。(笑)まぁーあの人最強だと思うよ。
ちなみに本作は2010年のアカデミー賞にノミネートされています。
得点
8点
中盤までがちょっと長いし、ティエリが撮影した映像が全部手持ちなので、ちょっと映像的には微妙、なんせ素人ですから。
それでもこの実話は見るに値するし、モキュメンタリーとしても「スパイナルタップ」に及ぶ笑える映画になっています。ちなみにアメリカの批評家たちは、滑稽過ぎるのでモキュメンタリーと誤解したとか。
いやモキュメンタリーかと思って、ガチで英文を読みまくったけど違くて良かったよ。
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