『機動戦士ガンダムF91』は説明不足だし、登場人物も多い。なのにアムロやシャアを知らなくても見られて、シーブックとセシリーの物語も分かりやすい。ガンダム入門としては意外とおすすめの作品です。
この記事ではネタバレありで本編を感想・考察しつつ、4KリマスターBOXのHDR画質と4.1ch音声もレビューします。自分の視聴環境では、UHD版がBlu-rayより暗く見え、期待したほどの鮮明さも感じませんでした。
※以下、物語の結末を含むネタバレがあります。
製作
1991年日本映画
UHD購入したが、
HDR失敗??
監督
富野由悠季
・Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター
・機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者
・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
・機動戦士ガンダム
あらすじ
2020年27本目
旧作ガンダムUHD化プロジェクト始動
もう買って2年経つの???
2018年6月に購入した4KリマスターBOX
この度開封して鑑賞しました。
旧作ガンダムUHD化計画にて
『ガンダム 逆襲のシャア』と
同時に発売された本作。
初のUHD化で旧作ガンダムHDR化という、
超大期待の1本なのですが、
残念ながらUHD版はダメなとこもあります。
今回は完全版のレビューです。
自分の環境ではHDRが暗い!Blu-rayより線のぼやけも気になった
2年間も寝かせていたわけですが、
これについては衝撃的としか言いようがない。
画面がBlu-ray時より暗いんです。
公式には、富野由悠季監督監修による
4Kスキャン、4Kリマスター、HDR化。
ただ、自分が当時使っていたXboxと
4Kテレビで見た限り、
Blu-rayより画面が暗く見えました。
HDR映像は再生機器やテレビ側の設定でも
見え方が変わるため、
UHD版そのものの失敗とまでは断定できない。
それでも、せっかくのF91を再生して
最初に「暗いな……」となったのは、
正直かなり残念でした。
線のぼやけも気になった
これもUHDとして最高の映像が拝めると
思っていた矢先の残念ポイント。
公式には4Kスキャン&4Kリマスターなので、
単純なアップコンバートではない。
それでも自分の目には、
線のぼやけがかなり目立った。
Blu-rayでは気にならなかった部分が
4Kで見えやすくなったのか、
フィルム由来の質感なのか、
再生環境の影響なのかまでは断定できない。
原因はわかりません。
ただ、UHDは映像記録メディアの到達点だと
勝手に思い込んでいたので、
わざわざ買ったのに……と
後悔する部分は確かにあるんです。
4.1chの音、そして書き込まれた画に感動
と、上記のようなディスりもしましたが、
作品そのものの作画は格段に凄いです。
特に90年代はOVAの書き込みがやばい時代。
同時期に販売されていた
『機動戦士ガンダム0083
STARDUST MEMORY』
の書き込みとか異常じゃないですか。F91も、その線の多さを4Kでより実感できる。
特にクロスボーン・バンガード系列の
モビルスーツはミリタリーチックな曲線が
多いのが特徴的で、挙句に目もモノアイ
じゃなくて特殊ゴーグルチックな
マッシブさがすさまじくて、
武器にもマシンガンやらランサーやら
凄い情報量。
挙句に小型化にともなって放熱フィンなども
多数くっつけられていて、
これまでの宇宙世紀のジオン軍の
丸みを帯びたフォルムとは全く違う系統の
MSデザインが完全に作画の人たちを
過労死に導いている。
ガンダム好きとしては非常にありがたいです。
また音もUHDの容量にふさわしい
高精細な音が収録。
音声特典には、
劇場公開当時のドルビーサラウンド音声を
4chに分解・再配置し、
低音成分を追加した
「4.1chアドサラウンド音声」を収録。
単純に2.0chから進化させたというより、
当時の音声を再構成したものです。
ここはUHD版らしい付加価値で、
