虎と少年の漂流を描く感動作――くらいのつもりで観たら、ラストで全部ひっくり返された。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』は、美しい漂流映画でありながら、「真実とは何か」「人はなぜ物語や神を信じるのか」を突きつけてくる。2013年のIMAX 3D劇場鑑賞時、想定外の映画すぎて久しぶりにKOされた。
以下、虎の正体とラストで語られる「2つの物語」に触れるネタバレがあります。
製作
2012年アメリカ映画
監督
アン・リー
・グリーン・デスティニー
・ブロークバック・マウンテン
・ウッドストックがやってくる!
・ハルク
2013年2月10日IMAX3D劇場鑑賞
2013年16本目
Googleアドセンス広告
衝撃:うぉぉぉなんだこれおもしれー。
というわけで、始まった『ライフ・オブ・パイ』。
アン・リーの最新作。有名な所ではゴールデン・グローブ賞を獲った壮大であまりにも美しいゲイ映画『ブロークバック・マウンテン』、また中国映画『グリーン・デスティニー』、さらには『ウッドストックがやってくる!』などのフェスの舞台裏やゲイ要素を盛り込んだ壮大な映画。
つまり横に広い壮大な映画でかなりのテクを持つ敏腕監督です。あと『ハルク』も撮りましたが闇に葬られました。
その彼の描く3D映画とは、一体どんなものか?ジェームズ・キャメロンが絶賛していたけども、そんなことよりとても壮大で美しい景色が何よりも楽しみ、動物映画でもあるしね。
そんで期待をしていたが、冒頭こそは動物の可愛い姿が山ほど描かれるが、遭難後は、広い画が多いかな?と思ったらそれとは逆で、一つの画の中にかなり多くの情報量を盛り込んだ、広くて奥行きがあるよりは、情報が凝縮された狭い画というかんじ。
これが結構情報量が多くて、むしろ違和感さえ感じられる。映像的には、壮大とは違い幻想的。
とても綺麗。
宗教の授業?
映画としての主題は虎との遭難物語のお涙頂戴ものかな?と思っていたのだけど、この映画なかなか遭難しない、そもそも船に乗る気配は全然ない。
むしろこの映画は主人公であるパイが如何にして成長したかが序盤に描かれる。
ここにも何やら暗喩がある。パイの本名は、フランスのプール「ピシン・モリトール」に由来する。学校で名前をからかわれた彼は、自らを円周率のπ=パイだと宣言する。どこまでも割り切れない数と同じ名を選ぶこと自体、この映画の「一つの答えに割り切れない」物語と重なって見えた。
パイはヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教を同時に信仰し、成人後は大学でカバラを教えている。一つの宗教に絞らず、異なる教えを通じて神を求め続けているのだ。
そのエピソードが披露されるのだが、それってかなり異質な存在。むしろそんなこと可能なのか?
それでもパイは、一つの宗教に答えを決めず、異なる教えを信じながら生きていく。
そしてつまり実践編、遭難へと話しは展開するのだ。
つまりこの映画は、虎との遭難物語ではなく、彼の信仰心についての物語というのではないだろうか?類似映画はコーエン兄弟の『シリアスマン』のヨブ記の現代版と同様の映画なのではないかと?さりげなく思った。
つまり海洋上での純粋無垢なパイは家族を全て失った矢先、虎と二人きりになり、そこで信仰を失わずに生き延びようとするが、幾多の困難に直面し、彼の信仰心を試す映画。
ふむふむそれはそれで非常に面白いわけだが。
映画の終盤、衝撃的な「もう一つの物語」が明かされる。
【ネタバレ考察】虎の正体とラストの「2つの物語」
映画の終盤、パイは虎や動物たちが登場しない、もっと残酷な「もう一つの物語」を語る。
- シマウマ=足を負傷した船員
- オランウータン=パイの母親
- ハイエナ=船の料理人
- 虎のリチャード・パーカー=パイ自身
つまり、虎のリチャード・パーカーは、生き残るために残酷にならざるを得なかったパイ自身だった――そう読み取れる対応関係になっている。
私はここで、これまで見てきた虎との漂流は、パイが耐え難い現実を受け止めるため、残酷な記憶を宗教的な物語へ置き換えたものだったのかと思った。
ただし、映画は動物たちとの漂流が作り話だったと断定していない。どちらの物語も船が沈んだ理由を説明できず、真実を証明するものもない。パイが最後に問うのは「どちらが真実か」ではなく、「あなたはどちらの物語を選ぶか」だ。
ここで序盤の宗教の話がつながる。証明できないものを前にしたとき、人はどの物語を信じるのか。真実を暴くためだけのどんでん返しではなく、信仰そのものを観客に体験させるラストだった。
いきなり二つ目の物語を出されて、これまで見てきた映像のシンボルと残酷な現実が頭の中で大回転。すごーく楽しくなった。てか、こういう映画大好きっしょ?『ドニー・ダーコ』を見終わった後のような楽しさに再会した。(笑)
あと虎がすごい。CGとの合成だと分かっていても、リチャード・パーカーが本当にそこにいるように見えた。
IMAXで見て良かった!!
正直3D効果はあんまり実感できなかったし、慣れてしまったので微妙だったのだが、IMAXで見ることに関しては多くの人に勧めたい。IMAXカメラで撮られた作品ではないのだが、音響効果がすごい。IMAXの効能としては専用のスピーカーからだされる、スクリーンの裏に設置されている最強の重低音が出るスピーカーがあるのだが、それから出る水しぶきの音が最高過ぎて、貨物船が嵐にあって遭難と沈没するシーンは非常に面白く、顔に水しぶきがあたったような錯覚をした。
もうそういう体験が出来ただけで非常に嬉しい。
そもそもIMAXの効能って、視界いっぱいに広がる映画なので、人間が主役のドラマ映画アクション映画よりは、こういうライド系の遭難映画とは相性がぴったり、あとはIMAXカメラで撮られた映画は最高です。
皆さんも作品によってはIMAXでの鑑賞を考慮した方が良い。2013年当時のIMAX上映で味わった水音と沈没場面の迫力は今も忘れられない。スクリーンいっぱいに海が広がる本作は、IMAXとの相性が非常に良かった。
ま。そんなこんなんで
想定していた映画と全然違うなかなか深い映画でかなり面白かった。
2002年のブッカー賞を獲った小説の映画化なんだから、まぁー当然か。
あとアカデミー賞が好きそうな内容の映画だった。
予告編見過ぎてミスリードしていたよ。
得点
92点
家族も失った男の物語なのに、全然湿っぽくないし、むしろ哲学的で深い。こういう映画おれ好きだったんだな。
読み応えあったとかツボにはまったならクリックしてください。
ネタバレ あらすじ
最後に:ご訪問ありがとうございます
関連記事
関連商品
売り上げランキング: 1,227
売り上げランキング: 15,116

広告





![ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51BdSf1Zo2L.jpg)












