「独立記念日。」
2010年アメリカ制作
出演
ライアン・ゴズリング
(ラースと、その彼女)
ミシェル・ウィリアムズ
(ブロークバック・マウンテン)
予告
STORY
現代のアメリカニューヨーク近郊でのお話。結婚して5年が経つ夫婦である、シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)とディーン(ライアン・ゴズリング)は街から遠くに住んでいた。シンディは看護師で、上司から都市部で働くことを提案されていた。ディーンは家族との関係を一番に考えているため、仕事はペンキ塗りをしていて、そこまで大変な仕事でも無く、お酒を飲みながら仕事をしていた。二人には娘がいて、フランキーは彼女を溺愛していた。
そんなある日、飼っていた犬が脱走をして行方不明になったのだ。娘の発表会が控える中、急いで会場に向かう、シンディは道中で愛犬の無惨な姿を発見した…。
娘を彼女の父の家に預けた二人は、悲しみに暮れながらも愛犬を埋葬。
悲しみに耐えられなくなったディーンは、ラブホテルに行く事を強引に決めるが、シンディは翌朝早くから仕事が待っていた、反対のシンディだったが押し切られラブホテルに行く事になるが…。
そして物語は彼らが出会ったことに変わる。
大学生のシンディはムキムキの彼氏と仲睦まじくしていたのだが、その彼がシンディに中出しをしたことをきっかけにシンディは彼を捨てるのだった。
彼女自身家族間に問題もあり、男性不信でもあった。
ディーンは引っ越し屋の仕事の面接にやってくる。今までニューヨークでふらふらとしていたディーン。勿論まともな職も無く、心のままに生きていた。
引っ越し作業中彼は、ふと目にした女性に心を奪われる。それはシンディだった…。
2011年4月28日鑑賞
感想
日本では無名の監督の2作目の映画作品が、もの凄い評価になっている。
脚本は完成するまで11年かかったにも関わらず、直前でアドリブに変更という大胆不敵な展開。そしてあの若手のサンダンス映画祭で上映することもでき、またカンヌ映画祭のある視点部門でも上映され、演技面でもアメリカのマイナーな男優賞や女優賞にノミネートし、権威のあるゴールデングローブ賞にも、主演賞でお互いにノミネートを果たした作品が日本でも公開。
ここまで、概要を話した通り、内容面でも唯一無二の存在である。
一応本作は恋愛映画ではあるが、男女が結ばれるわけではなく、別れるまでを、独特の展開と凝った映像構成で描いた、とても恐ろしい映画だ。
各映画評論系のコンテンツでは本作を多くとりあげ、また論じるにふさわしい奥行きのある映画となっている。
ただ娯楽性としてはとても低く、また設定が大味な為、そういう意味では、そこまで出来は良くないが、映画内で描いた普遍的な問題への描写や着眼点などが逸脱で、映画が好きなら是非見てほしい作品となっている。
類似映画は、タイタニック主演の二人がサム・メんデスに料理されたアンサンブルドラマ、「レボリューショナリー・ロード燃え尽きるまで」また作品構成は恋愛の甘さと苦さを交互に描いた「(500)日のサマー」、見た後の状況は同じくサンダンス映画祭で話題になった「ドニー・ダーコ」だろうか?
