「リメイクというよりは、作り替え過ぎか?」
監督
レン・ワイズマン
(『アンダーワールド』『ダイ・ハード4.0』)
出演
コリン・ファレル
(『モンスター上司』『クレイジー・ハート』『ヒットマンズ・レクイエム』『マイノリティー・リポート』『フォーン・ブース』』『マイアミ・バイス』)
ケイト・ベッキンセイル
(『アンダーワールド 覚醒』)
ビル・ナイ
(『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』『ショーン・オブ・ザ・デッド』)
あらすじネタバレ有り?
21世紀の終わりに戦争によって使われた化学兵器のせいで地球は東と西に別れたヨーロッパの一角には富裕層がオーストラリア大陸には貧困層が住む場所を分けられた。ヨーロッパ側がUFB、貧困層はコロニーと名付けられていた。
コロニーの人々は地球のコア付近を通るエレベーターを使って日夜、仕事をしにUFBへと17分で移動をしていた。
しかし世間では貧困層を中心にテロ行為を頻繁に起こしており、UFBコロニーともに治安は悪かったのだ。
コロニーの工場で警備ロボットを製造しているダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は、日ごと繰り返される退屈な日常と頻繁に起きる悪夢に悩まされ疲れは限界まできていた。
クエイドは、ついにコロニーで流行っている脳に作用させる記憶を売るというrekall社の提供する手術に挑むことを提供する。
彼が選んだ記憶は二重スパイだった。
クエイド自身、見る悪夢もスパイのように何もかに追われて、謎の女性を逃し自身は捕まる夢だったし、彼の愛読書も007だった。
その手術が始まろうとした最中だった。突如記憶をチェックしていた担当の科学者は、クエイドを非難する。するとREKALL社に幾人もの治安維持部隊がやってくる。
辛くも逃れたクエイドだったが家に帰り、妻に泣きつくと妻のローリー(ケイト・ベッキンセイル
)もまた狂気を起こしクエイドを殺そうとしてくるのだった。「自分はお前の妻などではない。」
衝撃的な発言と共に開始した殺し合いから辛くも逃げるクエイド。
クエイドは夢の中を彷徨っているのか、それともこれが現実なのか?
クエイドは自身の隠された秘密に翻弄されるのだった。
2012年8月14日鑑賞
感想
1990年に公開されたポール・バーホーベン監督でシュワルツェネッガーのフィリップ・K・ディックの原作の映画化作品『トータル・リコール』のリメイク作品。
監督は、これまで『アンダーワールド』シリーズを制作していて、4作も生み出しているのでポール・W・S・アンダーソン二号みたいな肉弾戦が得意な映画監督のレン・ワイズマン。
『アンダーワールド』で主演だったケイト・ベッキンセールと結婚して、更に本作でも悪役としてケイト・ベッキンセールが出演している。そういうところまで『バイオハザード』の監督にそっくり!!(捨てられないと良いね。)
ちなみにレン・ワイズマンのメジャー成功作品は『ダイ・ハード4.0』でやんす。
そういえば、あっちにも強くて怖いヒロインマギーQが出ていたな。
そうかレン・ワイズマンは強くて美しくて怖いヒロインものが得意なのか。これは重要だテストに出るから皆注意だ。
そういわけで、主演にコリン・ファレルを迎えた本作。
日本人だとそんなにドル箱スターのイメージがないと思われ、特に洋画ファンも『スワット』で若々しい感じのイメージが強そうだけど、結構演技派俳優として色んな監督とコラボしている。テレンス・マリックとか俳優としてもゴールデン・グローブ賞のコメディ部門などを受賞している。
公開前は、そんな彼の演技力からくるこれが夢なのか現実なのか?が楽しめそうな感じだったが、予告編を確認してみると製作スタジオがソニーなわけで、結構な映像美が繰り広げられている感じだった。
そういうわけで、見た感想だが、内容というか映画全体の設定を完全に変更している。
原作で重要と思われた火星要素が大幅に削除されて、抑圧された世界を描き、スパイアクション要素を濃厚にしているように感じられた。
正直冒頭のナレーションの時、本編始まってから学生がやってきて、いまいち集中出来なかったから結構頭に入れてなかったが、世界観がちょっと破綻している。
化学兵器の影響で、人がほとんど住めなくなった地球が裕福な層と貧困層に別れているという設定。
見ている最中は気にならなかったけど、今思えば、その設定はなかなか悪いではないか…。
『トゥモロー・ワールド』の子供が生まれなくなった世界よりもゾンビが現れた世界よりもいけていない。主人公の冒頭の設定もちと物足りないかもしれない。
しかし原題通り本当の自分に出会ってからの展開は、昔どこかで見た展開懐かしいハリウッド映画のように大スケールで銃撃が入り乱れる。
そこからは、奥さんが豹変し、『アンダーワールド』仕込みからか極限の打撃戦をいきなり披露。
そのケイト・ベッキンセールのアクションが本当に凄い。
コリン・ファレルは防戦一方と振り回される系だったが、立場的にそんなものか。
そして奥さんが元のよりもとてつもなく執拗に主人公を追いかける。銃は振り回すやら殺しにかかるわ、殺し文句は言うわと、なんとも怖い鬼嫁だ!!
