「ダイナミックで壮大。それでいて難解。インディーズ映画と大作映画の融合。」
2026年9月にUHDで再鑑賞。今回の評価は99点。夢の階層やキック、ホテルのブラウニング、雪山の『007』オマージュと撮影セットについて、再鑑賞の感想と出典を交えて書いています。
※以下、ラストまでネタバレあり。2010年・2014年の感想は、記事後半の「過去の鑑賞記録」に残しています。
製作
2010年アメリカ映画
監督
クリストファー・ノーラン
・TENET テネット
・インターステラー
・プレステージ
・ダンケルク
キャスト
2010年7月23日 【IMAX版】鑑賞 2010年度61本目
2014年11月23日 自宅Blu-ray鑑賞
2026年9月13日 自宅UHD鑑賞
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2026年9月自宅UHD再鑑賞の感想
自分でルールを決めています。
そのルールはIMDbTOP250に入ってる映画は、前回の鑑賞から10年経過してたら再鑑賞するってこと。
もちろんランキング上位の映画から確認していくのですが、今回は自分の部屋のPS5 Proでも問題なく鑑賞できる本作を再鑑賞しました。
ちょうど2026年9月6日に同監督の映画『オデュッセイア』を鑑賞したこともあり、ノーラン熱が冷めぬままの再鑑賞とベストタイミングだなぁと思いました。
ちなみに本作は2026年9月14日時点で、14位という超高評価映画。
10点満点では前回も満点をつけてましたが、今回も10点という気持ちです。
いやぁすごく面白かったですね。ノーラン監督の『ダークナイト』での大成功からの一番自由に映画撮れる状況でのオリジナル脚本。
やりたい放題にしては、エンタメとしてのノーラン監督の愛とアイデアが大爆発していて面白い!!
そんなわけで今回の鑑賞で思ったことを記載します。
映画の導入の流れや脚本がよくできてるなぁと。
再鑑賞してまず思うのが、シナリオの流れがいいなぁと。
扱ってる内容としては難解で解説ないときついなぁと思うところはあるのですが、
最初のアクションシークエンス。
もうこのシーン自体夢です!この映画は夢に入るエンタメです!って一連のアクションとサスペンスで見せて、印象的な音楽でめちゃめちゃ盛る。
その後にアリアドネをスカウトして、彼女への説明を通して、夢に入るとはどういうことか、どんな危険があるか、作戦にはどういう人たちが必要かを描く。
映画の設定説明を打合せシークエンスとして成立させて、観客にも理解を促す巧みなシナリオだなぁと。
そこでも大胆不敵に映像の遊び、例えば建物をひっくり返せるとか。
ルールを楽しく描くことで付いてけない人も完全には置いてけぼりにしない作りが、素晴らしいなぁと思いました。
そこまでを映画的に1時間で見せて、残りの1時間30分はインセプションを行うミッションを描くのもバランスがいい。
ミッションが始まった直後に予期せぬ事態に直面して、計画どおりに進まなくなる展開もスパイ映画として理想的で上手いなぁと。
また根本的には、家に帰りたい主人公の物語。自分のトラウマというよりも、罪の告白と自己受容を盛り込むうまさがある。
そもそもこれが夢か現実かという絶妙なバランスも、やはりとても上手いなぁと思いました。
雪山の病院という『007』を彷彿させるアクション展開の妙
ノーラン監督が、スパイ映画を混ぜ込みたいという野心がめちゃめちゃ伝わってくる雪山のシークエンス。
なんで雪山なんだよ?と思うし、どう見ても要塞なのにこれ病院である違和感がやばい。
また誘拐したロバートの防衛訓練のせいで大量に配置された夢の侵入者討伐隊の並びが、FPSのゲーム『コール・オブ・デューティ』を彷彿させるゲーム感。
映画としてはここでロバート・フィッシャーが金庫室の奥で父の投影と再会し、「父は自分に同じ道を歩んでほしかったわけではない」と受け止める。
父の企業帝国を解体して自分の道を進もうと思わせることで、競合であるサイトーの会社がビジネス上優位に立とうとする、最後の仕上げのような状態。
前述の通り目論見は外れ、ロバートの討伐隊との戦い、さらには死にそうになっているサイトーという数多の危機の中、インセプションのために戦う。
そこにコブの妻モルの投影が介入して、さらに事態は悪くなる。私にはこれが、コブの「裁かれたい」という気持ちの自己投影にも見える。
2010年の感想でも「007のワンシーンのよう」と書いていたけど、調べたら本当に『女王陛下の007』へのオマージュだった。
ノーラン監督は、2024年2月に行われたドゥニ・ヴィルヌーヴとの対談で、『インセプション』終盤のスキーの追跡シーンと雪山の巨大な要塞について、次のように語っている。
それはまさに『女王陛下の007』への一種のオマージュでした。ボンド映画では、あれが私の一番のお気に入りだと思います。
