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◎【84点】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド【解説 考察 :ハリウッドでの夢のひと時をあなたに】◎

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

製作

2019年アメリカイギリス映画

GTAでバインウッドを冒険した
人の映画感想です。

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監督

クエンティン・タランティーノ
・レザボア・ドッグス
パルプ・フィクション
ヘイトフル・エイト
・ジャンゴ 繋がれざる者

キャスト

レオナルド・ディカプリオ
インセプション
ディパーテッド
ウルフ・オブ・ウォールストリート
・タイタニック
ブラッド・ピット
Mr.&Mrs. スミス
マネーボール
・12モンキーズ
ワールド・ウォーZ
マーゴット・ロビー
スーサイド・スクワッド
ウルフ・オブ・ウォールストリート
・アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
・フォーカス
エミール・ハーシュ
・ミルク
スピード・レーサー
・イントゥ・ザ・ワイルド
・ガール・ネクスト・ドア

あらすじ

1969年2月8日。
アメリカのカリフォルニア州のロサンゼルスのハリウッド。
俳優のリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、
1950年代の西部劇テレビ番組ブームの際に大人気だったが、
60年代後半には西部劇ジャンルも収束、時代は新たな流れによりアメリカにとどまらず、
映像業界も変貌しつつあった。
今では若手俳優の引き立て役のようなテレビドラマのゲスト俳優の立場があり、
自分の将来も不安視しており情緒不安定だ。
そんなリックの隣にはいつもクリフ・ブース(ブラッド・ピット)がいた。
彼はリック専属のスタントマンで、西部劇テレビ番組ブームの立役者として、
数多くのアクションをこなしてきた。
しかし家庭の悪い噂や、スタントマン業界でのいざこざで、スタントマンとしての仕事がなく、
最近ではリックの世話係りのようにリックの側にいつもおり、時には彼の雑用を行なっていた。

そんなリックは懇意の映画プロデューサーのマーヴィン(アル・パチーノ)からイタリアでの西部劇映画の出演の依頼を受ける。
しかしアメリカで成功してきた彼としては、イタリアでの二流映画の出演には気持ちが引かれないでいたし、それこそ自分の俳優人生の終焉ではないかと不安でいっぱいだった。

それでもリックは海外ドラマのパイロット版の出演を決める。
その役は、一風変わった悪役で、近年のメソッド俳優の演技を求める監督の下での演技と、
自分自身の将来に不安すぎて、撮影中ミスを連発してしまう。

リックの隣の豪邸には、シャロン・ステート(マーゴット・ロビー)が引っ越してきた。
彼女は新鋭の高い評価をている映画監督のロマン・ポランスキーの妻だ。
しかしポランスキーは撮影でイギリスに出張に行っており、シャロンは豪邸でシャロンの付き人とその友人たちと楽しく過ごしていた。
美しきシャロンは演技力こそ未熟だが、ハリウッドアイコンとしての可能性を秘めている。

クリフは、リックに家のアンテナを治すように言われ補修する。
その帰路、ずっと気にかけていたヒッピーの少女のプッシー・キャットを車に乗せて、
彼女が暮らしているというかつて西部劇テレビ番組のロケ地だった場所に向かう。
そこでクリフは複数のヒッピーというか家出少女たちが集団生活していることを知る。
ここの所有者と面識のあるクリフは彼の安全を確かめるべく、集団のボスがいる母屋へ足を向けるが、彼女たちは危機を察知し、増援を呼ぶ。

2019年8月31日IMX4Kレーザー鑑賞 2019年71本目



昔々のハリウッドでは。。。

あるところに元売れっ子俳優と問題児の元売れっ子俳優専属のスタントマンがいました。
2人はハリウッドの映像業界で一昔前は大活躍していましたが、
今では脇役の多くなり、今後の自分の仕事と収入が不安でしょうがなかったのです。
そして1969年ハリウッドにはニューシネマの新しい波がきていました。

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というあらすじ。
監督はクエンティーノ・タランティーノ。
主演はレオナルド・ディカプリオとブラット・ピット。
落ち目の2人によるアメリカの過去とその変化を描いた作品。
となんかスリリングなことがあるかと思いきや、別に何もないのが本作のすごいところ。

もともとタランティーノの映画では『ジャンゴ』と『イングロリアス・バスターズ』で出演していた2人。
驚異の共演という感じがするが、2人の関係性の絶妙さがたまらない。
元プリンスだったレオナルド・ディカプリオで今は上がったり下がったりな実力派俳優。
今でもイケメン俳優のブラッド・ピットは私生活がアンジェリー・ジョリーとの離婚で謎。
そんな2人の実生活もどこかメタファーとして繋がっているんじゃないかと思う次第ですが、
そんなことよりも物語がない!

