CGが無いことに畏怖
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
1962年イギリス・アメリカ映画
天啓を得た男は英雄だったのか?
監督
デヴィッド・リーン
・逢びき
・戦場にかける橋
・ドクトル・ジバゴ
キャスト
ネタバレ あらすじ
2023年11月4日完全版4K上映版鑑賞
2023年46本目
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名画座で4K版4K上映で鑑賞
2012年にカンヌ映画祭にて
フィルムを8Kスキャンして
4K映像化したバージョンが上映された。
2013年には
Blu-ray(2KのHD画質)にて
Mastered in 4K
バージョンも発売されたが
本質的な4K版ではなく。
2018年に4K版のHD放送が
国内のケーブルテレビでも
実施された。
そして2020年についに
UHD化され正式な4K版が
出回ることになり。
2022年には衛星放送の
BSNHKにて4K版が放送。
そしてリバイバル上映として
最大手のシネマコンプレックスの
TOHOシネマズの旧作上映にて
4K版の完全版がラインナップ。
劇場設備によっては2K上映だが
フィルム以外の最高バージョンでの
上映が開始。
そして名画座の
新文芸坐にて4K上映があると聞き
先日『パーフェクトブルー』を
鑑賞した際に
映像と座席と音響に感動したので
もう一度是非とも鑑賞したいと思い
足を運ぶことにした。
VS上映時間
と休憩時間含めると4時間近くなる
わけですがそれにも負けず
鑑賞してきました。
ほぼ内容忘れていた
前回見たのは10年以上前。
やはりあまりにも長くて
得る覚え状態。
なぜ本作が高く評価されているのか?
その理由は全くわからず。
栄華必衰の物語に定石を
感じてしまった記憶が強かった。
概要:アラビア人を制することは何人たりともできない
映画自体は
1916年以降のサウジアラビアを
舞台にしたアラビアの魅力に取り憑かれ
自身を救世主と思い込んでしまった
悲しき白人の物語。
1963年の映画で
『アラバマ物語』や『史上最大の作戦』
を打ち破り、見事アカデミー賞
作品賞を受賞した作品。
同様に監督賞、カラー部門撮影賞
カラー部門美術賞
技術力高過ぎ映画
そして1988年に
再編集を行って完全版が制作。
監督自身が編集を行なった。
上映時間は27分増加。
冒頭と最後に
ブラックバックで音楽が
流れる仕様。
今回の4K上映でも画面が
光って見えてしまった。
本当の「黒」を味わうためにドルビーシアターで上映してほしいところだ
幕間のある作品で
前半と後半で分かれている。
前半はロレンスが砂漠を渡り
港町のアカバを占拠し
再び砂漠を渡り
基地に戻って
出世するまで。
後半は出世して
ゲリラ部隊を率いて
オスマン帝国を滅ぼす
英雄の1人となるのだが戦争と
アラビア人というものに
のめり込んでしまい
住民の気持ちで戦争に参加したことで
虐殺を起こしてしまうし
アラビア人そのものに
民主主義国家の礎を作ろうと
驕りまくった挙句
映画の序盤で残虐な特性を
叱咤した彼自身が
アラビア人の醜さを
体現し自分自身の
ちっぽけさを体感して
自分が始めた物語を
勝手に抜け出す
人間臭さ前回の物語が
描かれる作品。
一言では語り尽くせない歯痒さがある映画です。
驚愕の映像美の連続
砂漠を舞台にした本作ですが
無茶苦茶美しい
自分はフィルム上映から
映画を映画館で見れている層
ではあるが
独特のグレインや
そもそも映写技師の焦点合わせの
テクニックやら
シネコンやらは節電とランプ節約の為に
明かりを下げて上映していたりと
フィルム映像はぼやけたものという認識が強い
国立映画アーカイブで鑑賞した
『2001年宇宙の旅』は
とてもとても凄かったですが
だから4K上映の方が
安定感もあって
偉大だと思うわけですよね。
またもはや自宅でのUHD鑑賞とか
も全然ありだと思うし
4Kプロジェクターとかも
十分だと思うわけ。
それでもまぁ当時の劇場でも
相当衝撃を与えるもの
であったと思うものの
やはりこの映画をスクリーンで
見るという体感は格別であったのだと
思うわけです。
映像まじで凄かった。
日中の蜃気楼の演出すごい
遠方から近寄ってくる映像
しっかり長回しで
間延びしているように
思えはするものの
その蜃気楼に像が
鮮明になっていく様の
圧倒的パワー。
岩山が美麗
空からの襲撃がすごい
夜の砂漠すごい
ロレンスが天啓とも言える
夜の砂漠で瞑想?
砂漠との対話?をするシーンも
凄まじい。
風が吹き砂が舞い
砂が海になっているの
めちゃめちゃすごい。
こういう映像美やばい。
宴のお祭り感やばい
前人未到と思われた
砂漠の横断作戦を
見事に成功させ
傭兵の部族へと
交渉兼お食事での
物量もやばい。
アカバへの侵攻まじでやばい
当時CGなんてないですよね。
50頭近くの馬が
一斉に画面いっぱいに
駆け抜ける奇襲のシーン。
一連の長回しで描くという
マジでマジで圧巻。
イギリス軍の基地での人いっぱいもやばい
ロレンスの単独での
戦況ひっくり返しと
指揮官に戦略を提示する
のをイギリス軍の兵士が
建物から首出しまくるの
物量作戦でやばい。
列車転倒してやばい
戦況ひっくり返しと
指揮官に戦略を提示する
のをイギリス軍の兵士が
建物から首出しまくるの
物量作戦でやばい。
列車転倒してやばい
ゲリラ攻撃で
貨物列車襲撃するのも
見応えたっぷり。
終盤の議会シーンのわちゃわちゃやばい
あの人だらけの
議会でのてんやわんや
最高に見応えある。
2020年代じゃ作ることができない物量の面白さと広角の面白さ
屋外ロケでここまで広角映像で
しかも長回しの連続!
