★【99点】インセプション【解説・考察:ドゥンドゥーン!!ドゥンドゥーン!!】★

「ダイナミックで壮大。それでいて難解。インディーズ映画と大作映画の融合。」

2026年9月にUHDで再鑑賞。今回の評価は99点。夢の階層やキック、ホテルのブラウニング、雪山の『007』オマージュと撮影セットについて、再鑑賞の感想と出典を交えて書いています。

※以下、ラストまでネタバレあり。2010年・2014年の感想は、記事後半の「過去の鑑賞記録」に残しています。

製作

アメリカ2010年アメリカ映画アメリカ

監督

クリストファー・ノーラン
・TENET テネット
・インターステラー
・プレステージ
・ダンケルク

キャスト

キャスト一覧
レオナルド・ディカプリオ
・ウルフ・オブ・ウォールストリート
・ディパーテッド
・アビエイター
・タイタニック

ジョセフ・ゴードン=レヴィット
・LOOPER/ルーパー
・ドン・ジョン
・50/50 フィフティ・フィフティ
・ダークナイト ライジング

エリオット・ペイジ
・JUNO/ジュノ
・ハード キャンディ
・X-MEN:フューチャー&パスト
・オデュッセイア

トム・ハーディ
・ダークナイト ライジング
・オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分
・マッドマックス 怒りのデス・ロード
・ヴェノム

渡辺謙
・ラスト サムライ
・GODZILLA ゴジラ(2014)
・国宝
・名探偵ピカチュウ

キリアン・マーフィー
・プルートで朝食を
・28日後…
・オッペンハイマー
・パニック・フライト

マリオン・コティヤール
・エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜
・君と歩く世界
・サンドラの週末
・ダークナイト ライジング

マイケル・ケイン
・グランドフィナーレ
・サイダーハウス・ルール
・愛の落日
・探偵〈スルース〉

トム・ベレンジャー
・再会の時
・プラトーン
・メジャーリーグ

2010年7月23日 【IMAX版】鑑賞 2010年度61本目
2014年11月23日 自宅Blu-ray鑑賞
2026年9月13日 自宅UHD鑑賞

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2026年9月自宅UHD再鑑賞の感想

自分でルールを決めています。
そのルールはIMDbTOP250に入ってる映画は、前回の鑑賞から10年経過してたら再鑑賞するってこと。
もちろんランキング上位の映画から確認していくのですが、今回は自分の部屋のPS5 Proでも問題なく鑑賞できる本作を再鑑賞しました。
ちょうど2026年9月6日に同監督の映画『オデュッセイア』を鑑賞したこともあり、ノーラン熱が冷めぬままの再鑑賞とベストタイミングだなぁと思いました。

ちなみに本作は2026年9月14日時点で、14位という超高評価映画。
10点満点では前回も満点をつけてましたが、今回も10点という気持ちです。
いやぁすごく面白かったですね。ノーラン監督の『ダークナイト』での大成功からの一番自由に映画撮れる状況でのオリジナル脚本。
やりたい放題にしては、エンタメとしてのノーラン監督の愛とアイデアが大爆発していて面白い!!

そんなわけで今回の鑑賞で思ったことを記載します。

映画の導入の流れや脚本がよくできてるなぁと。

再鑑賞してまず思うのが、シナリオの流れがいいなぁと。
扱ってる内容としては難解で解説ないときついなぁと思うところはあるのですが、
最初のアクションシークエンス。
もうこのシーン自体夢です!この映画は夢に入るエンタメです!って一連のアクションとサスペンスで見せて、印象的な音楽でめちゃめちゃ盛る。
その後にアリアドネをスカウトして、彼女への説明を通して、夢に入るとはどういうことか、どんな危険があるか、作戦にはどういう人たちが必要かを描く。
映画の設定説明を打合せシークエンスとして成立させて、観客にも理解を促す巧みなシナリオだなぁと。

そこでも大胆不敵に映像の遊び、例えば建物をひっくり返せるとか。
ルールを楽しく描くことで付いてけない人も完全には置いてけぼりにしない作りが、素晴らしいなぁと思いました。

