アジアでこのスケールの映画は凄い!!
2011年韓国制作
出演
チャン・ドンゴン
オダギリジョー
予告編
あらすじ
1948年のロンドンオリンピックでのマラソン競技での出来事、一人の無名の韓国人が終盤で凄い追い上げを見せるのだった…。
その男にまつわる物語。
1928年朝鮮、現在のソウル。
その頃、朝鮮は日本に占領されていた。そこで暮らしていた長谷川将軍の下に、息子と孫がやってくるのだった。
孫の辰雄は走るのが得意だった。またそこの使用人の息子のキム・ジュンシクもまた走るのが得意だった。
成長した二人はマラソンランナーとして切磋琢磨するライバルだった。
だがある日のこと、自宅でパーティーをしていた長谷川家に爆弾が送られてくる。それを知った祖父である長谷川将軍は他の住民をかばい死んでしまう。
それを直接渡した使用人は罪を疑われ、ジュンシクたちは追放されてしまう。
そして1938年。
ジュンシク(チャン・ドンゴン)は貧乏ながら人力車で生活費を稼ぎながら、マラソンの技術を磨いていた。
そして長谷川辰雄(オダギリジョー)は、東京オリンピックでの代表としての意気込みをマスコミに聞かれていた。そこに朝鮮出身の元マラソンランナーがジュンシクの話題を上げる。
結果ジュンシクは選考会に参加することになるのだった。
そしてマラソン選考会が行われる。ジュンシクの技術は辰雄を超える程だったのだが、日本側がジュンシクを妨害。それを防ぎを1位を獲るのだが、主催者側からジュンシクは失格扱いになってしまう。
その決議に腹を立てた朝鮮人を選考会会場で一斉蜂起。暴動が始まった。
そしてジュンシクは罪に問われ、日本軍に徴兵されることになってしまうのだった。
1年後ジュンシクは日本軍として中国のノモンハンにいた。
そこに新任の上官として長谷川が現れるのだった。
そして長谷川は天皇からの命令であるソ連への特攻自爆作戦を決行する。
それに反目したジュンシクたち朝鮮人は、基地から脱走するのだったが…。
2012年1月14日鑑賞
感想
「お前何でこの映画見たの?」と思われた方(いたら嬉しいな)もいると思いますが、バイト場の5歳下の後輩が「舞台挨拶のチケット当選したけど、僕『ロボジー』のも当たって吉高由里子に会いたいんで、オダギリジョーなんてどうでも良いです。ぶひゃぶひゃ。」って言われて、オダギリジョー目当ててで行ったわけですよ。
『仮面ライダークウガ』は価値観を変えた。
オダギリジョーは、おれの憧れのヒーローなのです!!
そんなオダギリジョーが、韓国映画の『ブラザーフッド』『シュリ』を撮った監督の熱烈なオファーに答え、超大作戦争映画に出演した作品が『マイウェイ』なのです。
(笑)
きっかけは1枚の写真だった。
というのが、本作の製作秘話。
監督自身がアメリカの国立図書館で見た1枚の写真、そこにはドイツの軍服を来た東洋人がいた。
日本、ソ連、ドイツを行き渡った軍人がアメリカに捕虜にいたという事実をもとに監督のカン・ジュギさんは、脚本を執筆。
日本と韓国という二つの国の男の交流を描き、戦争の残酷さと奇怪さを描いた。ある意味冒険活劇だ。
はじまりは、日本の植民地化された朝鮮(ソウル)での物語、そこに越してきた辰雄(オダギリジョー)は、日本帝国万歳主義の戦争支持者。そこに使用人の息子として暮らしてきたキム・ジュンシク(チャンドンゴン)は走り屋としての登場に喜んでいた。
しかし二人は戦争下の関係で、ライバルから憎しみの対象へと変わる。
祖父の死により朝鮮人を憎むことになったオダギリジョーは、マラソンランナーとしての立場を捨てて、軍人へとなるのだった。
その最中、暴徒として捉えられたドンゴンさんは、モンゴルのノモンハンで日本軍として従軍しているのだが、そこに上官としてオダギリジョーが現れる。
オダギリジョーの頭は完全に日本マンセー!!天皇マンセー!!になってしまい、自ら自爆をマンセー
する!!
