家賃も払えないNYの熱きマイノリティアーティストたち
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2005年アメリカ映画
00年代のミュージカル映画的なアプローチ
監督
クリス・コロンバス
・ハリー・ポッターと賢者の石
・ハリー・ポッターと秘密の部屋
・ピクセル
・ホーム・アローン
キャスト
ネタバレ あらすじ
2021年12月4日Netflix自宅鑑賞
2021年68本目
伝説のブロードウェイ・ミュージカル『RENT/レント』の映画化
ハリポタやホームアローン
そしてナイトミュージアム等の
子供向けハリウッド映画を得意とする
クリス・コロンバス監督による
伝説のブロードウェイ・ミュージカル
の映画化作品。
彼の作品にしては重いテーマが題材で
正直相性は悪い
1993年にオフブロードウェイで公演し
それから3年後1996年に
ブロードウェイにて公演が開始
それから2008年まで公演され
当時は歴代1位という
連続公演数を誇っていたという作品。
そんな大成功を収め伝説化の最中の
映像化作品ということ。
1989年のクリスマスから
1990年までの
余命わずかかもしれない
エイズに侵された
若き文化系たちが
1日1日を必死に生きて輝くお話。
この作品の舞台は
現在は金持ちたちが住んでいる
ようでして
カルチャーのために立ち向かう
彼らだが結局は
高収入の人々により
住居を奪われてしまうわけで
このレントの歌詞にある
家賃が払えねぇとは
なんとも皮肉なものだ。
また知らなかったが
イタリアの舞台で
1830年代のパリを舞台にした
『ラ・ボエーム』の時代設定を
1989年にし舞台をニューヨークに
変えたわけ。
それについては舞台の原作者の作品を
見ればなんとも理解できたりする。
Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!からの連続鑑賞
と本作を見たきっかけは
『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』を
鑑賞してとても面白かったので
そのまま連続鑑賞しました。
Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!の
主人公であるジョナサン・ラーソンは
『RENT』の原作者で舞台公演直前で
亡くなってしまった人。
その彼が亡くなる直前というか
同時並行で製作された舞台が
彼の80年代の半自伝的作品である
『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』であり
それの映画化をNetflixで鑑賞
したのです。
『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』は
ジョナサン・ラーソンが
1949年のジョージ・オーウェルの小説
『1984年』を大胆に別宇宙を舞台に
近未来化したSF化舞台化。
その舞台の完成までの
彼の姿が描かれる映画なのだが
結局それ自体の評価は
批評家たちからは高いのだが
ショウビズとしてはなしとされ
有料公演には結び付かず。
そんな彼へのアドバイスが
身の回りのことを
作品にすべきだ。
そこから生まれたのが
『レント』だということがわかる。
また『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
に出てくるマイケルはゲイであり
最終的にエイズと明かされるため
ジョナサン・ラーソンの仲間達にも
多くの同性愛者がおり
彼らの死の痛みについてのことが
大きくレントの影響下に
あるんだろうなぁと思うのでした。
オリジナルキャストほぼ集結
今作のすごいところは
ミュージカル舞台版の
主要キャストが映画で
同役を演じている。
ファンなら感動だろうが
個人的にはむしろ
無名キャストが多いため
ちょっとしんどいのだが
個人的に注目は
TVドラマ『FLASH』の
ウエスト刑事が出てるとこ。
しかもゲイ役という
全然ぴんと来ない感じ。
挙句にめっちゃ歌うし
すっごい違和感だったが
逆に元々ミュージカル出身
なんだなぁと勉強になる。
また『アナ雪』で有名な
イディナ・メンゼルが出てて
まさかの電波系のショウを公演。
流石にアレでした。
『スーパービア』の残り香か?
リアルさより作り物感が強い
と二本立てすると渋いのが
当時の貧乏さを感じられる
生活感のある
ヒューマン映画寄りの作風の
『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』に
対してやたらだだっぴろい
賃貸アパートだったり
やたら広いステージだったり
やたら広いレストランだったり
と映画としての舞台づくりが
強調されている
娯楽ミュージカル映画感が強い本作。
作品の内包している
ボヘミアン文化を愛する
若者たちの辛苦よりも
ブロードウェイミュージカル映画
としてのフューチャーになっているのが
賛否両論かなぁと個人的に思う。
むしろそれは
監督のクリス・コロンバスの作風に
なってしまっているのかなぁと。
やはりテーマ的に
ワンス・アポン・タイム・
イースト・ヴィレッジ的な側面や
まだマイノリティが強い
同性愛者の愛の形とか
そういう側面に
マイノリティの人々から
厚い支持があったのかなぁと思う。
そこのあたりと
真逆にあると思うクリス・コロンバスが
どうしてこうしてこの映画を
映画化することにしたのか?
ただ監督自身も
ニューヨーク大学出身ということもあり
もしかしたら登場人物たちと
同じ境遇にいたのかもしれないが
だいぶ漂白されている。
それでもオープニングが良い
自分はgleeのフィン追悼会で知ったけど
Seasons of Loveが神曲すぎてやばい
時間を愛で計ろうという曲なのだが
時間に追われた
ジョナサン・ラーソンが
この曲を作ったと思うと
余計に感動できる。
秒や分じゃない
愛の濃さ
愛し合った時間で
考えるということ。
もうこれを聞けただけでも
映画見たカタルシスあったと思う。
楽曲はロック寄り
背景はMTV
と多くのミュージカル映画を見ていると
しっとりとしたオーケストラ楽曲が
多い印象を持っている自分ですが
今作はパワーロック系の曲が
多いです。
ジョナサン・ラーソンは
当時のMTVが最盛期を
フューチャーしている。
多分これまでにないものとして
そして古い名作たちを
現代的にアレンジしたいという
彼の野心そのものなのかな?
しかし90年代は
ニルヴァーナの登場により
インディロック及び
オルタナロックの登場により
ロックは衰退の一途を辿る。
彼が生きていたら
音楽文化は変わっていたのか?
ちょっと気になる。
むしろその
アメリカの音楽史的な
側面も理解していないと
楽しめない部分もあるなぁと。
劇中では決して
ロックが今の彼らに
何をもたらしているか?
そういう要素は描かれていない。
でも前述と『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
然りとこのロック楽曲後に
唐突に現れるバラードが
マジで良いんですよね。
その幅が
ジョナサン・ラーソンの良さなのかな?
と勝手に思ったりしました。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 4/10
・映画の美術面 4/10
・キャラクターの魅力 4/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 5/10
50点
現代の文化的背景や
リアルな生活感
古き良きイースト・ヴィレッジという
体裁を大事にして
リメイクして欲しいかもなぁと思ったり。
信者の方がいたら怒られそう。