2013年52本目
2013年72本目(2013年6月20日IMAX鑑賞)
「大作SF映画のオマージュのごった煮。」
サントラの楽曲を聴きながら感想を読んでみては?(笑)
あらすじはこちら。
オブリビオンジャパンプレミアの感想はこちら。
2013年6月20日に再鑑賞したので、一部改訂して再アップしました。
とても上映時間が長く感じた。
これは正確には映画が悪いというよりは、ジャパンプレミアの開始時間を混ぜて、始まったのが夜21時近くで、終了したのが23時だったから。というこの日の体感時間を含めて、長く感じたというのが正確にこの時の映画体験だった。つまりこの感覚はあてにならない。しかし映画の途中で、なかなか話しが進まず、予告編では早々にモーガン・フリーマンが出てくるのだが、映画では45分経たなければ、出てこないように感じ、大筋に進むかと思いきや、サブストーリーとも思える主人公の過去の物語に走ってしまったり、敵の陰謀に走ってしまったりと映画の本筋がなかなか進まないからという感じもする。
ここから本番の感想かな?
この映画の主題はどれなのか?
『トロン:レガシー』の監督二作目になる本作は、予告編では近未来を舞台にした破滅後の地球を舞台にしたSF映画だ。
このプロットだけを見れば、本作はウィル・スミスが主役を演じた破滅後の地球を舞台にした映画『アイアム・レジェンド』に似てもいる。最後の生き残りになったウィル・スミスは、孤独を抱え乍らも強く生きて行く、『アイアム・レジェンド』はその最中吸血鬼と戦いながらも生き残りを見つけ、世界を救う映画だ。
本作も映画の冒頭はそれに近いものがあるが、あくまでも本作の主人公は、自由の為に規定期間の任務に従事し、更には仕事と生活のパートナーを得ており、ハードさはない。一応敵はいるものの決して彼に危害を加えるものではない。
この映画は一見すれば、隠された秘密を抱える広大な世界を舞台にしたSF映画だ。
しかしよくよく見てみるとジャックとヴィクトリアの恋愛関係が色濃く描かれ、そこにジャックとの本妻が現れるという異様な三角関係に発展する。
また元々ジャックは、夢に見た女性との思い出に苦しんでおり、それが具現化したことにより、物語はSFアクション大作から、なんだかよくわからない恋愛映画に発展して行く。
その複雑に入り組んだ事象の中から、世界の秘密と自分自身の秘密に直面したジャックは、世界の真実と向き合い、人類反抗作戦の重要人物として世界を救う…。
とまとめてみると傑作な感じがするんだが…。
それでこの映画の一番特徴的だったことは何だろう…。そう考えてみるといまいち無いのだ。
確かに大筋を考えれば面白いが、どれもが輝いていない…。
むしろ数々作られてきた大作SF映画の設定を拝借したまとまりの無い物語とも言える。
例えば、主人公のジャックが身に覚えのない恋人を思うというのは、視聴したことは無いが、SF映画の『惑星ソラリス』に似ている部分もあるのではないか?
更には、壊滅した世界で決まった期間に任務をこなし、もうすぐそれも終わるという設定は新鋭ダンカン・ジョーンズ監督の『月に囚われた男』を拝借し、映画の核心部分もこの作品から持ってきたかのように思える。
またラスボスの雰囲気は『2001年宇宙の旅』のような高度な生命体だったり、更には人間達の姿は『プレデター』のようだったし。
飛行機のデザインは監督の一作目『トロン・レガシー』を彷彿させる。
また空中戦も『スター・ウォーズ 新たなる希望』の終盤を感じさせる。特にドローンが丸型なのが、帝国の航空機を思わせる。
また敵の宇宙生命体の目的が地球の水っていう設定はまさかの『世界侵略:ロサンゼルス決戦』と一緒。笑える。
更には、無人機が人間を惨殺し、人間の基地を強襲するのは、『ターミネーター4』や『ターミネーター3』を彷彿させ、人間達が反乱を企てようとすることやその生活スタイルも『ターミネーター4』のようだし。ラストシーンで人類が基地から出てくるのだが、ピンチに立たされるのだが、勝ってしまうのは『スターウォーズ ジェダイの帰還』の反乱軍の勝利のようにも見えた…。
そんな既視感の多さに映画自体には興奮を覚えなかったし、結果的にどれもが、それらの映画たちを超えることも出来ず、オマージュをしていた事実だけしか残らない。
『月に囚われた男』に似てると思ったあたりからは、ストーリーの核心が想像ついてしまったので、かなりキツい。
またスカヴが露骨に予告で人間バレしていたののも関わらずなかなかそれがばらされず、ジャックが作為的に仕組まれた恋人(なんかそういう映画あったよね。)といちゃいちゃしたり、本当の奥さんと再会したりと、いまいちSF的にも盛り上がりに欠けてしまっている…。
ようやくスカヴの正体がわかっても反抗作戦を企てていることがわかっても、これまで配置してきたSF映画としての秘密を回収する機会が多く、全体的に盛り上がりにかける。
しかし音楽はダフト・パンクが担当していないにも関わらず『トロン:レガシー』のサントラを思わせる重低音が轟々と鳴り響いているので、異様に盛り上がっている。
だが、問題は、それすらも疲労感を観客に与えてしまうということだ…。
トム・クルーズの主演映画としてのコメディ性はどうだろうか?
