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◎ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜 2013年48本目「あああああああああ!!!!」80点◎

「映画自体が叫んでいる!!」

$『A Little his REDEMPTION.』自称映画オタクの映画感想部~season 7~-ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~
アメリカ2012年アメリカ映画アメリカ

あらすじはこちらから。
本作はこういう映画。
いきなり知らない映画の感想書かれたって困るだろうし、無名な俳優無名な監督、よくわからない場所で描かれたなんだかよくわからない映画であることはまず、正論だと思う。
だから、この映画がどういうものかは紹介したい。
元々は、舞台化作品の『ジューシー・アンド・デリシャス』を映画用にリライトした作品。
本作は世界の映画祭のほとんどで上映された非常に優秀な作品であり数多くの賞も受賞している。
また誰でも知っているアカデミー賞でもノミネートをしている、すごい作品でもある。
しかし監督は、本作が初長編映画監督作品でもある。また主演を演じた少女は9歳で、映画初主演で、多くの映画祭で賞賛されている。
つまり映画ファンにとってはセンセーショナルで、オルタナティブで、若手映画作家の星が降臨したというわけ。
原題は『ビースツ・オブ・サザン・ワイルド』直訳すると『南の野生の獣たち』。
それは主人公たちが住む、現代社会とは隔離された、人里離れた小島(厳密には本土から離れた低地)に移り住んできた人々をさす。
この島は一見するとどっかのアフリカとかそこらの発展途上国のように思えるのだが、ネタバレになるが映画の舞台は、なんとアメリカの南部ということで、この映画の前提には、日本でいうホームレスのような人々が、自治区を勝手に作り身勝手に生きているということに精通する。
更には、彼らは本土の人たちの救済を拒み、暴動を起こす。前提では、決してファンタジーとかの夢の溢れる物語ではないんです。厄介なやつらの迷惑なお話なんです。
実は、私この映画の良さあんまりよくわかってないんですよね。
そんな厄介なヤツラのお話ではあるものの、何故ファンタジーか?と言われれば、主人公が9歳の夢見る少女だから。
これにつきます。
9歳の少女から見える世界のなんと眩しいことでしょうか。観客はオリジナリティ溢れる彼女の言動と考え方、更にお金のない原始的な世界観が、ミシェル・ゴンドリーなんて目じゃないくらいの手作り感、ジャングル的な野性的な手作り感で映画は満たされている。
ゴミ一つだって、それはオブジェ。
9歳のハッシュパピーの持つものは私たちにとってはありふれているし、ガラパゴスなものだらけです。でも彼女が楽しそうにそれを使うことで、それは何か違った力を秘めた魔法を持ったなにかに見えるのです。
そんな現代なのに原始時代なバスタブ島。
もちろん父親も本当に困った人、暴力的だし、すぐ怒る。それでもハッシュパピーのことは愛している。その気難しさ、その頭の悪さが、複雑さが、キッシュなんですよ人間的に。
現代から拝借してきたものが、ここでは全く違った用途になる。車が船になるし、それでもここは紛れもなく現代で、境界線がなく現代。
物語の主軸はハッシュパピーと父親の物語。
実は父親は重い病気を患っていて、序盤からずっと死にそうになっている。
それをハッシュパピーも知っている。
私たちが知っている言葉、感情を二人は知らないまま、必死にぶつかっていく、それはとても原始的でそれでいて純粋ですごくパワフル。
こんなにパワフルな映画もそうそう見かけない。
ここまでこの映画が世界で評価されたのは、あまりにも原始的でありながらもパワフル。
決して諦めない。決して落ち込まない。ちょっと振り切ってしまってはいるものの、ものや感情に満たされた私たちには、彼らの頑張りに負けてなんていられないと思ってしまう何かが存在する。
そもそもこの映画ファンタジーじゃないんだぜ。ただ9歳の少女から見える世界がちょっと夢見心地でワイルドなだけ。もっと普遍的な力強さが秘められているそういう映画だった。
ハッシュパピーの同世代の友達なんて、本当はみんな娼婦の子供達で、親に捨てられているようなもんだぜ。ハッシュパピーたちは犯罪者なんだぜ本当は、実際観客よりも低俗でそれでいて、観客より恵まれていない。更にはお金も知識もない。
それでも多分観客たちよりもあのこたちは強くて想像力豊でパワフルで、人生を謳歌するだろう。
そんな皮肉混じりの映画でもあるわけだが、あまりにも高尚過ぎるのと、うっかり出してきた牛神様が、なんだかよくわからないポジションになっている。
監督の中にさりげなく宮崎駿的なものが流れていると思うんだけどもね。
氷の中から世界を滅ぼす牛が出てくるってハッシュパピーが言ってて、マジでラストにやってくるんだけどね。もう見てる側はよくわかんなくて、(おれがだよ。分かっている人もいるよ多分。)ハッシュパピーすげぇ!!ぐらいしかならない。
あと感動したのは、撮影地。
スタジオなのかもしれないけども、舞台が洪水になって、アメリカなのにアマゾンみたいになってしまったのはやばかった。しかもそこで移動する時に使った船のデザインがミシェル・ゴンドリーがちっぽけに見えるぐらいのゴミの再利用ぶりが良い。ハッシュパピーが料理する姿もやばい。
更には、そのアマゾンから水が無くなって大地が出てくるんだけど、それの再現とかってどうやったんだろうか?
あと冒頭で色んな動物が出てきて、ハッシュパピーが心の音を聞くのは、非常に良いシーンだった。お父さんがナマズ殴ったり、嵐と戦ったりする。(ガチで)のも面白かった。
ただそれ以上に生命力を感じる映画だった!!
今の時代、デジタル上映だったのが、もったいない感じがしたけどね。フィルム上映なんてやっている映画館東京にあるのか?
あとはパワーで強引にもっていた感もある。アート性が強いけどシニカルでもあると思う。
ただオススメはしない。DVDとかで見てもあんま面白くないと思う。
得点
80
映画自体がシャウトしているように思えるぐらいパワフルな映画でした。

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