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△【65点】デッド・ドント・ダイ【解説 考察 :ゾンビ映画を再分解】△

デッド・ドント・ダイ

製作

2019年アメリカ映画

ゾンビより人間が怖い?
その前にゾンビ映画のメタファーは?

監督

ジム・ジャームッシュ
・ブロークン・フラワーズ
・パターソン
・オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
・ストレンジャー・ザン・パラダイス

キャスト

ビル・マーレイ
・ロスト・イン・トランスレーション
天才マックスの世界
ムーンライズ・キングダム
・ライフ・アクアティック

アダム・ドライバー
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
・パターソン
マリッジ・ストーリー
・スター・ウォーズ/最後のジェダイ

トム・ウェイツ
セブン・サイコパス
・ショート・カッツ
・ダウン・バイ・ロー
バスターのバラード

ティルダ・スウィントン
少年は残酷な弓を射る
スノーピアサー
・サスペリア
グランド・ブダペスト・ホテル

スティーヴ・ブシェミ
・ファーゴ
・ゴーストワールド
・レザボア・ドッグス
・スターリンの葬送狂騒曲

ダニー・グローヴァー
・リーサル・ウェポン
・2012
ジュマンジ/ネクスト・レベル

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
・スリー・ビルボード
X-MEN: ファースト・ジェネレーション
・ゲット・アウト
・ハード・ラッシュ

セレーナ・ゴメス
・恋するモンテカルロ
スプリング・ブレイカーズ
・ゲッタウェイ スーパースネーク

キャロル・ケイン
・プリンセス・ブライド・ストーリー
・アダムス・ファミリー2
・キャプテン・ウルフ
・アニー・ホール

あらすじ

アメリカのどこかの小さな田舎町。
警察官のクリフ(ビル・マーレイ)と
ロニー(アダム・ドライバー)は、
鶏泥棒の通報を受けて、
心当たりのある森に住む変わり者の
ボブ(トム・ウェイツ)に会いに行く。
ボブは潔白を訴えながらも2人を威嚇射撃し、
古くからの付き合いのクリフも納得し、
その場を去る。

交番に戻る途中、
2人は腕時計と携帯電話が壊れていることに
気づく。
そしてもう夜8時だというのに外が明るい
ことに驚く。

この町に唯一あるダイナー。
鶏泥棒の通報者の農家のミラー
(スティーヴ・ブシェミ)と
工務店のオーナー、ハンク
(ダニー・グローヴァー )は1日の終わりを
この場所でコーヒーを飲みながら
過ごしていたが、日が暮れていないことを
ダイナーの店員たちと不気味がっている。

するとラジオからスタージル・シンプソンの
デッド・ドント・ダイが流れてくる。

帰路の車内でも耳にしたロニーは、
この音楽がテーマソングだと告げる。

この地の少年院。
テレビでは地球の時点が爆発工事の影響で
おかしくなったことが報道される。

この地のガソリンスタンド兼
オタクショップ風の雑貨屋。
オーナーのボビーはオタク野郎で、
配達人のディーンにほの字。
彼から地球自転異常の号外新聞を入荷。

モーテルではオーナーの飼い猫が行方不明。
それはこの地域全てで起きていた。
農家のミラーの牛や飼い犬もどこかへ失踪。
全ての動物は突如森へと野生に帰ってしまう。

町では新たな葬儀屋が現れる。
葬儀屋の
ゼルダ(ティルダ・スウィントン)は
武士道と仏教を愛する変わった人だ。

そして夜更。
月は紫の光を発している。
そして墓地では、
二つのお墓から死体が蘇り、
墓穴から這い出した!!

二体のゾンビは、
生前愛したダイナーに足を向ける。

ダイナーでは掃除屋の女性と
オーナーがいたのだが、
そこに二体のゾンビ
(イギー・ポップ)が現れ、
2人を食い殺し、
大好きだったと思われる
コーヒーを飲み、
ビーカーを持ち去る。

そして翌朝。
常連客から通報を受けた
クリフとロニー、そしてミンディー。

ロニーはこの殺人事件を
ゾンビの仕業であるとクリフに断定する。

via GIPHY

とりあえず聞き流すクリフだったが、
ロニーはずっと悪い結末になるぞと
おかしなことを言い出し始める。

そしてその夜、
さらに死体たちが大量に復活し。。。

2020年6月13日劇場鑑賞 2020年26本目



ジム・ジャームッシュだよ全員集合

4年ぶりのジム・ジャームッシュの映画。
長編映画なら前作は『パターソン』
『パターソン』からアダム・ドライバーが続投。
パードゥン?
そんなカイロ=レンを相棒に
『ブロークンフラワーズ』などの
ビル・マーレイ。
いやウェス・アンダーソン映画の方が多い
気がするし印象強いぞ。

via GIPHY

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
で吸血鬼を演じたティルダ様がゼルダ
と名乗って参戦。
それ以外にもゾンビ役にはイギー・ポップ、
ジム・ジャームッシュの奥さん。
古くから共演している人や、
若手ではケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、
謎のセレーナ・ゴメスの参戦など、
ジム・ジャームッシュの映画仲間たちが、
こぞって参戦し、
彼の新たなるジャンル映画に彩りを
与えてくれている。

