『凶悪』の白石和彌監督の長編映画3作目は、日本の汚職刑事の一代記。
主演を綾野剛が演じる。
高校から北海道警察が柔道部で日本一になるために引き抜かれた諸星(綾野剛)が北海道で正義を執行すべく、どんな手を使ってでも成果をあげる。
映画本編は135分と長尺だが、トントン拍子で進んでいき、そんなに長く感じさせない。
また『凶悪』のようなおぞましさやらスリルを期待すると、ジャンルが違うのか、そんなに怖いシーンもなかった。
主人公が根本的には素直なお馬鹿さんだから映画は、コメディタッチに仕上がっており、似ているのは『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』か?
綾野剛が超体当たりで、悪事を悪事と思わず手を染めて、生きていく姿は、演技がすごいのかさえもよくわからない。ただ終盤までは時間の変化がイマイチ演技から伝わってこないのは非常に惜しい。
結果的には、組織で諸星の行為を見逃し、成果として上に報告していたわけで、一番悪いのはその成果を飲み込んだ警察の上層部なのかなぁと。
ただ、社会に出て営業マンとかやっていると結局、成果がなければそこにいる意味もないし、精神的にも追い詰められるから、売れない製品でもあたかも売れているように、あたかも有能なようにしないと売れないわけで、上層部は成果が出てれば、そいつが何しても別にどうでもいいわけで、そういうのは結局、会社でも警察でも変わらないわけで、資本主義においては、やはり悪こそ正義であって、むしろ資本主義でも共産主義でも上層部はだいたい真っ黒なわけで、もう末端の人間ぐらいしか善悪が大事とか思ってないんじゃないかなとさえ思うわ。
じゃあむしろ一番悪い奴って、黒岩なんじゃね。この世は仁義ですよ。でも一人勝ちだったなぁ。
というわけで、『アウト・レイジ』と『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』を足したような映画だったわけで、普通に面白かったけど、『凶悪』のようなトーンとは真逆の笑えるコメディだったわけで、パキスタン人とか笑ったわ。
とまとめてみたけど、上の犯罪映画を二つ足したような映画なのに、それが地域の安全を守る警察内の話で、それで実話をベースってそれはそれで同じ日本人として戦慄走った。
得点
物語の面白さと上映時間 8.5/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 8/10
キャラクターの魅力 8/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 6/10
音楽 6/10
俺の趣味 7/10
74点
カメラワークはやや雑というかそこまで凝った丁寧なワークなかったような。むしろ凝ったワークをあえてせずに、人間を撮ることで一人の男の一代記として、すらすら見て入られたのかもしれない。
その分するする抜けていくような、そういうことがエンタメなのかもしれない。
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