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△【58点】ファースト・マン【解説 考察:前人未到に挑戦した男と映画製作】△

製作

2018年アメリカ映画

監督

デイミアン・チャゼル
ラ・ラ・ランド
セッション

出演

ライアン・ゴズリング
ラ・ラ・ランド
ナイスガイズ!
・ブルーバレンタイン
・きみに読む物語
クレア・フォイ
・ザ・クラウン
・蜘蛛の巣を払う女
ジェイソン・クラーク
ゼロ・ダーク・サーティ
・エベレスト 3D
・マッドバウンド 哀しき友情
ターミネーター:新起動/ジェニシス
カイル・チャンドラー
・マンチェスター・バイ・ザ・シー
アルゴ
SUPER8/スーパーエイト
コリー・ストール
アントマン
ミッドナイト・イン・パリ
ソルト
・ハウス・オブ・カード 野望の階段

あらすじ

1961年アメリカ。
NASAのテストパイロットであるニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、
高高度まで上昇可能な高速飛行可能な飛行機X-15のテストパイロットだったが、
運転ミスを行い、その計画から離脱する。
彼には、長男と長女がいたが、
2歳の長女は脳腫瘍を患っており、
ニールと妻のジャネット(クレア・フォイ)の献身的な治療も実らず、
この世を去ってしまうのだった。
ニールは、次なるNASAの宇宙開発計画のテストパイロットへの応募依頼が来ていた。
闘病中の娘を気にかけており、
最初は拱いていたが、娘の死をきっかけに
計画の面接を受け彼は採用される。

そしてニールは、計画参加者の誰よりも宇宙に行くことに固執を始め、
家族よりも仕事を優先するようになっていく。

2019年2月17日IMAX4Kレーザー劇場鑑賞 2019年15本目



川崎にてIMAX4Kレーザー鑑賞

デイミアン・チャゼル監督の長編4作目にあたり、
2作連続アカデミー賞ノミネート作品後の監督作であり、
今作もアカデミー賞に複数ノミネートした。
しかし評価・興行としては、いまひとつ伸び悩み、
結果的には赤字になってしまったが、
撮影の中でIMAXフィルムを使用した作品として、
IMAXでの鑑賞がマストな作品。
ちなみにアカデミー賞としては、
視覚効果賞を受賞した。

そんなわけで、
東京近郊での最上のIMAXである、
川崎の4KレーザーIMAXで鑑賞してみました。

川崎レーザー4KIMAXの感想

東京近郊でようやくやってきた4KレーザーIMAX

そもそも東京近郊での最初のIMAXだった川崎109なわけですが、
直近でついに4Kレーザーを導入しましたね。

それまでは大阪の109シネマズのエキスポシティにしかなかった。
しかしエキスポシティと川崎では、
画面サイズが違い、
エキスポシティではほぼ正方形の画面サイズという、
本物のIMAXを体感できますが、
川崎109のIMAXは通常通り長方形サイズの画面サイズなわけで、

どっちにしろ偽物。

東京としては池袋にできるIMAXが正方形で
4Kレーザーなので、それまではお預け感はある。

また川崎IMAXは段差が低く、
観客の頭がダイレクトに字幕や映像にかぶることも多く、
映画館としての質は残念ながら低く、
高い金額を出してみるには残念。

また個人的には、
近所にもIMAX映画館はあるので、
通常のIMAX画角にコンバートされた作品は、
近隣の映画館で鑑賞し、
IMAXフィルムで撮影された作品は、
急勾配の座席となっている、
Tジョイprince品川が画面も大きく
2Kながら見やすくて迫力があって、
明るいかなと思った。
品川IMAXが今のとこベスト!!