そこまでを映画的に1時間で見せて、残りの1時間30分はインセプションを行うミッションを描くのもバランスがいい。
ミッションが始まった直後に予期せぬ事態に直面して、計画どおりに進まなくなる展開もスパイ映画として理想的で上手いなぁと。

また根本的には、家に帰りたい主人公の物語。自分のトラウマというよりも、罪の告白と自己受容を盛り込むうまさがある。
そもそもこれが夢か現実かという絶妙なバランスも、やはりとても上手いなぁと思いました。

雪山の病院という『007』を彷彿させるアクション展開の妙

ノーラン監督が、スパイ映画を混ぜ込みたいという野心がめちゃめちゃ伝わってくる雪山のシークエンス。
なんで雪山なんだよ?と思うし、どう見ても要塞なのにこれ病院である違和感がやばい。
また誘拐したロバートの防衛訓練のせいで大量に配置された夢の侵入者討伐隊の並びが、FPSのゲーム『コール・オブ・デューティ』を彷彿させるゲーム感。
映画としてはここでロバート・フィッシャーが金庫室の奥で父の投影と再会し、「父は自分に同じ道を歩んでほしかったわけではない」と受け止める。
父の企業帝国を解体して自分の道を進もうと思わせることで、競合であるサイトーの会社がビジネス上優位に立とうとする、最後の仕上げのような状態。
前述の通り目論見は外れ、ロバートの討伐隊との戦い、さらには死にそうになっているサイトーという数多の危機の中、インセプションのために戦う。
そこにコブの妻モルの投影が介入して、さらに事態は悪くなる。私にはこれが、コブの「裁かれたい」という気持ちの自己投影にも見える。

2010年の感想でも「007のワンシーンのよう」と書いていたけど、調べたら本当に『女王陛下の007』へのオマージュだった。

ノーラン監督は、2024年2月に行われたドゥニ・ヴィルヌーヴとの対談で、『インセプション』終盤のスキーの追跡シーンと雪山の巨大な要塞について、次のように語っている。

それはまさに『女王陛下の007』への一種のオマージュでした。ボンド映画では、あれが私の一番のお気に入りだと思います。

出典:IMAX公式「In Conversation With Nolan & Villeneuve | IMAX® Behind the Frame」(2024年2月9日公開、7分9秒頃からの回答より一部抜粋・日本語訳)

このシーンはノーラン監督作品の中で一番王道でありながら面白いアクションシーンだなぁと。
活躍するトム・ハーディも作中ではちょい役な感じだったけどもこのシークエンスではアクションヒーローとして活躍して驚きです。

また、見てるとあたかも実在しているように感じる雪山の病院(要塞)は、カナダの山中に実物大の撮影用セットが建てられている。美術監督のガイ・ヘンドリックス・ディアスは、TheWrapのインタビューで次のように語っている。

私たちは、空気の薄い標高7,000フィート(約2,100メートル)の場所に、大がかりなセットを建てました。

出典:TheWrap「The Art of ‘Inception’: Dreaming Big」(Steve Pond、2011年2月14日公開。ガイ・ヘンドリックス・ディアスの発言より一部抜粋・日本語訳)

完成した映像では、実物大セットにCGによる拡張を加え、遠景用には要塞全体のCGモデルも使用。爆破・崩壊の場面にはミニチュアも組み合わせている。

出典:Animation World Network「VFX from ‘Inception’」(Bill Desowitz、2010年7月21日公開。VFX監修のポール・フランクリンへの取材記事)

正直今回の再鑑賞までこのシーンがセットだと知らず、ノーラン監督のことだから実在の電波基地とかで撮影したろうと思ってたがそんなことなくて驚いた。逆に今作は特殊効果をかなり用いた作品で、アカデミー賞では視覚効果賞を受賞している。