予算つくのか?
物量的に再現可能なのか?
戦争映画でたまに見かけるけども
まぁ今作も戦争を舞台にしている
けども
戦争シーンより
砂漠を渡るとか
砂漠の民とは?
アラブ人とは??
そしてその違いと
それを支配及び資源の略奪しようとする
欧米諸国の目論見が
現代のイラク戦争や
欧米諸国との軋轢に結びついたりと
意味が全然違うというか。
難しいけどアラブ人と欧米人との軋轢か
本当に初めてこの映画を見た時
よくわからなくて
何故そんなに価値があるのか?
確かに映像は凄まじ過ぎたが
それと同時に深い部分として
ロレンスがアラブ人に
なりたがっているという
欧米人とアラブ人は
明確に思想も思考も違うということを
映画は描いている。
ある種差別的でもあるかもしれないが
彼らは部族として
そして宗教も違う人種として
分かり合えるという面では
利益が一致すれば一緒にいるが
時間が経てばバラバラになるという
根本的に違うということ
それでも自分は大丈夫だと
考えたロレンスが
染まっていって
いつの間にか超えては
いけない一線を超えて
また欧米諸国の文明に
帰っていってしまうという
まるで敗北者のように
映画の終わりと共に
帰還していく様は
夢を見たいだけ夢見て
幻滅していく様は
まさに戦争帰りなんだなぁと。
そして自分はモーセであると
奢った結果がエグくてやばいかった。
その驕りこそが
ベトナム戦争でも敗北したり
イラク戦争での無意味さに繋がり
欧米諸国との軋轢なんだな。
そしてイギリスこそが
アラビアに武器を持ち込んだ
悪の存在であるということを
如実に描いているんだよなぁ。
人間くさい英雄
砂漠の声を聞いたと
思われるロレンスは
奇跡の技で奇襲作戦を
成功させるわけですが
そこからは自信を
白人のモーセだとか
そういう主張で驕り
多大な戦果を上げた
立身出世の存在ながらも
たった一回の拷問で
心を病んでしまい
それでもアラビア人として
アラビアに民主主義を持ち込めないか?
と議会を作ろうとするが
離散してしまい
残虐な決断をした
暴君へと堕ちながらも
元の生活に映画内では戻る。
現実ではその後も戦地を
転々としているわけですが。
冷徹な覇王でもなく
自分の想像を超えた力で
自分自身を滅ぼし
全てを失う
まるで仕事中に宝くじを当てて
そのまま破産したような
妙な人間臭さがある。
彼と一緒に旅をしたような
そんな映画だったわけだが。
あれ?この人が砂漠渡らなければ歴史改変してたしそもそもイラクと欧米諸国の関係がこんなことにならなかったし、歴史の転換点が描かれてた?
映画内のロレンスがちょっとゲイっぽい
雰囲気的な話ではあるが
風変わりでちとナヨナヨしている
彼が妙にゲイっぽかった。
そして劇中には女性もほぼ登場せず
ホモホモしいとも言える友情もある
バディ映画としての側面もある。
さらにさらに劇中では
拷問というかオスマン帝国の
指揮官がガチもののゲイでレイプ魔
っぽい雰囲気があり
鞭打ちプラスアルファをきっかけに
精神が病んじゃうという。
逆に男性にトラウマ植え付けられてて
やばかった。
そこで折れちゃうのも人間らしくて
いいし、
自分は特別じゃなかったと
思う絶妙な展開。
ちなみに現実でもWikipedia情報だが
拷問に快楽を覚えてしまって
そういうプレイを楽しむように
なってしまったようです。
マジで色んな意味ですごい
音楽は映画館で味わうと強烈
今ではという言葉がお似合いだが
本作は映画が始まると
しばらくオーケストラ音楽が
ブラックバックで続く。
これが正面のスクリーンからのみ出るわけ。
劇場で鑑賞すると
まるでスクリーンの後ろに
オーケストラが控えているのでは??
とありえない想像に駆り立てられる。
冒頭の真っ黒がまじで真っ暗でやばそう。
通常劇場だとスクリーン部分が
光ってしまうんですよね。
音楽としては鼓笛隊っぽい
軍隊の行軍のような音楽。
劇中ではもっとゆったりした
一大抒情詩っぽい曲が多いので
アンバランス感がすごい。
ちなみにエンドロールも
行軍っぽい感じでした。
インターミッションって偉大
と今作は
2部構成で途中休憩がありました。
これまじで偉大。
トイレ休憩して足の血の巡りを
改善してくれるし
頭もリフレッシュ。
ちょっと糖分も取れたりと
リフレッシュした状態で
後半戦にのぞめる。
むしろ幕間休憩のない
ロードオブザリング王の帰還とか
足痛過ぎて地獄ですわ。
直近だと
『2001年宇宙の旅』と
『七人の侍』で遭遇して
有り難かった印象。
家だと集中力が単純に
切れてしまうわけです。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 9/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10
90点
一生に意図度は味わって欲しい
映画ではあるが
見返すなら20年に1度とかでいいぐらい
長くてしんどい。