『ナイト&デイ』あたりからトム・クルーズは自身の人間性を映画に反映させる傾向にあるように私は思う。それはアメリカで活躍するコメディアンが映画に出るときの、コメディ映画の魅力のひとつであり、それこそが映画の醍醐味であり、スターが出る映画の醍醐味であると思う。
トム・クルーズもまさにそのようになってきたと思い、自分はワクワクしてきた。
『ゴーストプロトコル』『アウトロー』ではトム・クルーズ臭が良い感じに出てきて、非常に楽しませてもらった。『ロック・オブ・エイジス』も良かったよね。(笑)
それでは今作ではどうだろうか?
残念ながら今作のプロデューサーにトム・クルーズはいない。
トム・クルーズは製作に携わっていないので、神経質に演技を演じるにとどまっている。
今作のトムは、やたら緩かったり、チャーミングだったりはしない。
2000年代ぐらいまでのトム・クルーズだ。
また役柄もかなり複雑で、ネタをばらせば、ジャック・ハーパーのクローン人間でありながら、記憶も消されているけども、何故かジャック本人の過去の記憶を思い出し始めており、映画自体も主人公が隠された世界の秘密に困惑するという役柄なので、持ち前の紳士さやチャーミングさは今作では欠如しており、むしろ素朴で無個性なキャラクターでありアンドロイドのように表情が固い。トム・クルーズのコメディ性はラストシーンまでおあずけだ。(むしろあることが救い!!)
オタク監督の二作目としてはどうだろうか?
今作の元ネタは、なんと監督自身が執筆したコミックというのは、驚きだ。出版はされてはいないものの、やはり監督の映画愛は並々ならぬものはあると思う。
この映画の持っているデザイン性は素晴らしく高い。素晴らしい様式美を随所に感じさせ、非常に美しい。トム・クルーズが語るには、わざわざハワイに空を撮影に行って、その映像を背景に流して映画を撮影する程クリエイティブな監督。どうしてそんな自由が許されるのだろうか?『トロン:レガシー』だっていまいち不評だったのでは?(おれはそこそこ好きでした。)
でも『トロン:レガシー』もデザイン性は最高だった。オリビア・ワイルドをあんな風な異世界のSF女に仕立てたのは監督のオタクハイセンスあってだと思うし、結構惚れた。敵もかっこ良かったし、無駄に武士道していたとこも良い。
是非ともIMAXの大画面で見てほしい。
映画自体はあまり面白くなかったし、なんだか長ったらしい感じだったが、この映画今言った様式美が逸脱なので、とても気持ちいい。
更にはソニーの最新のカメラF65とか言う最高のカメラを用いた映像の綺麗さは群を抜いている。
まぁー変態映画監督たちの映画には足下に及ばないが、美しく広がる世界を体感するという意味では是非IMAXで見てほしい。
映画自体は面白く無いので、出来るだけ映画に入り込む気持ちでぶつかると良い。
本当に新型カメラがすごくて、監督の大画面意識が素晴らしく、人を撮るのは結構下手だが、映像は気持ちいいと思うので!!
しかしオタク監督の性なのか、いまいち演出力が足りない…。
一応恋愛が無駄に話しに織り込まれていたのだが、それも別になんだかなぁーという感じ。
ウシャウスキー姉弟までの道のりはまだまだ険しい。なんせアクションなどを撮るのはまだまだ苦手みたいだから。ギレルモ・デル・トロとかに方向性が近く、建築好きな感じ。(キューブリック寄りか?)
