製作
2018年アメリカ映画
監督
スパイク・リー
・ドゥ・ザ・ライト・シング
・マルコムX
・インサイド・マン
出演
アダム・ドライバー
・スター・ウォーズ/フォースの覚醒
・パターソン
・インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
・ローガン・ラッキー
コーリー・ホーキンズ
・ストレイト・アウタ・コンプトン
・キングコング: 髑髏島の巨神
ポール・ウォルター・ハウザー
・アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
トファー・グレイス
・スパイダーマン3
・イン・グッド・カンパニー
アレック・ボールドウィン
・恋するベーカリー
・ディパーテッド
・摩天楼を夢みて
・ミッション:インポッシブル/フォールアウト
あらすじ
1970年代初頭のアメリカ中部のコロラド州のコロラドスプリングス。
この都市の警察署にこの街初のアフリカ系アメリカ人の警官としてロン・ストールワースが雇われる。
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しかし彼の仕事は記録係。
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やりがいのある仕事をしたいロンは、このことに不満を覚え警察署長に麻薬捜査などの警察署の花形捜査官になりたいと懇願するが、
要望ははねのけられる。自分なら同じ人種への潜入捜査などに向いていると強くアピールする。
ある日、かれのもとに潜入捜査の依頼がくる。
それはアフリカ系アメリカ人の生活をよくするために同じ人種同士で協力しようする大学生たちと利活動家のクワメ・トゥーレ(コーリー・ホーキンズ)の集会に潜入し、麻薬がないかを調査する。
その集会に参加したロンは、ブラックパワーの主張に感化されまた大学生活動家の組織のリーダーのパトリスと知り合い恋に落ちる。
記録課から刑事課に異動になったロンは、ふと新聞での広告に出ていたクー・クラックス・クランという白人至上主義の秘密結社に興味を抱き、
ロンは白人のふりをして電話をかける。
白人以外のアフリカ系やユダヤ系の悪口を言いまくったロンは、見事に興味を持たれ、
また暴力的な活動の兆候を感じたロンは、この組織への潜入捜査を計画する。
しかしロンはアフリカ系なため、潜入捜査をするのは同僚のユダヤ系アメリカ人のフリップ(アダム・ドライバー)がすることになる。
クー・クラックス・クランに面通したしたフリップは、当初はユダヤ系を疑われるが、違うと申告。
しかしフリップは強いしきたりなどをこれまでなく過ごしてきたが彼のルーツはユダヤ系で、
潜入捜査を通して、自身のアイデンディティを確認する。
また潜入組織には、武闘派のフェリックスがおり、彼はリーダーではないが、彼の家を活動の中心に置かれており、
彼自身では、アフリカ系やユダヤ系に過激な行動を起こす願望があったのだ。
そして潜入捜査はつづく。
2019年3月30日劇場鑑賞 2019年31本目
感想
2019年アカデミー賞脚色賞受賞作品。
監督・脚本はスパイク・リー。
ふと思うとスパイク・リーの作品全然見てないなぁ。
一時期『ドゥ・ザ・ライト・シング』見たいなと思ってたけどその頃はまだDVDなどが廃盤になってて見れなくて、
そのまま月日が流れてしまった。
直近だと韓国映画の『オールド・ボーイ』のハリウッドリメイクが一番著名と思われるが、
評判が悪く、そもそも名作と言われてる映画の劣化リメイクという誰得な企画
むしろなんでスパイク・リーが携わったのか謎。
正直自分の中で、スパイク・ジョーンズとごっちゃになっている。
映画監督としてよりも映画に対しての文化的な貢献度の方が高くなってる印象。
ニューヨーク育ちのニューヨークで映画を学び、そしてニューヨーク大学と複数の大学で講義しているという。
その文化的映画の役割という意味で、本作は映画としての娯楽よりは文化いや社会に対しての警報としての役目が強く思えた。
あまりにも過激な作品
映画としてのスリリングな潜入捜査映画としての2人1組での二重構造物としても普通に面白いが、
スパイク・リーは本作をそれ以上の過激な作品にしてきた。
主人公はロンというファンキーなアフリカ系アメリカ人だが、
実際の観客の視点としてはアダム・ドライバー演じるフリップの立場が近い。
差別を受けることが当たり前のロンの立場ではなく、
潜入捜査を通してのフリップを通して滲み出るアメリカに住む白人としての歪んだ視点の数々、
そしてその差別の中で自分自身のアイデンティティを見出すことで、
自分もまたこの分断の中の一部になりうることを知るという、
自分は無関係だと思ったら、自分も渦中の存在だったわけで、
それはまぁ日本人である自分もまた日本人として無関係でもないのかなと。
その物語としての刑事物の側面にさらにアメリカ国内に存在する差別意識を煮出した構造が見事。
國民の創生
こりゃアカデミー賞は取れないなぁと思う一貫として、
本作に『國民の創生』を見るシーンがある。
この映画見たことこなかったが曲者すぎる。
世界的に評価の高い映画だが、
黒人奴隷の暴走というテーマとクー・クラックス・クランが英雄視されているというわけで、
この映画の人種差別的な側面がすごく煮詰められている。
エピローグびっくり系映画で面白さがおかしなことに
本作が正当に評価しづらい要因としては、
プロローグでも人種差別的なコントがアレックス・ボールドゥインによってトランプ大統領を揶揄したような内容で繰り広げられる。
映画としては終始映像の構図もよく、
これまで目にしてこなかったが、デンゼル・ワシントンの息子が主演で好演。
そしてアダム・ドライバーの好演や、
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で怪演というか、
無能過ぎた思い込み暴走雑魚サイコを演じたポール・ウォルター・ハウザーがほぼ同じ立ち回りで登場し、
またも笑えるけどやばい役を演じていて、
スパイク・リーの人選がすごく見事だなと。
しかし問題はエピローグ。
本編が種明かしされ、スリリングと共にスカッと終わらせられるが、
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嫌な予感を感じさせる展開から、謎の逆ドリーショットからの儀式と実写映像。
この実写映像が、超衝撃的。
映画のエピローグにふさわしい実際に起きた事故事件をそのまま映画内で披露。
2017年8月11日・8月12日に起きたユナイト・ザ・ライト・ラリーの極右集会での白人至上主義やネオナチなどと
それに反対する民主主義の左派の人々のデモ行進への襲撃事件のハイライトを挿入。
ちなみにちょうど事件から1年後に公開。
アメリカはまさに分断されている。
その中心はやはりそれを非難もしないトランプ大統領であり、
アメリカはいままさに危機なのだ。
本作の制作の根源となる事件だと思うが、
これをやったことで、映画の面白さがむしろどっかいっちゃった印象。
そりゃまぁ本作はアカデミー賞作品賞は無理だろうなって思う。
そして『グリーン・ブック』での白人と黒人の融和を描いた映画に対してのカウンターのように
白人と黒人を超えたアメリカと差別への怒りと悲しみを描いた分断の本作は、
やはり過激すぎる映画だったなと思う。
だからこそオススメしづらいなと思う。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.5/10
・映像のアプローチ 7.8/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 7.8/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
79点
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