暗い映画

アメリカの月面着陸までの軌跡を
アームストロング船長の視点から見た過酷な日々を映画化した作品。
監督は、若手天才監督と呼ばれるにふさわしいデイミアン・チャゼル。
これまで監督した前2作が、助演男優賞と主演女優賞に導かれているわけで、
その腕は確かなものだが、
個人的には『ラ・ラ・ランド』は過大評価だったのでは?
と最近になって思うし、
今作もあんまり面白い映画じゃないなと思った。

暗い映画だった。

宇宙開発の陰に潜む人々の苦労を描いた作品としては、
『ドリーム』での黒人の女性数学者やおばちゃんたちの機転を利かした仕事っぷりが、
アメリカの宇宙開発に甚大な貢献をしていたというスカッとした作品でしたが、
今作では、
アメリカで初めて月面歩行をしたニール・アームストロング船長は、
とても仕事に固執したサイコパスな仕事人間のおじさんで、
なかなかの病んだ人だったというかなりネガティヴな作品。

むしろ前述の『ドリーム』のような黒人女性というか黒人の活躍などは、
一切描かれず、むしろ黒人は貧困のため、
宇宙開発に資金を注ぐアメリカに反発するという、
近年では珍しいホワイトカラー丸出しの珍しい作品。

ちょっとげんなり。

凄い高い技術の映画!でも面白くない!

チャゼルに対しての色眼鏡がなくなったからか、
今作は普通に面白くなかった。

宇宙に行くことに取り憑かれ、
仲間の死の数々に心を病んでいき
より達成するために、
家族との交流を避けるようになった
ニール・アームストロング。

これが本当のことなのかが、
全く見えてこなく、
これはあくまでもチャゼルとライアン・ゴズリングが
映画用に偏った視点での演出だったのか?
そういうバッググラウンドが全くわからないでの鑑賞。
そりゃまぁ宇宙開発なんて、
いやNASAで働くこと自体、
知能指数に長けた人しかいられない場所だろうなって思う。

そういう高位な存在の人々が、
取り憑かれたように前人未到の地へアナログ技術だけで
向かうという本当に偉業なことだと思う、
その偉業に対してのリスペクトなのか、
人間のストイックさを中心に、
また彼を取り巻く宇宙開発のアナログ的な
舞台装置を上手く描き、
その緻密な舞台装置の数々は、
アカデミー賞受賞にふさわしい特集効果の数々だったと思う。

さらには、チャゼルの本作の映像化に対する視点もストイックで、
あくまでも心のトンネルにいるニール・アームストロングの視点から見える
宇宙開発の数々を描写し、

via GIPHY

楽しい要素はほぼ皆無、
スペースシャトルという乗用車1台よりも狭い運転席で、
人がすし詰め状態の場所で、
いかに的確な判断で、死を回避し、
宇宙という場所で脳をフル回転させて、
任務を達成するという、
極限の人間の姿と、
息苦しい魔境のような宇宙に、
美しさは一切描かれず、
あくまでも宇宙空間にぽつりとある孤独な固体と、
そしてそのわずかな隙間から見える宇宙に姿という、

映画としての醍醐味を否定し、
宇宙開発という偉業を
映画製作という偉業で返す、
チャゼルやりたい放題のドヤ顔技術映画だったわけです。

上映時間も予告編を含めれば2時間30分ぐらいあり、

終始プレッシャーの中にいるライアン・ゴズリングを接写で拝み、
家では、家族の絆を全捨てされたクレア・フォイが演じる妻の
孤独と怒りと恐怖が全面に描かれ、
全くもって観客の気持ちを考えない、
技術的挑戦の映画に仕上がっている。

我慢映画

本作は我慢映画だった。

NASAでの訓練や宇宙での活動や危機の数々は、
見応えあった。

またアナログ機器の数々の再現度なども非常に高くて凄い。
むしろもっと『2001年宇宙の旅』のように
それらをアート作品として捉え、悠久的な演出でその数々を拝みたかった気もするが、

問題は、家庭のシーン。
これが近年流行している接写手持ちカメラでの描写。
不安定な手ぶれカメラの多用。

そして全くもってうまくいかない家庭の姿を描くわけですが、
これが全然面白くない。

むしろ出てるクレア・フォイさんが不憫ぐらい微妙。

via GIPHY

こういう家族のやりとりでの
不協和音を描いて面白いなって思った
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』を撮って、
同様に初期作が何本もアカデミー賞にノミネートしたサム・メンデスはすごい監督だったんだな。
と思ってしまった。
照明の構図や家族のやりとりに近いものを感じた。

またIMAXカメラで撮影したすごいシーンがあるというが、
全然それが感じられない。
ストイックすぎる1人称視点にも近い閉鎖的なカメラワークの数々が、
そのIMAXとどう関係しているのか?