ロケ地としては、日本の赤坂のアーク森ビル、パリ、モロッコ、ロサンゼルス、イギリス等凄まじい。
流石に最下層の廃墟群はCGですがね。。。

ここが分かりづらい:2層目のホテルに現れるブラウニング

3層目の雪山に行く直前で、イームス(トム・ハーディ)の変装じゃないピーター・ブラウニング(トム・ベレンジャー)が部屋に現れる。
見ていて混乱したのですが、あれはロバートが生み出したピーターの投影。
1層目では、ピーターに変装したイームスがロバートに接触して、父親には別の遺言があったという話を吹き込んでいる。
2層目では、その仕込みによってピーターへの疑念が育っているかを、投影の振る舞いから確かめているわけです。
あの部屋番号をどうして知っているのかは引っかかる。ただ、私にはこの登場が、ロバートの中で疑念が育ち、インセプションが進んでいることを見せる場面に思えました。

ピアフの曲とコティヤールが重なったのは偶然

キックのタイミングを知らせるために流れるのが、エディット・ピアフの「Non, je ne regrette rien」。直訳すると「私は何も後悔しない」という曲だ。

しかも、モル役のマリオン・コティヤールは、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』でピアフ本人を演じている。これは狙っているだろ!という組み合わせだが、ノーラン本人によると、偶然の一致だったらしい。

公開当時のインタビューでは、この曲は10年前から脚本に入っていたと説明している。コティヤールの出演が決まるよりも、選曲の方が先だったわけだ。もともとノーランは、この曲をとても映画的だと感じ、映画で使いたいと思っていた。また、劇中の合図として使うため、冒頭に特徴がある曲を求めていたという。

面白いのは、コティヤールの出演が決まったことで、この関係について毎回質問されるだろうと考え、曲を変えることまで検討したという話。最終的には、このつながり自体も気に入り、そのまま使用した。狙って仕込んだように見える組み合わせが、実際には後から重なった偶然だったというのが面白い。

出典:IndieLondon「Inception – Christopher Nolan interview」(聞き手:Rob Carnevale)、BAFTA「A Life in Pictures: Christopher Nolan」(2017年12月2日掲載)。ノーラン本人の発言をもとに要約。

分かりづらい:コボル社

映画の序盤で逃げてる最中にサイトーに寝返るナッシュ。彼が寝返ったことで逆にメンバーから外されヘリコプターから降ろされ、「コボル・エンジニアリングが彼をどうするかわからないがな。」
とサイトーは言うわけですが。当初はコボル社にコブ達は雇われていてエクストラクションをサイトーに行おうとして失敗するのが映画プロローグです。
エクストラクションはインセプションとは逆に夢の中に入って情報を抜き取ることですね。

このコボル社はセリフにて説明されてますが、どうやら残忍な人たちで、ミッション失敗は死ぐらいの感覚のようです。サイトーしかりお前らどんな仕事してるんだよ。メーカーなのか??

またサイトーの依頼によりコブは仲間としてイームスをスカウトするためにモンバサへ行くのですが、
このモンバサがコボルの支配しているエリアという謎設定。
コボル社の追っ手が銃をバンバン撃って、コブを追い詰めようとしますが、何故かいるサイトーの車に乗ることで窮地を脱します。

このシーンは全体的にめちゃめちゃで、モンバサの路地を追っ手から逃げる際コブは建物の隙間に挟まれてピンチになる間抜けなシーンがあります。
それがどう考えても挟まれてないようにしか見えない。
しかしハンス・ジマー大先生の緊張感を高める音楽でめちゃめちゃ誤魔化されてて、映画音楽の素晴らしさを実感できる素晴らしいシーンだなと思いました。

夢ばっかに気を取られてると見過ごしそうになるけど、そもそもなんのスパイなのか?会社は何をやっているのか?人殺しが許容される会社とは??
などなど、現実世界の企業スパイ部分には雑味も存在するのが、さすがノーラン監督の映画だなぁと改めて思うのです。

実はIMAXカメラが使われていない映画

初回鑑賞IMAXだったしめちゃめちゃ勘違いしていましたが今作IMAXカメラでの撮影はなし。

  • 35mmアナモフィック:映画の基本フォーマット
  • 5-perf 65mm:大規模な場面やワイドショット
  • VistaVision 8-perf 35mm:主に空撮
  • 一部の超高速撮影にPhoto-SonicsやPhantom HD

