全ての次元の中いつどこであっても
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2022年アメリカ映画
家族であり続けるものたち
製作
ルッソ兄弟
・21ブリッジ
・グレイマン
・タイラー・レイク -命の奪還-
キャスト
ネタバレ あらすじ
2023年3月3日劇場鑑賞
2023年12本目
中年ババァが全ての次元を制する日
監督は『スイス・アーミー・マン』の
ダニエルコンビ。
製作は
MCUのインフィニティ・サーガの
完結たる『アベンジャーズ/エンドゲーム』を
生み出したルッソ兄弟が
これまでのMCU共演者とは縁を切って
本格的な映画製作を開始!!
まさかのアジアンSFダァ!
出演は香港でも
ハリウッドでも大活躍の
マレーシア人のミシェール・ヨーさん。
相方には30年ぶりに映画に本格復帰した
キー・ホイ・クァン。
アメリカに移民して
なんとか暮らしている中国人の
エヴリンが突如、
全世界を超えた全次元を救う存在へと
変貌してしまうという
アクションコメディのような
家族の物語。
賞レースでも作品賞として多くノミネートし
ミシェール・ヨー
キー・ホイ・クァン
は多数の賞を受賞。
アカデミー賞にも多数ノミネート。
北米の批評家評価も高く
Metascoreは81点という
高評価作品で
一時期はIMDbTOP250にも
入っていたほどの高評価作品。
そんなわけで鑑賞しました。
マルチバースの集大成先にやっときました
マルチバースと言えば
2023年時点では
現在進行形で
MCUが2021年から
多次元の設定を開放し
2025年の『アベンジャーズ』の
最新作に向けて
世界観を拡張中なわけだが
コミックとしてはDCさんや
マーベルさんがクロスオーバーや
世界観のリセットの為に
大型イベントとして
しょっちゅうやってたり
別次元の正義の味方が敵として
頻繁に攻めて来たり
頻繁に次元の破壊者がいたりと
そっちの方ではしっかり
やってたわけですが
映画の方では複雑過ぎるから
複雑でオタク過ぎるから
SFとしても避けてた印象だったが
『アベンジャーズ』に先駆けて
ルッソ兄弟がガッツリ
終演させてて笑う。
『マトリックス』風な別次元の流用
『マトリックス』でお馴染みですが
脳内にソフトを直接インストール
することで登場人物が
カンフーの達人や
銃火器の達人に
すぐになれるわけですが
そこのオマージュなのか
特殊な装置を装備して
状況にそぐわな過ぎる
ありえないことをすると
別次元の自分に意識を飛ばして
シンクロすることができて
その次元の自分の手にした
能力を使えるという
謎の設定
そしてこの次元のエヴリンは
普通の人では脳が壊れてしまうはず
なのだが全ての可能性を手に
できなかった為
逆に全ての次元の可能性を
得ることできるという
クソ残念な存在なのだが
その残念さのおかげで
全次元の消滅の危機から
同様に全ての次元の
能力を使える実の娘の
ジョイから全次元を救うことが
できるという
超荒唐無稽なお話
『スイス・アーミーマン』の下品な感じがありならば。。。
と上記の設定の
状況にそぐわな過ぎる
ありえないことをすると
というのが
今作の個性であり
今作の賛否両論ポイントの一つ
カンフー使いになるにしても
その場で愛の告白やら
おしっこ漏らしたりと
凄まじく下劣で低俗なことを
要求してくるわけである。
『シャンチー』にてめちゃめちゃ
粋だった武術マスターさんの
中身とその兄がタッグを組んで
ミシェル・ヨーと戦うシーンでは
けつの穴にトロフィーというか
ディルドをブッ込もうと
奮戦するという
狙ったようなカオスさに
冷ややかに見てしまった。
根本的なお下劣さは
あんまり変わらず。
そこに確かにカンフーこそ
あるのだが
根本にあるのは悪ふざけ
だったのだ。
LGBTネタにもなる
ジョイの殺陣では武器を
ペニスバンドにしていたりと
真顔で変態をぶっ込んでくるのだった。
多くの映画の集合体という難しさ
とこの映画
監督の映画愛というものや
そのサンプリングの巧みさは
目を見張るものがある。
ミシェル・ヨーのキャリアを
彷彿させるような
カンフー使いっぷりや
その果てのウォン・カーウァイの
ノスタルジーのある恋愛映画だったり
何故か『レミーのおいしいレストラン』を
アライグマにパロディったりとか
『2001年宇宙の旅』の冒頭を
謎の指がソーセージになった世界として
描いてしまったり。
前述の『マトリックス』の再現のような
インストールの船内のインストールネタ
マトリックスリローテッドの展開の
再現のような件だったりと
別次元のネタとしては
絶対的なオリジナリティというのは
なかったような気もするし
ある種ご都合主義的な要素もあったように
思えてくるところはある。
そしてそれをシリアスなアクション
ではなくてギャグに寄せてるのも
微妙なところもあるんだなぁと。
特に後半まではその下劣ギャグ要素も多いアクションで
落とし所も見えず不安要素たっぷりだった
混沌の中でも揺らがない力
と不安いっぱいだった状況を
変えたのは無力だった旦那。
ある種その辺りのエモさは
『エターナル・サンシャイン』さえ
彷彿させてくる揺るぎなさがある。
どの次元にいても
君と一緒にいたいと思う。
そしてどの次元においても
彼が使える最大の武器は
親切心や思いやる気持ち。
無能だと思っていた夫
自分を中国から連れてきて
不幸にした元凶だった夫は
