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☆おおかみこどもの雨と雪 2012年度55本目☆「皆が絶賛するのは納得です!!」

「皆が絶賛するのは納得です!!」

『A Little his REDEMPTION.』映画オタクの映画批評~season Ⅶ~-おおかみこどもの雨と雪
日本2012年日本制作日本

監督
細田守
(サマーウォーズ、時をかける少女、ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島、デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!)
予告編

映画あらすじネタバレ有り映画
女子大学生の花は講義の最中、1人の不思議な男の人を発見する。興味を持った花は彼に急接近。彼が、花の大学の学生でないと知った花は彼の為に、教科書をコピーしたりと彼に協力するうちに二人は恋に落ちる。
ラブラブな二人に待っていたのは、彼が告げる驚愕の秘密だった。
それは彼は人間ではなく、人間と狼のハーフの狼人間だったのだ。
それでも花は彼を受け入れ、二人はついに結ばれるのだった。
しかしうっかり子供が出来てしまった花は、学校を休学し彼との子供を育てる。
そして二人目の子供を2年後更に妊娠してしまった花。二人目が生まれたのだが、彼が帰ってこない。嫌な予感を感じ探しに行った花は、巨大な狼の死体が処理されているのを目撃する。
それからは一人で二人の子供を育てることになるのだが、二人も勿論狼人間だった。
普通の育て方が正しいのか非常に苦労する花。そして世間から疎まれ、役所を敵に回してしまう花は、引越しを決意する。
花が選んだのは人里離れた山に面した田舎だった。
ここで子供達との第2の生活を始める花と娘の雪とその弟の雨だった。
2012年7月29日鑑賞
映画感想映画
『サマーウォーズ』で多くの映画ファンの心も鷲掴みしたアニメ映画監督の細田守監督。
2012年の彼の最新作は、狼人間の物語だった。
その第一報に映画ファンとしてそれなりにがっかりした自分だった。
狼人間とその子供達の物語って、しかも二人いるって、それってなんかエンターテイメント色薄くない?
前作の『サマーウォーズ』では、最先端の世界観、ネットワーク社会を舞台にしながら、その根底にあるのは、人間の家族としてのつながりの絆の力強さだった。世界は変わりつつあるけど変わらない普遍的なもの良さ、その最先端と古き者の良さを同時に描きエンターテイメントとしても面白かったのだが、今作の『おおかみこどもの雨と雪』は『ダークナイトライジング』だとか『トランスフォーマー』に比べたら非常に退屈そうな真面目な映画にしか見えないな。
という個人的主観から敬遠していたわけだが、周りでの見た人見た人に話しを伺えば、話しの中身は筆者の想定した物語が繰り広げられるにしても皆がみんな絶賛するというなかなか珍しい、これは初心に帰って映画好きとして鑑賞してやろうと思い鑑賞に至ったのだった。
正直言えば、アニメファンでも無いので、そんなに上手いこと言える自身も無いのだが、これは想定していた以上に面白い。
見終わった感想と言えば、ジブリの初期の頃『となりのトトロ』やらうんちゃらかんちゃらを鑑賞した時の感想に似ているのだが、それ以上にやはりアニメからシンプルで力強い何かを感じて普通に面白かった。
自分の感想の書き方としては物語の1から10を順々に追いかけて断片的に判別するのが趣味なのだが、本作の感想としてはそれは向いていないと思われる。
何故なら物語はオーソドックスだ。
狼男と出会った主人公の女子大学生が彼と恋に落ちて、妊娠して夫に先立たれ1人で二人の子供を育てることになり、都会から逃げ出し、田舎に来てその成長を追いかける。
時間軸にすれば10年以上が描かれる作品になる。
本作をジブリ映画と勘違いして見せる方々もいるが、正直言えば細田さんはなかなかエグいことを思いつく監督だった。
冒頭で狼形態の彼と花がベッドインするシーンがあるが、これが表層的に見れば獣姦シーンである。(苦笑)
そしてこれまたこの映画が好きな人には罵倒を受けそうだが、花と狼は速攻で子供を二人も作ってしまうわけだ。しかも花はまだ19歳とかでだ。なかなか盛んと言うか、そもそも狼さんにコンドームはつけられないぐらいやっぱり凄いのだろうか。
いやそれでも速攻で2人も妊娠させちゃう彼らの性欲というか、花さんのそういう知識の無さには、少々ひくものがある。