という混成です。

特に65mmは、Panavision System 65。これはフィルム幅自体はIMAXと同じ65mmですが、
System 65 ≠ IMAX
です。
IMAXフィルム撮影は通常、65mmフィルムを横送りして15-perfを使います。『インセプション』のSystem 65は一般的な5-perf 65mm。画面面積もアスペクト比も違います。

UHDで見ていて肌の質感なども確認できて高解像度で最高だし音楽もいいなぁと思いましたが、
画角が一定だなぁ。IMAXサイズは再現されてないかぁ?と勝手に思い込んでいましたが、そもそもIMAXカメラで撮影された映画ではありませんでした。
しかし抜群に優れた映像の数々はアカデミー賞の撮影賞をもたらしました。

撮影としてすごいなぁと思ったのは、1層目でバンが自由落下すると、その影響で2層目のホテルが無重力になる演出。
さらに深い階層ほど体感時間が長くなるので、車が落ちる短い間にも、ホテルでは長いアクションを見せられる。
重力ありなしで戦う展開などめちゃめちゃ面白いし、撮影賞もよくよく考えると納得しちゃう素晴らしい映画だなぁと改めて思いました。

夢の階層とキック:ホテルの無重力からどう目覚める?

今回の再鑑賞であと思ったのは、終盤のキックのつながり。1層目では車の着水、2層目は爆薬でエレベーターを急加速、3層目は病院を崩落させる。
それぞれのタイミングを合わせて、深い階層から順番に戻ってくるのねぇってなんか理解できました。笑
また10年後再鑑賞したら何か発見あるかな?

hisSCORE

・脚本のユニークさ、濃さ、テーマ性 9.6/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 10/10
・音楽 10/10
・上映時間と個人的趣味 10/10

99点

まとめ

ハッタリ感満載の大胆で難解さも兼ね備えた脚本、ディカプリオの素晴らしいオーバーアクト、感情を先行してショボさを吹き飛ばす素晴らしい音楽、壮大な映像、ノーランの時間ネタを上手く利用した階層の扱い。
ノーラン監督のフィルモグラフィーとしては序盤ながらもハリウッドアクション映画に対する集大成のような素晴らしい映画。今後ますます評価が高まるのかな?
2014年にも「そうだ!!何度見ても面白い!!」と書いてましたが、2026年に見てもそこは変わらない。

過去の鑑賞記録:2010年・2014年

※2010年・2014年当時の感想です。誤記や撮影情報などは後年に補足・修正しています。

2010年の感想を読む

夢2010年の感想夢

クリストファー・ノーランが『ダークナイト』の次に生み出した作品!!
以前から、ノーランが仕事をしたかった人を数多く出演させていることでも有名で、まさしく、「ダークナイト」の成功のご褒美とも言える、潤沢な才能と資金を内包させた恐ろしい映画だ。
今作には原作が無く、監督自身が脚本も担当している。

感想を書く前に:当時の映画評論への戸惑い

正直言って本作の感想を書くのは、実に難しい。
そもそもこの映画自体が、とても難解な映画である。
そしてもう一つは、この映画に対して、米国在住の映画評論家の町山さんという人が、インセプションの話をしてる際に「映画の評論が皆できていない。」と公言しているからだ。
まぁーその話はインセプションという映画の感想自体とは大して関わりが無いので、あまり扱いたくないが、「映画評論は、表層評論であってはいけない」という点だ。事実(例えば、監督が映画を作る際に使用したネタなどを探求したり、監督の背景を調べたりなど)を使い、映画全体を明確に分析、解説することが、正しい評論であり、映画をただ見ただけで、物事の表面的な部分だけを用い、自己解釈のみで評論するのは、誰でも出来ることでしかない。というわけだ。
その表層評論のせいで映画自体が劣化しているという恐ろしい話だ。
そう言った話で、自分の将来の道にどすんと穴を開けられ、ふにゃふにゃな気分で、ちょっと距離を置いていた。
まぁーそれでも前に進まないとなんでもかんでも良くないのです。
そういうわけで、表層批評というわけで、感想書いていきます。(感想という表現は完全に的を得ているっぽい。)

