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◯【75点】ブラインドスポッティング【解説 考察 :笑えるけど笑えないホワイトアメリカ】◯

ブラインドスポッティング

製作

2018年アメリカ映画

コメディ風の社会派映画
オールマイティな映画なのでオススメです。

キャスト

ダヴィード・ディグス
・ワンダー 君は太陽

あらすじ

現代のアメリカのカリフォルニア州のオークランドを舞台にした物語。
アフリカ系アメリカ人のコリン・ホスキンス(ダヴィード・ディグス)は傷害事件を起こして、
3ヶ月間刑務所に入った彼は1年間の保護観察処分になった。
そして平穏な日々を過ごしている彼は残りの期間が3日になった。
この日々を犯罪とは無縁に過ごすことで、彼は自由の身になるのだ。

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コリンは生まれも育ちもオークランドで、普段引っ越し屋で働いている。
そこには幼馴染の粗暴な悪友のマイルズも働いている。
2人はペアを組んで仕事を行い、いつもおしゃべりをしながら、作業を行う親友でもある。
仕事を終えた帰り道にコリンは門限のため、急いで帰宅しようとしていた矢先、
逃走するアフリカ系アメリカ人と遭遇。
それを追う白人警官とも遭遇、彼は逃走者に対して銃を取り出し銃撃する。
無抵抗な逃走者を銃撃し射殺したことに動揺したコリンは、警官の指示でその場を離れ帰宅。
しかしそこから彼は自身が目撃者として命を狙われるのではないかと徐々に精神を病んでいく。

そんな中、コリンは仕事を通してオークランドが本来の住人とは違い、
金持ちたちが多く移り住んでくることを実感し、多くの人々がここを離れていることを知る。
地元育ちの悪のマイルズは苛立ちを隠せない。
またマイルズは友人からうっかり銃を購入、そしてある日マイルズの娘がそれを持ち出して遊んでいる姿を目撃、結果マイルズは妻と大げんかを起こし、コリンは巻き込まれてしまうのだった。

2019年9月1日劇場鑑賞 2019年72本目



アイデンティティ・クライシス

サンダンス映画祭にて作品賞、主演男優賞、脚本賞にノミネートした作品が日本公開。
カリフォルニア州のオークランドを舞台に白人と黒人の人種問題を扱った軽快な映画ながらも
一気に悲しみを畳み掛けるコメディ風の社会派ドラマ映画。
日本では窪塚洋介がイベントに出演してちょっと話題になった。

監督や俳優などはそこまで有名ではないが、
主演のダヴィード・ディグスは舞台とテレビで活躍している方。
アメリカ合衆国建国の父の一人アレクサンダー・ハミルトンの生涯をヒップホップ音楽で綴ったミュージカル作品『ハミルトン』にて第3代アメリカ大統領のラファイエット伯爵とトーマス・ジェファーソンを演じた。
『ハミルトン』は高い評価を得ているミュージカルなので、
そこから培った技術力を本映画内で披露しているわけである。

物語としては、重度の暴力事件を起こしたアフリカ系アメリカ人の主人公が、
社会復帰し、自由を得るために平穏に過ごそうとするが、
事件をより重くしている悪友で幼馴染で白人のマイルズが原因で、
またも問題を起こして、その自由さえもなくしてしまうのかもしれないという、
ギリギリの日常を過ごす主人公だが、
それ以上に白人警官の無防備な主人公と同世代の黒人を射殺したことを目撃したことで、

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隠蔽のために殺される危機感や、オークランドという街に潜む白人優位な社会的問題に、
心を病んでいき、自身のアイデンティティと社会と環境に心を病んでしまう青年の3日間を描いた作品。

特に近年アメリカで起きている白人と黒人の人種間での問題は、映画界で数多く取り上げられている。
無実と思える黒人の少年を殺害などなど、白人警官の社会問題は多い。

黒人で最悪。でも白人でも。。。

とりわけ現在の社会情勢的に黒人のコリンの生きづらさを体現したアメリカの空気感が辛い。
もともと住んでいた人々はどんどん地価の上がるこの地を離れる。
普通に物価が上がり、食生活の変化も強いられる地元住民。
挙句にそれの手伝いをする彼らの心境は資本主義の犬とまでも言えないが、
生活のために地元の魂を売る哀愁がある。

