「33年の時を経て最新技術で初代『エイリアン』が年老いた巨匠の手で蘇る」
監督
リドリー・スコット
(『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』『アメリカンギャングスター』『ワールド・オブ・ライズ』『ロビン・フッド』)
出演
ナオミ・ラパス
(『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(オリジナル版3作))
マイケル・ファスベンダー
(『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』『SHAME -シェイム-』)
シャーリーズ・セロン
(『△ヤング≒アダルト』『モンスター』『イーオン・フラックス』)
ガイ・ピアース
(『メメント』『ハート・ロッカー』『L.A.コンフィデンシャル』『ダーク・フェアリー』『英国王のスピーチ』)
あらすじネタバレ有り
それは2万年前のことなのかもしれない。一つの黒い物体が空を舞っている。そこに現れたムキムキな白い人間のようなものは、突如黒い液体を飲み始める。すると彼の体はボロボロになっていき、彼は遺伝子レベルまで分解して滝壺に落ちて行った。そして黒い物体は空の彼方に消えてしまった。
時代は2089年。考古学者のエリザベス・ショウ(ナオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイは恋愛関係で二人は、人類の起源を探していた。そして二人はついにスコットランドで古代文明の複数の遺跡内で共通の座標が描かれていることで彼らは二人を宇宙人が招いていると考え、人類を生み出したものたちがいる可能性のある星に年老いたウィーランド(ガイ・ピアース)社長が出資しプロメテウス号を作成し、エリザベスたちは旅立つのだった。
2093年。アンドロイドであるデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は、出発してから2年間、乗組員たちの冷凍睡眠を管理し、独自の成長を遂げていた。
そしてついに星についたことによりエリザベスを含む17名の乗組員が目覚めるのだった。
未知の荒涼とした砂だらけの惑星に降り立った彼ら、そして乗組員の一人であるメレディス・ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)はウィーランド社の役員であり、またこの人類の創始者の発見以外に別の目論みがあるようだ。
エリザベスたちの夢の実現、そしてヴィッカーズの黒い願望、そして子供同然の精神を兼ね備えたアンドロイドであるデヴィッドの好奇心、各々の実情を抱えながらこの星にある謎の空洞に調査に向かうのだが、その遥か先にあったものは…。
2012年8月11日鑑賞
感想
リドリー・スコットが『ロビン・フッド』以来の2年ぶりの最新作。2012年で計算するとリドリー・スコットはもう74歳。十分引退当然の年齢です。なんだかんだでコッポラよりも年上のリドリー。いやもう前作の『ロビン・フッド』を見た筆者としては、もうそろそろ映画撮れないんじゃね?とも思っていたが、なんと『エイリアン』シリーズのメガホンを再度取ることになったわけですよ。\(゜□゜)/ホゲー!!
まぁー『エイリアン』の新作はフォックス的に欲しかったわけですが、色々あって、ここ5年以内まではお蔵入りしていたけど、結局リドリーがメガホンを取ることになっていたのですがね。
んで内容は当初『エイリアン』ビギンズを想定していたけど、脚本を書き直すことを続けて行くうちに面白いアイデアがいっぱい出た結果『エイリアン』シリーズのDNAを含ませながら、人類の起源を探求しに宇宙に旅立つという、新たな進化論を求めるSF宇宙アドベンチャー兼スリラーとしてギリシャ神話のプロメテウスのお話を巧みに利用して映画のタイトルを『プロメテウス』にしたというわけ。
ギリシャ神話のプロメテウスって?