一応公開初日にIMAXで見ました。
はっきり言ってこの映画、IMAXで見ることを推奨します。
これはパンフで読んだんですが、監督のノーラン自身が映画というものの意義に並々ならぬこだわりがあるらしく、「大画面」というこだわりを強く持っているみたい。
※撮影方式について訂正。本作は主に35mmフィルムで撮影され、一部に65mmやVistaVisionも使われている。全編IMAX撮影ではない。
出典:米国撮影監督協会の制作取材

とにかく画面がでかく、そういう意味で本作の重大な要素である「大画面」を味わうことこそ、本作を楽しむ一歩目として重要だ。
とりあえず、本作はとても理解に苦しむ難解な映画だ。
その面をインディーズ映画らしさとして捉えている人がいて、自分も納得してしまったが、まぁ、一応解説を聞いたから、その面の難解さを解決は出来たがやっぱりあれだと思う。

映画は唐突に始まり、世界設定を先にまとめて説明してくれるわけではない。
そのまま加速するように映画は進んで行き、初めて見たときは置いてけぼりになった。
(近年ではそういう唐突な始まり方の映画もよく見かける。)

世界設定の説明不足に、置いてけぼり

冒頭から頭がこんがらがった人がいたなら、多分それはこういうことだ。
「この映画は常識として人の頭の中に入り込んでいるぞ?何故だ?誰か説明してくれ?」
本作は唐突に事件が始まり、いきなり事件が終わり、次の仕事(本題)が始まるのだ。
むしろこの映画を見る前は、この映画で「頭の中に入る技術が生まれ、それを行い問題に遭遇して、それを解決する映画である。」そういったちょっとサブカルな発明アドベンチャー映画のようなものと想定して公開当時の自分は見た。
だけども、蓋を開けるとこの映画は前提に頭の中、というか夢の中に入ることが可能になっている世界で、そこで巧みに冒険というかスパイのごとく、人にアイデアを植え付ける映画であった。それに自分はびっくりしたのだった。
そして物語は本題である「インセプション」という作戦へと進む。
ここで解説になるが、本作がインセプションというタイトルであるのは、インセプションということを描いた映画であって、脳内に入ることは大して大事じゃないからだ。
(正確には深層意識というか夢)
ここでやや「オーシャンズ13」のようにテンポよく仲間集めが行われる。
本作の上手いところはそういった仲間達が上手いこと映画に絡んでる点だと思う。
全てのキャラに濃厚な役目があり、とても緻密だ。
本作は情報量がとても多く、難解と言うよりは濃厚。
そしてインセプションという作戦に当たり、映画内で特殊な用語が何度も生み出されて行く、そういう面でも映画慣れしていない人には厳しい内容だ。
ただそう言ったマイナス面を大スクリーンでどうどうと迫力のある映像で魅せてくれる、内容でついて行けなくても、ダイナミックさで見てる側を満足させようとする、知と量で見てる側を完全にねじ伏せてくる。
そう言った、ある種の調和が、インディーズ映画と大作系のスタジオ映画のいい面と悪い面を混ぜていて、成功してるすごい映画だ。

そのインセプション作戦が決行されると更に難解で、更に想像を超えた映像体験が待っている。
一体あれはどうやって撮っているんだろ?と何度思ったことか。

その難解な理由の一つが、夢の中の夢へと潜る階層構造だ。作戦は最初から三階層まで潜る計画だったが、ターゲットが夢への侵入に対するトレーニングをしていて、うまくいかないようになっていた。
依頼人のサイトーはそのせいでダメージを受けてしまう。しかも今回は強力な鎮静剤を使っているため、夢の中で死んでも目覚めず、「虚無」に落ちてしまう危険がある。
それでも作戦を続けるべく、現実よりも長い時間を過ごせる夢の中の夢に潜っていくのだが、これが初回ではとても複雑に思える。