ありがたいです。
それではF91の感想に移ります。
フォーミュラ ナインティワン
正式タイトルはF91と書いて
フォーミュラ ナインティワンと呼ぶ。
でも劇中では
「シーブックアノーは
ガンダムエフ91でいきます」
って言ってます。
というわけで当時のF1ブームを
新作ガンダムにも取り入れようとしたようで
また劇場公開が91年だったこともあり、
ガンダムフォーミュラ91として
新時代のガンダムとして富野大将が
生み出し、テレビシリーズを構想しており、
プロローグとして描いた本作。
ガンダムF91に関しては、
もともとはガンダムではないらしいが、
顔がガンダムに似ているから
ガンダムと呼んだ。
また後付け設定まで含めて
宇宙世紀の歴史をつなげて見ると、
F91は突然現れた新ガンダムではない。
U.C.0096の『ガンダムUC』には、
地球連邦軍の海軍戦略研究所
S.N.R.I.(サナリィ)が開発した
小型可変MSロトが登場する。
ロトは当時の主力MSより大幅に小さく、
その実戦データは、
後の小型MS開発にも活用された。
ただし、
ラプラス事変でアナハイムが消滅し、
その代わりにサナリィが誕生したわけではない。
アナハイムはその後も存続し、
宇宙世紀123年にも
サナリィと地球連邦軍の次期主力MSを競っている。
大型化・高コスト化を続けるMSと、
アナハイム一社に依存する開発体制。
その両方を見直すため、
サナリィは小型・高性能MSを目指す
「F(フォーミュラ)計画」を進めた。
その試作機がF90。
F91にはF90Vで試された
ヴェスバーやビーム・シールドの技術が
受け継がれている。
つまり『UC』のロトからF90、F91へ。
映像ではほとんど説明されないまま、
サナリィによる小型MSの歴史は
ちゃんとつながっている。
こういう後付けなら大歓迎です。
しかしフォーミュラというホイールの
剥き出した感じなどは、
胸部のエンジンむきだしな感じや、
バイオコンピュータの放熱のための、
肩のフィンや
背中のエンジンのような冷却部などに
意匠が見られる。
背景には1980年代後半に日本で車のレース、いわゆるモータースポーツ。その一つである「Formula One(フォーミュラ・ワン)」ことF1が流行しており、そのデザインを踏襲しているという当時の状況でしか辿り着けなかった裏話があって面白い。
そういった特殊設定を数多く盛り込み、
敵であるクロスボーン・バンガードもまた
貴族主義という独特な考えを持っており、
動乱の宇宙世紀の幕開けの矢先に
映画一作のみで終わってしまったが、
アムロやシャア、そしてニュータイプ論
などガンダムのお約束全てをリセットし、
0から描かれた本作は、
ガンダム入門としてとてもおすすめなのだ
ガンダム大好きな自分としては、
とりあえずのガンダムとして本作を勧めたい
作品としては、
正直説明不足過ぎる。
前述のあらすじも事細かに調べた
結果のあらすじで、
本編は突如謎のロボットたちが、
コロニーに侵攻してくるところから始まり、
学園祭中の少年少女たちがテロ行為にあい
逃げ惑い、
気がついたらガンダムが出てきて乗るという
物語、人物の背景が全く描かれない。
それでも冒険活劇、
またロボットアニメとしての体裁は
整っており、普通に楽しいし、
富野大将らしい、独特な言い回しでの
個性も十分に感じられるし、
ニュータイプ描写も後半あるので、
楽しく見れる。
残念なことは後の
テレビシリーズを想定していたからか、
キャラクター描写を放棄した点や
登場人物が多すぎて、ぐちゃぐちゃしている。
映画一本で終わることを想定していれば、
もっと登場人物を減らし、
キャラ描写を濃くしたり、
もっと焦点をどこにするかなど
脚本をよくすることができたと思う。
それでもビルギットなどは名言を吐いたり
していて面白い。
家族の絆で悪を倒す!勧善懲悪なガンダム
ガンダムといえば、
明確な正義の味方がいないし、
敵側にも思想があって戦う。
その現代のスタンダードを
生んだ作品とも言えるが、
今作は新しいことをするためか、
物語は善寄りになってしまっている。
