「ここはナッシュビル!カントリー・ミュージックの中心地!」
監督
ロバート・アルトマン
(『M★A★S★H マッシュ 』『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ 』『ゴスフォード・パーク』)
予告編
あらすじ
1970年代中盤、アメリカの南部にあるテネシー州の州都ナッシュビル。
5日後に大統領候補であるハル・フィリップ・ウォーカーの宣伝キャンペーンコンサートが控えている。
このナッシュビルには、多くのカントリー・ミュージシャンやそれに群がる人々が集まってきた。
1.2.3.4日と多くの人々の意思が交錯して行く中、ついに最後のコンサートで全ての人々が集うのだが…。
2012年5月16日鑑賞
感想
こちらもTSUTAYAに行った際に、生半可な気持ちでレンタルしたのです。
ここ最近見た映画が妙で、『ハード・ウォーク』『二人にクギつけ』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『ナッシュビル』『SRサイタマノラッパー3』と妙に音楽が印象的な映画ばかり。(笑)
そういうわけで、今回の映画は『ナッシュビル』です。
監督がロバート・アルトマンで20世紀最後の巨匠と呼ばれる映画監督で、マーティン・スコセッシ、ウディ・アレンと同じくアメリカの俳優に尊敬される映画監督だとか。
それなのに、おれは彼の映画は今回初めて見るので、何だか恥ずかしいような気分。
しかしアルトマンの映画自体が日本で不遇だったとも言えるのも事実。
『ナッシュビル』がDVD化されたのは2012年が初めてというわけだしさ。
まぁーそれでも遺作『今宵、フィッツジェラルド劇場で』などをスルーしていたりもするし、自分が映画を本格的に見出した2000年代には、彼も晩年を迎えていたので、目にする機会もなかった。
そんなアルトマンの最高傑作に一つとして、リバイバル上映され、話題にもなった本作。
映画のタイトルはナッシュビルというアメリカのテネシー州の州都。
カントリーミュージックの中心地としてよく知られ、音楽産業が発展しており、カントリーミュージックに関連した博物館があり、多くのイベントが開催されている。らしい。(Wikipedia転載)
アメリカでのカントリーの中心地というのは、なかなかの右翼的な都市だよね。
実際にアメリカの音楽は、ロックやR&Bやテクノ以上にカントリーを敬愛する人々も多く、個人的主観では、田舎であればあるほど、その意識は濃くなっていると思う。
またカントリーは政治に多く絡んでいる部分も強く、大統領選などで、それらの音楽が強く推されている印象も強い。かつてグラミー賞を受賞したディクシー・チックスもブッシュを熱烈に批判していた気がする。
その舞台で、まさに大統領の候補者を応援するコンサートが行われる5日間を描いたのが本作。
やはり登場するキャラクターは70年代中盤ではあるが、いつもより田舎臭い。そして保守的な方々が多い。
また主役となるスポットを当てられるキャラクターが24名もいる点には、注目しなけらばならない。
いずれの出演者も2012年現在の筆者の知識には、まったく琴線に触れない知らない俳優ばかりだが、当時活躍していたカントリーミュージシャンもキャストになっている。
という多くのキャスト全てにスポットがあたるとなると、上映時間も普通の映画の尺では収まらない。
そういうわけで本作の上映時間は2時間40分となかなかの長編になっている。
また映画自体のジャンルが意外にもブラックコメディなのだ。
まぁーその次にミュージックともあるが、これは見るに際してなかなか度胸のいる上映時間だぜ。
ノリで借りてはいけないよね。
そんな予備知識もなく、しかも蓋を開けたら24名という主要キャラクターが出てくる。群像劇。
グランドホテル形式というラストに皆集結したり、aくんとbくんがつながりがあったりcくんとdくんが絡んだりというやつだ。
正直映画好きでも見るのにちょっときついタイプの映画だぜ。
しかも背景にあるのは、アメリカの魂とも言えるカントリーミュージックやらで、舞台もその色が濃いナッシュビル。
まぁーそういうわけで、見たのだけどね。
全体的に映像の構図等はとても見事。
素晴らしい映像が山ほどある。
また随所に流れるカントリー・ミュージックも普通に良い。
24名の主要キャラクターもちゃんと個性があって、映画が進むに連れて変化もあるし、ちゃんと絡むしね。
しかし結構全体的にぐちゃぐちゃしていたり、田舎という舞台や右翼的な思想やらベトナムの帰還兵やらイギリスのBBCやらと色々なアメリカの要素が闇鍋に入ったような感じで、煮込まれて、一概にも美味いとは言えない感じに仕上がったと思われる。
最後には、人が死んだりで皆が歌ったりと、いまいち腑に落ちないラストだったりする。
まぁーそれはオレが日本人だったからで、アメリカ人だったら理解出来るラストだったのかもしれないし、40年という時代のギャップも当然あるし、映画自体はやはり優れているんだと思う。
個人的には、主人公が一人の方がやはり感動的で面白いかな…。
こういう群像劇になると描きが少し少なくなったりしてしまう場合があるし。
あと強いて言うなら自分のお気に入りのキャラクターというのが、本作にはいなくて、多分アメリカ人だったら支持したくなるようなキャラクターはいたと思う。おっぱい披露した音痴の女の子は最高にホットだった。
まぁーだからこそ日本人がこの映画最高と言えないのも至極当然かな。
もっと多様性のあるニューヨークやロサンゼルスとかだったら、もう少し心躍ったのだが、如何せんアメリカの文明の中心で、しかも意外と世界的には認識のないアメリカだけで中心となるとちょっとね。
まぁーあとは、いまいち物語がないに等しいのもポイント。
大まかに5日間という規定はあるものの、映画に明確なゴールがあってそこに向かってキャラクターが動いていたとも考えられない。まぁーそのたまたま集った大団円が凄かったとも言えますがね。でもぐっと来なかった。このラスト。そして展開自体が妙に笑えない。ブラックコメディーだったのかも。
得点
7点
非常に優れた映像のカット割りや構図などもあったけれど、上映時間が長かったり、感情移入が難しく、状況を見るで終わった感じも強い。
音楽などは非常に良かったけれど、自分が日本人だし20代ということも考慮して、このぐらいの点数が丁度いいかな。
そんなにオススメはしません。
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