今では、その階層という考えに映画の奥深さを感じる。何枚も何枚も皮をむいて映画を見るような感じで、私は好きだ。
正直映像面のこだわりは本当に、見事。監督自身、キューブリックのファンらしく、キューブリック作品のような映像アプローチが垣間見られる。そういう巨匠のテクを現代に蘇らせてくれた時点で本作は称賛に値する。
とても難解で、到底理解し得ない、映画であるが、終盤「雪山」に行くシーンは個人的には、とても昔の西部劇のような展開で自分は大好きだった。
なんか「007」のワンシーンのように大迫力でスペクタクル。
映画を理解しようと脳内ではすごい速さで分析を行っているにもかかわらず、ここぞというところで、ポップコーンを食べている人に向けた大掛かりなアクションシーンを大迫力に映してくれる!
最高だ!!

ラストの解釈とコブのトラウマ

そして問題のラストだが、ここが本当に問題。
これは見た人がだいたい困ると思う。
自分の答えは、この映画自体が監督の夢。という捉え方で、監督やばすぎ(エンディングで夢が覚める時に鳴らす音楽が流れるので、観客に対する「夢の終わりの提示」を表現したから。)という意見。

監督が重視しているのは、コブがコマの結果を確かめず、子供たちのもとへ向かうことのようです。
夢か現実かについては、映画の中ではどちらとも断定していない。
出典:WIREDのノーラン本人へのインタビュー

正直役者勢は見事です。特にアーサー役のジョセフ・ゴードン=レヴィットはポスターなどでは、微妙でしたが、映画内で動くと本当に素敵。
『スペル』などで活躍した俳優や、僕らのキリアン・マーフィーが複雑なシーンを上手く演技でより複雑化してくれたりと、最高です。
というわけで、ここから更に、ネタばれします。
本作が『インセプション2』にすべきな程、いきなり夢の中の仕事から始まるのは、夢に入る技術そのものが主題では無いからっぽいです。
本作の主題はタイトルが表す通り「インセプション」直訳で始まりです。
物事の始まりであるアイデアという意味あいが個人的には正しいと思いますが、本作の意味合いでいうと、それを頭の中に潜り込んで人に植え付けるという壮大な意味で、それをもう一度するわけですが、実際主人公はそれが2回目で、先にインセプションをしたわけですよね。その主人公のトラウマについての物語というのが本作の一番の重要なとこみたいです。
またじゃあ渡辺謙とかって一体なんなの?と思いますが、これも解説で知りましたが、映画にはテクニックとして、主人公の内面の物語と並行して、映画自体を盛り上げるための要素などがあって、それが渡辺謙の依頼というわけで、本作の本筋は、主人公が成長する話だと私は思うわけです。

※ここから『トゥモロー・ワールド』の結末にも触れます。
トゥモロー・ワールドの主人公が最後の希望を守るんですが、主人公が死ぬと映画は終わります。その後の世界はどうなったんだよ?的になりますが、それもこれと一緒で、主人公が主題であるというわけですね。
後は、この映画の登場人物達の名前がやたら複雑だなと思ったら、町山さんの解説で知ったのだけど、エリオット・ペイジが演じるアリアドネは、ギリシャ神話でテセウスの迷宮脱出を助けたアリアドネと同じ名前。本作でも迷ってる人を導く役。
そう言った象徴的な要素が強い点も作家性が強くて価値がありますね。

ただ、本作は膨大な情報量やアプローチがあるわりに最後の最後で一気に投げやりにして、むしろ映画自体が未完とさえ思えるほどな極端な終わり方をする。
それこそが、まさに難解と思わせる起因だと自分は思うし、実際どうなんだろ?なんて思う。
ただ「インセプション」という映画については、何故か疑問や議題になってることが今でもあって、最近ではデヴィッド・フィンチャーとクリストファー・ノーランの違いを感じたり、そういう意味でも本作は、大傑作であるのだろう。

2014年11月の再鑑賞の感想を読む

2014年11月追記!!