それは最終盤でようやく描かれる。

だから我慢が必要なんだな。

LEDスクリーンを利用した新しい映画撮影

『ファースト・マン』が凄いところは、
このLEDスクリーンをセットに設置して、
実際に撮影した映像を流し、そこにセットで作成した特注の飛行機の運転席を通して、
映画を撮影するという、
超絶アナログな映画撮影に尽きる。
時代に逆行し、CGを否定して、
あくまでもリアルな映画作品を追求しているチャゼルのすごさに痺れる。
その映像が上記YouTube動画。

またこの手法はアカデミー賞外国語映画賞と監督賞と撮影賞を受賞した『ROMA ローマ』での劇場でのやりとりのシーンでも描かれている。

よくよく考えれば、現代のLED技術を用いて、最高の解像度をつかったモニターを撮影すれば、
実写と同じくらいの解像度になって、見ている側を錯覚させることなんて容易なんじゃないかと普通に思うし、
CGで作ったディテールの甘さに比べたら現実の照明の当たった物体のディテールの方が、
圧倒的だし、
この時代逆行の映画撮影は、ジェームズ・キャメロンのクリエイティビティは否定するが、
古代の映画技法においては、圧倒的にただしい映画撮影だと思うし、
個人的には面白いし、凄いことだし、
チャゼルを評価するノーランとか、今度それ使ってなんかすごいことするのではないか?
となんだかんだノーランの映画全部楽しんでる自分としては、
今後のアカデミー賞撮影賞関連作品に色々携わってくるのかな?って期待している。
そういう意味では特殊効果賞の受賞は納得。

最終盤での月面シーンがすごい

前述の技術が最終盤の月のシーンでふんだんに使われ、
そのシーンをIMAXカメラで撮影、
これまで一人称でとても狭まれていた視野が一気に広がり、
アメリカの採石場を用いて撮影し、
背景にはそのLEDライトという現代の技術の最上級でのアナログとデジタルギガ盛りの
月面映像がまじで素晴らしく神々しい。
むしろせっかく4Kレーザーという高い解像度と高い明るさが、
ようやくここで有効活用されたというわけです。

同時にこのシーンの後半で実はニール・アームストロング船長が、
映画内の最序盤で為す術もなく亡くなってしまった長女の死に心が病んでいたことが発覚。
そしてようやく彼の心の闇は晴れ、
娘との死と決別ができるというわけだったのです。

なるほどニール・アームストロング船長はサイコパスではなくて、
うつ病だったのか。。。
という大どんでん返し。

音楽にあるチャゼル映画の影響下

賛否両論だと思う、独特な映画音楽の数々。

前作、前々作でのクラシックミュージカルナンバーやジャズナンバー。
これらの影響下を感じさせる独特な古典的な音楽のチョイスにはびっくり。
似ている部分では『2001年宇宙の旅』のような楽曲感はあるが、

それがこの映画にふさわしいのか非常に賛否両論。
楽曲群の数々は多分高い質の数々だったが、
それが観客の心情、はたまたうつ病のニールの心の音なのか、
映画音楽の有効活用としては、間違っているのではと思った。

あとチャゼルってすっごく『カサブランカ』が好きなんだなと思った。
この前『カサブランカ』を見直したわけですが、
その時の思い出の旋律のピアノの部分が、『ラ・ラ・ランド』のメインテーマの冒頭と一緒だし、
そして今作でもその旋律が流用されてて、そう思った。
てか引用ってマジか。。
チャゼルオリジナルだと思ってたのにな。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 4/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 5/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 6/10
58点

鑑賞したチャゼル監督の3作を総括すると
助演男優賞で全振りだったJ・K・シモンズ。
ライアン・ゴズリングよりも焦点がエマ・ストーンばっかになってしまって主演女優賞をもたらしたり、
そして今作では映像製作での特殊効果部分に全振りで当然の特殊効果賞受賞。
ある意味不憫だったライアン・ゴズリング。
次こそはライアン・ゴズリング全振りの主演男優賞映画を作ってくれるかな?
それにしてもこの映画で描かれるニール・アームストロング船長が
「これは人類にとっては…」
とか
「地球は青かった」
とか全く言うようには思えなかったな。

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