◎【85点】ウルフウォーカー【解説・考察:木版画のような映像美がすごい】◎

『ウルフウォーカー』感想:一言でいうと

Apple TV+で『ウルフウォーカー』を鑑賞。hisSCOREは85点。木版画のような街と、曲線的で生命力のある森を対照的に描く映像がとにかく凄くて、「こんな絵で映画を見せるのか」と最後まで見入ってしまいました。

物語自体は、支配する側と森で自由に生きる側がぶつかる比較的シンプルなもの。ただ、ロビンと父ビルの関係や護国卿との対立を、2時間未満で寄り道せず駆け抜けるので見応えは十分。娘も最初はゲームをしながら見ていましたが、途中から手を止めてだいぶ見入っていました。

この記事では、町と森で変わる作画の面白さや、ロビン、メーヴ、ビル、護国卿の関係を中心に感想を書いています。ここから先は結末を含むネタバレがあります。

製作

2020年アイルランド・ルクセンブルク・フランス映画

監督

トム・ムーア、ロス・スチュアート
トム・ムーア監督作
・ブレンダンとケルズの秘密
・ソング・オブ・ザ・シー 海のうた

2026年8月9日Apple TV+ 自宅鑑賞
2026年27本目

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IMDb 8.0の高評価アニメ|コロナ禍にApple TV+で配信

娘とリビングで過ごす必要があり、子供が見れる良作を探したところ、見てなかった『ウルフウォーカー』があったので今回鑑賞することにしました。

2020年9月にトロント映画祭で初公開された本作ですが、2020年は世界的なコロナ禍の影響で、映画館の休館や作品の公開延期が相次いだ時期でした。
日本でも春の緊急事態宣言以降、映画館はまだ安全じゃないという印象が強かった時期です。私も都心の映画館にはその頃から行かなくなり、ミニシアターとの縁がほぼ切れてしまった時期ですね。
本作は2020年12月11日にApple TV+で配信開始。
本作は2021年にアカデミー賞の長編アニメ映画賞、ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞にノミネートされ、映画データベースサイトIMDbでは、2026年8月9日時点で約4.6万件の評価が付き、10点満点中8.0というかなりの高評価。批評家評価を集計したMetascoreも87点で、観客・批評家の双方からかなり高く評価されている映画です。

監督は、『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』を手掛けてきたトム・ムーアさんと、本作で共同監督を務めたロス・スチュアートさん。見たことないけど、アカデミー賞にもノミネートされた2014年の映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』などが有名で、
2009年の『ブレンダンとケルズの秘密』と合わせてケルト3部作とまとめられているようですが、個人的にはよくわかりません。

概要|『ウルフウォーカー』の物語は意外とシンプル

内容としては、1650年のアイルランドという馴染みのない時代の森とそこに面した城壁のある街のお話で、イングランドの支配下にあるキルケニーでは、護国卿が森を切り開こうとします。しかし森には、狼たちと心を通わせ、眠ると魂が肉体を離れて狼の姿になる「ウルフウォーカー」が暮らしていました。護国卿は彼らと対立していきます。
護国卿は市民を従わせ、狼とウルフウォーカーを駆逐するために、最終的には森を焼こうとしたり、ウルフウォーカーの狼の姿を捕らえたりしますが、うまくいかないし、結果的にはウルフウォーカー側についたロビンたちに作戦を阻まれちゃうというわけ。
最後はロビン親子とメーヴ親子が安住の地を探して旅に出るという、結構シンプルな絵本のようなお話ですね。

町は直線、森は曲線|木版画のような映像美がすごい

個人的に凄いなぁと思ったのが、映像でした。
木版画調で、複数の四角を重ねるように構成された街の映像は見たことがない。森から街を見下ろす場面も、高低差を独特にデフォルメした俯瞰表現になっていて、凄い前衛的ながらも美しい映像だなぁと感心しました。

ちなみにこの画風の違いは意図的なもので、町は木版画を思わせる直線や幾何学模様、森は曲線やラフな鉛筆線を中心に描き分けているそうです。

森側のキャラクターデザインも丸みを大事にしているようでして、
最初に主人公のロビンと出会うメーヴや、その母モルも丸みを大事にした独特なデザイン。特にモルは丸々太った感じもあって不思議。