車に乗ってハリウッドをぶらぶらしてイベントに遭遇するGTAことグランド・セフト・オートの映画化

タランティーノが予期してそのような映画にしたかは全くわからないが、
本作のトーンが洋ゲー好きには馴染みのあるグランド・セフト・オート映画と陰ながら言われているのだ。
偉大なる車泥棒というゲームなわけだが、
ゲーム内に再現された架空のアメリカの都市をプレイヤーがぶらぶらして犯罪を通して大金を稼ぎ、
物語を進めていく、いわゆる箱庭アクションゲーム。
自由度が高いのとアメリカの都市の再現度の高さが魅力的で、空港やら砂漠やらガソリンスタンドやら警察署などなんでもあるし、広すぎてこまる。
そんなゲームの通常の展開だと、だいたいミッションスタート地点で仲間と合流して車に乗る。
車に乗るんだよ。

車に乗ったら目的地までドライブ。
道中はラジオがランダムで流れるので音楽を聞いたり、謎のおしゃべりを聞いたりしながら、
助手席に乗った仲間と最近のあれはどうだ、とか昔はこんなやつがいた。とかこの国はおかしいだとか、お前びびってんのか?とか軽く喧嘩を始めたり。
そして目的地に着いたらミッションが開始し、物語が進む。

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そのトーンがまさに本作で描かれている。
銃やらなんやらは出てこないが、しっかり人が車から降りて、
違う場所まで進んでいくことを描く、この妙なトーンが気持ちよく、そして自分のゲーム経験が
刺激されてしまう。
流れる音楽のトーンもこれまでのタランティーノとは思えないポップで有名な曲の選曲で、
大衆性を意識していた、とことんタランティーノらしさが見えてこない気がした。
ってタランティーノらしさってなんだ?全然わからないが。

物語なくてびっくりした!

タランティーノ映画にしては、物語なくてびっくり。
それぞれの日常のスケッチ(コント)を通して、
ミニマムにハリウッドの変化を描くのと、
物語の収束に対しての描写への伏線。
ヒッピーを描いたというのも絶妙でマンソンファミリーへの言及で、
マンソンファミリー=シャロン・ステート殺人事件で、
シャロン・ステートが2人の描写の合間に描写される。
これといってその描写に物語があるわけでもなく、

まぁ見ないでもシャロン・ステートが出るってだけで、あぁそういうのがあるんだろうなぁって
思うのが映画ファンの性じゃないですか。

人の変化は描かれるが、明確な物語は見ている最中には感じられなかった。
こうやって感想を文章にすることで、確かに物語があったなぁと思うが、
見ている最中はなんだこの日常系の映画は!!って思ってしまったし、
なかなの間延び感はあったし、唐突な回想でキャラクターを描くことに終始していて、
やっぱり物語はなく、海外ドラマのテイストに近いものはあったと思う。

タランティーノが描く、映画というものの癒し

先日もシャマランの『ガラス』による映画ファンへの癒しがどうとかこうとか、
感想を書いた記憶があるけど、
今まで全く意識していなかったけどもタランティーノは映画において、
癒し、いや自身へのかもしれないし、歴史に対して、歴史に関わってしまった多くの人たちへの癒しを映画を用いて行なっている。
結局のところ事実は変わらないし時代は変化し続けるが、
それでも映画というガジェットは見た人の悲しみを癒すことできると、
映画の可能性をタランティーノは自身の作品で追い求めている。

今作において救ったのは69年の時代のうねりに巻き込まれた時代の形骸化により生き方を決められてしまったリック、そして殺されてしまったシャロン・ステート。
キャリアの終焉を感じたリックは現実ならこのまま隠居してどっかの田舎で銃を片手に慎ましく、
第二の人生を送ることになったかもしれない。
相棒だったクリフとは仕事関係を解消し、今生の別れは決定的だった。
そしてシャロン・ステートはマンソンファミリーにより惨殺され、
60年代の多くの若い映画ファンたちは悲しみにくれたのかもしれない。
大好きだったオナニーフレンズがこの世を去ってしまったと。(へ?)

そんな悲しみをタランティーノは、
冒頭に伏線を張りながら、衝撃の笑劇の展開で事実改変してしまう。

もうダメかと思ったクリフは、結局最後まで最強にかっこいいおっさんだったし、
リックはまさかの伏線回収を行い、まさに『イングロリアス・バスターズ』の再演。
そしてそんな2人をシャロン・ステートは暖かく迎え入れて、
終わってしまう2人は、今日を界に新鋭アート系映画監督のロマン・ポランスキーとお近づきになり、
また違った映画俳優としての第二の人生が始まる。
現にリックは本作の中盤でメソッド俳優の技法を独自に確立し、
多くのメッソドかじりの業界関係者を感動させてしまうのだから。

タランティーノはこれまでにナチスをユダヤ人が壊滅させる。
黒人奴隷が白人の権力者を成敗。
車が好きな女性たちを狙うサイコキラーを彼女たち自身で成敗。
さらにはか弱き愛人が復讐者として殺し屋たちを成敗などなど、
普通じゃありえなかったこと常識じゃありえなかったこと歴史が許さなかったことを
堂々と描き、かっこたるセラピーのような癒しの瞬間を映画という場で描くのだ。