最大の親切心で陰ながら
妻を支えているし
どの時空でも思い遣ってくれる。
どの時空でも娘とうまく
やっていくことができず
虚無に陥ろうと願う娘ともう一度
家族であろうとする力を
夫から手にし
暴力ではない
別次元でも変わらない
人間の深層欲求を見つけ
満たすことに取り組む
生か死ではない対話の向こうの
満たされあう関係の提示を
多次元とリンクしたエヴリンは
見つけ出すことに成功し
親切心という強大な力で
娘との最後の対話に臨む。
人生のステージによって感想が変わりそうな一作
親はわかってくれない。
娘はわかってくれない。
夫は稼ぎもないし私を満たしてくれない。
妻は話を聞いてくれない。
父親の求める娘になれなかった。
娘は出来損ないだ。
それでも家族というものには
人生というもにのには
素晴らしい瞬間は確かにあって
それを思い出させてくれるし
私たちがもう少しだけ優しくなれれば
諦めなければ
それでも一緒にいることを諦めなければ
何かちょっとだけいいことは
起こるかもしれないし。
それでも家族でい続けたいという
欲求はある。
多次元を超越し何度でもやさしさで
立ち向かうことを覚えたエヴリンは
それぞれの多次元の課題を乗り越え
虚無の彼方にいる娘を救い
もう一度家族として生きようとする。
こうまで世代間の普遍的な家族の悩みに
対してそれこそマルチに提示し
それぞれの印象を与えてくれるとは
思いもよらなかった。
そして根本的には男の自分には
わからないが
母と娘という
絶対的に存在する確執に対しての
再生の物語として
娘側ではなく母親側の物語として
終結させるとこが新しいのかと。
それこそある種『アベンジャーズ』の
最新作が描こうとしていた未来だったの
かもしれないじゃないか。
夫がキーマンなのかよ!
なんて思ったりしたりもした。
多次元のドラマの締めかたが
と気がつけば壮大に物語を
まとめ上げ
全ての次元を愛いっぱいにした
わけですがなんかこの
マルチな感じテレンス・マリック
っぽいなぁと思えるほどだった。
わけがわかんなかったりもする
と無茶苦茶なことを
家族の再生ということで
終わらせたような気がする本作。
そいえばこの映画の舞台だった場所って
その後どうなってしまったのか?
別次元の国税庁で戦わなかった次元に
物語は完全にシフトして
家族は再生したが
エヴリンは全ての次元を同時に生きる
ことになってしまったという
複雑なオチがついたと思うが
じゃあ映画の舞台だった次元は??
投獄されてしまったとかなのだろうか?
マルチバースを画面サイズでアレンジ
正直見づらさもあったが
多次元のシーンで画面サイズを
コロコロ変えていた。
これすっごく絶妙で
IMAXとかだったらインパクト
ありそうだったがシネコンとかは
もはやカーテンも動かさずに
黒幕が見えてるわけで
そこが増えたり減ったりと
なんだか気持ち悪くもある。
家庭で見たらまたちがうのか???
しかし工夫がすごいぜ全く。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.9/10
・映像のアプローチ 7.8/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 6/10
・音楽 7.5/10
・上映時間と個人的趣味 7/10
73点
別次元のジャンプのシーンに
使われた映像が凄まじい量で
クソヤバだった。
しかしなんだか
そこまでツボらなかったなぁと
思ったりもする。
アジア人移民1世と2世の物語としては
違うわけだし
カンフーもそれ本当に必要なのか?
映画のオマージュの数々も必要なのか?
ソーセージの世界は確かに
舞台装置として必要だったと思う。
と根本的に乗れてなかったのかもしれない。
アカデミー賞作品賞受賞
2023年3月15日追記。
今作が作品賞受賞するとは
全く思わなかった。
アムロ・レイが言っていた
だから世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ!
ということなのだろうか?
映画感想リンク:☆【93点】機動戦士ガンダム 逆襲のシャア【人気記事 解説 考察 :4DX版とUHD BDの感想追加!!】☆
異次元の力を使って
人本来の思いやる気持ちを
もう一度取り戻して
世界をよくしようと
アカデミー会員からのメッセージなのか?
個人的には『パラサイト』はおいておいて
直近のアメリカ移民1世の
アジア人の家族の苦悩のような
物語が今まさにアカデミー賞にて
トレンドだったのを今回ので
終わりにしたい。
というのが潜んでいたのかなぁ?
と思ったりするんです。
直近の『ミナリ』での
助演女優賞の受賞や
『フェア・ウェル』での
ノミネートだったり
『クレイジー・リッチ』での
成功だったり。
直近ではピクサーも
『私ときどきレッサーパンダ』にて
アジア系の親との確執の辛さのような
トレンドが絶対あったと思うんだよな。
それもひとまず集大成として
次のLGBTや障害者に対する焦点の
ターニングポイントとして
政治的な目論見あったと思うんだよな。
ただ2023年の作品賞に
めちゃめちゃふさわしい映画が
2022年同様になくって
前作は障害者に対しての拾い上げ
のようなのを消去法で
行ってしまったように
思えたしなぁ。
ただ映画の技術としては
『イニシェリン島の精霊』が
すごかったからなぁ。
映画評論家の解説とか
聞きたいわぁ。。。