人間に知識(火)を与えた神様で、その愚かな行いのせいで神の神に嫌われた人。
それぐらいしかわからん。
さてさてそういうわけで、見たのですがね。あ。勿論IMAX3Dですよ。
これ個人的には、かなりのドツボでしたよ。
映画の冒頭からかなり口ポカーンでしてね。
いきなり真っ白でムキムキなアメリカ人みたいなのが上裸で登場して、その後ろでは『2001年宇宙の旅』のモノリスみたいなのがブワーンと浮かんでいてね。
そんでマッチョが変な液体を飲むと体が分解されて、遺伝子レベルまで分解されちゃうわけよ。
そんで舞台が未来の地球に変わって、宇宙に旅立つんだけど、そこから『エイリアン』と全く同じようなやり方でタイトルロゴが出るのよ!!もう興奮は絶頂だよね。本当に。
そしてそこから宇宙船に物語の舞台がシフト。
デカチンマグニートことマイケル・ファスベンダーが出てくるのだが、これもまたにやりなんですが、オープンにアンドロイドなんですよ。
それがまた体は大人というか万能な肉体を手に入れながらもあと知識もね。でも精神は完全に未発達な子供。それでいて露骨に機械的な動きを入念に披露するわけ。いやもうマイケル・ファスベンダーさんの評価個人的に株上がりまくり。
それだけでもうさ『エイリアン』の展開が思い浮かんじゃって、あーもうこいうのがまた問題を起こすのかな!!楽しみ!!てかめちゃめちゃオマージュ捧げているじゃん!!と感心。
この時点でリドリー・スコット全然老いても映画撮れてるやん!!
そんでそのコンピューターでありながらも自意識を持っている感じがさ『2001年宇宙の旅』のHALの件にも想定して、また唯一の全知全能であるという点もなんかぐっと来てさ。
むしろデビッドこそがプロメテウスにあたる火を与えられた人間に当てはまって、彼の知的好奇心が乗組員たちを破滅に向かわせるのではないか?と凄く興奮した。
その予感が徐々に映画に当てはまってきて、彼がどんどん映画内のガジェットを駆使して、不安要素を増やして行く、慎重になりたい所で、我先におもちゃに飛びつく子供のようにセンサーを起動させまくるデビッド。もうテンション上がりまくり。
それ意外にも主役なエリザベスを演じるナオミ・ラパスはこれがハリウッド作品2作目にして主役というやばさ。まぁー『ミレニアム』シリーズで主役はって多大な評価を得ているしね!!
またシャーリーズ・セロンも悪役のような人柄の役柄を演じるのだが、初登場からコールド・スリープに目覚めた直後に腕立て伏せをするというむしろかなりの野心的なキャラクターがそこから描かれていて、ホクホクしてますな。
そんなキャラも物語も立った状態で映像もIMAXを最大に利用した大画面にピッタリな細かな映像が山ほどあって、もう序盤は個人的に最高!!
そこからは、『エイリアン』の起源を求める観客としての立場と、登場人物たちが洞窟を探索する中で、おーこれはもしや『エイリアン』のあれなのでは!?とガジェットを探すのに終始。
おおお!!クィーンエイリアンが石碑に!!つまりここはエイリアン発祥の地!!などなど。
そして物語は徐々に怪物映画色を強めて行き、スリラー要素も増えながら、デヴィッドの暴走ぶりも凄い。彼がところどころ往年の映画の台詞を用いるがたまらん!!
そして遂に牙を剥いた怪物要素!!そこからは徐々に『エイリアン』の前日譚要素を絡め始めて、乗組員を惨殺していく。まぁーそこはもう予定調和な感じかな。
また期待していたデヴィッドの暴走は、あるキャラクターにより、暴走というよりは指示に従っていた?と思えるようになっていき、その論点も消え果てて、スリラー要素や大作要素が一気に増して行く。
しかしラストの落ち着いてエリザベスだけになった際の個室でのエイリアンとの戦いはやはり初代『エイリアン』のオマージュのようでニヤニヤが止まらないし、予定調和とも言えるが、無事にエイリアンが誕生するフラグもたったので良かった。
全体的に見るとワクワク感だとか、人類の起源とかの宇宙描写の広がりが『エイリアン』へつづくための予定調和のおかげでかなり制約がかかってしまっているように思えたし、特に乗組員がどんどん死んで行って、ジャンルが一気にスリラーに変わっちゃう感じが、ちょっと賛否両論かもしれない。
上映時間が2時間程だから正直言えばこの手の映画にしては急展開になりがちだけどさ、終盤の迫力はやっぱりすごいし、3D踏まえてのこの映画の全体の画作りはすごく良い!!全体的にデザインが最高にクールだしね。そういうガジェットだとか過去作の要素も大事にしているし凄く良い!!