グランドシネマサンシャインのIMAXシアターにて鑑賞

本作はアメリカの劇場によっては70mmのフィルム上映、
例えばタランティーノ所有の劇場だとそれで見れるのです。
日本では到底そんな場所はないので、日本で1番近いとなるとやっぱりダンケルクが正方形近いサイズで鑑賞できるんだからと思い、
グランドシネマサンシャインのIMAXシアターにて鑑賞。

別段映像が変わるわけではないが、それでもその4Kレーザーの鮮やかさは秀逸で、
とても見やすかったし、音もでかくて満足。
とりわけ高級志向の映画体験としてとても満足。
大好きな映画俳優のレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットの姿を見れて満足満足。
というかグランドシネマサンシャイン大好きな映画館になりそうです。

キャラ映画としての俳優の圧倒的な魅力

困った役柄のディカプリオ。
しかしディカプリオはアカデミー賞受賞俳優。
常にクソとかくだらない話をしていても最高に笑えて、最高に感動させる役者としての実力を今作で実感。
そういったシーンはクリフとの日常や豪邸での日々などでは垣間見られないが、
スタジオに入った際のふとしたプライベートのシーンで、俳優としてのレオナルド・ディカプリオとリックという役者のシンクロが面白い。
メソッドの手法がハリウッドにも流れ込んできて、撮影以外のところで演じるキャラクターになりきり、
日常生活から役柄を分析し、とことん役にのめり込む。好きな食べ物読む本、外見からではなく中身から成り切るという、
俳優の持ち味云々を捨てて、その人生を演じる。
そんなメソッド俳優の勃興がハリウッドにも流れてきて、その後の70年代の名作映画の数々の兆しが垣間見られる。
その変遷をリックは子役から感じ、またリック自身は自身とお気に入りの小説の主人公と重ねて、情緒不安定が異常事態に。

挙句に撮影中にミスの連発という流れ。
楽屋では自身のミスに憤り、そして奮起する。

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そして撮影ではびっくりするほどのメソッド俳優へと変貌し、ドラマの悪役として素晴らしい存在感を発揮し、これまでの主役の気取った役柄とは全く違う、経験豊富なカウボーイの成れの果ての街の権力者になってしまった男を熱演。

この一部始終が面白く、物語がなかったはずのキャラ映画だった本作に最高の瞬間を与えてくれる。
この演技に関しては、ディカプリオは賞レースに絡んで欲しい。たとえ主演男優賞がホアキン・フェニックスの『ジョーカー』一択だったとしても、
評価されるべき演技。
特に最後に紹介した悪役の演技は、迫真迫っていてさすが『レヴナント』でアカデミー賞獲っただけあるなぁともっとディカプリオが好きになってしまう。
ちなみに聞いた話ですが、楽屋での暴言連発の激昂シーンはアドリブなんだって。すご。

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対するブラッド・ピット。
何を考えてるのかわからないし、何を目的に生きているのかわからない。
そんなかっこいいだけの存在を体現。

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流石に20年前の『ファイト・クラブ』に比べたらしわくちゃだけど、
終始強くてたくましい、そしてミステリアスという女子が好きな要素しかない空っぽな男として終始かっこいい。
そんな彼が中盤でまさか退場?なんて何も知らないで見てると思うし、
最終盤にはまさかの惨殺の対象?
なんて思ったら、元帰還兵は伊達じゃなかった。
ブラッド・ピットの演技力は今後公開される『アド・アストラ』に期待して、とりあえず『ファイトクラブ』いや『ジョー・ブラックによろしく』からずっとつづく、かっこいいだけのブラピを今作で再見できたので喜び。

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シャロン・ステート演じるマーゴット・ロビー。
特にセリフもないわけですが、終始かわいい。

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そしてヒッピー文化と上流階級が調和した頭ふわふわゆるふわ女子として最上級の美のアイコンをマーゴット・ロビーが体現。
『アイ,トーニャ』の時のいもさはどこかへとことん最強なアイコン。
全然人格は描かれず、終始かわいい描写が続くので、ものすっごい癒し。
なんじゃこの映画は。
それほどにマンソンファミリーというか人殺しカルト集団の思想へのアンチテーゼが感じられる。

その他脇を固める俳優陣が豪華。
此れと言っての活躍はなくカメオ出演のような登場なので割愛する、なんせリックとクリフの物語なんだから。

映画ファンとしてのマカロニウェスタン俳優への展開などめっちゃ癒しでやばいですわ。

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hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10

84点

60年を再現した街中の映像も多く、タランティーノらしい長ったらしい会話もなく、
構築した世界への映像が中心の映画で、
鑑賞することに映画のカタルシスは少なく、むしろちょっとした息抜きへのバッググラウンドムービー(BGM)として秀逸なのでは、あ。はやくUHD欲しい。

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