というなかなか面白い脚本。
うん。正直、それなりに面白かった。
戦争映画というのもなかなか見ない気質でして、好きな戦争映画は『プライベート・ライアン』なわけで、その程度のレベルの自分にはなかなか刺激的な内容だった。
特に日本占領下の韓国が最初の舞台とか個人的には胸熱。オダギリジョーの戦争マンセーぶりとかも刺激的だったし、彼の変化もなかなか判りやすく、描けていたと思う。
日本語を話すチャン・ドンゴン。
前情報で、チャン・ドンゴンが日本語を話すというギャグ的な情報を得たのだが、これが映画を見るとそんなに違和感がない。
つまりこういうことだ。
チャン・ドンゴンは日本の下のポジションなのだ。
日本という国に従うわけで、それがいたについた彼は、日本人と話すときは自ら日本語を喋るわけだ。
これも戦地特有の状況という奴で、なかなか刺激的で楽しかったな。
確かによく考えれば、チャン・ドンゴンのカタコトな日本語は笑える。
でも設定上はそんなに違和感ない。
やっぱりよくできた脚本だったと思う。
戦地特有という希有な状況ってなかなか面白いことが多いよな。一番の例とかってまぁー面白いというか、映画としてのネタになるという意味合いでは、「ゲリラ活動をする少年兵」こういうのってかなり重いし、それが実話なわけです。あとは、ガンダムとかの少年が人殺しをするという、そういう異質な状況がそれなりに違和感なく調和する…。
なんか最低なこと言っているような…。
しかもそれが嘘か本当かというと、そのカタコトな日本語も戦争が絡むと、現実に直結していると少なからず思えるよね。
だからこそ製作側は慎重になってほしいとこはあるが。
確か『プライベート・ライアン』がそのルールをぶっ壊したと聞いたが。(戦争をアクションのように描いた?でもそれなりに重いよね。)
また本作では、実際はそんなことも無かったという要素もある。それは映画内で重要な部分である、ノモンハンに『韓国人捕虜』を兵士として送るということ。
そもそも自分自身ノモンハンというのが、全く知らない戦争の一部だったりするんだよね。
しかもかなり壮絶な…。
そしてなかなか面白いのが、そこからソ連に捕虜となり、舞台が極寒の世界に変わり、主人公達の立場が変わる。
やっぱりなかなか面白い脚本だと思うんだよね。
でも問題は、それを観客は事前に知っている事なんだよね。
だからか、いまいち捕虜収容所でのやり取りも想像出来て、そこから安易に行われる日本人たちが死んだりする展開は、そこまでショッキングでもない。むしろお手本過ぎて、面白さが足りなかったと思われる。
またそこから更に、戦地に行かされる主人公たちという展開もなかなか見事。
強引な展開もそれなりに機能していて、やっぱり面白い。
しかし、終盤の展開は少し急過ぎ。
最初から伏線を貼るのだが、それが誰でも予想出来る伏線で、映画のあらすじも大々的にどこでも紹介している為、結局は伏線回収に過ぎない。
予定調和で、あるキャラがある場所で、死に、映画は終幕を迎える。
また終盤の舞台への移行がかなり強引で、時間軸も一気に変わってしまい、オダギリジョーの正確も酷く変わってしまっている。
境遇を考えれば、納得できるのだが→『アメリカンヒストリーX』同様に、主人公は日本に見捨てられ、彼を助けたのは、異国の人々だった。彼のアイデンティティは崩壊し、本当の人間愛に目覚めたわけだ。しかし映画内ではたった映画終盤の5分間でそういうキャラクターになってしまうために、多くの観客は違和感を覚えるのではないだろうか?しかし脚本の構成などを考えるとそういうのも有りでは無いか?と思えてしまう。(笑)
また終盤の舞台で、ジュンシクを探しまわる辰雄や、その後のホモ展開は、流石に安易だったと思われる。これは元々のダブル主演を考えれば、ホモコースは確定だったとは、思うが、映画としては大きな問題だ。
だってこの映画。日韓交流ホモ映画じゃないか。
舞台挨拶の時、監督は興行成績を稼ぐべく、日本と韓国のイケメンを起用して、主人公にした。と言っていた。
だったらつまりそういうことだ。だからこれで良いのだ。(苦笑)
3つの国の戦地を描く超大作!!