この一部分を読んだだけでも、映画好きなら食指が向くだろうし、話題になって、多くの人が見てほしい作品であるが、正直言って、後味が良い作品ではなし。
本作は、ラジオ番組「タマフル」で論じられた通り、とても鬼畜な映画で、見ている人をとことんどん底に落とすわけだ。特にカップルでの鑑賞は要注意の地獄絵図の映画だ。
なぜなら、本作はもの凄く脚本の展開が鬼畜で、それでいて、どこかいそうで、むしろ誰にでも当てはまるようなそんな普遍さを兼ね揃え、また本作のバッドエンドへの行く理由が明確ではなく、むしろ二人とも悪いし、ふたりとも悪くないわけで、それが見ている側の恋愛に少なからず繋がっていき、見ている側の心境を揺さぶる、または傷を残す、恐ろしい映画になっている。
本作は、恋愛を破滅的なものに描いているとも言えるが、それを味わう事が人生の本質であるとも思え、一概に恋愛は破滅であるとは言いがたく、どちらかと言えば、人生の一部を描いた映画であって、ラストシーンでは、ちょうど独立記念日と重なっていて、ディーンとシンディの「インデペンデスデイ」とも思える。
その花火と二人の熱々の写真がとことんドSですが。(苦笑)
筆者は見ている最中は、終始ディーンに感情移入しまくりで、あの女とことん最低だ。と思っていたのですが、一緒に見ていた彼女は、終始シンディに感情移入。
観賞後は、お互いで論争しました。(苦笑)
んでーなるほど、シンディはそう思っていたのか。と思えました。(苦笑)
でー後々、ディーンのことを思うと自分の未来と重なりそうで怖くてしょうがない。
あと見ていて、思ったのが、この映画、ものすっごくエロい。正直この映画が演技面でも好評を得ているのは確かに、夫婦のリアルなあり方を演じて、また普遍的な夫婦を体現したことと脚本が無く、設定と場所だけを与えられて、アドリブで演じた事や、役作りの為に、お互い共同生活をしたり、ライアンゴズリングに至っては、禿かけにまでなったりとしておりますが、性行為のシーンがもの凄く生々しく、また大胆に明確に描かれていて、俳優は体当たりに体を弄ったりと、残酷な描写ではあるものの、ミシェル・ウィリアムズが魅力的で勃起しそうでしたよ。(苦笑)
(でもそのシーンではだいたいミシェル・ウィリアムズの表情がいやがっているんだよね。)
まぁーそういった要素込み込みで、恋愛→セックス→結婚となっているような感じで、本物の恋愛を描いているとも思えて、好評へと繋がる要素だと自分は思います。
まぁー自分個人として、映画としては(500)日のサマーの方が楽しめたんだよね。まぁー時間が経ったり、他方での評価を耳にすると、こっちの方が凄い気がするけど、あっちは楽しい要素もあるけど、こっちはとことん辛辣でさ。
また展開が大胆過ぎるとも思えた。尺内におさめる為か、恋に落ちてから結婚するまでがむしろ長いような?まぁーそれがディーンの個性とも取れるけど。
あと不思議だと思ったのが、ディーンの恋愛に対しての価値観を独白するシーンがあって、それが妙な感じで、ドキュメンタリー映画のようだった。
まぁーそれは個人的な違和感で映画全体にはかかってこないんだけどさ。それが一貫するのかと思ったら、普通の映画構成に戻って、時間軸がバラバラのやつね。でーウクレレが非常に魅力的というか、主演のライアン・ゴズリングは俳優としてかなり魅力的だと実感したなぁー。以前は「ラースとその彼女」で見たけど、難しい役所を見事に物にして、本作でも時間が経ってダメ男を好演していて、それでも憎めなくて、見事に引き込まれた。これから活躍してほしい俳優だ。
タイトルの意味はどうやらトム・ウェイツの楽曲から取ったものらしいが、その根拠がいまいち明確じゃなくて、あまりにもすてき過ぎるタイトルなので、もっと理由があったら最高だった。
映画を離れて思う事は、どうやったらバッドエンドにならないのかと言う事。
むしろ最初からこうなる運命だったとも思えるし、お互い関係に付いて話すと必ず口論になってしまったりと、もう別れるしかないとさえ思えるのだけど。
いったいどうすれば、ディーンは良かったのでしょうかね?
同じく、ライアン・ゴズリングが出演した、「君に読む物語」の原作の方の続編では、別れる寸前の夫婦が愛を取り戻す話として描かれてますが、その中身では、夫の方が、今まで目を向けてこなかった掃除や家事、家族との関係などを一から見直し、最後には結婚記念日の為に、義理の父の家を新築の様にまでして、花壇いっぱいに花を咲かせ、妻を驚きに満ちた結婚記念日をプレゼントし、最後に「もう一度結婚してくれないか?」と問うというのがあるんですが、こうすれば良いのかもしれませんね。
ブルーバレンタイン2、是非期待します。
てか君に読む物語の続編読んでる俺すごい。(笑)
得点
6点
映画が好きな人にはおすすめだが、どこまでこの映画にのめり込めるかが問題。あと決して楽しくなく、問題定義的映画だから。何が正解かはあなた次第。
じゃ。またね。
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