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☆【90点】アイリッシュマン【解説 考察 :老後だから描ける秀逸のマフィア映画】☆

アイリッシュマン

製作

2019年アメリカ映画

マフィア映画の金字塔俳優
スコセッシ・アッセンブル!

監督

マーティン・スコセッシ
・タクシードライバー
・ミーン・ストリート
グッドフェローズ
・エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事

キャスト

ロバート・デ・ニーロ
・レイジング・ブル
・ケープ・フィアー
・タクシードライバー
・ミーン・ストリート

ジョー・ペシ
グッドフェローズ
・レイジング・ブル
・ホーム・アローン
・いとこのビニー

アル・パチーノ
・セルピコ
ゴッドファーザー
・狼たちの午後
・ディック・トレイシー

ボビー・カナヴェイル
・アントマン
・ブルージャスミン
・PARKER/パーカー

スティーヴン・グレアム
・スナッチ
・THIS IS ENGLAND
・パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊
裏切りのサーカス

ジェシー・プレモンス
ゲーム・ナイト
バトルシップ
ブラック・スキャンダル
エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE

ハーヴェイ・カイテル
・レザボア・ドッグス
・バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト
グランド・ブダペスト・ホテル
パルプ・フィクション

あらすじ

2002年ごろのアメリカのどこかの地域の老人ホーム。
年老いた車椅子に乗っている男フランク・シーラン(ロバート・デニーロ)は、彼のこれまでの半生を語り始める。

1975年のある日はフランクにとってももっとも辛い日だった。
彼はアメリカの北東部のペンシルベニア州の犯罪組織ブファリーノ一家の殺し屋でありボスのラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)の側近として、彼の身内の結婚式にデトロイトに車で向かう。それぞれの妻を乗せて向かう中、タバコ休憩の最中、フランクとラッセルは、
2人が出会ったガソリンスタンドを見つけ、昔を懐かしむ。

1950年代のフィラデルフィア。
第二次世界大戦から帰還し、トラック運転手として運送会社に勤務していたフランクは運転中のトラックが不調になったため、
通りかかりのガソリンスタンドにて修理を行うが、そこにラッセルが現れる。
当初ラッセルのことが誰だかわからなかったフランクは、名前も名乗らずに修理を手伝ってくれた高級スーツに身を包んだ彼にとても感謝した。
そしてある日の仕事後に酒場でお酒を飲んでいると、高級ステーキを食しているオーナーのフェリックス・ディトゥリオを見かける。
お金が欲しかったフランクは、小遣い稼ぎをするためにフェリックスに運送中の高級ステーキの横流しを提案する。
それを行ったフランクはフェリックスに気に入られるが、運送会社から窃盗で訴えられてしまう。
フランクは完全にしらばっくれていたが、仕事を失うし賠償金を払うとなると辛い、トラックの組合の弁護士のビル・ブファリーノのもとを訪ねる。
ビル・ブファリーノは凄腕の弁護士であり、フランクの話を聞き、完全犯罪にできることを確信。
またフランクがはっきりと犯罪をしたことを認める竹を割ったようなさっぱりとした性格だが関わった組織の名前などを一切言わない姿勢を気に入ったビルは従兄弟のラッセルにフランクを紹介する。
フランクはラッセルが犯罪組織のボスであることを知る。
そしてラッセルはフランクが自分たちの母国語であるイタリア語を理解し喋れることを知る。
フランクは第二次世界大戦で任務中に多数の捕虜などを殺し、イタリアにも従軍していた。
そのことも気に入ったラッセルはフランクに殺しの仕事を依頼。
フランクはいともたやすく殺人を行い、ブファリーノ一家の殺し屋として地位を得る。
ラッセルのためにいろんなことをしてきたフランクだったが、ラッセルからある人物への協力依頼をうける。
その人物は全米トラック運転手組合の長であるジミー・ホッファ(アル・パチーノ)だ。
政府や組合内のライバルが多い彼にボディーガード兼犯罪コンサルタントとして彼を援護することになる。

ラッセルのもとから離れホッファと家族ぐるみで付き合うようになったフランク。
ホッファもまたフランクのことをとても気に入っており、危険視する人物などの部分で相互理解をしている節も多く、
彼を親友以上の存在として寵愛をするようになるのだが、
ホッファの支持するニクソンが選挙でケネディに負けたことにより、
ホッファは犯罪組織との癒着を追求されるにようになってしまい、
自分の地位を守ろうとするホッファと利権のためにケネディを支援したラッセルたち大物犯罪組織は、
そのケネディの裏切りと暴走する借りのあるホッファの問題により犯罪組織界隈の黄金期の終わりが始まってしまうのだった。。。

2019年11月16日劇場鑑賞 2019年91本目



マーティン・スコセッシがマフィア俳優を一堂に揃え再びの3時間越えのマフィア映画を製作!!

