素晴らしきサイレント映画
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2023年フランス・スペイン映画
老若男女楽しめる出会いと別れの普遍的ドラマ
ネタバレ あらすじ
2024年11月9日劇場鑑賞
2024年54本目
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概要:80年代中盤のNYを舞台に擬人化された動物が台詞無しで出会いと別れをスペイン人がアニメ映画で紡ぐ
NYの映画大学を通っていた
スペイン生まれのスペイン人の
パブロ・ベルヘル監督。
彼が大学時代を過ごした
80年代中盤のニューヨークを舞台にし
サラ・バロンのセリフなしのコミック
ロボット・ドリームズを原案とした
犬人間とロボットの出会いと別れを
実写映画出身だった彼が
アニメーション映画として紡ぐという
意欲作品。
自分は公開直前まで本作のことを
知らなかったが
たまたま見た予告編で
サイレント映画だと気がつき
2歳の子供でもある程度
理解でき楽しめそうと考え
家族で鑑賞しようと試みた。
全く知らなかったが
2023年に日本で開催された
東京国際映画祭にてプレミアム上映が
あった本作。
その約1年後の2024年11月8日に
正式な日本公開がされた。
また2024年のアカデミー賞では
アニメ映画部門でノミネートしていた作品。
どうしても受賞作の日本映画
宮崎駿の『君たちはどう生きるのか』や
ピクサーの『エレメント』
傑作映画の続編
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
などの著名作品の影に隠れてしまった
印象の本作。
カンヌ国際映画祭にも上映され
ヨーロッパ方面の映画に詳しければ
かなり話題作だったことが垣間見られた。
しかし監督は
ニューヨークの映画学校で
教鞭を振るうほどの力を持つが
デビュー作が2003年で
この20年で4本しか映画を撮っておらず
いずれも好評作品とは言い切れず
代表作はスペイン映画の最高賞を
2013年の『ブランカニエベス』という
白雪姫をベースにした白黒映画で
受賞したがそれ以降は特になし
というところで
もはや知る人ぞ知る
絶妙な立ち位置の映画監督。
奥さんが日本人で作曲家なので
親日家路線はあるかも。。。
ただ年齢的に60歳なので
ここから作品が量産される
わけでもないだろうしという印象。
しかしびっくりなのが
今作が初のアニメ映画作品という
ところ。
おそらくその部分の
クリエイティビティとしての挑戦に
野心が触れたのだろうか?
凄まじい意欲作であったことは
鑑賞前に把握していても
よかったなぁと今更思った。
感想:意地悪
太い線で描かれるキャラクター。
擬人化された動物たちは多種多様。
人種の坩堝と呼ばれた
ニューヨークを体現できるほどの
種類の多さは驚く。
しかし物語は最初と最後以外は
終始意地悪だった。
細かな線よりは太めの線で
線の情報量を減らして
デザイン性を重視している映像。
そしてサイレント映画のように
セリフ一切なしで
劇中歌でシンクロさせる演出の
巧みさなど見ていて楽しいのだが
話がとことん意地悪だった。
量産型友達ロボットと
友達になったドッグだったが
取扱説明書をしっかり
読まなかったことが原因で
ロボットのメンテを行なったことで
意識を持ったままロボットは
動けなくなってしまう。
離れ離れになった2人は
お互いに再会を祈り
9ヶ月あまりを1人で過ごすことに。
ぼっちだったドッグは
再びぼっちに戻るが
ロボットとの再会を祈りつつ
不安な毎日に夢でも魘され。
ロボットもまたどうしうようもできない
現実に悲観することなく
ただただ友人?恋人との再会を祈り
夢の中での再会を重ねる。
しかしいずれも想像
ファンシーな夢の数々は見応えあるが
根底には再開できない2人という
苦しい物語が続き、
そして最後には永遠の別れと
再会の可能性に触れるが
お互いに違う人生を手に入れ
その道は交わることなかった。
初恋の経験への
アンサーを
カタルシスとして盛り込んだ
ようなビターな作品。
子供も見れるような
映像作品なのに
こうも意地悪に徹せれるか?
