「人種差別映画」
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作


色褪せない社会問題
キャスト
ネタバレ あらすじ
2012年1月10日自宅鑑賞
2011年度127本目
2022年4月22日自宅U-NEXT鑑賞
2022年17本目
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2012年の時の感想
またもIMDbを見ていて「面白い映画ランキング」に自分が見た事無い映画が入っていたので借りてきました。しかもタイミングよくTSUTAYAさんの発掘良品に本作が選ばれていて安易に借りる事ができた。監督はトニー・ケイ。元々CM出身の人らしいのだが本作以降有名映画を監督していないのであまり論じる必要はないかもしれない。しかし本作の製作後期での編集作業で主演であるエドワード・ノートンが編集をしたと異例の事態が起きたという話題もあり、それで映画監督業に懲りたのかもしれない。また本作のパワフルな演技でエドワード・ノートンはアカデミー賞男優賞にノミネートした。
クー・クラックス・クラインが現代に蘇る。
本作は白人至上主義の青年の栄光と破滅を描いた。アメリカの消えない問題にぶつかった問題作。
ネオ・ナチでありブチギレしたり、冷静になったりと複雑な役柄をワンマン俳優として有名なエドワード・ノートンが演じている。

白人と黒人しか世界にはいないというデレクの片寄った見解を示したようななかなか面白い構成。
しかしその前者の方がカラー描写なのを考えれば自ずと観客は映画の方向性を知る事になる。
ここがエグい:兄のようにネオナチになろうとする弟
本作はデレクという怪物(?)が主役のようにも思えるが弟のダニーも大事な存在だ。捕まった兄を敬愛しており兄のような人間になろうと兄がいない間有能なストリート・ギャングの白人至上主義に傾倒している。そんな彼がついに兄に再会するのだ。物語は弟のダニーの視点で描かれる。その「差別」を信仰している主人公の視点を通してそれが本当に正義なのか?をデレクの成長をダニーを通して見る事で観客に訴えているわけだ。またダニーを演じたのが面白い事に『ターミネーター2』のジョン・コナーなのが面白い。再び彼は世界を救う命運を背中に背負っているのかもしれない。
ここが凄い:エドワード・ノートンの怪演
本作の優れている所はやはり荒唐無稽とも思える役柄をパワフルに演じたエドワード・ノートン。そして成長して真実に気がついて常人になりながら苦悩し、問題を解決しようとするエドワード・ノートンの繊細な演技のギャップ。はたまた父親とのさりげない会話で見せる幼さなどの素晴らしい演技もだがそれが納得できる程デレクの設定も優れている。そもそもデレクが差別者になった理由は人命救助をしていた父が救った人、しかも黒人に殺害されたことが引き金になるのだが映画終盤では更に衝撃なことに父親自身がデレクに「黒人は異常者」だと諭すシーンもあるのだ。
つまりその『差別意識』は根強く過去から続いているのを示している。
デレクは異常者ではなくアメリカの知られざる差別の歴史を
体現しているに過ぎないのだ。
本作で特にエドワード・ノートンがやばいのは父を亡くした母親が男友達と家族でご飯を食べるシーン。些細な事で差別についての議論が出た際激情したデレクが延々と差別を語る所だ。とても長い台詞をガンガン喋り続ける。それはあたかもヒトラー。そして家族を傷つけながらその男友達を追い出してしまうのだ。そのシーンでのダニーもなかなか良いわけだがこの演技を見れば誰しも戦慄するだろう。そのデレクを救ったのが白人至上主義を利用したストリート・ギャングだった。デレクはカリスマ性を披露するのだがむしろ彼は利用されているに過ぎなかった。低能なチンピラたちをデレクは従順なアーミーに変えギャングは拡大していく。だが暴走したデレクは父親の形見を傷つけられたため枷が外れてしまいついに逮捕されてしまうのだった。デレクを待っていたのは犯罪の巣窟の刑務所だった。そこでも白人グループと過ごしていた彼は自分のリーダーが他の人種に頭を下げているのに腹を立てる。そんな彼を白人が地獄に陥れる。デレクはケツを掘られるのだった。デレクのケツの穴を多くの囚人が狙う中デレクは覚悟したがデレクはそれ以上狙われなかった。そうだ。デレクは誰かに救われたのだ。それは勿論あれだ。刑務所映画というのは結構見慣れてきたがここでの描写は男としてはかなりショッキングでした。その実情を弟に語るデレクはダニーを真っ当な人間にするべく奔走するのだが…。