その前にこれはようやく気がついたのだが、
シナリオとしては二つの家族の対比が
ある作品。
シーブックという青年は、
妹の面倒見もいい。
母親は仕事を選んで別居。
父は息子たちを守るために、
奮闘し、劇中で亡くなってしまう。
そんなシーブックが操るのは母親が作った
ガンダムで、妹が解き明かした回路の
おかげで真の力を発揮することに成功。
そして母親は父親の了承を得て、
仕事をしていた。
子供の視点では母不在は辛いが、
物語を追うことで、
立ちはだかる敵を倒すF91が、
家族の愛によって構成されたモノである
ことがわかり、その力を駆使して、
シーブックは幸せを掴む。
逆にシーブックと対比するヒロインの
セシリーは、母親は父に愛想を尽かし、
浮気し別居。
挙句におじいさんが
軍事組織の総帥として独立宣言。
さらには貴族主義という、
選民思想による平等性の廃止。
その思想に傾倒した実の父との対立など、
二つの愛のある家族と愛のない家族の対立が描かれている。
異母兄のドレルや、貴族主義に傾倒するザビーネなど、一癖も二癖もあるロナ家とその周辺の人間関係があって、広げようもあったのだが、今作のみの要素。
貴族主義で独立宣言というヨーロッパ調な
意匠が作品の個性を高めている。
またカロッゾの鉄仮面のディテールが
露骨に悪者であり、
彼が秘密裏に進めていたのが、
選民思想を突き詰めた
人類粛清という無差別虐殺だったこともあり
その虐殺を止めようとするシーブックたちの
勧善懲悪のお話になっていて、
ガンダムらしくない作品かもしれない。
テレビシリーズなら地球環境を救うだとか、
腐敗した連邦軍の体制を変えるためだとかの
社会的側面を論じられれば、
『機動戦士Vガンダム』のように、
敵の言い分というのも少しはあるだろうに。
コスモ・バビロニアの建国は失敗に終わる。
しかしこの後、
腐敗した地球連邦政府に対して
各地のコロニーが次々と独立し、
宇宙世紀は「宇宙戦国時代」へ向かっていく。
ロミオとジュリエット要素もあるぜ!
今作がガンダム入門としておすすめなのは、
やはり男女の物語でもあるところ。
宇宙世紀を舞台にしたガンダムはだいたい
軍隊が舞台で、それに巻き込まれて、
おかしくなったりするのがほとんどだけども
完全に好青年と美人という2人が、
敵味方に分かれて、そして再会し、
強敵と戦うというロマンチックな展開で
2時間で終わるのは本作だけ。
とっつきやすさが異常。
また最終決戦を終えた後も2人の
恋愛要素を描いて幕を閉じるので、
『ガンダム』という概念だけに囚われない
エンタメ要素の高い作品なので
非常におすすめ。
しかし登場人物多すぎだわ。
お前セシリーの母親だったのか?
レジスタンスの中で
急に出てくる女性がいたが
あれってセシリーの母親だったのか。
セシリーを取り戻すために、里帰りしたのか。
知らなかった。
カロッゾの素顔とかどうなってんだよ。
あとなんでカロッゾ、宇宙空間で息できて、
コックピットハッチ素手で
こじ開けられるんだよ。
東方不敗かよ。
そして台詞が「怖かろう」なのまじで怖いよ。
その彼が「化け物か?」って言って死ぬの好き。
てかそもそもシーブック天才過ぎる。
敵も正規軍ではないとはいえ、
簡単にバッタバッタ敵を倒しすぎでは?
バイオコンピュータの性能や、
母親が作ったことで体が馴染みやすい
というのはあると思うが。
しかしその後クロスボーンガンダムでは、
ザビーネの裏切りにあって片腕を失ったりと、
可哀想な目にあうんだよな。
とりあえず辻谷さんの声大好きでした。
お亡くなりになって残念です。
hisSCORE
・脚本のユニークさ、濃さ、テーマなど6.6/10
・映像のアプローチ 7.5/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
76点
終盤の「質量を持った残像」は、
4K版だと画面内の情報が拾いやすくなって、
改めて迫力を感じた。


















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