ロビンと父ビル、護国卿の対立が熱い

映画の展開としては、ロビンとその父ビルの対立、ロビンがメーヴに噛まれたことでウルフウォーカーになってしまい、知らずにビルから殺されそうになる展開は、ハラハラしました。
最終的にはビルがロビンを救うために護国卿と対立し、メーヴの母モルに噛まれたことでウルフウォーカーになってしまうという展開こそ読めましたが、オオカミになったビルのパワフルな出で立ちと護国卿との対立のシーンの画角など見応えがあって面白かったです。
そして最後にロビン一家とメーヴ一家が運命共同体になり、抱きしめ合う絵面がハートに見えるなど、映像の素晴らしさが半端なくて印象的でした。

また護国卿の最後の展開も、自身を神に導かれた正義の執行者だと信じ、使命のために突き進んでいた護国卿が、ビルに噛まれてオオカミになって生きるよりも死ぬことを選ぶという、傲慢さの象徴のようで痺れました。

終始、映像の個性が強くて面白かったです。

寄り道せず終盤まで駆け抜けるテンポもいい

映画的にロビンがオオカミ化してメーヴと戯れるゆるいパートがあるかと思ったら、特になし。そのままきつい展開に突き進みます。
テンポを落とさず、尺も2時間未満に抑えていて熱い映画だなって思いました。

2026年8月時点ではApple TV+で配信中。普段Apple TV+を使っていない人には鑑賞難易度がやや高いかもしれませんが、非常におすすめの映画です。

ロビンとメーヴで、オオカミ姿のデザインがしっかり違うのも良かったし、終盤が妙に『ライオン・キング』のような凄みがあって好きでした。

hisSCORE

・脚本のユニークさ、濃さ、テーマ性 7.4/10
・映像のアプローチ 9.5/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7.7/10
・上映時間と個人的趣味 8.8/10

85点

まとめ|絵力のあるすごい映画

娘はゲームしながら見てましたが、ゲームの手を止めてだいぶ見入ってました。
話自体はややパターン化された内容にも思いましたが、絵力のあるすごい映画です。

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ネタバレ あらすじ

ネタバレあらすじ
1650年のアイルランド。キルケニーの住民たちは、権威主義的な護国卿の命令に従い、町の近くに広がる森を切り開いていた。そのため、森に暮らす狼の群れと住民たちは対立することになる。

護国卿は狼を根絶するため、イングランド人の猟師ビル・グッドフェローと、反抗的な娘ロビンをキルケニーへ呼び寄せる。

父ビルの役に立ちたいロビンは、ペットのハヤブサ、マーリンを連れて密かに父の後を追い、森へ入る。ところが狼を仕留めようとクロスボウを放った際、誤ってマーリンを射てしまう。すると、謎の少女が負傷したマーリンを森の奥へ連れ去ってしまう。その後ロビンはビルと合流する。二人はウルフウォーカーの存在を信じる木こりのショーン・オグと出会うが、そこへ護国卿が現れる。護国卿に森へ入ったことを知られたロビンは、城の厨房で働くよう命じられてしまう。
やがてロビンは、傷が奇跡的に治ったマーリンを発見する。しかし突然現れた若い狼に驚き、ビルが仕掛けた狼用の罠にかかってしまう。狼はロビンを助けようとするが、その途中で誤って彼女の腕を噛んでしまう。

罠から抜け出したロビンは、マーリンと狼に導かれて狼たちの巣へたどり着く。そこで、その狼の正体が先ほど出会った少女だったことを知る。

少女の名前はメーヴ。彼女は、自分が眠ると魂が肉体を離れ、狼の姿となって行動する「ウルフウォーカー」なのだと説明する。

ロビンはメーヴと友達になる。そしてメーヴの母モルは、狼の群れが新しく暮らせる場所を探すために魂を狼の姿で旅立たせたまま、いまだ肉体へ戻ってきていないことを知る。

家へ戻ったロビンは、ウルフウォーカーが本当に存在するとビルに訴える。しかしビルは信じず、彼女が城への奉公に行かなかったことを叱りつける。もしそれが護国卿に知れてしまえば、ロビンも投獄されて、一緒に暮らせず、亡き妻への約束も果たせなくなってしまうからだ。しかし、そのことをビルはロビンにうまく伝えられなかった。

翌朝、厨房の下働きをしていたロビンは、護国卿の部屋に隠された檻の中から聞こえてくる謎の声に引き寄せられる。しかし、すぐに女中頭によって部屋から追い出されてしまう。