『インターステラー』人気に便乗して、『インセプション』再鑑賞!!
いえーい。
当時よりも映画マニアレベルが上がったせいか、何度も見ているせいか、この映画については結構理解している。
深層的にこの映画の緻密さと人間の夢?深層意識?の世界に潜るという深いテーマが素晴らしく、やはり『メメント』のような記憶を保てない男の物語などを作った監督らしい、一つのアイデアをこねくり回して、エンターテインメントとして昇華させるクリストファー・ノーランの手腕は、素晴らしいし、今後の映画業界でも彼のオリジナル作品は楽しみでしょうがない。
ちなみに『ダークナイト ライジング』は唯一の失敗作だとおれは思っている。
これに至っては、一つのアイデアではなく、複数の分厚い原作の要素をひとまとめにしたために、もともと辻褄合わせなどが苦手で、広角映像などのダイナミックさでごまかしていた監督のごまかしきれない作品になってしまった。

とりあえず、映画としてはいいシーンが山ほどある。
ジマーさんが生み出したドゥンドゥーンという音楽。
舞台設定のおかげでやりたい放題を映画に収めた映画の脚本。
そのおかげで街中を電車が暴走したり、急に舞台が雪山になったりとなんでもあり。
一番すごいのは、ホテルの廊下がぐるぐる回るシーンと、無重力になってしまったホテルで工作するジョセフ・ゴードン=レヴィット。
また更にこの映画は、階層という場所が幾重にも分かれたものを同時進行させるマルチレイヤーな映画で、また流れる時間が違うということで、スローモーションで落下する車の中で俳優みんな寝ているだけ、でも一方では無重力、一方では雪山で秘密基地崩壊という凄まじいシークエンスをやってのける。
特に俳優寝ているだけのスローモーションで車落下は、緊迫したシーンなのに何度も見ていると笑えてくるぐらい面白い。
そうだ!!何度見ても面白い!!

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あらすじ 序盤だけ

ネタバレあらすじ
コブ(レオナルド・ディカプリオ)とアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は人の夢に忍び込んで、潜在的な情報を盗む天才で、この筋でコブは、一番の存在だった。
だが、コブはサイトー(渡辺謙)の頭の中からアイデアを盗もうとするが、妻(マリオン・コティヤール)の幻影に邪魔され、失敗してしまう。
なんとか、サイトーから逃げ切ったと思っていた二人だが、サイトーは上手で、彼らを試すためにわざと自分の夢に入らせたのだった。
サイトーは彼らにある依頼をする。
それは、人間のアイデアの基を潜在意識の中に植え付ける、という恐ろしく壮大で荒唐無稽な任務だった。
コブはこの任務に対して酷い嫌悪感を抱くが、サイトーがコブにかけられた殺人容疑を晴らし、帰国できるようにしてくれるという報酬の為に彼は、また「インセプション」を決行する。
インセプションをするには、一人では出来ない。優秀な仲間達を集めるべくコブは世界を巡るのであった。

最後に:ご訪問ありがとうございます

あとがき
閲覧いただきありがとうございます。本ブログは筆者の鑑賞記録保管を目的としたブログです。本ブログ記事を読むことで私が味わった娯楽作品のカタルシスを追体験できるかもしれません。ですがこの記事を読むことで追体験するのではなく映画を鑑賞して自分自身でカタルシスを味わってください。私以上の発見と出会うことができるのではないかと思います。本日はご訪問いただきありがとうございます。

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30代後半のおっさんです。妻と娘と暮らしながら、映画館で注目作を観たり、家でUHDを見たり、PS5でゲームしたりしています。 このブログでは、映画・アニメ・ゲーム・ガンダム作品を中心に、点数つきの感想やネタバレあり考察を備忘録として書いています。 好きなものはガンダム、洋画、洋楽、バットマン。初めて来た方は、映画おすすめまとめ、ガンダム作品レビュー、Rick and Morty感想まとめからどうぞ。