職業は虐殺の管理者
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2023年イギリス・ポーランド・アメリカ映画
戦争は今日も人を狂わす
監督
ジョナサン・グレイザー
・セクシー・ビースト
・記憶の棘
・アンダー・ザ・スキン 種の捕食
キャスト
映画『関心領域 The Zone of Interest』はどんなストーリーなの?
最後までネタバレ あらすじ
2024年3月10日先行上映劇場鑑賞
2024年15本目
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鑑賞経緯;アカデミー賞授賞式前夜に鑑賞
概要:カンヌにて衝撃を与えた日常系虐殺映画
本作は2023年5月にカンヌ国際映画祭にて内容を伏せた状態で初公開。そして2023年12月にアメリカにて本公開。2024年2月にイギリスにて公開と全体的な鑑賞者数が少ないながらもカンヌ国際映画祭にてパルムドールに次ぐグランプリを受賞したこともありアカデミー賞の外国語映画部門や音響賞にノミネート。今作は第二次世界大戦中のポーランドのアウシュビッツ収容所の所長の日常を描いた作品だ。
感想:こう思うのは彼らが戦争に負けたから
とカンヌ国際映画祭では事前に内容が明かされなかったらしく。内容もわからぬまま見進めることでこの映画が描いているものが明瞭になっていったと思われ、その体験は衝撃的だったと思う。今作は第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を正当な理由がなく殺害していた収容所、いわゆる虐殺の現場のすぐ隣に贅沢に暮らすアウシュビッツの所長の日常が描かれる。しかし『シンドラーのリスト』に登場する所長のように自宅からライフルを取り出して面白半分で収容中のユダヤ人を殺害するような人ではなく職務として自分の国の首相の指示を真っ当すべくユダヤ人を収容しそしてそのルールに漏れた人を殺害。そして首相の指示で大量虐殺を行なっている
小人口は真面目な男なのだ。
むしろその妻は彼が出世して、ようやく自分の願いが叶えられ豊かな生活を送れる日常を非常に満足し子供5人と家政婦と一緒に、豊かに暮らしていることに非常に満足している。映画として直接的な虐殺などは全く描かず豊かな日常の中に銃殺される音や悲鳴が聞こえてくる。
主人公たちはあたかも自分たちは正しいことをしているかのように生きてる
彼らは多くの人々の死体の上に豪邸を拵えている。だがもしこの戦争、第二次世界大戦でドイツと日本が勝利したらこの映画の持つテーマは全く違うものだったのではないか?もちろん現実はドイツと日本は敗北しこの収容所の所長は大量虐殺の実行犯として指名手配され後に捕まり処刑される。しかし、もし彼らが勝利していれば彼らの行なった虐殺の証拠は歴史に埋もれたかもしれないし、もしくはこの虐殺がとても価値のあることとなっていたかもしれない。
振り返れば今作はディストピア映画であり絶妙なドラマ映画として悲鳴に耐えながらも強く豊かに生きた同じ人間を殺さざる終えなかった大義と職務を全うした偉大な人物であったと描かれている側面も確かにある。
それぐらい絶妙な距離感で映画は描いてた。
映画は彼の行いを否定せずに淡々と描く。彼が家族をより豊かに暮らせるように首相の命令を実行すべくユダヤ人をより大量に殺害できるようにガス室のアイデアを思いつく。それが歴史に刻まれる大虐殺の方法であるかもしれないと。そこにあったのは彼の善意だったかもしれないが彼の体は確かに絶望的な所業のストレスで蝕まれている。主観のない物語が描かれ見る側に多くの意味をもたらせる。凄まじい映画だった。
ここが凄い:ザンドラ・ヒュラーの化け物っぷり
所長の妻を演じたザンドラ・ヒュラーはカンヌ国際映画祭の最高賞のパルムドールに輝いた『落下の解剖学』にも殺人の疑いを掛けられた妻として主演。グランプリに輝いた今作にもアウシュビッツ収容所の所長の妻として助演している。
どっちも畜生でやばい
『落下の解剖学』では旦那を精神的にじわじわと追い詰め、生きる気力を失わせるナチュラルネグレクトおばさんという側面が裁判で暴かれる。実の子供さえも母の正体を知り恐怖さえ覚えるというまぁ人間ってそういう一面ありますよねぇという一言では済ませられない恐ろしさ。今作でも彼女は別の恐ろしい存在を演じていた。今作では所長の妻として夫婦で夢見た豊かな生活を手にした人物としてこのユダヤ人虐殺の隣り合わせでユダヤ人から略奪した高級品を愛しそして豊かな土地で好き勝手に庭園を作りその生活を謳歌する。
