解剖されるのは一つの夫婦
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2023年フランス映画
それは復讐だったのか?
キャスト
落下の解剖学のあらすじは?
ネタバレ あらすじ
2024年3月1日劇場鑑賞
2024年12本目
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概要:2023年パルムドール受賞作品
フランスの著名な国際映画祭の
カンヌ国際映画祭にて
2023年の作品賞である
パルムドールを受賞した作品
『落下の解剖学』を鑑賞しました。
フランスのアルプス近郊を舞台に
イギリスで出会った
ドイツ人の作家の女性と
フランス人の男性教師が
結婚し子供を育て暮らしていたが
夫婦仲はなかなか悪く。
ある日夫が転落死してしまう。自殺かと思われたが
不審な所も多く
フランス警察は妻の殺人を
疑ったことで
欠席裁判の泥沼裁判が幕を開ける。というお話。
フランス映画には詳しくないが
主演女優のザンドラさんは
何度か映画に出てるのを
目撃したことがある。
ザンドラさんはカンヌにて
評価の高い『関心領域』にも
出演している当たり年だったが
賞レースはノミネート止まり。
イケメン紳士風弁護士。
パワフルで明るい夫。
近くくしか見えない息子。
やたら存在感出してくる検事等
パワフルなキャラクターが
多数登場するが
中身としては地味目な法廷ドラマだ。
感想:中盤まで眠くて辛い
2023年のアカデミー賞にも
ノミネートしてる本作。
内容としては
山荘で不審死した夫を
妻による殺人にしたい
フランス司法
VS
フランス語がうまく喋れない
パワフルな妻。
そしてそれに巻き込まれ
真相を知りたいと願う
視力がほぼない少年という
辛辣な法廷ドラマ。
平日のレイトショーで鑑賞したが眠かった
作品としてほぼほぼ劇伴がない
リアルさを全面に出した本作。
家での捜査をする警察、
落下の実験をする警察、
息子の証言を確認したりと
どしっと構えたマスターショットを
採用するのではなく
妻のサンドラの視点にて
合間合間の状況を断片的に
描く手法で本編は進み、
弁護士とのやり取りなど
内省的な物語が淡々と
時系列順に進むのであった。
裁判がいざ始まると
彼女が殺人鬼だと信じきっている
風な謎の検事が
まるで勝利することで
何者かに賞賛を贈られると
保証されているかのような
仰々しい振る舞いで
サンドラを追い詰めていく。
言語が不自由なサンドラの
フランス語での発言は
どこか物足りなく
裁判は終始淡々と進む。
複数の証拠のいずれかも
現地の証拠がなく
裁判官たちの心象に
投げかけようとする
心象的な憶測の発言が
ひたすらつづいていく
そこであかされていくサンドラのもう一つの側面
落下の解剖学のネタバレは?
ネタバレ:サンドラがまぁまぁど畜生
と映画前半では
息子を愛する妻として
裁判に立ち向かう人として
描かれていたように思えるが
そんな妻が実はだいぶ
困った人であることが明かされる。
彼女が作家として3作も小説を
描いているわけで、
そこそこ売れている作家なのだと
思うのだが
その内容が
自身の人生にインスパイア
されているのではないか??
と映画は描く。
父との確執
国外への逃避行
3作目では自分が夫を殺す内容を
描いているという。
また妻と夫の関係はずっと悪く
息子は事故により視力を失い
その責任は夫のサミュエルにあり
それを全てサミュエルのせいであると
普段からサンドラは攻め立て
サミュエルの精神は追い詰められ
痛み止めの過剰摂取で
自殺も図ってしまったこともある。
さらに落ち込んだサミュエルが
性的にも機能しなくなったことを原因として
彼女は女性を浮気を複数行い
サミュエルを精神的に追い詰めていた挙句
彼を仕事ができない状態に追い込み
ダニエルの世話や家事全般を押し付けて
サンドラは昼から酒を飲んでいたりする始末。
さらにはもともと肉体関係でも
サミュエルをやりたい放題していたという
支配欲の塊。
そしてサミュエルも小説を書こうと
アイデアを練っていたが上記の
精神的な楔によりうまくできず
逆にそのアイデアを自分の作品にしようするという
旦那の気持ちを踏み躙りまくりのサンドラであった。
夫婦の悪い面を裁判でロジックツリーされて貶められるサンドラ
前半までのサンドラは一変して
ど畜生に陥ってしまう。
さらにはその一部始終を
ダニエルは傍聴しているという地獄の鬼展開。
かなりドラマとしても動き、一気に覚醒し鑑賞
考察:母だから救われたのではないか??