本作はアメリカで実在した犯罪組織一家のブファリーノ一家の殺し屋フランク・シーランの2004年に発売された自伝『I Heard You Paint Houses』の映画化作品。
製作にはロバート・デニーロとマーティン・スコセッシが名を連ね。
近年ゆるめの映画ばかり制作していたデニーロ。そして2013年の『マラヴィータ』以来犯罪組織の一員っぽい映画は出てなかった犯罪組織の代名詞のデニーロが久しぶりにスコセッシと犯罪組織の時代劇に登場。

via GIPHY

スコセッシは犯罪ものの回顧録映画としては『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』以来
スコセッシ映画でデニーロの出演映画は95年の『カジノ』ぶりというわけ。
さらにすごいのはこれまでほぼ引退状態だったデニーロ、スコセッシ組の立役者のジョー・ペシをカムバックさせ、
その2人だけにとどまらず、更なる犯罪組織映画の金字塔を作った2代目『ゴッド・ファーザー』のアル・パチーノを起用。

さらにさらにすごいのが、その俳優たちを登場させて50年間近くを描いた映画にもかかわらず、
この3人は特殊メイクなしで、最先端技術を用いて演じる俳優の姿を40代から70代まで変換処理してしまう技術を用いた
超最先端映画でありながら、オールディーズとも言えるギャング時代劇を現代に蘇らせるすごい映画なのだが、
さらにすごいのが本編が3時間20分以上もある監督史上最長の映画になった模様。

また安定感のある面白い映画だったのが、すげぇ驚きです。

配給はNetflixなのがやばい

この映画のすごいところって、
配給がNetflixなんですよ。
結果的に劇場公開もあって、日本でもちゃんと劇場で公開してますが、

劇場公開2週間後にはもうNetflixで配信されたのです。

自分は11月16日に劇場で鑑賞しましたが、
この記事を書くに2週間前に再度自宅で吹き替え版で鑑賞しました。全体的にながら見ですが、
本当に映画の形態変化やばくないですか?
僕はこれがすっごくいいことだとも思うんですが、それは自分がこうやってブログを書くタイプの人間であって、
再鑑賞して記憶の穴埋めができることと、
さらに前回鑑賞の余韻にもう一度浸れるんです。
正直スコセッシの映画は全体的に大好きで『グッドフェローズ』なんかはオールタイムベストに入れてますよ。もう内容覚えてないけど。

映画館下火というか劇場で観れる映画減るよね。

ただ世界的に娯楽の多様化が顕著で、人口減の日本としてはこの動きは、マイナスに動くのかなと。
劇場で見るお金を自宅鑑賞で節約って普通にこの不景気の中、さらに娯楽多様化の時間不足では取捨選択としては妥当かなと思う。
こういう映画年間100本コースの人じゃないとわざわざ劇場で見ないよな。

製作難航していたがNetflixが救援

また製作背景が複雑だった本作。
原作問題よりも企画自体は2014年から動いていたにもかかわらず、製作資金難により製作の遅れ。
現代でマフィア映画を製作するのすっごくお金かかるみたいだし、
さらにはヒットの見込みが薄かったり、大型連休はマーベルのヒーロー映画やDCのヒーロー映画などがブロックバスターしておりまして、
劇場でも上映できる見込みがなく、どんどん配給会社などが離れていたった中、追加資金を出したのがNetflixで、
そのまま配給権も購入したのがNetflix。
結果的に批評家から非常に高い評価を得た本作。
自分も助演男優賞はアル・パチーノが獲るべきだと思ったし、監督賞作品賞ノミネートは当然ありうる作品だなっと思ったし、
本作が70代になった監督俳優たちが、そしてなぜ今になってマフィア映画を制作したのか?がこの映画のラストまで見ればわかるので、
大いに意味のある映画だったなと思う。

スコセッシ映画としての安定感

見始めればいつものスコセッシ映画。
どんな骨太な映画かと思って感想書くのを身構えても、
結局はいつものスコセッシ映画の面白さのカタルシスがあったという文言ぐらいしか出てこない短慮な自分。
部分部分はドラマパートで会話を見せて、変化や葛藤を描くが、
間間には小気味良いアクションパートにて、さらに印象的な殺人シーンをぱっと描く、
その構図や瞬間の盛り上がりは、さすがスコセッシ監督。
こういう長編映画を何年間おきに監督しては、年間ベスト候補に選出されるだけあって、安定感は異常。

でも本作として違和感というかスコセッシ映画の中でも個性がある。

それは妙に緩い。

犯罪映画なのに人殺しよりもご飯食べて文句言ってるようで、なんか間の抜けたシーンが数多くある。
アイスクリーム美味しそ。
ステーキ食べたい。
ホットドッグ食べたい。
パンに何か浸して食べたい。
久しぶりにみたジョー・ペシがすごい。
そんな感じで、オフビートな要素もあるのが、逆に面白い。

前提として年齢的に俳優陣にハードな展開を要求しづらいという部分はあったかもしれない。
それを場違いな大爆発や突発的な殺害で鮮烈さを出したとこもあるが、
そのオフビートさも終盤のところに落とし込まれているからやっぱりすごい映画だったなって思う。