東京生まれ東京育ちの自分としても物価の上がるこの地に、
生きづらさも感じるし、高学歴でもなければ、大手企業戦士でもない自分としては、
もし将来子供が生まれたら隣の県の埼玉県に引っ越すしかないのかなと思うが、
それは避けたいなぁと。
さらには5年前には感じなかった通勤の人の増加、確実にベッドタウンとしてのマンションの乱立を感じるし、住民が増えているのを感じる。
自分たちが住んでいたこの街は、より高給取りの人の住む街になっていく。
まぁそれでも人種差別がないから、本当の意味で映画を理解できてはないが。

そんなわけで、オークランド魂を体現するコリンとマイルズ。
問題はマイルズ。
本当はマイルズの方が、いつもやりすぎてて、本当はマイルズが罪に問われるべきだったとこもあるが、責任は全て黒人のコリンズ。。。
マイルズこそコリンズを不幸に導く存在だと、薄々感じているが。
しかしそんなマイルズも自分のアイデンティティを失いつつある存在。
自分の振る舞いはどう見ても粗暴な黒人。
愛する人も黒人、大切な友人も黒人。
それでも自分は白人として、体格も小柄。
振る舞いは黒人なのに黒人にはなれなかった。
粗暴な黒人以上に粗暴になってしまう、1番のアイデンティティ・クライシスを常時起こしいる存在。
昔だったらジェレミーレナーが演じていたような役柄ですね。

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演出が面白い

ケンドリック・ラマーのPVのようなインパクトのある描写が複数あった本作。
コリンズの精神の病み具合に人種差別特に黒人への社会の厳しさを露骨に表現。
墓場をランニングするシーンで亡くなったの黒人だらけという描写も面白いが、
あの物量作戦の感じもどっかケンドリック・ラマーっぽい。

最終盤のラップ描写も唐突ながらインパクトも強く、これぞ『ハミルトン』での技術力が体現。
と急なことで動揺したが、絶妙にそういう描写の伏線も張ってたし。
「白人はラップじゃないと話をきいてくれねぇ」めっちゃ偏見やん。

『アントマン』で見たような回想への持ち込み、本当は怖いシーンなのに唐突な展開で、
笑わせながらも怖さを描くテクニック。
そういった技術をうまく盛り込んでいるのも面白い。

ウィットに富んだ会話の数々。

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社会派ドラマだが、全体としてはバディ要素の強いコメディ映画。
そのコメディを通してあぶり出されるアメリカの変化とかレッテルだらけで全く見えてこない本当の葛藤の数々。
タイトルは造語だが「盲点」という意味。
マイルズの葛藤こそ盲点だが、おびえ続け、同様に怒りを抱えてるコリンの姿も盲点。
何気ないジョークのやりとりの数々に哀しみと怒りが詰まっている。
冒頭からの大好きだったハンバーガー店がビーガン仕様をスタンダードにしてしまってることを揶揄ったり、しょぼい地元のコンビニで高級な青汁が販売されたりするが、飲んでみたら意外と美味しかったり、何気ない切なさを2人のジョークで和ませてくれる。
絶妙なトーンの数々が終始心地よくしてくれるが、ふとした瞬間に死との隣り合わせや生きづらさの葛藤が始まる。
その現象こそがアメリカの抱える病であり、分断の象徴なのかもしれない。

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オールマイティ過ぎる映画

笑いあり涙あり怖さあり、そして社会派。

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演出も色んなところからサンプリングしている感もあり、
トーンはオフビートだったり、時折サスペンスフルだったりとオールマイティな映画。

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マイルズの嫁のエロい尻も見事だし、
コリンズの義理の弟のアジア系のノリと反応も笑えるし、
コリンズの母親の再婚相手がアジア系でアメリカの変遷も顕著だし。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.5/10
・映像のアプローチ 7.4/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7.5/10
・音楽 7.5/10
・上映時間と個人的趣味 7.4/10

75点

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