本作を見て一番、面白く感じたのは、アジア映画にも関わらず、中国、ロシア、ドイツの戦場を描いた戦争シーン。
このシーンがなかなか頑張って戦争している。
ややしょぼいセットではあったり、陳腐なCGなどもあったりするかもしれないが、爆発物などの規模はアジア映画を考えると(勿論日本を含めて)、なかなか凄いものがあった。
そういった数多く映画化された、特にラストのノルマンディー上陸作戦の迎え撃つ側や、東洋人がいるという異色な裏事情など、戦争映画の違った一面として本作は面白いと思えた。
そこに日本人のオダギリジョーがいるというのが、『仮面ライダークウガ』を敬愛する筆者としては、一番の感動だったりする。
オダギリジョーの頑張り。
映画を見ているとわかるのだが、なかなかのハードな撮影。
俳優の間近で爆発が相次ぎ、俳優は泥かぶりは当たり前、中盤では、極寒の地に吊るされたり、爆発物のまわりを走ったり、雪山歩いたり。
ハリウッドの戦争映画なら、普通だったかもしれないが、これを日本の俳優しかも昔憧れていた俳優が、演じるとなると感動も増す。
なんだか夢のあるなぁー。と。(笑)
そもそもオダギリジョー自体はこういう映画絶対出ない感強かったけど。そういえば『シノビ』とか出てたな。これも運良く見たけど。(笑)
個人的には、オレらの為に『クウガ』をもう一度演じてほしい。(無いかな…。)
謎の邦題。
そういえば「1万2千キロの真実」ってあるけど、これがいまいちわからん。何が真実なのか?そもそもこの映画の内容がいまいちよくわからなかったりする。確かに日韓交流ホモ(バディ)戦争映画だと思っているのだが、そのバディ部分が創造なわけでして、演出されたドラマチックなわけで、んでそれが真実となるか?と言えば、そりゃあ違うだろう。そういう人がいたを、監督なりに構想して娯楽映画?に変えたわけで、決して実話ではないわけで、そうなってくると冒頭のオリンピックのバレバレなマラソンシーンもかなり変な事になる。笑
んでそれが12000キロの真実に繋がるとは、流石に思えないし、そもそも何故『マイウェイ』というタイトルで、そもそも誰の道なのか?もよくわからなかったりする。原題もマイウェイだったはず。
と思えば、脚本には都合が良かったが事象を検証すれば、かなり問題のある本作だったりする。しかし。
漫画『ハッピータイガー』盗作問題。
これについては、全く知らなかったが、どうやら『ハッピータイガー』という漫画に内容が酷似しているようだ。しかしその漫画さえ知らなかった筆者には、無縁の事象だが、オチをつけるとこの漫画の作者自身が『マイウェイ』の公式ブログ内で、真剣な感想を寄稿しているので、むしろこの場合は『マイウェイ』の勝利だと思うので、これ以上は無駄。(笑)
全体的に見れば、なかなか面白い映画だったと思う。
戦争フィクション映画として、かなり良い脚本だったと思うのし、映像もかなり頑張っていた。
特にジュンシクの親友がソ連の兵士に自らなる件はやっぱり良いし、軍服をはぎ取ったりするのも良いし、オダギリジョーが戦地でロシアの上官に自らを重ねるシーンが個人的には良かった。
というか韓国映画は、そういうのが上手いんだよなぁー。この監督の映画はこれ以外見た事無いわけだが、それでもやっぱり近年見た日本のテレビ局映画よりは俳優をガチで戦地に送っているようだしスケールもでかいし、やりたいことが監督自身に強く感じられて、普通に見応えあったと思う。
しかし問題はフィクション過ぎるということと、物語的にも最初のオープニングはもう少し気を使ってほしかった。あれじゃあ誰が生き残るか見え見えというどっちかが死ぬのが見え見えだった。
あと脱走したジュンシクを何故零戦が追って来るのだろうか?その時点で、敵の奇襲とかわかるだろう?
そもそも中国スナイパーの件がかなり無駄。何故入れた?
山本太郎良かったよ!!(笑)
でも主役で一番過酷な状況にあるチャン・ドンゴンが何考えているのか全然わからなかった。彼は運命?(脚本)に翻弄されまくった謎の可哀想キャラでした。そう考えるとクソ!!
得点
7点
オダギリジョーを少年期に仮面ライダーとして見た人は是非とも彼の過酷な撮影風景に感動して欲しい。
その他の人は、戦争映画の裏展開などの面白さに期待すべき、しかし違和感を抱くことも強いので過信は禁物。
個人的には楽しめた!!
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