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◯【69点】ボックストロール【解説 考察 :ブルーチーズのような癖の強い美味さ】◯

ボックストロール

製作

2014年アメリカ映画

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製作

トラヴィス・ナイト
・KUBO/クボ 二本の弦の秘密
パラノーマン ブライス・ホローの謎

あらすじ

ヴィクリア朝時代のとイギリスのとある丘の上の町のチーズブリッジ。
ここでは地下に住むトロールが少年を誘拐し殺したという噂が広まっている。
害虫駆除業者のスナッチャーは、町の権力者のリンド卿に全てのトロルを駆除する代わりにその暁には、リンド卿が主催する権力者のチーズを食べる会、通称ホワイトハットの一員になり。
町の権力者となり町の名を自分の名前にする契約をする。

そして町では、夜な夜なトロールたちが、人間たちのゴミなどを集めていた。
しかしそんな彼らにスナッチャーとその仲間たちの駆除行為の魔の手が迫る。
逃げ延びたトロールたちは、
地下に帰る。
誘拐された子供はエッグと名づけられ、トロールのフィッシュに大事に育てられ、
持って帰ってきたゴミを使って、楽器などを作り楽しい日々を送っていた。
トロールたちは発明などのものづくりをするのが好きだった。

しかしそんなトロールをスナッチャーは捕獲。
育ての親のフィッシュが彼らに捕まり、スナッチャーから取り戻すべくエッグは地上に向かう。

地上でエッグはリンド卿の娘のウィニーと出会う。
地上でトロールは悪者として住民に忌み嫌われていた。
それはスナッチャーがフランス人歌手に変装して、皆にエンタメショウとして、
トロールに誘拐されて殺された少年の劇を頻繁に公演しているからだ。

スナッチャーを追跡したエッグはスナッチャーがトロールたちを生かしており、
何かを造らせていたのだった。
スナッチャーに見つかるが、
地下に帰還したエッグだったが、スナッチャーも彼を追跡しており、
残されたトロールたちがスナッチャーの作成した兵器により全員捕まってしまうのだった。
エッグはウィニーにお願いし、リンド卿にスナッチャーの正体を告白するが、
それも無駄に終わってしまう、
そしてスナッチャーはトロールたちが作った兵器を使い、街を破壊しようとするのだった。

2019年9月15日Netflix自宅鑑賞 2019年75本目



イントロダクション

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ストップモーションアニメ映画で有名なLIKAの長編映画作品。
2005年のAlan Snowの小説Here Be Monsters!を原作にした作品。
LIKAとしては長編映画3作目。
しかし日本では2014年、2015年中に劇場公開されることなく、
2018年にLIKAの次作『KUBO』のソフト化に祭してようやくソフトリリース。

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デジタル販売やケーブルテレビなどでは一度放映したことがあるが見ることが少し難しかった本作だが、この度Netflixにて見放題対象になっていたので鑑賞。

しかしずっと応援していたLIKAだったが、本作『ボックストロール』のスルーによって『KUBO』の日本公開が2017年だったこともあり、日本では4年近くもLIKAの新作がなかったため、
個人的には風化してしまった。
また新作の『KUBO』がはまらなかったこともあり、少し距離感を感じる。
『KUBO』がはまらなかったのは、どちらかといえば『LEGO ムービー』が原因。
ストップモーションという超大変な作業をしなくても、
現在の技術ではCGでストップモーション風なことができるという技術力を見てしまい、
逆に『KUBO』においてはCGアニメーションに近づけてしまってる感があった。

そんなわけで、手作りの味わいから技術力での実写感が増してしまっている、
キッシュさが消えることにこの手の映像に価値があるのか?
という矛盾を感じてしまった。

濃厚な世界観

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『パラノーマン』を年間ベストにするぐらい好きだったわけですが、
今作はびっくりするぐらい世界が濃い。
これまでアメリカの家族を描いていたが、
今作ではトロールに育てられた少年とイギリスのビクトリア朝時代を舞台にし、
そこでの悪巧みをするおっさんと虐げられるトロールと少年のいざこざが描かれる。
高い技術力や作り込みをビクトリア朝という時代劇に落とし込みながらも
トロールという怪物を大量に描くという、野心的で濃厚な設定、
さらに町の権力者がチーズが好きというぶっ飛んだ設定と、
悪役のチーズアレルギーの悲恋さなど、
これまでもブラックユーモアがあったが、少し歪みすぎて目を背けたくなるブラックさが濃く、
これまで以上に個性が強く濃厚で見る人を選ぶ作品になったと感じた。

濃厚な映像

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LIKA作品というだけでその映像の技術力の高さはやばいです。

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まずストップモーションだと感じられないというぐらいに細かな動きの数々をキャラクターがする。
むしろもっとぎこちなくてもいいと思えるのにそれをしないプロ根性。
でも映画のスタッフロールには製作背景で製作者たちが1枚1枚微妙にキャラクターの人形の動作を変えて写真を撮っている。

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そして数え切れないほどの3Dプリンターでの表情の数々。

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終盤では巨大ロボットも登場し、ぎこちなさを感じないことや齣撮りでは再現できなさそうな動きの数々、絶対CG使っているとは思うが、それでもすごい。
特に終盤のロボットとの戦いは、映画としてのエンタメ構造を忘れないLIKAの非凡な映画製作の心意気を再認識。

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過去作含めて終盤では大掛かりなアクションを行うのは恒例となっている。

濃厚なシナリオ

トロールに育てられた少年は実は誘拐された少年で、
町ではトロールに殺されたことになっていた。
それを嘘で塗り固めたのは駆除業者の張本人。
しかし駆除業者も駆除業者で階級社会の犠牲者として、
元来の夢だった権力者になって愛するチーズを食べることを叶えるべく、
下克上をしようとするが、重すぎるチーズアレルギー。
権力者は政治も子育てもせずにチーズをたべるだけ、
階級の高いものに生まれたことで、特に苦労もなく生きている。
そんな歪んだ社会構造の中でさらに虐げられるトロール。
でもそんなトロールが1番非凡な才能を持った心やさしき存在だった。

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心と才能の優れたものが幸せになるには何もかもが崩壊しないといけない。

そんなブラックなメタファーを内包しつつ子供向けのような単純なプロットで、
凄まじい労力で映画製作を行うLIKA。

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LIKAだけじゃないストップモーション

結果的に本作は大ヒットだったのだが、
次作の『KUBO』はその濃さで中世の日本を描いたことで、ヒットからは離れてしまい、
2019年に公開したイエティを主役にした映画は大赤字。
プロデューサーのトラビス・ナイトは『バンブルビー』で成功を収めたように見えるが、
LIKA大丈夫なのか???

今作からLIKAが個性をより高めてきていることは実感した。
そしてストップモーションアニメ映画はLIKAだけじゃなくなってしまった。
ウェス・アンダーソンという鬼才はその味をより濃くしてカタルシスを高めたものを作るし、
LEGOムービーはCGでその持ち味を再現。
さらにイギリスでは元祖のひつじのショーンはもっとわかりやすいエンタメで勝負をしてくるし。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6.8/10
・映像のアプローチ 8.5/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 4/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 6.7/10

69点

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