これも凄い:衝撃のラスト。
本作は個人的には「希望」を描いているように思えた。人種差別主義者の主人公がそれよりも大事なことを知り真っ当に生きようとし全てを再生させ偏見を無くし豊かに生きようと。弟もその真実を知り兄と共に家族を支えて生きようと。だがしかし映画のラストはそれを全てを打ち砕いた。考えてみればデレクは影響のされやすい人間で有能ではあるもののかなりブレブレなキャラクターだった。最後の最後でデレクは家族を養う決意をするのだが映画は、いやアメリカの歴史はそれを許さなかった。デレク自身が死ぬならまだしも…。という件でこのままではデレクはまた差別に傾倒していくのではないだろうか?と疑問視されるラストになってしまっている。本作の極論は一体なんだったのだろうか?人と人は判り合えずずっと殺し合いを続けるとでも言いたかったのだろうか?本作が少なからず「わかりあえる」と2時間以上描いていたのではないか?と思っていた自分としてはラストシーンには疑問を抱いた。それがまたアメリカの社会問題を描いているのに対してその希望を否定したところがやはり否めない。この映画が良く出来ているからこそせめて希望を示して欲しかった。しかし意味深に最後にアブラハム・リンカーンの言葉が出る。我々は敵ではなく友人である。敵になるな。激情におぼれて・・愛情の絆を断ち切るな仲良き時代の記憶をたぐりよせれば・・・よき友になれる日は再び巡ってくるちなみにダニーが書いたレポートの引用らしい。それにしてもこの言葉は距離があるだろう。映画全体はもしかしたらダニーのレポートという意味合いなのかもしれない。
タイトル自体もダニーが校長に呼びつけられてやることになった課題なわけで兄の話を聞いて感化されたダニーのレポートの映像化という枠組みでもなんらおかしくない。しかしラストシーンが微妙。伏線の広い方がちょっとえぐいのと「殺せばいいもんじゃない。」という言葉が頭に浮かんだ。そこへの戦いをして解決策示そうとするのが本当の意義のある事ではないか?とラストシーンには疑問を覚えた。だってクソがつく程バッドエンドだしデレクもかなり可哀想。アメリカンニューシネマか!!?しかしスンゲー面白かったのでオススメ。エドワード・ノートンすげーし。
おまけ:映像特典
特典映像のミニドラマにてデレクのボスのギャングの主催者の小物っぷりが強調されている映像が描かれる。いやアイツマジで小物。また本作は正直ジャケットが損をしている。かなりインパクトがあって鑑賞難度が高そうな内容に思えるがアメリカの根源にある人種差別に挑んだ素晴らしい映画。一応貧民街の物語でもある。
2022年再鑑賞:10年を経て
10年前に見たIMDbTOP250に入っている作品は再鑑賞するルールを自分に課しているので今回U-NEXTにて再鑑賞しました。
感想:ブラック・ライヴズ・マターを経て
10年ぶりの再鑑賞なのですが本作が描く人種差別の歴史の一端について『フルートベール駅で』で描かれた白人から黒人への警察という権威を用いた一方的な暴力は現在も続いている。今作で描かれた悲しき暴力の連鎖。及び暴力を止めようという姿勢は10年の月日を経ても変わることもなくより悪化していることに再鑑賞をして驚嘆する。考察としては過去に書いた方が熱意もあって優れているので割愛白黒の表現の個人的解釈がオシャレだなと。黒人囚人のラモントが何故デレクを救うことにしたのかは謎。そしてデレクが最終的にどんな感情を持つのかが気になった。亡き弟のレポートを読んで踏みとどまるのだろうか???アメリカという毒親だらけの世界やば。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.5/10
・映像のアプローチ 7.6/10
・映画の美術面 6.7/10
・キャラクターの魅力 7.7/10
・音楽 6/10
・上映時間と個人的趣味 7.8/10
75点
序盤の黒人の処刑シーンでの縁石に歯乗せるやつマジでトラウマ
白人至上主義の思想はどこまでも人を残忍にできるのか??
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