無関心の代表
焼却された死体の匂いにも微動だにせず自身の幸福のためなら旦那に手を汚してもらうことも厭わない地に落ちたど畜生。かなりヒトラーの思想に傾倒しているという無情さも兼ね揃え八つ当たりで家政婦にお前も旦那に銃殺して焼いてもらうぞという地獄の発言を劇中で披露。『落下の解剖学』と立て続けに鑑賞した自分としてはザンドラ・ヒュラーさんの怪演の連続に凄まじく衝撃を得ました。
この人がカンヌでも無冠でアカデミー賞でも無冠なのはとても悲しい。是非とも数年以内に著名な賞を受賞して報われてほしいと思いました。

そして本作ではしっかり旦那に浮気されてるしそういう肉体関係も全然対応しない甲斐性なしな感じも凄まじく本当に本当に今作でも素晴らしいキャラクターを演じている。庭での工事作業員とのあの間の感じは浮気したんですかね?絶妙な間です。
ここが凄い:長回しがたっぷりで体感時間1時間程度
映画としてカット割が少なく長回しが全体的に多くシーン数も少なく感じた。もともと本編は1時間45分と冒頭の間奏とエンドロールと冒頭の音楽だけの映像を鑑みると正味1時間20分程度だがそれでも体感時間が短くあっという間であった。映画内で描かれている期間も半年程度で地獄のようなガス室の展開などはなくその直前で終わり謎の幻視映像で実際のガス室が博物館している光景が描かれるわけでそれはそれで謎めいていたがこの映画全体のテンポが近年のカット割すぎバストショット多すぎ海外ドラマ風な映画の数々と比較すると
文芸映画見た感が強くて良い
ここが謎:ラスト付近
映画の舞台は1943年、第二次世界大戦末期なのだがラストで何故か2023年のアウシュビッツ跡にてガス室やらそこの博物館の映像が差し込まれてそこを清掃する清掃員が登場するわけだが
マジで何見させられているんだろう?
と置いてけぼりにされてしまった。そこのあたりの所長の表現などはあっけらかんとしてそれはそれでよかったんだがそれでもあまりにも唐突過ぎやしないか??絶妙な息苦しい博物館に置かれた虐殺された人の量を表す靴の数など
やっぱりこんなこと身近で起きてほしくない
そういう気持ちは確かにあるし、毎日子供の成長を見ているがこのような犠牲にあうことを想像するだけで死にたくなる。
でも今でも虐殺は起きているんです
感想:アカデミー賞でのスピーチ
と今作はアカデミー賞にて外国語映画賞を受賞しました。監督は受賞のスピーチで監督だけが現在のイスラエルのガザ地区への攻撃の恐ろしさと即時終了を訴えるのでした。ハリウッドではスピルバーグを筆頭にユダヤ系の人が多く今作でドイツ人に虐殺されたユダヤ人が今度は現実で罪のない人々を攻撃し無関係な人々を虐殺している。確かに国は違えどそれを止めるということをハリウッドでは支持もしないという状況。ここで描いた無関心によるど度が過ぎた虐殺は現実でも再び起きている。今度は無関心を決めているのは悲鳴をあげていた人と同じ人種。恐ろしい。
ここが賛否両論:合間合間の少女の活動
映画は収容所の隣に住んでいる狂った家族だけにスポットを当てたわけではなくその中でも収容者に支援するポーランド人の実在した少女の活動にも焦点を当てている。彼女の思想などは描かれずただ彼女は虐待されている人々のために食料を真夜中の暗闇の中必死に忍ばせている。その映像が暗視ゴーグルを通した不思議映像で
野暮ったい

正直野暮ったい
ここが凄い:恐ろしき環境音
と本作は収容所の隣で豊かに暮らす家族を描いた
日常系映画
ではあったが環境音として常に銃声や人々の悲鳴が鳴り響いている
体感要素が見事
その音作りの見事さ。映像よりも音にこだわったんじゃないか?そう思うところもあったりと。またシンプルで美麗で緑豊かな映像の合間に超重低音で劇場を震わし見ている人に不穏さを与えたりと面白い。
注意喚起:爆音映画を上映している劇場では見るな
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.6/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 7.7/10
81点
SONYのカメラを使っているのでバキバキのバリバリの高解像度映像がすっごく綺麗。そして自然光のみで撮影しているらしいので映画とは思えない不思議な映像感がまたとても良いですね。あと絶妙に主役の所長がおしゃれなのクソやばです。
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