出典:IMAX公式「In Conversation With Nolan & Villeneuve | IMAX® Behind the Frame」(2024年2月9日公開、7分9秒頃からの回答より一部抜粋・日本語訳)
このシーンはノーラン監督作品の中で一番王道でありながら面白いアクションシーンだなぁと。
活躍するトム・ハーディも作中ではちょい役な感じだったけどもこのシークエンスではアクションヒーローとして活躍して驚きです。
また、見てるとあたかも実在しているように感じる雪山の病院(要塞)は、カナダの山中に実物大の撮影用セットが建てられている。美術監督のガイ・ヘンドリックス・ディアスは、TheWrapのインタビューで次のように語っている。
私たちは、空気の薄い標高7,000フィート(約2,100メートル)の場所に、大がかりなセットを建てました。
出典:TheWrap「The Art of ‘Inception’: Dreaming Big」(Steve Pond、2011年2月14日公開。ガイ・ヘンドリックス・ディアスの発言より一部抜粋・日本語訳)
完成した映像では、実物大セットにCGによる拡張を加え、遠景用には要塞全体のCGモデルも使用。爆破・崩壊の場面にはミニチュアも組み合わせている。
出典:Animation World Network「VFX from ‘Inception’」(Bill Desowitz、2010年7月21日公開。VFX監修のポール・フランクリンへの取材記事)
正直今回の再鑑賞までこのシーンがセットだと知らず、ノーラン監督のことだから実在の電波基地とかで撮影したろうと思ってたがそんなことなくて驚いた。逆に今作は特殊効果をかなり用いた作品で、アカデミー賞では視覚効果賞を受賞している。
ロケ地としては、日本の赤坂のアーク森ビル、パリ、モロッコ、ロサンゼルス、イギリス等凄まじい。
流石に最下層の廃墟群はCGですがね。。。
ここが分かりづらい:2層目のホテルに現れるブラウニング
3層目の雪山に行く直前で、イームス(トム・ハーディ)の変装じゃないピーター・ブラウニング(トム・ベレンジャー)が部屋に現れる。
見ていて混乱したのですが、あれはロバートが生み出したピーターの投影。
1層目では、ピーターに変装したイームスがロバートに接触して、父親には別の遺言があったという話を吹き込んでいる。
2層目では、その仕込みによってピーターへの疑念が育っているかを、投影の振る舞いから確かめているわけです。
あの部屋番号をどうして知っているのかは引っかかる。ただ、私にはこの登場が、ロバートの中で疑念が育ち、インセプションが進んでいることを見せる場面に思えました。
ピアフの曲とコティヤールが重なったのは偶然
キックのタイミングを知らせるために流れるのが、エディット・ピアフの「Non, je ne regrette rien」。直訳すると「私は何も後悔しない」という曲だ。
しかも、モル役のマリオン・コティヤールは、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』でピアフ本人を演じている。これは狙っているだろ!という組み合わせだが、ノーラン本人によると、偶然の一致だったらしい。
公開当時のインタビューでは、この曲は10年前から脚本に入っていたと説明している。コティヤールの出演が決まるよりも、選曲の方が先だったわけだ。もともとノーランは、この曲をとても映画的だと感じ、映画で使いたいと思っていた。また、劇中の合図として使うため、冒頭に特徴がある曲を求めていたという。
面白いのは、コティヤールの出演が決まったことで、この関係について毎回質問されるだろうと考え、曲を変えることまで検討したという話。最終的には、このつながり自体も気に入り、そのまま使用した。狙って仕込んだように見える組み合わせが、実際には後から重なった偶然だったというのが面白い。
出典:IndieLondon「Inception – Christopher Nolan interview」(聞き手:Rob Carnevale)、BAFTA「A Life in Pictures: Christopher Nolan」(2017年12月2日掲載)。ノーラン本人の発言をもとに要約。
分かりづらい:コボル社
映画の序盤で逃げてる最中にサイトーに寝返るナッシュ。彼が寝返ったことで逆にメンバーから外されヘリコプターから降ろされ、「コボル・エンジニアリングが彼をどうするかわからないがな。」
とサイトーは言うわけですが。当初はコボル社にコブ達は雇われていてエクストラクションをサイトーに行おうとして失敗するのが映画プロローグです。
エクストラクションはインセプションとは逆に夢の中に入って情報を抜き取ることですね。
このコボル社はセリフにて説明されてますが、どうやら残忍な人たちで、ミッション失敗は死ぐらいの感覚のようです。サイトーしかりお前らどんな仕事してるんだよ。メーカーなのか??