と有罪か無罪かの瀬戸際。
唐突に再び証言をするという
息子のダニエル。
もはやダニエルにとって母親とはなんなのだろうか?彼の面倒はほぼ父が見ていたのに
ダニエルもまた母の本性を知り
※捻じ曲げられたかもしれないが
そして一緒にいた父が死ぬほど苦悩していた
悲しい事実を知るのであった。
今後の人生をどう生きるべきか?
正義とは何か?全くもって
わからなくなってしまうが
保護されていた政府に雇われた人に
「自分で決めていいんだよ」
という魔法の言葉により
母を救うことができる証言をする
父は犬が病気になった時
自分はいつか自殺をするかもしれない
ということを暗喩で語っていた。
それにより父の自殺に天秤は傾き
サンドラは無罪になるのであった。
しかしもしサンドラが男性で夫だったらどうだろうか?
もし仕事しかしない父で
まったく交流のなかった人
であったら息子ダニエルは
どんな証言をしただろうか?
父を救う証言をしただろうか?
それとも母が父を追い詰めていたと
怒りを覚えるのではないか?
全ての匙加減はダニエルに
委ねられた時もし父だったら。
考察:女性の地位向上の中に現れる男女逆転ものとして
と昨今のミー・トゥーの影響により
映画業界の男女平等の
ポリティカルコネクトの流れは
異常さも醸し出している。
その中で昨年生まれた『TAR/ター』は
女性がスキャンダルを起こし
キャンセルされる物語だった。
それは以前男性が手に入れたものを
女性が手に入れても同じように行使し
セクハラやらパワハラやらを
やりたい放題することで
失墜していくという
結局は男性の後釜は女性で
変わらないものは変わらないという
内容でもあった。
今作もまさにそこで
夫婦の立場で女性が上で
仕事もうまくいけば
育児等はうまくいっていない
旦那がやるわけで
その中では育児に時間を奪われ
さらには仕事でも性的にも
優位性を出して
何もかも奪われていくという
主夫として転落していくという
一昔前だったら逆だった物語が
展開されていくのであった。
本当にシナリオが地味にすごいんよね
難しいことさらっとやる技巧っぷりやば
だがプライドもズタズタにされ
男であるという時代を生きていた
男の復讐はそんな甘いものでなかった?
考察:そして母になる。夫の復讐
ともう完全に主観の考察だが
この映画はある種の完全犯罪ものとしても
認識してもいいのかなぁ?って
自分は思うのです。
全ての生きがいを妻によって奪われた夫の復讐なのでは?
自分の自殺により
メディアに注目を浴び
そして裁判にてサンドラという
女性の正体が醜悪に明かされていく
そこにダニエルという息子の
犠牲はきっと想定外ではあった。
彼女の見せたかった自分ではない
彼女が世間に裸にされ
そして無罪になったとしても
意識的に夫にずっと押し付けていた
障害を持った息子の母として
責任を取らなければならない。
息子に救われた身として
今まで自由にエネルギッシュに生きることを
選択できた人生を
障害のある息子に費やさなければいけない。
もしそれを怠れば著名人として
メディアに追及される。
もう一つの牢獄に囚われることになった
サンドラ。
そしてそんなサンドラも
この裁判を乗り切ったイケメン弁護士に
アプローチをしようとするが
そんな彼女をイケメン弁護士は
遠ざけることを決めた。
もう彼女は魅力のある艶やかな女性では
決してないのだ。
彼女をこの牢獄に貶めることが
旦那の命をかけた復讐だったのではないか?
そう思うと鑑賞後に感じた
もやもやも一気に晴れた。
そしてますます出会った頃の2人の
楽しそうでエネルギッシュなポスターを
見るだけで胸がざわつく。
この映画はスリラーでホラーだ。
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』
もこんな恐ろしい内容だったような。
そしてこれは別の
『ゴーン・ガール』なんじゃないかな?
そう思うのであった。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.8/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 6/10
・キャラクターの魅力 7.6/10
・音楽 4/10
・上映時間と個人的趣味 6/10
70点
やっぱりカンヌ国際映画祭とはあんまり相性が良くない。。。
地味な法廷ドラマでもあるので
全体的に映像はバストショットが
多めでしたが
サンドラを演じたザンドラ・ヒューさん
めちゃめちゃ演技良かった。
徐々に解剖されていき
いたたまれない表情や
言語的不利でもどかしさを
体現したりすごい。
また最終的に枯れ果てる様も見事でした。
そしてスヌープを演じた犬も
またまた見事でした。
アスピリンをダニエルに投与されて
実験される展開の演技など
わけわからんぐらいすごい。
父親が終盤で
盲導犬は人間の面倒をみないと
いけなくてストレスフルだから
普通の犬より寿命が短いから
急に死んじゃうかも?って
言ってるお父さんが
完全に自分のことを言ってるようで
えぐかった。
てかサミュエル全然出てこなかったけど
妙に印象的なのやっぱりすごいな。
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検事側がロジックを立てて落としめようとしている部分はある。