久しぶりのトロいゾンビ

流石ジム・ジャームッシュのゾンビ映画
というべきか。

なかなかのオフビートな作品。

近年のゾンビ映画はゾンビが走るとか
新種発見で死ににくいとか、
テレビゲームの『バイオハザード』なのか
『ラスト・オブ・アス』の変異体という
怪物染みたものが増えてきているが、
今作は初期のゾンビのノロノロとして、
物量責めにも似た元来のゾンビで熱い!
ちゃんとゴア表現もあって、
昔日の吸血鬼映画
『オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ』
とは違う、古典的なジャンル映画なのだが、
中心人物のビル・マーレイの動揺の無さ
逆に動揺とは違う不思議な感覚で事態を静観す
アダム・ドライバーという、
妙な2人が中心にいるので、ホラー映画という
よりは完全にゆるいコメディ映画なのだ。

挙句にビル・マーレイと言えば、
アダム・ドライバーを褒めたり、
アダム・ドライバーに苛立ったりと、
ズレた感覚すぎる。笑

しかし致命的な部分もある。
終盤の監督の意図がわかれば納得だが、
登場人物が多すぎるのだ。

登場人物が多すぎてドラマが浅い

正直面白くなかった
しかし全く嫌いじゃない、
むしろ好きだ

その原因はやはり多すぎる登場人物かな。

ジム・ジャームッシュの仲間たちが
多数集結した本作。
そのやり口はウェス・アンダーソンに
似ているような気がしたが、
ウェス・アンダーソンは、あれはあれで
ワンシーンだけとかのゲスト感を出してくれる

しかし本作ではそれぞれの立場のキャラクター
がそれぞれ同じくらいの時間描かれている。

映画の冒頭でこの映画の舞台となる各地を
なぜかしょうかいし、
そこでのエピソードが多数ある。

少年院、ダイナー、雑貨屋、モーテル、
警察署、墓地、森。

この田舎町にある各所の人々が、
それぞれ描かれ、それぞれスケッチされる。

海外ドラマとかならわかるが、
映画としたら時間が足りないし、
話が進まないし、話が深くできない。

それ相応に退場していくキャラクター、

まぁそういうジャンル映画だしね。

ネタバレ:『ゾンビ』が描いた物質主義への警報

via GIPHY

ジム・ジャームッシュはホラー映画ではない、
またゾンビよりも人間が恐ろしいという、
別の主張の前に
まず『ゾンビ』とはなんだったのかを
その要素の再分解と再主張を行った。

本作のゾンビは、
生きていた時と同じ行動を起こしてしまう。
スマートフォンをいじったり、
Bluetoothを探したり、Wi-Fiを探したり、
そして行きつけのお店におやつを
買いに行ったり、
工務店に行ったり。

無意識のまま社会の作った資本主義の
ルール、物質主義を行い、
コーヒーを飲むためにダイナーに行く。
物を買うルーティンのルールに従い、
ルールに載っとて生きる、
考えるのをやめた
円環の一部となった人間のメタファだ。

生きてても死んでても資本を使い、
その価値よりもその繰り返しを営むという
体制の枠組みに置かれた存在を皮肉っている。
脳味噌にも価値はないから、
今作のゾンビは脳味噌を食べない。
何も意味がないからだ。

そして本作にて生き残ったものたちを見ると
世を捨てた森に住むボブ。
飼われていた動物たちはそれをやめて、
森に帰ったことでルールから逸脱した。
そしてルールに入ることができなかった
少年院の少年少女。

逆にセレーナ・ゴメスたちは、
物質主義にてお菓子やエナジードリンク、
そしてファッションに傾倒しており死亡。

ティルダ・ウィストンは、
武士道に傾倒したことで、
ルールの枠組みから逸脱。
そもそも宇宙人だったという
わけで、ルール無視のため、脱出。

上記のキャラクター以外は全て死亡。
オタクも映画やアメコミというものに
お金を払っているので死亡。

そして本編中にジム・ジャームッシュから
脚本を渡されてたというアダム・ドライバー
も本作ではもちろん死ぬ。
彼は俳優という映画製作の枠組みの中で
生きているから、
次なる映画に出続けるかれもまた
資本主義のゾンビなのだ。

そしてわかるだろうが、
私たち映画観客もまた映画を見るという
経済活動を行うことをもはやルールを持って
生きているのでゾンビなのだ。

私たちはゾンビだったのだ。

だからこそ今作は登場人物が多かった。
その枠組みを比喩する為のメタ的な
ツールだったのだ。

なんとも作家性というか
主張の強い映画だった

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 7.4/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 6/10

65点

評判悪いのはわかるが、
嫌いじゃなかった。

おすすめ映画かと言われれば、
それは違うかもしれないが、
アダム・ドライバーが好きな人
ビル・マーレイが好きな人にはおすすめ。
実在の歌手がテーマソング歌ってるし、
ゾンビになってんのも笑った。

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アダム・ドライバー
インディペンデント系映画監督に
引っ張りだこ

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