しかしとても綺麗なのだ。あんな鬼嫁にならののしられたいし追いかけられたい。(笑)
まぁーここまで活躍するのは監督の奥さんだからかな。と今思うと残念かもしれない。
どういう意味では、本当のヒロインのジェシカ・ビールがいまいち綺麗じゃなかったりして、ケイト・ベッキンセールに食われている。
最後うっかり殺されちゃうのは、むしろ行けてない。悪態ついて捕まる程度で良かったよ。まったく。
全体的にはソニー・エンターテイメント・ピクチャーズの映画らしい重厚な色合いの映像と近年では稀に見る予算をかけたアクション大作というのが実感できる。
前作の2倍も予算をかけているのがやばい。(笑)
しかしそう言った映画が昨今の映画不況というか世界不況などの影響で凄まじく減っていて、残念な程度の映画、また安価につくられた3D映画の影響で減りつつあるなか往年の2Dでのアクション大作となるとそれだけで個人的には加点したくなる。
この映画は見逃せない映画ということになる。
これぞ洋画だ!!って感じ。
また、もとの『トータル・リコール』がバーホーベン監督の異才のせいで、いまいち原作の要素とか取っ払って悪質な作品になっているのに対して、本作はむしろ今までのKディックの映画化された作品の世界観を引き継いだようにどっかで見たことあるが、洗練されて現代的にアップデートされている。
それに反感をかう人もいるだろうが、むしろそれが嬉しかったりする。
だって違和感なく町並みは『ブレードランナー』だった、貧困層の居住者もアジア人が非常に多く、リカール社の店員もアジア人が多い。
ハイウェイやらの車のデザインもそのまま。
そして敵として出てくるロボットなども原作者は違うが『アイ、ロボット』に似ている。
富裕層の町並みは『トータル・リコール』に似ているようだ。
あとはハイテク技術のデザインや、ケイト・ベッキンセールの銃のデザインも良い。
また敵の警察のデザインが日本のロボットアニメ『パトレイバー』ちっくなのも注目。
色々とオマージュを捧げているのではないだろうか?
また細菌兵器の概念もどこかKディックの『アンドロイドは、電気羊の夢を見るのか?』の居住区の設定に近いような?
ジュード・ロウが主演の近未来でほとんど『未来世紀ブラジル』の『レポゼッションメン』にも方向性的に似ているかな?これもリメイクだよね。
さてさて世界観やら正直BGMもなかなかよかったと思うが、リメイクもととの一番の違いは、これが夢か現実かの判断がほとんど現実に絞られている印象が強い。
一応リメイクもとの終盤のシーンが中盤にあったわけだが、その後の展開も含み、そこまで夢感が強くないというか本当に現実に限定されていた気がする。
そのせいで元のが好きという人は結構好きだったのかもしれない。
ただそれを考慮せずに、久しぶりに普通のアクション大作が作られたことの方が嬉しい。
話しもわりとわかりやすくなっていたし。それも考慮してケイト・ベッキンセールの鬼嫁パワーやら『ブレードランナー』臭が強くなっていた。
ま。コリン・ファレル要素が薄かった気もするが。
得点
8点
てか世間が何故あんなに酷評なのかちょっとわからない。リメイクは悪なのだろうか?
映像がパクリだからか?火星要素もモンスター要素もないからか?シュワルツェネッガーがいないからか?監督の奥さん大活躍だからか?
以上の点を踏まえてもそんなに悪い映画ではないような。
まぁー正直舞台設定が無いきもする。(苦笑)
楽しめた人は押してくれ。
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