またサイトーの依頼によりコブは仲間としてイームスをスカウトするためにモンバサへ行くのですが、
このモンバサがコボルの支配しているエリアという謎設定。
コボル社の追っ手が銃をバンバン撃って、コブを追い詰めようとしますが、何故かいるサイトーの車に乗ることで窮地を脱します。
このシーンは全体的にめちゃめちゃで、モンバサの路地を追っ手から逃げる際コブは建物の隙間に挟まれてピンチになる間抜けなシーンがあります。
それがどう考えても挟まれてないようにしか見えない。
しかしハンス・ジマー大先生の緊張感を高める音楽でめちゃめちゃ誤魔化されてて、映画音楽の素晴らしさを実感できる素晴らしいシーンだなと思いました。
夢ばっかに気を取られてると見過ごしそうになるけど、そもそもなんのスパイなのか?会社は何をやっているのか?人殺しが許容される会社とは??
などなど、現実世界の企業スパイ部分には雑味も存在するのが、さすがノーラン監督の映画だなぁと改めて思うのです。
実はIMAXカメラが使われていない映画
初回鑑賞IMAXだったしめちゃめちゃ勘違いしていましたが今作IMAXカメラでの撮影はなし。
- 35mmアナモフィック:映画の基本フォーマット
- 5-perf 65mm:大規模な場面やワイドショット
- VistaVision 8-perf 35mm:主に空撮
- 一部の超高速撮影にPhoto-SonicsやPhantom HD
という混成です。
特に65mmは、Panavision System 65。これはフィルム幅自体はIMAXと同じ65mmですが、
System 65 ≠ IMAX
です。
IMAXフィルム撮影は通常、65mmフィルムを横送りして15-perfを使います。『インセプション』のSystem 65は一般的な5-perf 65mm。画面面積もアスペクト比も違います。
UHDで見ていて肌の質感なども確認できて高解像度で最高だし音楽もいいなぁと思いましたが、
画角が一定だなぁ。IMAXサイズは再現されてないかぁ?と勝手に思い込んでいましたが、そもそもIMAXカメラで撮影された映画ではありませんでした。
しかし抜群に優れた映像の数々はアカデミー賞の撮影賞をもたらしました。
撮影としてすごいなぁと思ったのは、1層目でバンが自由落下すると、その影響で2層目のホテルが無重力になる演出。
さらに深い階層ほど体感時間が長くなるので、車が落ちる短い間にも、ホテルでは長いアクションを見せられる。
重力ありなしで戦う展開などめちゃめちゃ面白いし、撮影賞もよくよく考えると納得しちゃう素晴らしい映画だなぁと改めて思いました。
夢の階層とキック:ホテルの無重力からどう目覚める?
今回の再鑑賞であと思ったのは、終盤のキックのつながり。1層目では車の着水、2層目は爆薬でエレベーターを急加速、3層目は病院を崩落させる。
それぞれのタイミングを合わせて、深い階層から順番に戻ってくるのねぇってなんか理解できました。笑
また10年後再鑑賞したら何か発見あるかな?
hisSCORE
・脚本のユニークさ、濃さ、テーマ性 9.6/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 10/10
・音楽 10/10
・上映時間と個人的趣味 10/10
99点
まとめ
ハッタリ感満載の大胆で難解さも兼ね備えた脚本、ディカプリオの素晴らしいオーバーアクト、感情を先行してショボさを吹き飛ばす素晴らしい音楽、壮大な映像、ノーランの時間ネタを上手く利用した階層の扱い。
ノーラン監督のフィルモグラフィーとしては序盤ながらもハリウッドアクション映画に対する集大成のような素晴らしい映画。今後ますます評価が高まるのかな?
2014年にも「そうだ!!何度見ても面白い!!」と書いてましたが、2026年に見てもそこは変わらない。
過去の鑑賞記録:2010年・2014年
※2010年・2014年当時の感想です。誤記や撮影情報などは後年に補足・修正しています。
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最後に:ご訪問ありがとうございます
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