いいんや。ダメだダメだ
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2022年アメリカ映画
メタ的な部分は解説必要かと思われ
監督
ジョーダン・ピール
・ゲット・アウト
・アス
キャスト
ネタバレ あらすじ
2022年8月28日IMAXGT版鑑賞
2022年36本目
鬼才ジョーダン・ピール再び鬼才な作品を生み出す
1作目で有色人種と白人についての
サイコロジカル劇場型ホラーで
ある種シャマラン的なワンアイデアホラー
を生み出し大成功した
コメディアンのジョーダン・ピール。
2作目でもSF要素を混ぜて
アメリカの格差社会についての
復讐というメタファーを盛り込みまくって
やっぱりワンアイデアホラーで
大スケールで描いていた。
コメディと狂気は紙一重という
バットマンのジョーカーを地で行く
ジョーダン・ピール監督。
今作はより大規模に
そして劇場型で
そして大画面映えする映画愛の詰まった
恐ろしくも胸を熱くする
やっぱりワンアイデアホラー風だけど
しっかりとした映像レベルの高い
映画でした!!
メタファーは解説必要だよなぁ
と言っても
どうしてこういう映画を作ったんだろ?
独特の視点で監督する映画を生み出す
ジョーダン・ピール監督。
1作目はアメリカの人種差別。
2作目はアメリカの格差社会。
そして今作は??
冒頭に旧約聖書の引用があるので
鑑賞中気付くところもあるけども
わたしは糞を
あなたに投なげかけて
あなたを見世物とする。
とあり
冒頭にシットコム内の
チンパンジーの暴走。
そして馬の調教師と馬。
そして敵となる円盤を
撮影したいという
湾曲した渇望。
自分はチンパンジーから
野生を社会に持ち込み
管理する人間の傲慢さや
支配の勘違いとか
人間が自分達の価値観でしか
ものを見ようとしなくて
想定外の危機への対処なんて
全くできなず
最終的には本能だけが
生存への道を切り開いていくという
動物的本能の物語かな?って思ったら
パンフレットの解説によると
SNSに傾倒する見ることと見せること
撮影するという
現代人の誰もが発信者であり
ゴシップの存在になれる
見世物を消費する社会への警報を
映画という見世物の中で行う
見世物を撮ろうとする
映画製作そのものをオマージュした
映画という部分と
見ることは同時に見られることである
というどちらも同じであるという
駆け引きを揶揄のしたようだ。
またチンパンジーが
アジア人のメタファーで
同じく見世物として笑われる
存在だった彼は
だからジュープは襲われなかった。
と言われてもいまいちピンとこないが
同じコメディ担当だったから
ならなんかわかる。
映画に消費された黒人である
主人公たちもまた
より大きな見世物を撮影することで
人生を取り戻そうとするという
混乱したアメリカンドリームは
まさに鬼才ジョーダン・ピールとして
SNS社会というかインスタグラム、
YouTube社会の歪みを
まさしく映画に落とし込んでいると
思いました。
だからこそ怪獣映画として一級品ではないか
まぁネタバレなのだが
今作UFOや宇宙人が出るのではなく
宇宙円盤そのものが巨大生物という
怪獣映画なのだ!
怪獣VS荒野に住む若者!!
現代版エイリアンVSカウボーイを
地で行く!
むしろ不気味な作風を
わざわざIMAXカメラで
そして1.43 : 1という
最高の縦長映像でIMAXGTなら拝める
正真正銘のIMAX映画。
大画面に巨大円盤怪獣が登場する。
ウルトラマンレオかよ!
いや
シン・ウルトラQ
だ!!と思わずにはいられない。
思い返せばジョーダン・ピール監督
名作海外ドラマ
『トワイライト・ゾーン』を
リメイク制作したり。
『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
という黒人差別時代に
オカルトSFで物語を紡ぐ
ミステリー大好きな人だった。
そいう監督の趣向が
このじわじわと恐怖が広がっていく
怪獣映画としての題材にぴったり過ぎて
素で『ウルトラQ』のような
作風になったと思う。
むしろ『シン・ウルトラマン』に
期待したそういった面や
登場人物同士の普通の葛藤や
熱い気持ちで怪獣に向かっていくという
人間的な姿勢を
等身大のドラマとして描いてて
物足りなさが全部詰まっていた印象。
また怪獣はメタファーの象徴というのは
言うまでもない論法で
怪獣として人のエゴや環境問題
社会問題が具現化され
ある種問題定義や
フラストレーションとして
破壊者として見る側に爽快感を
与えてくれる物であるが
ジョーダン・ピール監督は
それもなんやかんや前述の
この映画自体のメタファーとしての
担い手としての怪獣として
そこをうまいこと代用していて
本当に普通に怪獣映画
しかも面白い怪獣映画!!
なんだかんだまとめるの上手いんだよなぁ
とネタ的にも
ジュープが作る
西部劇のテーマパークの雰囲気最高だし
それを終盤にも利用していて
脚本うますぎだったわけだが
中盤でなんで怪獣を撮りたいんだ?
倒したいではなくて?
みたいなところはあったのだが
そこのあたりは
徐々に埋められていって
途中で太刀打ちなんてできない。
ってなりながらも
一世一代の大勝負として
窃盗を起こしてまでも
実施するという
狩のスタンスとして
人間VS野生を体現した
怪獣との戦いという
まとめを
映画の大画面にふさわしい
広角映像を多用した
展開に持ち込んだのは非常に巧み。
結果的には
主人公たちの家族である
父そして馬たちを奪った因縁として
全力で挑んでいく様などの
感情の物語もうまく
半ば強引な『AKIRA』オマージュや
怪獣の大空での飛翔に伴う
真の姿の登場がやや庵野監督の
世界観に近いものもあったりと
やっぱり日本の特撮に
オマージュ捧げてるんじゃないかな?
という側面もあって
やっぱり上手いなぁと思うし
冒頭のシットコムでの恐怖の一幕を
普通に中盤で描いた時の
異常なまでの恐ろしさの
バランスが本当に絶妙で
やっぱりジョーダン・ピール監督は
鬼才だし次回監督作も要チェックだなって
思うのでした。
ホラーもエンタメも満たしてるのに映像もスンゲェ
とさらに特筆すべきは
やはりIMAXカメラで繰り出される
数々の広角映像。
終盤の撮影の為の馬を用いた
スリリングな逃走劇もすごいが
序盤から幾重にも繰り出される
怪獣による吸い込みの襲撃映像が
画面いっぱいに広がるのは
ドキドキするし見応えたっぷり。
劇場だから味わえる轟音とも
相性がとても良かった。
また荒野の広角映像の美しさは
言わずもがなでして
ただ空を撮影しているだけでも
感動的でアカデミー賞ノミネートの
格式が確かにあった。
黒人さんの夜の撮影の絶妙な色合いとか
すっごい難しいことをサラッと
やっているようでした。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.5/10
・映像のアプローチ 9.3/10
・映画の美術面 8.3/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7.8/10
82点
べた褒めしたが
正直映画的に最高に面白かったか?
というと映像の技術
脚本の技術などに感動したし
怪獣映画としてめちゃめちゃ
楽しかったのだが
腑に落ちない部分もなんかあって
おすすめしたい映画なのに
そんなに好きでもないんだよなぁ。
何かに取り憑かれた人々の
象徴的なドラマ色が強過ぎて
最後にエピローグとしての
主人公たちの物語が
もうちょっとあってもよかった。
注意が必要だなぁと