またリドリー・スコットが描く人類の物語というと正直『ブレードランナー』に近い要素があって、あれも原作ほとんど無視で、終盤には主人公自体が人間じゃなくてアンドロイドなのかもしれないとか描いたりして、ある意味人間とはいったい何なのか?を考える要素がまさかのリドリーの人生の終盤の中でその要素を再度描いて、デヴィッドのようなキャラクターを活躍させるのがやはり凄いし、そういうつながりも垣間見られて、マジで最高!!
またディヴィッドのキャラクターが逸脱で、そもそもこんな自体になったのはアンドロイドである全部彼のせい!!映画内では、彼に指示を出していた人がいそうだけど、それも実際曖昧で、そもそも彼が人類の始祖に嘘を古代語で言って自由を獲得しようとしたとも考えられる。
また映画としての問題は、この映画全てにおいて曖昧。
根拠がなく設定も見えないまま物語が進行していくことが多い。
これは正直わざととも思える。見ている側に委ねている傾向にあって、観客の知的好奇心をくすぐりながら、論理を立てて、繋げることで映画を完成させようとしているように思える。
先ほど言ったデビッドが実は全ての元凶というのも筆者の憶測で、彼は本当は命令通り動いていただけかもしれない。
だからこの映画見た人によって、解釈が違うかもしれない。
冒頭で、宇宙人が自身をDNAまで分解させて生命を誕生させる描写もあるが、あれも正確な根拠はないように見えるし、あのシーンが古代の地球であることも明確には描かれていなかった。
映画全体がわざと不明確に作られているのも賛否両論だろうな。
また更に、ビジュアル面もやはり面白い。
宇宙人のビジュアルやらスペースジョッキーやらも最高だが、エイリアンの幼生が完全にチンコの化け物!!中盤はまんこの化け物!!という最高なあれ。
またIMAXで見た帝王切開は凄まじく怖かった。あのシーンは近年見た中でもかなりエキサイティングなシーンだった。マジ怖い。あの謎の物質の砂嵐とかマジヤバいね!!
あと艦長たちのハングオン!!で突撃するシーンは一緒に手を上げそうになった!!あれは『エイリアン3』のオマージュなんだってね!!
その他にもスペースジョッキーの宇宙MAPのシーンは『アイアンマン2』のスタークエキスポが設計図になるシーンみたいで、それの数倍やばかった!!IMAXだとああいうのマジやばいね!!
首だけマイケル・ファスベンダーがトラウマ並にエキサイティング!!デカいチンコだったりマグニートやったりだけど、この首だけデヴィッドも最高だよあんた!!
ナオミ・ラパスも普通に好演だったし、そういえばシャーリーズ・セロンはロボットかもしれないらしいじゃない!?それは完全根拠なさそうだけど、それもまたこの映画らしくてあやふやな所だよね!!
そう言ったあやふややらで、あと急展開に驚愕のスリラーに変化する所で、映画好きでも酷評がある本作だけども、やはり自分は賛辞を送ろうと思う。74歳でここまで知的好奇心を揺さぶってそれでいて終盤にはハリウッド的で初代『エイリアン』を意識しまくった感じで、まぁーラストちょっとへぇーこりゃ問題なく2できるなぁー。とか思ったけどさ。
これはなかなか力作だし、良いもの見せてもらったわ!!
得点
9点
悩んだ結果、かなり高得点にすることにした!!正直おれ冒頭のシーンが全く意味わからなかったけど、人に解釈聞いたら色々わかった。
まぁーそれでもエイリアンの正体が生物兵器で、人類の始祖の一部はそれに逆にやられたというのは、ちょっとださい感じかな?
別枠でそれぞれ『エイリアン ビギンズ』と『プロメテウス』(『ブレードランナー』と『2001年宇宙の旅』足した映画)が見たかったという本音もある。
宇宙もののスリラーとしてはオーソドックスに『月に囚われた男』の方が面白いかもしれないな。
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みんな『バットマンビギンズ』見直さなくて良いから『エイリアン』は見直すべきだよ!!
あと配給会社はもう少し予告編制作を改めるべき。映画の内容がかなり予告で出まくってしまって、映画の展開が安易に読めるようになっていた。それは映画を見る価値を無くす。客寄せばかりじゃなくて、見る側への配慮も必要。展開がわかるような予告はハイライトだよカス!!死ね!!
あ!!そいえば翻訳戸田奈津子さんでした!!危険や!!
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