そういう人生の期間を俯瞰してマフィア映画に落とし込んでいるのすごい。

ジョー・ペシとアル・パチーノ

ジョー・ペシは今作ではデニーロのボスとして登場。

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冒頭からずっと出ずっぱりで、挙句に特に何もしないで、おしゃべりしてデニーロと仲良くなるだけ、
なのになんだこの威厳。
そしてなんだこの安定感?
デニーロの困り顔はいつもどおり、というか現代でもデニーロマフィア新作で拝めるのやばい。
すごいなと思ったのが個人的にはアル・パチーノ。
ホッファという暴走する曲者、でも憎めない人間を巧みに演じている。

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欲深いわけでもないけど、アメリカの指導者として父として君臨したいというエゴに身を滅ぼしながらも、
フランクという人物を愛し、フランクという人物に社会的な地位を授け、本物人間にし、父として君臨する姿に感激。

巧みな人物を演じたアル・パチーノは演技賞受賞してほしいと思ったら、カムバックしたジョー・ペシも評価高くてやばいんですよね。
これまで演じることのなかった立場が往年の映画ファンを逆に感動させているんですよね。

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フランクの心情

映画はアメリカの政権交代による時代の変化により密接であったマフィア社会が崩壊する過程を描きながらも、
ホッファとラッセルという2人の恩人の間で揺れるフランクの人間ドラマとしても成立している。

当時ホッファが疾走するという大きなゴシップと見え隠れするマフィアの姿というものが社会性の高いニュースとして扱われていたようだが、自分は全く知らなかった。
その裏側にあったのはマフィアとしてではなく1人の人間の葛藤だった。

物語としてはそのホッファとの別離直前の出来事を主軸にし、
そこまでの経緯の合間を彼らの過去を回想していく。

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複雑な時間軸に最初は戸惑うが、そこをNetflixという見放題という部分が補っていてすごい。

そしてその別離の日に物語はたどり着き、そしてそこからさらに物語は進んでいく。

デニーロの目線で感涙

そして別離の直前でのパーティーのシーン。
フランクは対立が加速するホッファとラッセルたちマフィアの間でホッファのために奔走する。
中年のフランクだったが、本当の意味で大人にしてくれたのはホッファとラッセルだった。
ラッセルは戦争帰りの低所得者だった空っぽのフランクをマフィアの道に引き込み、資本というものを与えてくれた社会的な父だった。
そしてホッファは、肉親の父のように自分に正しいと思うことを相談し、そしてお互いを導き、社会的に認められる高い地位と社会的な尊敬を与えてくれた。
その2人の父を失いたくないフランク。
だが人を殺す力を得たフランクだが、人を説得する力は持っていなかった。
どうしようもすることのできない何かに大きな流れに逆らうことのできない、止まらないホッファの姿を見つめるデニーロの悲しげな表情は1回目の鑑賞では気が付かないほど2回目では胸を締め付ける。

また実は1回目でミスリードしたが、
別離の展開はフランクの判断でやったと思ったが、ラッセルたちの指示だったんだよね。
あの瞬間から映画は一気にエピローグモードへ加速。
事切れたフランクの初めての罪の意識が映画を重たく鈍くそして静かな映画へと成れ果てる。
それは本作がなぜ3時間以上あったかを2回目で実感させてくれた。

40分のエピローグとスーパーノヴァ

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結局のところ一大犯罪組織へとなった登場人物の方たち、
そしてフランクは投獄され、そして静かに1人ずつ存在がなくなってしまう。
そのどうしようもない老化して無力で、そして残された日々を無為に生きる姿はこれまでのスコセッシマフィア映画にはなかった無情さが描かれる。

輝いていた星がいつか消えるように、スコセッシとデニーロは現実に70代という人生のエピローグにたどり着いた彼らだからこそ
人生とは何か?ギャング映画の興奮の果てにある本当のものとは何か?それに気づき始めた彼らだからこそ、全ては平等に無に、静かな無へと落っこちていき平坦になっていく

退屈な瞬間の繰り返しだが映画は確かにフランクの死の準備をシニカルに描く。
人生の答えもないまま、フランクはようやく罪の意識から解放するために、本作を作るのだった。
ずっと消えなかった父を殺め、そして実際の家族さえもなくしていた自分自身の後悔。

2019年だからこそ描けるエピローグ。
正直退屈で尿意とケツの痛みとの戦いでしたが、2回目の鑑賞でこの意味にようやく気づく。
そしてテーマソングともいえるクラシックなポッピソングが染みる。

すごいなスコセッシ。やっべ。という感じでした。

あと賞レース2019年は全く読めない。

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hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 10/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 9/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10

90点

今年ベスト級だったな。
2019年12月21日時点でもIMDbTOP250で174位にランクインしているぐらい高評価。
劇場で見て良かったというかやはりスコセッシ先生すごいし、デニーロこともう落ちた俳優とか思ってたけど、
くそやばいですわ。すごい。すごい。すごい。

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