主人公たるドッグの
絶妙な空虚さ。
社会人なのか大学生なのか?
よくわからない感じ。
途中のスキー旅行での
コミュ障っぷりや
いじられ方。
中盤の公園での出会いと
友人が速攻海外行っちゃうやつとか
ロボットを2台目も購入できるあたりは
社会人なんだろうなぁと。
しかしどうしてこうも
ドッグは孤独なのか?
友人も恋人もいないのか?
潜在的孤独のメタファーの
体現者として
あまりにも能力が低く
大金を払ったドックが
相棒の管理ができずに
別離してしまうのは
辛かったし
終始ドジの連続なども
歯痒さがあった。
対照的に現れるラスカルの
熟練の潜在的な孤独を
満たす存在のロボット。
その寄り添いの選択と
過去の思い出のバランスの
終盤の破壊力が凄まじかった。
しかしどうにもこうにも
予告編での楽しい映像との
中盤からの延々と夢見る
悲しい展開が終始辛く。
一緒に見てた2歳の子供
その底知れぬ意地悪さに
我慢ができず見てられなかった。
ここが凄い:80年代のNYの空気感
もちろん80年代の
ニューヨークの空気感なんて
全く知らないわけだが
75年に終わったベトナム戦争、
ヒッピー文化の終焉で
秩序を取り戻したニューヨーク。
どこか平和の空気が漂い
サブカルチャーが勃興してくる時代。
作品内のテレビでは
音楽専門番組でPVばっか流す
ケーブルテレビのMTVが開始され流行。
劇中では食文化も緻密に再現。
監督のバイト先だった
キムズビデオのレンタルパッケージなどの
情報も描かれ
劇中のアクティビティも当時の流行を
導入されている。
またニューヨークの街並みや
アパートの土地勘の再現も凄まじく
歴史以外の部分や
心のあるロボットが発売されて
反乱も起こさないシンギュラリティが
起きているという点以外は
80年代のニューヨーク。
もちろん世界同時多発テロで
崩壊したワールドトレードセンタービルも
登場しあの悲劇が起きていない世界
という点もどこか安堵できる。
今作の素晴らしい点は
映像作品として
別離の物語以外にも
80年代を実感できる
アニメーション映画を
2024年という40年以上の月日を
経て生み出された。
そしてそれが外国人の方に
よって生み出されている点も
狂っていて面白い。
ここが凄い:台詞がない
今作を鑑賞してやっぱり感動したのが
台詞が一切ない。
顔の表情も比較的変わらず
目と間だけでキャラクターの感情や
思想をしっかり描き
その他を背景にある情報などで
読み取るという
映画言語が冴え渡っている。
もう一度映画ってなんだっけ?
って思った時
今作に触れるところで
初心に帰れるなぁと。
しかも台詞一切なしで
2時間近くを観客に退屈なく
最後まで連れてってくれる。
これって映像作品配信全盛期には
めちゃめちゃ貴重な体験だなって。
まぁアニメ全盛期でもあるところは
避けられないんだけど
アニメだからこその見やすさと
親しみやすさはもちろんあるが
この映画言語ってのは
老若男女楽しめるわけで
もちろん2歳の娘も楽しめました。
また大きくなったら一緒に見たいです。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 8.7/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7.6/10
・音楽 9.4/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
82点
アース・ウィンド・アンド・ファイアーの
『セプテンバー』がハマりすぎてやばい。
この楽曲が実は
一年前の友情や恋の話だったっていう
真の意味でシンクロしてて
最高でした。
鳥のシーンは必要だったのか?
うさぎがクソ展開すぎて鬱
ドッグがドジ過ぎて苦手など
色々としんどさがあるが
もう一度見たいなぁと思ったので
台詞もない作品なので
アメリカから輸入することにしました。
原作本も買ってみようかな
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