スタントマンは小娘にかく語りき
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2006年インド・イギリス・アメリカ映画
世界遺産をめぐって
監督
ターセム・シン
・ザ・セル
・白雪姫と鏡の女王
・インモータルズ -神々の戦い-
脚本
ダン・ギルロイ
・ナイトクローラー
・ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー
・キャシアン・アンドー
・ローマンという名の男 -信念の行方-
キャスト
ネタバレ あらすじ
2025年11月23日劇場鑑賞
2025年49本目
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概要:ソフトが高騰し定額VODでも鑑賞できない映画、4Kで劇場公開
2006年にトロント国際映画祭にて上映され、2008年にアメリカ、日本などに公開された作品。2009年に日本でもソフト化されたが、その後廃盤になり権利の問題で定額VOD配信などでの再鑑賞もできなかった作品。
特徴としては世界遺産をロケした美麗な映像や1917年の映画業界で働いていた青年の挫折と再生を少女との交流を通して描かれる心温まる物語。
2時間未満の上映時間ということもあり比較的見やすく、まとまっているとも言える。
興行成績としては全米での公開が最初9館、最終的に111館まで広がったかがかなり小規模の作品のため、200万ドル程度しか稼げていない。
当時の制作費がおよそ3000万ドルなため、かなりの赤字作品となった。ある意味とほほ映画。
批評家評価はMETASCOREが100点中64点とまぁまぁだが、IMDbでの観客評価は10点中7.8点とかなり高評の作品で、ある種カルト的な人気のある作品とも言える。
鑑賞者数は126000人程度いるため、まさしく多くの映画ファンが愛する映画。
監督はMVやCM業界出身のインド人のターセム・シン。映画業界での成功は掴めなかったがCMなどを主戦場として現在でも大活躍の人。
映画の製作にデビッド・フィンチャーとスパイク・ジョーンズが関わっているらしいが、明確な情報が確認できない。しかしデビッドフィンチャーの後年の作品『ベンジャミン・バトン』にてインドパートを監督しているらしく、交流は確実にある模様。
そんな本作だがイギリスのVOD定額配信の会社Mubiにより2024年に4Kレストア化が発表され、配信前に劇場公開し公開当時に並ぶヒットを記録。日本国内でも2025年11月に4K版が劇場公開されたので、自分も鑑賞してきました。
一応4K化にあたり追加シーンなどもあるようで、オリジナルバージョンとは別バージョンの作品になるようです。
オリジナル版見たことないのでわからんです。
実は:ブルガリア映画のリメイク?
感想書くにあたって知ったことですが、1981年のブルガリア映画『Yo Ho Ho』を元ネタとした作品。ほぼストーリーラインは一緒で空想面の壮大さが違うぐらい。10歳の骨折した少年が俳優と交流して空疎脳物語に少年が便を盗もうとするという点も一緒だしというわけ。当時のロシアの映画賞とブルガリアの映画賞で賞を受賞しているので共産国では有名な作品かもしれない。。。
この通常のスケール感で映画を撮ろうとしない、お気に入りの映画のセルフリメイクを行うターセム監督、スケールが違う。
ここが凄い:インドを中心に世界遺産を舞台!美しさに圧倒
青年が少女のために話すというお伽話。青年のバックボーンが映画業界とあって、話のスケールがでかいでかい。
映画の舞台の病院が南アフリカのケープタウンの病院。世界遺産のナミビアの砂漠。
インド人の回想に出てきた世界遺産のジャンタル・マンタル。
インドの湖に面した都市ウダイプルの高級ホテルの屋上からの姫を救って、提督襲撃前のひととき。
仮面の盗賊が兄と一緒に提督から逃げてた時に渡ったチェコのカレル橋。街が世界遺産。
お話の冒頭の囚われた島はおそらくフィジー。
提督のところに移動中の謎の儀式前で森で迷子になったシーンはバリ島ウブド。その後はグヌン・カウィで儀式してましたね。
アンダマン・ニコバル諸島のビーチにて、6人目の仲間の木から出てきた謎の精霊のおじさんと出会ったり。
ゾウの上陸はインドのパンゴッツォかと。
インドの世界遺産のブーランド ダルワザは提督の巨城の入り口として。
タージ・マハルでは盗賊が、女性の正体を知り銃を向けてたり。
姫を強奪する奴隷バシャ襲撃のロケ地はインドのマグネチック・ヒル。
ダーウィンの死別のシーンはインドのチャンド・バオリ。

イタリアの世界遺産のコロシアムとヴィッラ・アドリアーナ。
トルコのハギア・ソフィア。
移動シーンのコラージュ的なワンカットの演出で世界遺産が多数登場、アメリカの自由の女神やパリのエッフェル塔、万里の長城、エジプトのピラミッドなども登場。
話も単純なので美しい風景に集中して鑑賞も可能で圧倒されました。
絶妙:原題のミーニングの旨さ
映画として絶妙に脚本も技巧していて凄い。冒頭のスローモーションで白黒での落下スタントの事故の全貌をゆっくり描く展開から、同じく落下して骨を折った少女との交流。
この半身麻痺の男と骨を折った少女には擬似的な父と娘の関係性の面白さもあり、その男の話す物語に亡くした父の娘への愛情を見出す娘、物語の中に自分の屈辱的な敗北やNTRた悲しさを盛り込む展開。そして彼のために無茶をして再び落下するという描写の面白さ。今度は父にも生きてほしいと切望する娘に呼応する男はその物語の中にて娘が登場し救えなかった父を救い、2人は末長く幸せに暮らすという、叶わぬ夢を銀幕に投影する物語。実際の娘のいる自分もこの展開には涙が止まらなくなりました。決して自分ではいい父親ではないと思いつつも少女が辛い思いになったり男が情けない様を見せるものには心を揺さぶられる。オチについてはどうだろうか。彼が1930年代まで活躍したスラップスティックコメディの巨匠のチャップリンだったという展開については、正確にはその業界にて働き活躍し落下とは映画の一時代を作る映画産業の重要な要素であるという監督の思いについてうまくまとめたなぁと思う。

ここも凄い:衣装
映像という映像にこだわりがある本作は衣装も勿論こだわりがあり。1992年の映画『ドラキュラ』にてアカデミー賞を受賞した石岡瑛子さんが衣装デザイン等を担当。夢の中での独特な衣装。インド陣の衣装やらアフリカ人の謎の姿などこだわりがすごい。姫の衣装とかも凄いし兵士たちのバケツ被った感じのスターウォーズ感もとてもいいですね。
ここも凄い:CGなし?
どこかしらには使っていると思うが、CGは極力使わないという凄まじい映画。謎の儀式の呪術的なエキゾチックな生々しさなどテレビのバラエティでしか見れないようなものが醍醐味たっぷりで収められているが、謎の生命体の精霊キャラが口から鳥だしたり、矢が地面にいっぱい刺さったりアフリカ人の人がめっちゃ背中に矢が刺さったりとすごい。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 5/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 9.3/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
74点
個人的にはリメイクだったのかぁというガッカリ感もあったりするが、単純に良作だったなぁと思いました。
フィンチャーたちの関係性がよくわからん。
作風自体はスパイク・ジョーンズ風。
最近スパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリーの映画見てないなぁとなんか2000年代と2010年代を懐かしく思った。

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