キッシュで最高なストップモーションアニメ
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2022年アメリカ・メキシコ映画
デル・トロ先生の語り口が儚い
監督
ギレルモ・デル・トロ
・シェイプ・オブ・ウォーター
・ヘルボーイ
・パンズ・ラビリンス
・パシフィック・リム
ネタバレ あらすじ
2022年12月29日Netflix自宅鑑賞
2022年48本目
デル・トロのピノッキオだよ
何故かディズニーも2022年に
実写版を公開してきたピノキオ。
そっちは豪華に監督は
ロバート・ゼメキス。
主演はトム・ハンクス。
無茶苦茶高評価と思いきや
観客と批評家に低評価を受けて
話題にも聞かなかった。
きっと今作に宣伝効果を利用もしくは
被せることで注目を逸らそうとした
いやらしいネガキャンが目的で
作ったのかなぁと思う。
そのうちノートルダムの鐘とかもやるのかな?
そいやリトルマーメイドもやるなぁ。。。
そんなわけで今作は
ギレルモ・デル・トロ大先生が
原作をもとに
ストップ・モーションで映画化!
そもそも原作のピノキオも
ディズニーアニメ版も見たこともないが
キングダムハーツのプレイ経験で
大体の話は知っているが
改めて見ると驚きも多い。
そもそも原作がイタリアの作品だったとは
全く知らなかった。
原作の『ピノッキオの冒険』は
1883年の作品なのかよ。
物語はほとんど知っているような
感覚で逆に原作も知らないから
どこが監督の個性で変化しているかは
よくわかんないんだよね。
おそらくかなりアレンジは効いていると思う。
カルロやその墓地で生まれた
松の木をもとに怒りを込めて作ったとかは
絶対原作にない要素だと思うんだよなぁ。
また映画の舞台が戦時中である点も
絶対オリジナルだろう。と思うし
戦時中という舞台で
子供が戦争に利用されるという
負の展開は
『パンズ・オブ・ラビリンス』に
近いものがあるなぁと思う。
キッシュなストップモーションに感動
近年だとスタジオ ライカの作品が
成功を収めている印象の
ストップ・モーション映画。
1コマずつ写真に収めた画像を
映像化する作品。
ライカに関しては
技術力が高過ぎて映像も滑らかになり
普通にCGアニメのように
思えるほど美しい。
だが初期作に感じていた
カタカタとぎこちない動きなども
なくなり大掛かりなアクションも
盛り込んでいるのが逆に
ストップモーション映画の
カタルシスを排除してしまっている
印象を近年は受けてしまい
自分は楽しめなくなってしまった。
逆に
ウェス・アンダーソンの作品などは
キッシュ感が全面に出ており
楽しめ続けている。
そしてギレルモ・デル・トロも
ストップ・モーション初挑戦だが
監督自身もそのカタカタと動く様や
人形に僅かに残る人間の指紋などの
手触り感に魅力を感じており
『ひつじのショーン』のような
映像から溢れ出る柔らかさを
大事にした作品になっており
とても良かった。
デル・トロ作品から溢れ出てしまうダークさ
不気味とも言える
今作のピノッキオ。
酒に酔った勢いで木を切り倒し
そのまま彫ったが
丁寧に作らず酒の勢いで作って
途中でやめたという
歪な人形に魂が宿ってしまうという
人の歪さそのものがでたデザインの
ピノッキオさん。
ディズニーのように子綺麗さも一切なく
木の人形というのが全面に出ているだけでなく
アシンメトリーなのがやばい。
また序盤に足が燃えちゃって
接木されているエグさがすごい。
そんな彼が歌って踊る
普通にミュージカルしているあたり
デル・トロ先生のバランス感覚がすごい。
物語の悲劇的な展開から始まるが
戦争に巻き込まれながらも
ピノッキオらしい物語に
落ちつくかと思いきやエピローグでは
幸せに暮らしましためでたしめでたしで
終わらせずにピノッキオが本当に望んだこと
そしてそれ以外のキャラクターが
待ち受ける現実にも焦点を合わせて
儚いながらも厳かな終わり方は
流石アカデミー賞脚本賞ノミネート常連の
スキルというべきか
儚く余韻のある風味が
大人も子供も楽しめる。
デザイン性についても
これまでの作風をやや崩した感じが見事。
そして死の世界で待ち受ける精霊や
森の精霊など存在感が見事。
ゼペットの表情や小汚さも見事。
ジミニーの虫の気持ち悪さも見事。
愛嬌もありながらも確実に個性を出す
デザインセンスは
もはやティム・バートンや
デビッド・リンチを凌駕している。
大物俳優が声優に参戦
相変わらず口だけは達者で
ちょっと偉そうだけど
若いおじさんを演じさせたら
ピカイチなユアン・マクレガーが
ジミニー・クリケットを好演。
それだけじゃなくキツネの面影がある
詐欺師のサーカス団長のヴォルペは
クリストフ・ヴァルツ。
街の軍人みたいな人は
ロン・パールマン。
精霊をみんな大好き魔法使いっぽい
雰囲気のティルダ・スウィンストン
が二役を演じ。
一番この映画で幸せになれたお猿の
スパッツァトゥーラを
まさかの『ナイトメア・アリー』
から抜擢か?
ケイト・ブランシェットが演じていた。
上記のことを考えると
デル・トロ監督の入門作品としては
決定版なのではないだろうか???
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.5/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 10/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 9/10
93点
デル・トロ先生相変わらずでした。
自分はNetflixで見ましたが
日本ではイオンシネマで鑑賞
できるパターンだったようです。
また実際は製作に時間をかけ過ぎて
予算オーバーで製作中止状態
だったようですが
Netflixが資金援助したらしいです。
足掛け11年の製作だったとは。
しかしこの映画黒字なのか?
もはやNetflix配信だから利益とか
関係ないのだろうか???