しかしそれはこの映画の一番の要素である狼子供たちの成長を描く上で欠かせないプロットであるので、その突っ込み自体はただ映画の足を引っ張るだけで一番大事な所を見失った意見であることは承知である。
それでも冒頭からの描写は細やかだった。狼男の職場にやたら家族が登場するのも狼男自身が家族というものに憧れている投影だったりと、そういう演出出来てる時点で映画として上質だったりする。
あとこれは感銘したエグいシーンだったのだが、凄く自分には印象的だったのは、狼男が死んでいるシーン。それがまさに怪物の死体。それが人間のように埋葬されるのでなく、ゴミとして収集車の中に入れられてミンチにされるシーン。これだけでも自分的にはPG12指定の映画になるに違いないとも思えるし細田監督はエグいことを思いつくなと本当に感心した。
しかもその表層的意味よりも暗喩として狼人間として生まれた人間の末路を描いてもいて、これから花が抱えていく二人の子供達も同じ運命を背負いつつあるというなかなか深いシーン。
いやもう、そういうの出来る時点で映画オタクとしては感激かな。
それでも序盤は退屈だったりする。本作ではアニメーションと言いつつも前作の『サマーウォーズ』同様コンピュータ技術を精力的に仕様している。それが都会の町並みで序盤仕様されていたのだが、それが結構違和感だった。妙にキャラが浮いていた。でもそれ『時をかける少女』でもあったかな?日常を描くにしては、ちょっとなぁー。
また思った以上に映画は緻密に田舎に行くまでを描いていた。現実的問題を抱えて、田舎に行く。
だがその田舎に行くにしても決して安易ではなかった「定年した人が田舎に住みたいとか言うんですけど、みんな都会に戻って行くんですよね。」
映画は決して田舎は良いとことして描くのではなく、花は田舎で暮らすことを自ら選ぶことを描いている。
そういう細やかさが見事なのです。パンフ見てみると脚本を担当したのが『八日目の蝉』の人らしく『サマーウォーズ』でも脚本担当だとか、監督も今作は書いたらしいけど、実に良いよね。日本にしてはクリエイティブでハリウッドよりの製作な感じを感じるよね。
そこからは田舎あるあると花の頑張りやら雨やら雪のふんだんに解放されたパワーが描かれる。
結局オレ1から10まで描こうとしているやないか…。
しかし映画は『となりのトトロ』の冒頭だけで終わるわけではない!!
ここからが映画の大筋とも言える。
それは雪と雨のおおかみこどもとしての人生の選択だ。花自身がお互いの為に田舎に来たわけだその選択は、思った通りとも言えるのだが、やはりその細やかさは見事。
花の田舎の生活の奮闘の中でやはり大事な人と人とのつながりを本作でも描きつつも、独特のテーマである狼か人間かの選択も普通に面白い。
まぁーちょっと雪の狼度合いがちょっと薄かったけどねぇ。
まぁーここいらでネタバレをせずにね。アニメにしては野生動物たちがとても生き生きしていて凄かった。ああいうのだけでも全然楽しめた。
終盤ちょっと長いかなと思えたけど、凄い出来の良さでした。
とりあえずクソオススメですよ。全く!!
またこの映画で描かれるのが雪が中学校に入るまで、あれれ彼らの大人になるまで描かないの?とお思いでしたらそれはシャーラップです。
狼は10歳で十分大人なのです。
雨の顛末が絶妙に上京していく息子を思う母親に重なり、そういう意味でもグッドな脚本でした。
雪が無事に人間に溶け込めますように。
メモ得点メモ
9
色んなシーンで子供向けとは思えない要素が盛り込まれてきますが、これは映画好きなら見てほしい一品。あの田舎を疾走する映像はジブリのようでした。そういうとこ制作の日本テレビも狙っているんだろうな!!細田さんの今後が期待。これ足掛け4年の制作だったみたいだし。ガチクリエイターで感動的だわ。
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実は『ダークナイトライジング』より楽しめた。(笑)
パンフの氷川さんのコラムまじ凄かったので映画好きはパンフ熟読しましょう。感想書くのが恥ずかしくなりますぜ。
あと監督って一体なにしているんだろうか?という疑問が生まれたが、多分初期原案とか全体のイメージのクリエイティブの根源が彼なんだろうなぁーとまじまじ。監督というよりは演出の総括って感じかな?

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