真打の大逆転
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2025年日本映画
傑作コミックが傑作映画化
ネタバレ あらすじ
2025年9月20日劇場鑑賞2025年43本目
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概要:鬼才藤本タツキ先生の大ヒット連載作品が劇場アニメ映画化!
集英社のWEB漫画サイト『少年ジャンプ+』で多数の素晴らしい短編を披露し、キャッチーながら奥深い精神世界の物語を紡いだ『ファイアパンチ』で『少年ジャンプ+』の存在感を高め、そんな彼がよりキャッチーで狂気に溢れノンストップで話がくり広がる『チェンソーマン』を集英社の看板『少年ジャンプ』で連載し、藤本タツキ先生の才気がネットの住民を超えて大衆へと広がった。スタンスこそ変わらず、『少年ジャンプ+』で短編を披露し、前作以上の高い評価と話題性を生み出し現在では完結したと思われた『チェンソーマン』の続編である第二部という普通に続きを実家のような『少年ジャンプ+』にて連載中。
まじで『ファイアパンチ』を読んだ時『バクマン。』の新妻エイジが現実に現れた!と思ってるし『チェンソーマン』の第一話の素晴らしさがまさにそのものという印象。多くの新人漫画家たちに邪道や狂気を孕むことの免罪符を与え、『チェンソーマン』以前と以後という概念を生み出したのではないかと思うし、当時は素晴らしいアシスタントが揃い、いずれの人も国民的作品を世に生み出すという『るろうに剣心』状態の『チェーンソーマン』第1部。『ダンダダン』の作者と『地獄楽』の作者が抜けWEB漫画らしいやりたい放題がまかり通る第二部は『ファイアパンチ』のような奇妙な人間の内面性な展開が続き、連載で楽しむのはかなり辛いところ。
そんなアニメ化したら絶対神アニメになるだろうと思われた『チェンソーマン』でしたが、やっぱりアニメ化され『呪術廻戦』という漫画だと絵がやや荒いがアニメ化すると美麗だし迫力やばいしと原作以上の作品を生み出したMAPPAがアニメ化したのだが、まさかの解釈違いの方向性で実写映画風の間の使い方などの展開こそ原作同一だが、ノンストップな原作の面白さを完全度外視した作家性の強いテンポの悪い写実性や精神性を高めた作品となりコレジャナイ感がやばくなってしまった。藤本タツキ先生もアニメ化に関してはかなり監修したようだが、彼自身作品に対して映画の要素を多く持ち込むタイプの人で、『ファイアパンチ』では映画そのものを作品で撮るというやりたい放題なところもあり、その部分が悪くなってしまった可能性も捨てきれないのだが、毎回エンディングが違うし、有名なミュージシャンがたった1話の為に楽曲を書き下ろす頭のおかしいことをやって、大成功が約束されたにも関わらず、評判があんまりよくなかったという脅威の展開が起きてしまい自分もびっくりした。

だがしかし、その続編は映画化である。
本来であれば『鬼滅の刃』級の潜在能力があった作品なのに全然違ったアニメ化だが、そこを顧みて映画版は監督交代と原作者がやや距離があるようであった。

より原作よりの絵のタッチにキャラデザも変更され、また事前に振り返りの総集編で原作風の狂気に満ちたテンポへの改変もされ、いよいよの映画化です!!
うん!これこれ!これだよ!これが見たかったやつだよ
というやつです。
結果的に劇場版『鬼滅の刃』に近いヒットを繰り広げ、海外配給も行われ世界的に北米でもヒットに成功という、真打の大活躍におじさん大満足です。
大成功:映画というフォーマットに落とし込み
もともと原作者の低予算怪物ホラーチックなキャラデザやディストピアを感じさせる現実世界に悪魔がいることによる閉塞感。異形の存在へと変身し戦うという見栄えのある作品に対し、今作は地獄の幼少期を過ごしチェンソーマンという存在へと変貌できることにより人生をやり直す権利を手に入れたとも言える主人公のデンジにまさかの違った恋愛物語が訪れる???わずか2時間というフォーマットで恋そして狂気の大戦闘が待ち受け、最後には別れという綺麗な起承転結。作品としてはまだまだ続くが、原作の2冊分を見事に落とし込んでいる。テレビ放送を前提に作ったような『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』とは違い変な暗転もないし、だらだらと過去パートに移行することもなく、青年デンジの悲劇にも近い地獄の断片が紡がれていく。

脅威の原作:藤本タツキ先生の映画愛
もともと映画が好きって言うのは知っていたが、そこまで映画ネタ使うか?という印象。アニメ制作者たちも悪ノリし、オープニングにて多数の作品の構図オマージュやネ原作ネタを仕込む素晴らしい作り込みには驚愕。今作では『ノーカントリー』の超印象的で一気に作品に引き込むアントン・シガーの首絞めシーンを見事にパロっていて感動。また空飛ぶサメ映画でもはや元ネタの一片とも言える『シャークネード』を感じさせる台風VSサメ+デンジという展開も凄まじい。パンフレットや入場者特典を読んで藤本タツキ先生が大学時代映画ばっか見ててそこから着想を得まくっているという面白エピソードあってすごいなぁと。アニメ映画化に対して、デンジVSボムの肉弾戦パートの追加はどこかジョン・ウィック3の終盤を彷彿する組み手描写もあり映画愛が爆発!映画ファンのマスターピースになり得る作品だったと思う。
原作の映像化:原作の良さについては言及したところで
傑作なのだが:映画化として物足りなさ
これはもう好みの問題なのでどうしようもないメモなのだが、原作ファンとして今作は素晴らしい年間ベスト級の作品だったと思うのです。映像の質は全編高いし、TVアニメにはなかった原作の疾走感もしっかりあったと思うし、逆にTVアニメ化からあった精神性の諸行無常のもの悲しさはしっかり続いてるし、戦闘シーンも追加されて組み手のようなマニアックな描写もあったし、オープニングもエンディングも最高だったと思うんです。でも個人的にはもう少しアニメ化での戦闘性の写実さも追加して欲しかったなぁと思ったり。ボムが自分の能力を用いて大暴れする面白作品ですが、原作の範疇の面白さだったなぁとか思ったり。もっと全身爆弾化させるので、現実世界の爆弾のような兵器への偏愛とかそういう細かいオリジナルの追加演出のようなものがあったら面白かったなぁと思うのでした。漫画には90年代の今敏とか大友克洋の怖さがあるんだけどその辺りは綺麗になっちゃってる印象。逆に格闘シーンなど現実的な組み手のような動きが追加されていたけども、いやそこは能力者同士の個性とかの増強の方がよかったんじゃないかなぁと思った。ただ単行本表紙絵のような鮮烈な絵を演出含めてトメ絵で見せる演出はわかりやすくかっこよかった。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 8.7/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8.5/10
・音楽 6/10
・上映時間と個人的趣味 8.6/10
83点
原作の魅力がやっぱりすごいなぁと改めて思った。藤本先生の描くキャラクターの思想の独特さが素晴らしい。マキマもレぜもどこか男の偏った理想があるのに怖いとこが面白い。ボムの前掛け姿と後半のパンイチのフェティッシュの素晴らしさもよかった。
しかし劇中歌が個人的にハマらず。マキシマムザホルモンがなんか違う。
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