でも二作目で製作に絡んで、こんな大スケールの映画を撮るんだから十分大物ですよね。
監督は10代の頃『トップガン』を映画館で見て、今はトムと一緒に仕事してる!!って言ってた。こんな若くてキャリアの少ない監督の下で働くとかやりたい放題できそうだけどもトムも懐でかいよな。
あと最後になるが音楽の担当はフランスのM83というエレクトロまたはシューゲイザーを得意としたバンドのようだ。結構有名。
流石監督、センスだけは良い。
でも前回のダフト・パンクのトロン:レガシーのサントラを所持している自分としては、結構似てるよな。
情報元はこちら。英語版『オブリビオン』のWikipedia。
IMAXで見直した。
本作『オブリビオン』があまりにもIMAXと相性が良い映画なので、IMAXで見直しました。
やっぱり大迫力で音が良かった。
あと二回目の鑑賞で思ったのだが、オルガキュリンコのトムの本妻の視点で観ると発見直後の3角関係のドロドロが非常に面白い。(笑)
ここでは、まさに浦島太郎状態のヒロイン。だって夫が昔一緒に働いていた女と異世界で仲良く暮らしているんだから!!
しかも自分のことを誰だか知らない!!
実際はクローンだからわからないんだけどね。これは想像すると結構ホラー。こんな面白い描写があったなんて。そのリアクションもリアルだった!!
またこれは、彼女からの意見だが、本作は惜しかった。
多くの映画監督が挑戦している忘却と永遠回帰というオルフェウスの物語が根底にあったのだが、途中でエンタメ回帰してしまい。ちょっとあれだったという。
このオルフェウスというのが、どうやら優れた物語には必ず関わってくるらしい。
記憶と忘却、『オルフェウス教』読了、痛みをともなうことー過去の千切り hatena::diary
そのリンクから抜粋でオルフェウスが紹介されている。
これは、小説を読んでみないとわからないけども、この映画『オブリビオン』どうよう、主人公はこのオルフェウスと『オブリビオン』のジャックは似ているところがあると思う。
特にラストの記憶を引き継ぐ所とか。
これは他人の意見なので、うまいこと言えないが、監督は大事なことをちゃんとやっているということだ。
あとは、やっぱりクリストファー・ノーラン同様でキューブリックの影響を強く受けている、もしくはキューブリックを模倣している映画監督兼オタク。
監督の3作目は期待できるのだが、やはり感情に対しての演出は乏しい。
気がつかなかったが、本作でトムがウケるシーンが少ないのだが、終盤の戦闘機で戦う時の顔がかなり面白かったです。
総評
かなりの製作費がかかっていそうな本作。結果的にヒットとは縁が無さそうだが、かなり頑張っている映画なので是非見てほしい。あんまり面白くないのだが、見終わった後、あの部分はあのSF映画じゃね?とか言い合うと楽しいと思うのだが、内容はトム・クルーズが三角関係したあと本妻の為に命をかけて敵を倒すという展開なので、SFとして深みがなく、浅い。
むしろどのSFネタも浅いのが今作の致命的な欠点だと思う。
恋愛要素も『クラウド・アトラス』のようにSF的な側面でアプローチして面白くできたり『トロン:レガシー』のような禁じ手使っても良かった。
また正直言えば、ジャックが途中で銃で撃たれても無傷だったのには退いた。もしかしたらジャックはアンドロイドなのかもしれない?と思ったのだが、クローン(もしかしたらクローンでもない有機生命体なのかもしれない。)でしかなかったのでがっかり。
むしろアンドロイドにしてしまって『ブレードランナー』的なアンドロイドなのに夢を見てしまうという展開でも大有りだった。(むしろアンドロイドだったのか?いやじゃー52番ももしや…。)しかしラストで『スペースバトルシップヤマト』の森雪お前いつキムタクとやってたんだ?という展開になるので、それも違う…。
いや!!今思ったけど、アンドロイドにしたら傑作になったんじゃね?(笑)
監督はKディックのファンじゃないのかな?おれはファンだよ。(笑)
あとは肉弾戦が見たかった。
あとは、見たかった描写としてはトム・クルーズが大量に出てきて地球人を惨殺するシーン。宇宙船から出てくる大量のトムは見たかったんだけど、そういう遊び心よりSFオタのオマージュが強くて、監督の焦りを感じさせる…。ちぇぇー。
ちなみにちゃんと今作でもモーガン・フリーマンはナレーション(元ネタは『ショーシャンクの空に』だ!!)を終盤でぶちかまします!!お約束!!(そういうことしちゃうからこの監督は詰めが甘い。)
得点
63点
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