その夜、眠りについたロビンは、自分の魂が肉体を抜け出し、狼の姿になっていることに気づく。

混乱したロビンが森へ戻ると、メーヴは自分が噛んだことでロビンもウルフウォーカーになったのだと明かし、狼の姿で行動する方法を教える。

その後キルケニーへ戻ったロビンは、狼の姿のまま護国卿の屋敷へ忍び込む。そして隠されていた檻の中に、メーヴの母モルの狼の姿が捕らえられていることを発見する。

モルはロビンに、メーヴと狼の群れを森から逃がすよう頼む。護国卿は狼たちを根絶するため、森そのものを焼き払おうとしていたのだ。

一方、町の支配を取り戻そうとする護国卿は「狼を飼いならすことができる」と宣言する。それはつまり、自然そのものさえ自分の支配下に置けるという主張でもあった。

ロビンはモルを解放するよう懇願するが、護国卿は聞き入れない。それどころか、狼を始末できなかったビルを降格させてしまう。

互いに引き離されることを恐れながらも、ロビンとビルはそれぞれ与えられた仕事を続ける。

前の晩にロビンが戻ってくると約束したため待ち続けていたメーヴは、ついに自らキルケニーへ入り、ロビンを見つける。ロビンは母モルから聞いた警告を伝えようとする。

しかしロビンは、メーヴの身を案じるあまり、モルを救出する手助けをすることを拒む。その態度に傷ついたメーヴは、自分一人で母を救うことを決意する。

やがて護国卿は、捕らえたモルを町の人々の前にさらす。

怒りに駆られたメーヴは母を救おうとするが、ビルに取り押さえられてしまう。その際、モルはビルに噛みつく。

逃げ出したメーヴは、母を救うため狼の群れを連れて戻ってくると宣言する。

護国卿はビルにモルを殺すよう命じ、自ら軍隊を率いて森を焼き払うため出発する。

しかしロビンはビルからモルを守り、彼女を檻から解放する。そして、メーヴと狼の群れがキルケニーを襲撃する直前に、モルをメーヴのもとへ連れ戻す。その行動によって、ロビンはメーヴから許される。

だが後を追ってきたビルがモルを撃ってしまう。

傷を負ったモルの狼の姿は魂となり、森の巣穴に残された人間の肉体へと戻っていく。ロビンの狼の姿、メーヴ、そして狼の群れも、その魂を追って巣穴へ向かう。

そこへ護国卿と軍隊が到着し、森を焼き始める。

メーヴは、以前マーリンを治したものと同じ魔法を使い、重傷を負ったモルを治療しようとする。その間、ロビンと狼の群れは兵士たちを足止めする。

しかしメーヴは、モルを治すためにはロビンと狼たちにもそばにいてもらう必要があることに気づき、彼女たちを呼び戻す。

ロビンは護国卿の軍隊が使用する大砲を破壊することに成功するが、その際に意識を失ってしまう。

護国卿がロビンを殺そうとしたそのとき、モルに噛まれたことでウルフウォーカーとなったビルが狼の姿になり、娘を守る。

そして護国卿もビルに噛まれる。

自分自身までウルフウォーカーになってしまったことに恐怖した護国卿は、そのまま崖から身を投げ、命を落とす。

ロビンとビルは巣穴へ戻り、メーヴとともにモルを蘇生させる。

そして二人は、メーヴから「狼の群れと一緒に暮らそう」と誘われたことを受け入れ、自分たちがウルフウォーカーとなった新たな生き方を受け入れる。

やがてロビン、ビル、メーヴ、モルは狼の群れとともに、新しい住処を探す旅へ出発する。

最後に:ご訪問ありがとうございます

あとがき
閲覧いただきありがとうございます。本ブログは筆者の鑑賞記録保管を目的としたブログです。本ブログ記事を読むことで私が味わった娯楽作品のカタルシスを追体験できるかもしれません。ですがこの記事を読むことで追体験するのではなく映画を鑑賞して自分自身でカタルシスを味わってください。私以上の発見と出会うことができるのではないかと思います。本日はご訪問いただきありがとうございます。

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30代後半のおっさんです。妻と娘と暮らしながら、映画館で注目作を観たり、家でUHDを見たり、PS5でゲームしたりしています。 このブログでは、映画・アニメ・ゲーム・ガンダム作品を中心に、点数つきの感想やネタバレあり考察を備忘録として書いています。 好きなものはガンダム、洋画、洋楽、バットマン。初めて来た方は、映画おすすめまとめ、ガンダム作品レビュー、Rick and Morty感想まとめからどうぞ。